人材派遣業界の戦略(市場リサーチ・競合企業調査)

脱・労働力仲介:スキルとデータが駆動する次世代人材エコシステムの構築戦略

  1. 第1章:エグゼクティブサマリー
  2. 第2章:市場概観(Market Overview)
    1. 市場規模の推移と今後の予測
    2. 市場セグメンテーション分析
    3. 業界の主要KPIベンチマーク分析
  3. 第3章:外部環境分析(PESTLE Analysis)
    1. 政治(Politics)
    2. 経済(Economy)
    3. 社会(Society)
    4. 技術(Technology)
    5. 法規制(Legal)
    6. 環境(Environment)
  4. 第4章:業界構造と競争環境の分析(Five Forces Analysis)
    1. 供給者の交渉力(派遣労働者):中〜高
    2. 買い手の交渉力(派遣先企業):高
    3. 新規参入の脅威:中
    4. 代替品の脅威:高
    5. 業界内の競争:高
  5. 第5章:バリューチェーンとサプライチェーン分析
    1. バリューチェーン分析
    2. サプライチェーン分析(人材の供給網)
  6. 第6章:顧客需要の特性分析
    1. 派遣先企業(BtoB)のセグメント分析
    2. 派遣労働者(BtoC)のセグメント分析
  7. 第7章:業界の内部環境分析
    1. VRIO分析
    2. 人材動向(派遣会社の正社員)
    3. 労働生産性
  8. 第8章:AIがもたらす影響とインパクト
    1. マッチングプロセスの変革
    2. 業務効率化と生産性向上
    3. 新たな価値創造の可能性
    4. 派遣需要への直接的影響(脅威)
  9. 第9章:主要トレンドと未来予測
    1. 「派遣」の枠を超える事業ポートフォリオ
    2. スキルベースド・エコシステムの形成
    3. プラットフォームとの共存共栄
    4. 人的資本経営への貢献と価値の証明
  10. 第10章:主要プレイヤーの戦略分析
    1. 大手総合人材会社
    2. 専門特化型派遣会社
    3. 業界構造を揺るがすプレイヤー
  11. 第11章:戦略的インプリケーションと推奨事項
    1. 今後3~5年で、勝者と敗者を分ける決定的要因
    2. 捉えるべき機会と備えるべき脅威
    3. 戦略的オプションの提示と評価
    4. 最終提言:ハイブリッド型「ソリューション・プラットフォーマー」戦略
  12. 第12章:付録
    1. 参考文献・引用データリスト
      1. 引用文献

第1章:エグゼクティブサマリー

本レポートは、日本の人材派遣業界が直面する構造的な地殻変動を多角的に分析し、この変革期において持続的な競争優位を確立し、成長を達成するための事業戦略を提言することを目的とする。

現在、人材派遣業界は、①少子高齢化に伴う労働力人口の絶対的減少、②AI/RPA(Robotic Process Automation)による定型業務の代替とそれに伴うスキルの高度化、③ギグワーク・プラットフォームの台頭による労働市場の流動化、そして④「同一労働同一賃金」に代表される法規制の厳格化という、複合的かつ不可逆的な四重の圧力に晒されている。これらの変化は、従来の「労働力の需給を調整する仲介業」というビジネスモデルの根幹を揺るがす脅威であると同時に、高付加価値な「人材ソリューション・パートナー」へと進化するための絶好の機会でもある。

本分析が導き出す最も重要な結論は、今後の業界における勝者と敗者を分かつ要因が、もはや登録者数や拠点網といった物理的な規模ではなくなるという点である。将来の競争優位性の源泉は、以下の3つの能力に集約される。

  1. スキルの可視化と再教育(リスキリング)能力: 個人のスキルを正確に評価・可視化し、市場の需要に応じて新たなスキルを習得させる教育プログラムを設計・提供する能力。
  2. データとAIを活用した予測マッチング能力: 膨大な人材・求人データを分析し、個人の潜在能力と企業の将来的なニーズを予測し、高精度なマッチングを実現する能力。
  3. 多様な働き手を惹きつけ、キャリア自律を支援するエコシステム構築能力: 派遣社員のみならず、フリーランスや副業者など多様な働き方を望む人材を惹きつけ、彼らのキャリア形成を継続的に支援するプラットフォームやパートナーシップを構築する能力。

単純な労働力の需給調整業務は急速にコモディティ化し、利益率は著しく低下する。その一方で、企業の「人的資本経営」に深く貢献し、個人のキャリア自律を支援するプレイヤーが、市場における価値の大半を獲得する未来が予測される。

以上の分析に基づき、取るべき主要な戦略として、以下の4点を提言する。

  1. 事業ポートフォリオの転換: 従来の派遣事業を安定的なキャッシュカウと位置づけつつ、成長のエンジンを「スキルベースの人材紹介・育成事業」および「テクノロジーを活用したBPO(Business Process Outsourcing)事業」へと戦略的にシフトさせる。
  2. データ駆動型経営への移行: 社内に散在する登録者データ、求人データ、就業実績データを統合・分析するためのデータ基盤を早急に構築する。その上で、AIを活用した高精度マッチングモデルと、将来のスキル需要を予測するモデルを確立し、事業運営の中核に据える。
  3. エコシステム・パートナー戦略の推進: オンライン学習プラットフォーム(例: Coursera)、スキル評価・証明機関(例: Credly)、ギグワーク・プラットフォーム運営企業と戦略的提携を締結する。これにより、人材の「獲得」「育成」「評価」「流動化」を一体的に提供するエコシステムのハブとしての地位を確立する。
  4. 営業組織の再定義と高度化: 従来の営業担当者を、労働法規、キャリアコンサルティング、データ分析の三つの専門知識を併せ持つ「タレントソリューション・コンサルタント」へと再教育・再配置する。顧客に対して、単なる人材提案に留まらない、組織・人事課題の解決策を提示できるプロフェッショナル集団へと変革する。

第2章:市場概観(Market Overview)

市場規模の推移と今後の予測

日本の人材派遣市場は、国内の構造的な人手不足を背景に、堅調な成長を続けている。矢野経済研究所の調査によれば、2023年度の市場規模は事業者売上高ベースで9兆2,800億円に達し、前年度比で5.9%の増加を記録した 1。この成長は、企業からの旺盛な派遣需要に支えられており、2024年度には初めて10兆円の大台を突破し、10兆2,602億円にまで拡大すると見込まれている 1。

派遣労働者数も高水準で推移しており、総務省統計局の「労働力調査」によると、2024年1〜3月期の平均派遣社員数は152万人となっている 1。

長期的な視点では、市場の成長は継続するものの、そのペースは緩やかになると予測される。パーソルホールディングスは、2030年までの人材派遣市場の年平均成長率(CAGR)を3.4%程度と予測しており、市場が成熟期に移行しつつあることを示唆している 5。一方で、矢野経済研究所は、人材派遣を含む人材サービス・アウトソーシング市場全体が2030年度には19兆3,173億円に達すると予測しており、労働力人口の減少が需要を喚起し続けるプラスの影響が、供給源の減少というマイナスの影響を上回ると分析している 6。

これらのデータは、人材派遣市場が今後も構造的な需要に支えられ、安定した成長基盤を持つことを示している。しかし、成長率の鈍化は、業界内でのシェア争いの激化と、既存のビジネスモデルだけでは持続的成長が困難になることを意味しており、新たな付加価値創出への転換が急務であることを物語っている。

年度売上高(億円)前年比成長率派遣労働者数(万人)主要な出来事・市場動向
2020年度76,474約143 (2021年平均)同一労働同一賃金(大企業)、派遣法改正(情報提供義務化など)
2021年度82,363+7.7%約143 (2022年平均)同一労働同一賃金(中小企業)
2022年度87,646+6.4%約153 (2023年平均)COVID-19からの経済回復、人手不足の顕在化
2023年度92,800+5.9%約152 (2024年1-3月期)IT・介護分野での需要増、賃金上昇圧力の高まり
2024年度(予測)102,602+5.6%10兆円市場への到達
2030年度(予測)約12兆-13兆CAGR 約3-4%スキルベース採用の浸透、AI活用の本格化

表2-1: 日本の人材派遣市場規模推移と予測(2020-2030年度)
(出所: 厚生労働省「労働者派遣事業報告書」、総務省「労働力調査」、矢野経済研究所、パーソルホールディングスIR資料等より作成 1)

市場セグメンテーション分析

人材派遣市場は、業務種類、地域、契約形態によって多様なセグメントに分かれており、それぞれ異なる成長ドライバーと課題を抱えている。

業務種類別
市場で最も大きな割合を占めるのは、依然として「一般事務」と「製造関連」である。2024年のデータによると、事務職の派遣社員数は約54万人、製造関連は約38万人であり、この2職種で全体の過半数を占めている 4。しかし、成長を牽引しているのは、より専門性の高い領域である。特に「ITエンジニア」や「介護・医療」分野では、深刻な人手不足を背景に企業からの派遣需要が顕著に増加している 1。これは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進や、高齢化社会の進展といったマクロトレンドを直接的に反映している。
ここで注目すべきは、「事務職・製造職のジレンマ」である。これらの職種は市場のボリュームゾーンとして依然として重要であるが、同時にAIやRPAによる業務代替のリスクが最も高い領域でもある。にもかかわらず、現場ではこれらの職種の人材確保が困難になっているという矛盾した状況が生じている 1。これは、多くの企業が「将来的には自動化可能だが、現時点での完全な代替は難しく、かつ必要な人材の採用も困難」という過渡期の課題に直面していることを示している。このジレンマは、派遣会社にとって短期的な収益機会であると同時に、長期的な事業リスクを内包している。単なる人材供給に留まらず、顧客企業の業務プロセス改善やRPA導入支援といったコンサルティングサービスとセットで人材を提案することが、この脅威をビジネスチャンスに転換する鍵となる。

地域別
市場は地理的にも偏在している。日本人材派遣協会の調査によると、派遣先のエリアは「関東」が58.0%と過半を占め、次いで「近畿」「東海」と、三大都市圏に集中している 9。地域別の成長率を見ると、南関東(+4.2%)、東海(+3.5%)、近畿(+3.5%)といった主要都市圏では派遣労働者数が増加している一方で、北関東・甲信(-3.1%)、東北(-0.7%)、中国(-2.0%)、四国(-2.4%)では減少しており、地域間の格差が拡大している 10。これは、経済活動の都市部への集中と、地方における産業構造の変化を反映していると考えられる。

契約形態別
契約形態では、「無期雇用派遣(常用型派遣)」の労働者数が約84万人と増加傾向にある 1。これは、2015年の労働者派遣法改正で導入された、同一の組織単位で3年を超えて派遣就業できない、いわゆる「3年ルール」への対応や、派遣労働者の雇用安定化を求める社会的な要請を背景に、派遣会社が安定的な雇用を確保しようとする動きの表れである。無期雇用派遣は、派遣会社にとって人材の定着とスキル蓄積を促進する一方、待機期間中の人件費負担というリスクも伴う。

業界の主要KPIベンチマーク分析

業界の競争環境と収益構造を理解するためには、主要プレイヤーの重要業績評価指標(KPI)を比較分析することが不可欠である。

マージン率
派遣料金と派遣労働者の賃金の差額であるマージン率は、派遣会社の収益性の根幹をなす指標である。「同一労働同一賃金」の導入は、派遣労働者の賃金水準を派遣先の正社員と均衡させることを求めており、賃金上昇圧力として作用している。このコストを派遣料金に適切に転嫁できない場合、マージン率は直接的に圧迫される。特に価格競争が激しい一般事務などの領域では、マージン率の維持が重要な経営課題となっている。

稼働率
特に技術者派遣などの専門職領域において、稼働率は収益性を左右する最重要KPIの一つである。テクノプロ・ホールディングスやメイテックといった専門派遣会社は、エンジニアの稼働率をIR資料で開示しており、経営の重要指標として厳格に管理している 11。高い稼働率を維持することは、効率的なマッチング能力と、顧客からの安定した需要があることの証左である。

営業利益率
企業の収益力を示す営業利益率は、プレイヤーの戦略によって大きく異なる。以下の表に示すように、大手総合人材会社と専門特化型派遣会社では、収益構造に明確な違いが見られる。

企業名分類売上高(億円)営業利益率特徴・戦略
リクルートスタッフィング大手総合3,258 (2025/3)(非開示)HRテクノロジー事業とのシナジー、AIマッチングで先行
パーソルHD (Staffing SBU)大手総合6,024 (2025/3)4.5%グループ全体での多角化、M&Aによる技術獲得
パソナグループ (HRソリューション)大手総合711 (26/5 1Q)4.8%BPO、地方創生などユニークなポートフォリオ
アデコ (日本法人)大手総合1,720 (2023/12)2.7%グローバル連携、Akkodis(技術)、LHH(キャリア支援)とのシナジー
テクノプロHD専門特化 (技術者)1,856 (2025/6)13.5% (2025/3期)幅広い技術領域をカバー、大手製造業との強固な関係
メイテックグループHD専門特化 (技術者)1,328 (2025/3)14.6%ハイエンド技術者に特化、高い専門性と単価

表2-2: 主要プレイヤーKPIベンチマーク
(出所: 各社IR資料より作成 13)

この比較から、技術者派遣に特化したテクノプロHDやメイテックグループHDが、10%を超える高い営業利益率を達成していることがわかる。これは、専門性の高いスキルを提供することで価格交渉力を維持し、高いマージンを確保できていることを示している。一方で、幅広い職種を扱う大手総合人材会社は、規模の経済を追求するものの、価格競争の激しい領域も含まれるため、利益率は相対的に低くなる傾向がある。この構造的な違いは、今後の戦略を考える上で極めて重要な示唆を与える。高付加価値な専門領域へのシフトが、収益性向上の直接的な鍵となる。

第3章:外部環境分析(PESTLE Analysis)

人材派遣業界の事業環境は、政治、経済、社会、技術、法規制、環境といった多様なマクロ要因によって大きく左右される。PESTLEフレームワークを用いてこれらの要因を分析し、事業戦略へのインプリケーションを導出する。

政治(Politics)

政治・行政の動向は、労働市場のルールメーカーとして、業界の事業運営に直接的な影響を及ぼす。

  • 労働者派遣法の段階的改正: 近年の法改正は、一貫して派遣労働者の保護とキャリア形成支援を強化する方向で進められている。具体的には、同一事業所での派遣就業期間を原則3年までとする「3年ルール」の厳格化 19、派遣元事業主に対する段階的かつ体系的な「教育訓練計画」の策定と説明義務 20、そして派遣料金やマージン率といった事業運営に関する「情報提供の義務化」 22 などが挙げられる。これらの規制強化は、派遣会社のコンプライアンスコストを増大させると同時に、単なる労働力供給者ではなく、労働者のキャリアに責任を持つ雇用主としての役割を果たすことを強く求めている。
  • 「同一労働同一賃金」の浸透: 2020年4月1日より施行された改正労働者派遣法により、「同一労働同一賃金」が全面的に導入された 22。これにより、派遣会社は「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」のいずれかを選択し、派遣労働者の待遇が派遣先で同種の業務に従事する正社員と比較して不合理な格差とならないよう保証する義務を負う 21。これは派遣労働者の賃金水準の底上げに繋がり、業界全体の健全化に寄与する一方、派遣会社にとっては賃金コストの上昇と、派遣先企業からの比較対象労働者の待遇情報提供を得るための交渉という、新たなマネジメント課題を生んでいる 25。
  • 外国人材の受け入れ政策: 政府は深刻な労働力不足に対応するため、技能実習制度や特定技能制度などを通じて外国人材の受け入れを拡大している。2023年時点で外国人労働者数は230万人を超え、前年比で12.4%増加するなど、その存在感は増している 1。これは人材派遣業界にとって、新たな人材供給源の開拓という機会をもたらす。しかし、在留資格の管理、言語や文化の違いへの対応、複雑な法的手続きなど、日本人労働者とは異なる高度な労務管理能力が求められる。

経済(Economy)

国内および世界経済の動向は、企業の採用意欲を通じて派遣需要に直接的な影響を与える。

  • 有効求人倍率と労働市場: 有効求人倍率は、2024年以降も1.2倍台で推移しており、労働市場が依然として求職者優位の「売り手市場」であることを示している 4。この構造的な人手不足感は、企業が正社員を採用できない場合の代替手段として、また、専門スキルを持つ人材を即戦力として活用する手段として、派遣需要を底堅く支える最も重要な経済的要因である。
  • 景気変動と派遣需要の連動性: 景気が拡大し、企業の生産活動や投資が活発化すると、それに伴う人員増強のために派遣需要は増加する。逆に、景気後退局面では、企業はコスト削減のために派遣契約を抑制する傾向がある。しかし、派遣労働は企業にとって人件費を固定費から変動費へと転換させる手段でもあるため、正社員採用を凍結する一方で、景気の先行き不透明感から派遣で人員を確保するという動きも見られ、景気動向と派遣需要の関係は一概には言えない。
  • インフレと賃金・料金への影響: 近年のインフレ傾向と、政府による賃上げ要請は、派遣労働者の募集時平均賃金の上昇に繋がっている 1。このコスト上昇分を派遣料金に適切に価格転嫁できるかが、派遣会社の収益性を維持する上での重要な課題となる。特に、価格交渉力が弱い中小企業向けの取引や、競争の激しい一般事務などの領域では、マージンが圧迫されるリスクが高い。

社会(Society)

人口動態や価値観の変化は、労働市場の構造を根本から変え、人材派遣業界のビジネスモデル変革を促している。

  • 少子高齢化による労働力不足の深刻化: 国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本の総人口は2070年には9,000万人を割り込み、高齢化率は39%に達する見込みである 1。この不可逆的な人口動態の変化は、労働力の供給を構造的に制約し、人材獲得競争をますます激化させる。これは、人材を「供給」するという派遣業界の存在意義そのものを高める最大の追い風である。
  • 働き方の多様化とキャリア自律意識の高まり: 終身雇用モデルが揺らぎ、副業・兼業、フリーランス、リモートワークといった多様な働き方が社会的に受容されつつある。個人は、一つの組織に依存するのではなく、自らの専門性やライフステージに合わせて働き方を選択し、キャリアを自律的に形成しようとする意識を高めている。派遣という働き方は、「勤務地」「時間」「職種」を選べる柔軟性から、こうしたキャリア自律志向を持つ層にとって魅力的な選択肢の一つとなり得る 28。
  • リスキリング・アップスキリングへの要請: デジタルトランスフォーメーションやグリーン化など、産業構造の転換が加速する中で、既存のスキルが陳腐化するスピードも速まっている。個人・企業双方にとって、新たなスキルを学び直し(リスキリング)、専門性を高める(アップスキリング)ことが、持続的な成長のための必須要件となっている。この社会的な要請は、派遣会社が単なる人材マッチング業者から、個人のキャリア開発を支援する「教育・研修サービス提供者」へと進化する大きな事業機会を創出している。

技術(Technology)

テクノロジーの進化は、業界のオペレーションを効率化する一方で、既存のビジネスモデルを破壊する両義的な力として作用している。

  • HRテックの進化と普及: HRテック市場は急成長を遂げており、矢野経済研究所によれば2021年度の426億円から、2030年には2.05兆円規模にまで拡大すると予測されている 29。AIを活用したマッチングプラットフォームは、候補者のスキルや経験、志向性を分析し、求人との適合度を客観的にスコアリングすることで、マッチングの精度とスピードを飛躍的に向上させる 31。また、VMS(Vendor Management System)の導入は、派遣先企業が複数の派遣会社を一元管理し、発注から請求までのプロセスを効率化することを可能にする。
  • RPA/AIによる定型業務の代替: RPAやAIの進化は、一般事務、データ入力、経理補助といった、これまで派遣需要の大きな部分を占めてきた定型業務を直接的に代替する脅威である。マイナビの調査では、派遣社員の約3人に1人がAIによって自身の仕事が減少することへの不安を感じている 28。この技術的潮流は、派遣市場の構造を不可逆的に変化させ、定型業務領域に依存する事業モデルの収益性を中長期的に蝕む。
  • オンライン化の浸透: COVID-19を契機に、オンラインでの面接や研修が一般化した。また、法改正により労働者派遣契約書の電磁的記録での作成・交付が認められた 20 ことも、業務のデジタル化を後押ししている。これにより、地理的な制約を超えた全国規模でのマッチングや、契約・管理業務の効率化、ペーパーレス化によるコスト削減が可能になっている。

法規制(Legal)

人材派遣事業は、労働者保護を目的とした厳格な法規制の下で運営されており、コンプライアンスの遵守が事業継続の絶対条件である。

  • 労働関連法規の遵守: 労働者派遣法に加え、労働基準法、労働契約法、職業安定法 21 など、遵守すべき法律は多岐にわたる。これらの法律は頻繁に改正されるため、常に最新の法知識をキャッチアップし、社内体制を整備し続ける必要がある。コンプライアンス違反が発覚した場合、30万円以下の罰金といった刑事罰の対象となるだけでなく、最悪の場合、事業許可の取消しといった行政処分に繋がる重大な経営リスクとなる 21。
  • 個人情報保護法: 派遣事業は、登録者の氏名、職歴、スキル、評価といった機微な個人情報を大量に取り扱う。個人情報保護法の遵守は当然の責務であり、情報漏洩が発生した場合には、企業の信頼を失墜させるだけでなく、損害賠償責任を負うリスクもある。特に、AIを活用して個人データを分析する際には、データの利用目的の明確化、本人の同意取得、アルゴリズムの透明性確保など、倫理的側面にも配慮した厳格なガバナンス体制の構築が不可欠である 2。

環境(Environment)

ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する経営の潮流は、派遣先企業が派遣会社や派遣労働者に求める要件を変化させている。

  • ESG/人的資本経営の広まり: 投資家や金融機関が、企業の非財務情報であるESGへの取り組みを投融資判断の重要な基準とするようになった。特に「S(社会)」の側面では、従業員のエンゲージメント、ダイバーシティ、人材育成といった「人的資本」への投資が、企業の持続的成長の源泉であると認識されるようになっている。これを受け、上場企業を中心に人的資本に関する情報開示が義務化されるなど、人的資本経営への関心は急速に高まっている。
  • 派遣会社への影響: この潮流は、派遣会社に二重の影響を及ぼす。第一に、派遣先企業は自社のサプライチェーン全体における人権や労働環境に責任を持つことを求められるため、取引先である派遣会社に対しても、コンプライアンス遵守や派遣労働者の適切な待遇をこれまで以上に厳しく要求するようになる。第二に、より本質的な変化として、派遣先企業が自社の人的資本価値を高める上で、派遣労働者を単なる外部リソースではなく、価値創造に貢献する一員として捉え始める。その結果、派遣会社に対して、単に労働力を供給するだけでなく、「派遣社員のスキルレベルの証明」「提供されるキャリアアップ研修の内容と実績」「派遣社員のエンゲージメントスコア」といった、質的な貢献を求めるようになる 34。これは、価格競争から脱却し、「顧客の人的資本経営への貢献度」という新たな評価軸で自らを差別化する絶好の機会である。派遣会社は、自社が提供する人材の価値を定量的に可視化し、それを派遣先企業の価値向上にどう結びつけるかをストーリーとして提示する能力が求められる。

第4章:業界構造と競争環境の分析(Five Forces Analysis)

マイケル・ポーターのFive Forces(5つの力)フレームワークを用いて、人材派遣業界の収益性に影響を与える競争要因を分析する。これにより、業界の魅力度と、競争上の脅威および機会を構造的に理解する。

供給者の交渉力(派遣労働者):中〜高

供給者である派遣労働者の交渉力は、労働市場全体の需給バランスと、個々の労働者が持つスキルの希少性によって決まる。

  • 全体的な交渉力の上昇: 労働力人口の減少を背景とした構造的な人手不足により、労働市場は売り手市場が続いている。これにより、労働者全体の交渉力は上昇傾向にある。
  • 専門人材の強い交渉力: 特に、ITエンジニア、データサイエンティスト、看護師、介護福祉士といった専門的なスキルや国家資格を持つ人材は、需要が供給を大幅に上回っており、極めて強い交渉力を持つ 1。これらの職種では、派遣会社間の人材獲得競争が激化し、賃金水準が高騰している。派遣会社は、高い報酬や魅力的なキャリア支援策を提示できなければ、優秀な人材を確保・維持することが困難になっている。
  • 一般労働者の交渉力の底上げ: 一方で、特別な専門スキルを必要としない定型業務に従事する労働者の交渉力は、相対的に弱い。しかし、各都道府県での最低賃金の継続的な引き上げや、「同一労働同一賃金」の原則適用により、その待遇水準は法的に底上げされており、過去と比較すれば交渉力は強化されている。

供給者である労働者の交渉力が高まっていることは、派遣会社にとって人件費の上昇、ひいてはマージンの圧迫に直結する。単に高い賃金を提示するだけでなく、スキルアップ機会の提供や働きやすい環境の整備といった非金銭的な価値を提供し、「選ばれる派遣会社」になることが不可欠である。

買い手の交渉力(派遣先企業):高

買い手である派遣先企業の交渉力は、依然として業界の収益性を規定する強力な要因である。

  • 根強いコスト削減圧力: 多くの業務領域において、人材派遣サービスは複数の事業者によって提供されており、コモディティ化が進んでいる。そのため、派遣先企業は常に複数の派遣会社を比較検討し、強い価格交渉力を行使する。「より良い人材を、より安く」という要求は、特に景気後退局面やコスト意識の高い企業において根強い。
  • 代替サービスの多様化: 派遣サービスの代替となる選択肢が近年急速に多様化していることも、買い手の交渉力を高めている。具体的には、業務プロセスごと外部委託するBPO(Business Process Outsourcing) 39、必要な時に必要なだけ人材を活用できるギグワーク・プラットフォーム 40、RPAやAIの導入による業務自動化、そして直接雇用への切り替え 41 などが挙げられる。これらの代替手段の存在は、派遣サービスの相対的な価値を低下させ、買い手に対して「派遣以外の選択肢」をちらつかせることを可能にしている。

ただし、買い手のニーズは一様ではない。コスト削減を最優先し、代替可能な業務を外部化したいと考える「コスト重視層」が存在する一方で、PESTLE分析で指摘したように、人的資本経営の観点から、自社の事業成長に貢献してくれる専門人材や、派遣社員の育成・定着まで含めて責任を持つ「戦略的パートナー」を求める層も現れている。この買い手の二極化は、派遣会社にとって重要な戦略的示唆を与える。すべての買い手に同じアプローチで対応しようとする全方位戦略は、低価格競争と高付加価値化への投資という二つの要求の板挟みになり、結果として収益性を損なうリスクが高い。自社がどちらのセグメントを主戦場とするのか、あるいは両セグメントに異なるサービスモデルで対応するのか、明確な戦略的選択が求められる。

新規参入の脅威:中

人材派遣業界への新規参入には一定の障壁が存在するものの、テクノロジーの進化がその壁を低くしつつある。

  • 制度的参入障壁: 労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要であり、一定の資産要件(純資産額2,000万円以上など)や、雇用管理の経験を持つ派遣元責任者の配置、厳格なコンプライアンス体制の構築が求められる 42。これらは、小規模な事業者が容易に参入することを防ぐ一定の障壁として機能している。
  • テクノロジーによる参入障壁の低下: しかし、テクノロジーを武器にしたHRテックスタートアップは、こうした伝統的な障壁を乗り越える可能性を秘めている 43。彼らは、大規模な営業拠点網や多数の登録者を抱えずとも、優れたアルゴリズムを持つマッチングプラットフォームを構築することで、特定のニッチ市場(例:特定のプログラミング言語に特化したエンジニア、デジタルマーケターなど)において、既存の大手企業よりも効率的かつ高精度なサービスを提供できる。
  • ブティック型エージェントの存在: また、特定の専門職種(例:金融、法務、医療)に特化した小規模なブティック型エージェントも、大手にはない深い業界知識と強力な人的ネットワークを武器に、高マージンのニッチ市場で確固たる地位を築いている。

これらの新しいプレイヤーは、業界全体の構造を覆すほどの規模は持たないかもしれないが、収益性の高い特定のセグメントを切り崩していく「ディスラプター(破壊者)」となる可能性を十分に秘めている。

代替品の脅威:高

派遣サービスの価値を根本から揺るがす代替品の脅威は、5つの力の中で最も深刻度が高いものの一つである。

  • RPA/AIによる業務自動化: 最も直接的かつ破壊的な脅威である。特に、一般事務、データ入力、経理補助、コールセンターの一次対応といった定型業務は、RPAやAIによる自動化の対象となりやすい。これらの技術の導入コストが低下し、性能が向上するにつれて、これまで派遣労働者に依存してきた業務が、ソフトウェアやアルゴリズムに置き換えられていく。これは、派遣需要そのものが消滅することを意味する。
  • BPO/アウトソーシング: 企業が特定の業務プロセス(例:人事給与計算、経理、コールセンター運営)を丸ごと外部の専門企業に委託するBPO市場は、2023年度に約4.9兆円規模に達するなど、拡大を続けている 39。派遣が「人」を個別に提供するのに対し、BPOは業務の成果物そのものを保証するため、企業にとっては管理コストの削減や品質の安定化といったメリットがある。
  • ギグワーク・プラットフォーム/クラウドソーシング: 企業の突発的な業務(イベントスタッフ、データ入力、デザイン制作など)や、短期間のプロジェクトに対して、個人が直接業務を請け負うギグワーク市場が急成長している。スポットワーク仲介サービス市場は2024年に824億円規模に達すると予測されており 40、これまで派遣で対応してきた業務の繁閑対応や短期的な欠員補充といったニーズを、より迅速かつ低コストで満たす代替手段として台頭している。

これらの代替品の脅威に対し、派遣会社は、自動化が困難な高度な専門性や、人間ならではのコミュニケーション能力が求められる領域へとサービスの軸足を移していく必要がある。

業界内の競争:高

業界内には多数のプレイヤーが存在し、熾烈な競争が繰り広げられている。

  • 大手総合派遣会社間の競争: リクルートスタッフィング、パーソルテンプスタッフ、パソナグループ、アデコといった大手総合派遣会社は、全国的な拠点網、膨大な登録者データベース、そして強力なブランド力を武器に、市場シェアを巡って激しく競争している 14。各社は規模の経済を追求し、幅広い職種と地域をカバーすることで、あらゆる顧客ニーズに対応しようと試みている。
  • 専門特化型派遣会社との競争: テクノプロ・ホールディングスやメイテックグループホールディングスに代表される技術者派遣専門の企業は、特定のセグメントで高い市場シェアを握っている 11。彼らは、高度な専門知識を持つエンジニアを多数擁し、大手製造業の研究開発部門などと長期的な信頼関係を構築することで、総合型にはない深い価値を提供し、高い収益性を維持している。
  • 新たな競合の出現: 近年では、アクセンチュアやデロイト トーマツ コンサルティングといった大手コンサルティングファームが、企業のDX推進や業務改革プロジェクトの一環として、BPOや人材再配置のソリューションを提供するケースが増えている。彼らは、経営戦略という最上流から関与することで、従来の人材サービス会社の領域であった人材配置の意思決定にまで影響を及ぼし始めており、特に高付加価値領域において新たな競合となりつつある。

このように、業界内の競争は、同質的なサービスを提供する大手間の水平的な競争と、専門性で差別化を図る特化型企業との垂直的な競争、さらには異業種からの参入という、多層的で複雑な様相を呈している。

第5章:バリューチェーンとサプライチェーン分析

人材派遣ビジネスの価値創造プロセスと、その源泉である人材の供給構造を分析することで、競争優位を構築すべきポイントを特定する。

バリューチェーン分析

人材派遣ビジネスのバリューチェーンは、伝統的に、登録者の集客から派遣後のフォローアップまでの一連のプロセスとして捉えられる。しかし、市場環境の変化に伴い、価値の源泉はこのチェーンの特定のプロセスへとシフトしている。

伝統的なバリューチェーンと価値の源泉の変化
伝統的なバリューチェーンは、以下のプロセスで構成される。

登録者募集・集客 → スキル評価・カウンセリング → マッチング・提案 → 契約・派遣 → 就業後フォロー・キャリア支援 → 再マッチング・リテンション

かつて、このチェーンにおける価値の源泉は、主に「集客(どれだけ多くの登録者を集められるか)」と「マッチング(どれだけ迅速に、多くの案件を成約させられるか)」という、いわば人材を右から左へ動かす量的な側面にあった。しかし、労働力不足と働き手の価値観の多様化により、これらのプロセスはコモディティ化し、価値の源泉はマッチングプロセスの前後にある、より人間的な介在価値が求められる領域へと移行している。

  1. スキル評価・カウンセリングの高付加価値化: 価値は、単に登録者の職務経歴書を確認することから、専門のキャリアコンサルタントが面談を通じて、本人の潜在的な能力、キャリアに対する価値観、将来の志向性を深く引き出すプロセスへとシフトしている 48。これにより、目先の求人条件だけでなく、その人の長期的なキャリアパスに合致した、より満足度の高いマッチングが可能となる。
  2. 就業後フォロー・キャリア支援の重要性: 派遣契約の締結はゴールではなく、新たな価値創造のスタート地点となる。就業中に定期的な面談を行い、パフォーマンスの向上を支援したり、契約終了後のキャリアを見据えた計画的なスキルアップ研修(eラーニングや集合研修など)を提供したりすることが、派遣社員のエンゲージメントと定着率(リテンション)を高める上で極めて重要になっている 50。
  3. 再マッチング・リテンションの戦略的価値: 契約が終了した派遣社員を離脱させることなく、シームレスに次の派遣先へと繋げる「再マッチング」のプロセスは、新たな募集コストをかけずに売上を確保できる、極めて収益性の高い活動である。これを実現するためには、日頃からの信頼関係構築と、キャリアプランに基づいた継続的な支援が不可欠となる。

バリューチェーンから「キャリア創造サイクル」へ
この価値源泉の変化は、ビジネスモデルが「一回限りのマッチング取引」から、「派遣社員のキャリアジャーニーに継続的に伴走するリレーションシップビジネス」へと転換していることを示唆している。従来の線形的なバリューチェーンの概念はもはや有効ではなく、「登録」→「マッチング」→「就業後フォロー」→「育成・スキルアップ」→「再マッチング」という循環型の「キャリア創造サイクル」としてビジネスプロセスを再設計する必要がある。このサイクルをいかに効率的かつ効果的に回し、派遣社員一人ひとりのLTV(Life Time Value: 顧客生涯価値)を最大化できるかが、将来の持続的な収益基盤を構築する上での鍵となる。

サプライチェーン分析(人材の供給網)

派遣ビジネスにおける「製品」は人材そのものであり、その供給網(サプライチェーン)の確保と多様化は、事業の根幹をなす。

伝統的な供給源
これまで、派遣労働者の主な供給源は、転職を希望する正社員、育児などで一度離職した主婦層、社会人経験を積みたい新卒・第二新卒層、定年退職後のシニア層などであった。これらの層へのアプローチは、求人情報サイトへの広告出稿や、駅前などでの登録会といった手法が中心であった。

新たな供給網の開拓と構築
しかし、構造的な労働力不足とスキルのミスマッチが深刻化する中、既存の供給源に依存するだけでは、事業の成長は望めない。今後は、より能動的に人材を「創出」し、供給網を多様化する戦略が求められる。

  1. 教育機関との連携: 大学、専門学校、高等専門学校と早期に連携し、特定の専門分野(例:IT、半導体、建築)において、在学中から実践的なスキル教育を共同で提供する。卒業後、そのまま無期雇用派遣社員としてキャリアをスタートできるパスを設けることで、需要の高い若手専門人材を安定的に確保する。
  2. リスキリング・プラットフォームとの戦略的提携: Coursera 53、Udemy 54、国内のプログラミングスクールといったオンライン学習プラットフォームと提携する。これにより、異業種からのキャリアチェンジを希望する人材や、現在のスキルに不安を持つ人材に対し、市場で需要の高いスキルを習得するための学習プログラムを提供する。学習修了者を専門職人材として派遣することで、構造的なスキルミスマッチを解消し、新たな人材供給源を能動的に創出する。これは、既存の労働市場から人材を探す「ハンティング」モデルから、人材を育成して市場に送り出す「ファーミング(育成)」モデルへの転換を意味する。
  3. ギグワーカーの取り込みと連携: ギグワーク・プラットフォームとAPI連携などを通じてパートナーシップを構築する。これにより、柔軟な働き方を志向し、特定のプラットフォームに登録しているギグワーカー層を、自社のタレントプールの一部として取り込む。企業の短期・単発のニーズに対して、自社の登録者とギグワーカーを組み合わせて提案することで、対応できる案件の幅を広げ、働き手の多様なニーズに応えることが可能になる。

第6章:顧客需要の特性分析

人材派遣ビジネスの顧客は、「派遣先企業(BtoB)」と「派遣労働者(BtoC)」の二者であり、両者のニーズを深く理解し、的確に応えることが事業成功の前提となる。

派遣先企業(BtoB)のセグメント分析

派遣先企業のニーズは、企業規模、業種、そして直面している経営課題によって多様化しており、購買決定要因(KBF: Key Buying Factor)も一様ではない。

  • ニーズ・KBFに基づくセグメンテーション:
    1. 欠員補充・繁閑対応型セグメント: 主に中小企業や、大企業の特定のノンコア部門(一般事務、受付など)がこのセグメントに該当する。主なニーズは、急な退職者が出た際の欠員補充や、季節的な業務量の変動への対応である。彼らのKBFは、第一に「スピード(いかに早く人材を確保できるか)」、第二に「コスト(いかに安く利用できるか)」である。業務内容は定型的なものが多く、代替可能性が高いため、価格競争に陥りやすい。
    2. 専門スキル活用型セグメント: 企業のIT部門、研究開発部門、経理・財務部門などが典型例である。DX推進のためのITエンジニア、新製品開発のための研究者、決算業務に対応できる経理専門家など、社内では育成・確保が難しい高度な専門スキルを即戦力として活用することが目的である。このセグメントのKBFは、何よりも「スキルの専門性と質」であり、コストは二の次となる傾向が強い。
    3. 変動費化・組織柔軟性追求型セグメント: 経営企画部門や人事部門が意思決定者となることが多い。正社員の採用を抑制し、人件費を固定費から変動費に転換することで、経営の柔軟性とリスク耐性を高めることを目的とする。このセグメントのKBFは、「コンプライアンスの信頼性」や、VMS連携などによる「管理業務の容易さ」である。派遣会社に対して、安定したサービス提供と、労務管理に関する専門的なアドバイスを求める。
  • 「良い人材を安く」からの需要変化:
    従来、多くの企業が抱いていた「良い人材を、できるだけ安く」という要求からの変化の兆しが見られる。特に、ESGや人的資本経営への関心が高い大企業を中心に、派遣会社を単なる「業者」ではなく、共に組織価値を高める「パートナー」として評価する動きが生まれている。これらの企業は、派遣会社が提供する派遣社員向けの研修プログラムの内容や実績、キャリアコンサルティング体制、派遣社員のエンゲージメントや定着率を向上させるための取り組みなどを、派遣会社選定の新たな基準として重視し始めている 36。これは、派遣社員のスキルやモチベーションが、派遣先企業の生産性や職場全体の活力に影響を与えるという認識が広まっているためである。この需要変化は、価格競争から脱却し、サービスの質で差別化を図りたい派遣会社にとって大きな機会となる。

派遣労働者(BtoC)のセグメント分析

派遣労働者の志向も多様化しており、彼らが派遣会社に求める価値も一様ではない。

  • 志向に基づくセグメンテーション:
    1. キャリアアップ志向層: 20代〜30代を中心に、派遣での実務経験を通じて専門スキルを習得し、将来的にはより条件の良い派遣先、正社員、あるいはフリーランスとして独立することを目指す層。彼らが派遣会社に求める価値は、「質の高い研修制度」「キャリアパスに繋がる仕事の紹介」「紹介予定派遣の機会」など、自己投資と成長に繋がる支援である。
    2. 安定・柔軟両立志向層: 育児や介護、あるいは自身の健康上の理由から、フルタイムの正社員として働くことが難しい層。安定した収入を確保しつつ、勤務時間や勤務場所に柔軟性を求める。彼らが重視するのは、「柔軟な働き方が可能な仕事の選択肢の多さ」「充実した福利厚生(社会保険、有給休暇など)」「困った時に親身に相談に乗ってくれる営業担当者のサポート」である。
    3. Wワーク・副業志向層: 本業を持つ会社員やフリーランスが、空き時間を活用して追加の収入を得ることを目的とする層。ギグワークとの親和性が高く、短期・単発の仕事を好む。彼らが求めるのは、「手軽に仕事を見つけられるプラットフォーム」と「迅速な給与支払い」である。
  • 派遣会社に求める価値の実態:
    複数の調査から、派遣労働者が実際に何を重視しているかが見えてくる。マイナビの「派遣社員の意識・就労実態調査(2025年版)」によると、派遣という働き方に満足している理由の上位は「有給休暇や休日が取得しやすいから」(33.0%)、「業務の責任が重くないから」(24.5%)であり、ワークライフバランスや精神的な負担の軽さを重視していることがわかる。一方で、不満の理由としては「賞与がない・少ない」(54.9%)、「給与が低い」(48.1%)が圧倒的に多く、経済的な待遇面での課題が浮き彫りになっている 28。
    また、エン・ジャパンの「派遣会社満足度ランキング2024」では、満足している理由のトップ3が「担当者が親身になってくれるから」(39%)、「担当者がよく話を聞いてくれるから」(38%)、「担当者と連絡が取りやすいから」(36%)となっており、営業担当者の対応の質が、派遣会社の満足度を決定づける極めて重要な要素であることが示されている 56。

これらの分析は、派遣労働者がもはや単なる「商品」や「リソース」ではなく、自社のサービスを選び、評価する「顧客」であることを明確に示している。労働力不足が深刻化する中で、優秀な派遣労働者を惹きつけ、長期間にわたって自社の派遣社員として活躍してもらうためには、彼らのエンゲージメントを高めることが不可欠である。金銭的な待遇改善はもちろんのこと、働きやすさの提供、そして何よりも営業担当者による人間的なサポートといった「経験価値(Employee Experience)」の向上が、他社との差別化を図り、優秀な人材を確保・維持するための鍵となる。派遣会社は、派遣社員のエンゲージメントを定期的に測定(例:パルスサーベイの実施)し、その結果に基づいて職場環境の改善やキャリア支援策を講じるなど、体系的なエンゲージメント向上施策に投資する必要がある。これは単なるコストではなく、リテンション率の向上、ひいては派遣先企業の満足度向上にも繋がる、極めて重要な戦略的投資である。

第7章:業界の内部環境分析

企業の持続的な競争優位性は、外部環境への適応能力だけでなく、内部に保有する独自の経営資源やケイパビリティ(組織的能力)によってもたらされる。本章では、VRIO分析フレームワークを用いて業界の競争優位の源泉を特定し、それを支える人材や生産性の現状と課題を分析する。

VRIO分析

VRIO分析は、企業の経営資源が持つ「経済的価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Inimitability)」「組織(Organization)」の4つの観点から、その資源が持続的な競争優位に繋がりうるかを評価するフレームワークである 58。

  • Value(経済的価値): 企業の経営資源が、市場機会を捉え、脅威を無力化するのに役立つか。
    • 大規模な登録者データベース優良な派遣先企業との長期的な取引実績全国を網羅する営業拠点網は、事業を運営する上で不可欠であり、経済的価値を持つことは間違いない。これらがなければ、市場で競争すること自体が困難である。
  • Rarity(希少性): その経営資源を、競合他社の多くは保有していないか。
    • 希少性が低い資源: 上記で挙げた「大規模な登録者データベース」や「全国規模の営業網」は、リクルート、パーソル、パソナといった大手総合人材会社であればいずれも保有しており、希少性は低い。これらは、競争の土俵に上がるための「必要条件」ではあるが、それ自体が差別化要因にはなり得ない。
    • 希少性が高い資源: 真に希少なのは、特定の高度専門分野(例:半導体設計、創薬研究、サイバーセキュリティ)におけるトップクラスの人材プールと、その人材のスキルを正確に見極め、キャリアを導くことができる社内の専門知識である。また、特定の優良顧客と長年にわたって築き上げた信頼関係に基づき、競合には開示されない独占的な求人案件を獲得できる関係性も、極めて希少な資源と言える。
  • Inimitability(模倣困難性): 競合他社がその経営資源を模倣(獲得・開発)しようとする際に、著しいコストや時間を要するか。
    • 模倣困難性が高い資源:
      1. ブランド信頼性: 長年にわたる安定したサービス提供、徹底したコンプライアンス遵守、そして数多くの成功事例の積み重ねによって築かれる企業のブランドや評判は、新規参入者が短期間で模倣することが極めて困難である。
      2. 組織文化と人的関係資本: 派遣社員一人ひとりのキャリアに真摯に寄り添い、深い信頼関係を構築する営業担当者のコンサルティング能力や、社内に蓄積されたノウハウは、個人のスキルと組織文化が複雑に絡み合ったものであり、模倣が難しい(社会的複雑性)。
      3. 独自の高品質な研修プログラム: 効果が実証され、多くの修了者が高い評価を得ている独自の研修プログラムやキャリア開発メソッドも、その開発に至るまでの試行錯誤の歴史を含めて模倣困難性が高い。
  • Organization(組織): 企業が、価値があり、希少で、模倣困難な経営資源を、最大限に活用するための組織的な方針や仕組み、プロセスが整備されているか。
    • たとえ希少で模倣困難な専門人材データベースを持っていても、それを活かせる営業体制や評価制度がなければ宝の持ち腐れとなる。優れた研修プログラムがあっても、営業担当者がその価値を理解し、派遣社員に適切に提案・動機づけする仕組みがなければ、受講率は上がらない。膨大なデータ基盤を構築しても、現場の担当者がデータを活用して意思決定を行う文化やスキルがなければ、投資は無駄になる。

結論:持続的な競争優位の源泉
VRIO分析の結果、人材派遣業界における持続的な競争優位の源泉は、もはや「登録者データベースの規模」や「拠点数」といった有形の経営資源ではないことが明らかである。真の優位性は、「長年の実績に裏打ちされたブランド信頼性」と、それを体現する「高度な専門知識とコンサルティング能力を持つ人材」、そして「効果が実証された独自の研修・育成プログラム」といった無形の経営資源やケイパビリティにある。そして、これらの資源を組織全体で有効活用し、価値を最大化する仕組みが伴って初めて、持続的な競争優位が確立される。

人材動向(派遣会社の正社員)

競争優位の源泉が「人」にある以上、派遣会社で働く正社員(営業担当者やコーディネーター)の質と、その確保・育成が極めて重要な経営課題となる。

  • 求められるスキルの変化: 派遣先と派遣社員の間に立つ営業担当者の役割は、単なる案件紹介や御用聞きといったルート営業から、より高度な専門性が求められるコンサルタントへと変化している 60。
    1. 労働法規の専門知識: 頻繁に改正される労働者派遣法や関連法規を深く理解し、派遣先企業にはコンプライアンス上のリスクを指摘し、派遣社員には自身の権利を正しく説明できる、法務の専門家としての役割が求められる。
    2. キャリアコンサルティング能力: 派遣社員の職務経歴やスキルだけでなく、価値観やライフプランまでを理解し、中長期的な視点でキャリアプランの設計を支援する能力が不可欠となる。国家資格であるキャリアコンサルタント資格の取得を奨励する企業も増えている 62。
    3. データ分析・活用能力: 担当する地域や業界の求人・求職動向、賃金相場などをデータに基づいて分析し、客観的な根拠に基づいた戦略的な提案(派遣先への料金交渉、派遣社員へのキャリアアドバイスなど)を行う能力が求められる。
  • 人材獲得競争の激化: 上記のような高度なスキルセットを持つ人材は、従来の営業職の枠を超えており、コンサルティング業界やIT業界、事業会社の人事企画部門などでも需要が高い。そのため、他業界との間で優秀な人材の獲得競争が激化している。魅力的な報酬体系、挑戦的な仕事内容、そして明確なキャリアパスを提示できなければ、このような高度専門人材を惹きつけ、組織に定着させることは困難である。

労働生産性

伝統的に労働集約型であった派遣ビジネスにおいて、労働生産性の向上は収益性改善に直結する。

  • 従来の生産性の指標: 従来、生産性は「営業担当者一人当たりの売上高・利益」といった指標で測られてきた。しかし、担当者が物理的に対応できる企業数や派遣社員数には限界があり、このモデルでの生産性向上は頭打ちになりつつある。
  • 生産性向上の新たなドライバー: 今後の生産性向上は、テクノロジーの活用によってもたらされる。
    1. マッチング業務の自動化: AIを活用して、膨大な候補者の中から最適な人材を瞬時にリストアップすることで、コーディネーターがレジュメのスクリーニングに費やしていた時間を大幅に削減できる 63。
    2. 事務作業の効率化: 契約書の作成・締結、勤怠管理、請求書発行といった定型的な事務作業をシステムやRPAで自動化することで、バックオフィス部門だけでなく、営業担当者の負担も軽減される 64。
    3. 顧客管理の高度化: VMS(Vendor Management System)やCRM(Customer Relationship Management)を導入・活用し、顧客とのやり取りや契約状況を一元管理することで、情報共有のロスをなくし、対応のスピードと質を向上させる。

これらのテクノロジー導入により創出された時間を、営業担当者が派遣先企業への深耕提案や、派遣社員へのキャリアカウンセリングといった、人間でなければ提供できない高付加価値な活動に再配分することこそが、真の生産性向上である。

第8章:AIがもたらす影響とインパクト

AI(人工知能)は、人材派遣業界のあらゆるプロセスを根底から変革する最も強力な技術的ドライバーである。その影響は、業務効率化に留まらず、新たな価値創造の可能性を開く一方で、既存事業を破壊する脅威ともなる。

マッチングプロセスの変革

AIは、人材マッチングの精度とスピードを、従来とは比較にならないレベルにまで引き上げる。

  • 「勘と経験」からの脱却: 従来のマッチングは、コーディネーターの経験や勘、あるいは単純なキーワード検索に大きく依存していた。そのため、担当者による質のばらつきや、有望な候補者の見逃しといった課題があった。
  • 多次元的な高精度マッチング: AIは、職務経歴書やスキルシートといった構造化データだけでなく、過去の面談記録、就業評価、さらには本人が意識していない潜在的な志向性までを、自然言語処理などの技術を用いて解析する 65。これにより、スキルや経験といった「顕在的な要素」に加え、企業文化との適合性(カルチャーフィット)や、将来の成長可能性といった「潜在的な要素」までを考慮した、多次元的で精度の高いマッチングが可能となる。
  • 機会損失とミスマッチの削減: この高精度なマッチングは、企業にとっては採用後のミスマッチによる早期離職のリスクを低減し、求職者にとっては自身の能力を最大限に発揮できる職場を見つけやすくなるという、双方にとっての価値を創出する 32。実際に、AIを活用したマッチングシステムを導入したフォーラムエンジニアリングの事例では、マッチング率が83%も改善したと報告されている 67。

業務効率化と生産性向上

AIは、マッチング以外の定型業務を自動化することで、人的リソースをより付加価値の高い業務へと再配分する。

  • 定型業務の自動化: 派遣登録者からの初期問い合わせ対応(AIチャットボットによる24時間対応)、履歴書・職務経歴書の自動読み取りとデータ化、契約書や請求書といった帳票類の自動生成、勤怠データの自動集計とコンプライアンスチェックなど、これまで人手を介していた多くの定型業務がAIによって自動化される 64。
  • 高付加価値業務への集中: これらの自動化によって創出された時間は、営業担当者やコーディネーターが、より人間的な判断やコミュニケーションが求められる業務に集中することを可能にする 69。具体的には、派遣先企業の経営課題や事業戦略を深くヒアリングし、単なる人材補充に留まらない組織的な課題解決策を提案するコンサルティング活動や、派遣社員一人ひとりと向き合い、キャリア形成を支援するカウンセリング活動などが挙げられる。ある事例では、AI導入によって担当者の作業時間が40%削減されたという報告もあり、生産性向上へのインパクトは計り知れない 63。

新たな価値創造の可能性

AIは、既存業務の効率化に留まらず、これまで不可能であった新たなビジネスモデルの創出を可能にする。

  • スキル需要の未来予測: AIは、様々な外部データ(求人広告サイトのトレンド、経済指標、技術動向に関するニュースなど)と、社内に蓄積された膨大な求人・成約データを分析することで、将来(例えば1〜3年後)どの業界で、どのようなスキルセットを持つ人材の需要が高まるかを予測することが可能になる。
  • パーソナライズド・リスキリング提案: この需要予測に基づき、AIは個々の登録者の現在のスキルセットを分析し、その人が次に習得すべきスキルを特定する。そして、「あなたの現在のスキルに、提携するオンライン学習プラットフォームの『Pythonによるデータ分析講座』を3ヶ月間受講して追加すれば、現在の時給よりも300円高いデータアナリスト関連の仕事に就ける確率が85%です」といった、具体的かつパーソナライズされたリスキリング・プログラムを提案する。
  • 「タレント育成事業」への転換: このモデルは、市場に存在する求職者と求人をマッチングするという受け身の事業から、市場の未来のニーズを先読みし、そのニーズを満たす人材を能動的に育成・創出する「タレント育成事業」へと、ビジネスモデルそのものを転換させるポテンシャルを秘めている。これは、単なる労働力仲介業からの完全な脱却を意味する。

派遣需要への直接的影響(脅威)

一方で、AIは人材派遣業界の中核事業を直接的に破壊する脅威でもある。

  • 定型業務の代替: AIやRPAの技術的進化と導入コストの低下は、特に一般事務、データ入力、経理補助、コールセンターの一次対応といった、ルールベースで遂行可能な定型業務領域において、派遣労働者の需要そのものを代替していく。この動きは不可逆的であり、今後そのスピードと範囲はますます拡大していくだろう。
  • 事業モデルの陳腐化リスク: これらの定型業務領域は、現在も多くの総合人材派遣会社にとって売上の大きな部分を占めている。したがって、この領域に依存した事業モデルは、中長期的には市場の縮小と共に収益性が著しく低下し、陳腐化するリスクを抱えている。

この脅威に対する戦略的対応は、代替される運命にある市場から単に撤退することではない。むしろ、顧客企業が直面している「業務を効率化したいが、どうすれば良いかわからない」という課題に対し、「AI/RPA導入支援コンサルティング」という新たなサービスを提供することである。自社の派遣社員が担っていた業務を、顧客と共に分析し、自動化プロセスを設計・導入する。これにより、失われる派遣売上を新たなコンサルティング収益で補うだけでなく、顧客との関係性を単なるベンダーから、業務改革を共に推進する戦略的パートナーへと深化させることが可能となる。AIによる代替の波を脅威として受け止めるのではなく、自らがその波を乗りこなし、新たな事業機会へと転換する視点が求められる。

第9章:主要トレンドと未来予測

これまでの分析を統合し、今後3〜5年の人材派遣業界を形作るであろう四つの主要なトレンドと、その戦略的意味合いを展望する。

「派遣」の枠を超える事業ポートフォリオ

大手人材サービス企業は、もはや単一の「派遣会社」ではなく、多様な人材関連サービスを提供する「総合人材ソリューション企業」へとその姿を変えている。この動きは今後さらに加速し、事業ポートフォリオの多角化が業界の標準となる。

  • 現状の多角化: 大手各社はすでに、派遣事業(Staffing)を中核としつつ、正社員の採用を支援する人材紹介(Career)、業務プロセスごと請け負うBPO(Business Process Outsourcing)、ITシステムの設計・開発を担うテクノロジーソリューション(Technology SBU)など、複数の事業セグメントを運営している 15。
  • 未来のポートフォリオ: 今後はさらに、個人のキャリア自律を支援するリスキリング・教育事業や、企業の組織課題を解決する人的資本経営コンサルティングといった、より高付加価値なナレッジ集約型のサービス領域への展開が本格化する。
  • 派遣事業の新たな役割: この多角化されたポートフォリオの中で、派遣事業は単独の収益源としてだけでなく、他の事業とのシナジーを生み出すための「巨大な人材データベース」および「広範な顧客接点」としての戦略的役割を担うことになる。派遣登録者に対してリスキリング講座を提案したり、派遣先企業に対してBPOや組織コンサルティングをクロスセルしたりと、事業間の連携が競争優位の鍵となる。

スキルベースド・エコシステムの形成

採用と評価の基準が、従来の「学歴」や「職歴」といった曖昧な経歴情報から、個人が保有する具体的な「スキル」へと移行する「スキルベース採用」が、今後の労働市場の大きな潮流となる。

  • スキルの可視化: この世界では、個人が持つスキルが「Python」「プロジェクトマネジメント」「データ分析」といった形でタグ付けされ、その習熟度が客観的に評価・証明される。Credlyのようなデジタルクレデンシャル(デジタル証明)プラットフォームは、学習歴や資格取得を検証可能な形で可視化するツールとして普及が進む 71。
  • エコシステムの構成要素: このスキルベースの労働市場は、単一の企業ではなく、複数の専門プレイヤーが連携するエコシステムによって形成される。その中には、スキルを教えるオンライン学習プラットフォーム(例:Coursera, Udemy)53、スキルを評価・測定するアセスメントツール提供企業、スキルを証明するデジタルクレデンシャル発行機関、そしてスキルを持つ人材と企業をマッチングさせる人材サービス企業が含まれる。
  • 派遣会社の新たな役割: このエコシステムにおいて、派遣会社はもはや単なる人材の仲介者ではない。多様なプレイヤーと連携し、個人に対して「学習機会の提供」→「スキル評価・証明」→「スキルに基づいた仕事のマッチング」→「さらなるスキルアップ支援」という一連のサイクルをシームレスに提供する「キャリア創造のハブ」としての役割を担うことが期待される。このハブ機能を構築できた企業が、エコシステム全体の価値創造を主導することになる。

プラットフォームとの共存共栄

これまで「競合」と見なされてきたギグワーク・プラットフォームは、発想を転換することで、多様な働き手を確保し、顧客ニーズに応えるための強力な「パートナー」となりうる。

  • 「競合」から「パートナー」へ: 派遣が中長期の安定的な労働力提供を得意とするのに対し、ギグワーク・プラットフォームは数時間〜数日単位の超短期・単発の労働力需給調整に強みを持つ。両者は補完関係にあり、必ずしもゼロサムの競争関係にあるわけではない。
  • 戦略的活用法: 派遣会社が取るべき戦略は、自社の求人プラットフォームに、ギグワーク・プラットフォームをAPI連携などで接続することである。これにより、自社の登録者(派遣労働を希望する層)に対して、派遣の仕事だけでなく、提携先のギグワークの仕事も選択肢として提示できるようになる。
  • 提供価値の向上: この連携により、派遣会社は「長期で安定して働きたい」「週2日だけ働きたい」「今週末だけ働きたい」といった、働き手のあらゆるニーズにワンストップで応えることが可能になる。これは、働き手にとっての利便性を飛躍的に高め、自社プラットフォームへのエンゲージメントと定着率を向上させる。企業に対しても、派遣とギグワークを組み合わせた柔軟な人員配置計画を提案できるようになり、提供価値の幅が広がる。

人的資本経営への貢献と価値の証明

派遣会社が価格競争から脱却し、高付加価値な戦略的パートナーとして認知されるためには、派遣先企業の「人的資本経営」にどのように貢献しているかを、客観的かつ定量的に証明することが不可欠となる。

  • 問われる貢献: 派遣先企業は、投資家や社会に対して、自社の人的資本価値(従業員のスキル、生産性、エンゲージメントなど)を向上させる責任を負う。その一環として、派遣会社に対しても、単なる人員数の提供に留まらない、質的な貢献を求めるようになる。
  • 価値の定量化とレポーティング: 派遣会社は、自社のサービスがもたらす価値を、具体的なデータで証明する必要がある。レポートすべき指標の例としては、以下のようなものが考えられる 72。
    • 生産性向上への貢献: 「専門スキルを持つ派遣チームの導入により、新製品開発プロジェクトの期間が平均XX%短縮」
    • スキル向上への貢献: 「当社が提供した研修プログラムを受講した派遣社員のスキルレベル(アセスメントスコア)が平均XX%向上」
    • 組織活性化への貢献: 「派遣社員のエンゲージメントサーベイスコアと、派遣先の正社員のエンゲージメントスコアの相関分析」
    • 定着率向上への貢献: 「当社のフォローアップ体制により、派遣社員の契約更新率は業界平均をXXポイント上回る」
  • 戦略的パートナーへの道: このような「価値証明レポート」を定期的に提供することで、派遣サービスを単なる「コスト」として捉えている購買部門だけでなく、企業の成長戦略を担う経営層や人事部門に対して、自社が事業に不可欠な「戦略的パートナー」であることを訴求できる。これが、高単価で長期的な取引関係を構築するための鍵となる。

第10章:主要プレイヤーの戦略分析

人材派遣業界の競争環境を理解するため、主要なプレイヤーの戦略、強み・弱み、事業ポートフォリオ、そしてテクノロジーへの投資動向を比較分析する。

大手総合人材会社

幅広い職種と地域をカバーし、規模の経済を追求するプレイヤー群。各社は派遣事業を中核に据えつつ、総合的な人材ソリューション企業への進化を目指している。

  • リクルートスタッフィング:
    • 戦略・強み: 親会社であるリクルートホールディングスの圧倒的なブランド力と、IndeedやGlassdoorといったグローバルなHRテクノロジー事業とのシナジーが最大の強みである。膨大な求人・求職者データを活用したAIマッチング技術において業界をリードしており、「圧倒的に簡単な仕事探し」を掲げ、テクノロジーによる業務効率化とユーザー体験の向上を徹底的に追求している 47。2025年3月期の売上高は3,258億円と、業界トップクラスの規模を誇る 13。
    • 弱み・課題: 巨大な組織ゆえの意思決定の遅さや、個別の顧客・派遣社員へのきめ細やかな対応が課題となる可能性がある。
    • テクノロジー動向: グループ全体でAIへの投資を加速。求職者の行動履歴に基づいたレコメンド機能の高度化や、採用プロセスの自動化に注力している 75。
  • パーソルテンプスタッフ(パーソルホールディングス):
    • 戦略・強み: 「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げ、Staffing SBU(戦略的事業単位)として国内派遣事業を展開。派遣就業者数の安定的な増加と請求単価の上昇により、2025年3月期のSBU売上収益は6,024億円と堅調に推移している 14。BPO、Technology、Career(人材紹介)など、グループ内の多様な事業との連携による総合的なソリューション提供を強みとする。
    • 弱み・課題: グループ内の事業セグメントが多岐にわたるため、事業間のシナジーをいかに最大化するかが課題。
    • テクノロジー動向: M&Aに積極的であり、2025年にはフランスのHRテック企業Gojobの買収を発表 76。外部の先進技術を積極的に取り込むことで、テクノロジー活用のキャッチアップを加速させている。
  • パソナグループ:
    • 戦略・強み: 派遣事業(エキスパートソリューション)を中核としつつ、BPO事業や、淡路島を拠点とした地方創生事業など、社会課題の解決を志向したユニークな事業ポートフォリオを構築している点が最大の特徴である 15。中期経営計画「PASONA GROUP VISION 2030」では、BPOソリューションの高付加価値化や、Well-being(ウェルビーイング)関連の新規事業創出を重点戦略として掲げている 77。
    • 弱み・課題: 多角化した事業が、必ずしも短期的な収益に結びついていない側面もあり、投資家からの評価が分かれる可能性がある。
    • テクノロジー動向: BPO事業において、AIやデジタル技術を活用した「X-TECH BPO」への進化を目標に掲げ、業務効率化と高付加価値化の両面からテクノロジー活用を推進している 77。
  • アデコ:
    • 戦略・強み: スイスに本拠を置く世界最大級の総合人材サービス企業。グローバルな知見とネットワークが強み。全世界で「Adecco」(総合人材サービス)、「Akkodis」(技術・デジタルコンサルティング)、「LHH」(キャリア移行・人材開発)の3つのグローバル事業部門体制を敷き、各ブランドの専門性とシナジーを追求している 78。グローバル戦略「Future@Work」の下、デジタル変革と人財育成を重視している 79。
    • 弱み・課題: グローバル戦略と日本市場の特性との間の調整が課題となる可能性がある。
    • テクノロジー動向: Microsoftとのグローバルな戦略的提携を更新し、AzureクラウドサービスやDynamics 365、Copilotなどを全社的に導入。ITインフラの刷新とデータ基盤の統合、AI活用を加速させている 81。

専門特化型派遣会社

特定の職種や業界に特化することで、高い専門性と収益性を実現しているプレイヤー群。

  • テクノプロ・ホールディングス / メイテックグループホールディングス:
    • 戦略・強み: 両社は日本の技術者派遣市場を二分するリーダーである。機械、電気・電子、情報処理、化学、バイオといった幅広い技術領域をカバーし、数万人規模の正社員エンジニアを擁する 82。大手製造業の研究開発部門や大手IT企業を主要顧客とし、長期的なパートナーシップを構築。景気変動の影響を受けにくい研究開発領域に深く食い込んでいることが安定した収益基盤となっている。
    • 弱み・課題: 事業が技術者派遣に集中しているため、製造業の設備投資や研究開発費の動向に業績が左右されやすい。
    • テクノロジー動向: 自社でエンジニアを育成するための高度な研修施設やプログラムに多額の投資を行っている。近年では、AI、IoT、クラウドといった先端技術領域の人材育成を強化し、顧客のDXニーズに対応しようとしている。

業界構造を揺るがすプレイヤー

従来の派遣会社の枠組みの外から、業界のルールを変えようとしているプレイヤー群。

  • 各種ギグワーク・プラットフォーム運営企業:
    • 戦略・強み: タイミーやシェアフルに代表されるこれらの企業は、「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をスマートフォンアプリ上で即時マッチングさせる手軽さを武器に、飲食、小売、物流といった業界の短期・単発労働市場を急速に獲得している。働き手にとっては「すぐに働けて、すぐにお金がもらえる」という利便性が、企業にとっては急な人手不足に迅速に対応できる柔軟性が支持されている。
    • 業界への影響: 派遣会社が従来カバーしてきた「繁閑対応」や「短期の欠員補充」といったニーズを侵食する直接的な競合である。
  • 大手コンサルティングファーム:
    • 戦略・強み: アクセンチュア、デロイト トーマツ コンサルティングなど。企業の経営課題の最上流である「事業戦略」や「DX戦略」の策定から関与し、その実行プランの一環として、業務プロセスの再設計(BPR)やBPO、さらには人材の再配置やリスキリングまでを一気通貫で提案・実行する。
    • 業界への影響: 企業のコア業務に深く入り込み、人材戦略の意思決定そのものに影響を与えるため、高付加価値な人材ソリューション領域において、派遣会社にとって手強い競合となりつつある。
企業名/分類事業ポートフォリオ戦略的方向性強み弱み/課題HRテック/M&A動向
リクルートスタッフィング派遣, 紹介, アウトソーシングテクノロジー主導の効率化・マッチング精度向上圧倒的なブランド力, HRテック事業とのシナジー, データ活用能力規模の大きさ故の画一的なサービスになりがちな点グループ全体でAI・データ基盤へ積極投資
パーソルHD派遣, 紹介, BPO, Technology, Asia Pacific SBUグループシナジーによる総合ソリューション提供多様な事業ポートフォリオ, 顧客基盤の広さ事業間のシナジー最大化, 利益率の向上海外HRテック企業(Gojob)の買収などM&Aに積極的
パソナグループ派遣, BPO, 地方創生, ライフソリューション社会課題解決を志向した多角化戦略ユニークな事業ポートフォリオ, 政府・自治体との連携収益性の低い事業への投資, 派遣事業への集中度の低下BPO領域でのDX推進、Well-being関連ベンチャーへの投資
アデコ派遣(Adecco), 技術(Akkodis), キャリア支援(LHH)グローバル3ブランド体制による専門性とシナジー追求グローバルな知見とネットワーク, ブランド力グローバル戦略と日本市場の最適化Microsoftとの戦略的提携による全社的なDX推進
テクノプロ/メイテック技術者派遣, 請負・受託開発技術者派遣領域での深化と高付加価値化高い専門性, 大手製造業との長期的な信頼関係, 高い利益率製造業の景気動向への依存, 事業の集中リスク先端技術分野の人材育成への投資
ギグワークPF短期・単発の仕事のマッチングアプリ完結の手軽さと即時性による市場獲得ユーザー体験(UX), スピード, 低コスト専門性・継続性が求められる業務への対応力不足AIによるマッチング最適化への投資
大手コンサル戦略コンサル, DX, BPO, 組織・人事コンサル経営課題の上流から人材配置まで一気通貫で支援経営層へのアクセス, 高度な課題解決能力人材供給能力(量)の限界, コストの高さAI・アナリティクス関連企業の買収に積極的

表10-1: 主要プレイヤー戦略比較
(出所: 各社IR資料、報道情報等より作成)

この比較分析から、各社が異なる強みを活かし、異なる戦場で競争していることがわかる。リクルートが「テクノロジーとデータ」で水平的に市場を覆おうとしているのに対し、パーソルは「M&Aと事業の多角化」で対応。パソナは「社会課題解決」という独自の軸を打ち出し、専門特化型は「専門性の深化」で牙城を守っている。この競争地図を正確に理解することが、自社が取るべき独自のポジションを定めるための第一歩となる。

第11章:戦略的インプリケーションと推奨事項

これまでの包括的な分析を統合し、今後3〜5年の事業戦略を策定する上での戦略的な意味合いを導出し、具体的な推奨事項を提言する。

今後3~5年で、勝者と敗者を分ける決定的要因

人材派遣業界の未来は、過去の延長線上にはない。地殻変動とも言える環境変化の中で、企業の適応能力が厳しく問われる。今後、業界の勝者と敗者を分ける決定的な要因は、以下の点に集約される。

  • 敗者の条件: 変化の潮流を傍観し、従来の「登録者数を集め、営業力で案件を獲得する」という労働集約型の「労働力仲介モデルに固執する企業。彼らは、AIによる定型業務の代替という直接的な脅威に晒され、ギグワーク・プラットフォームとの価格競争に巻き込まれる。結果として、マージン率は低下の一途をたどり、事業の縮小均衡を余儀なくされる。データ活用や人材育成への投資を怠り、気づいた時には市場から取り残されているだろう。
  • 勝者の条件: テクノロジーとデータを徹底的に活用して、マッチングや事務処理といった非付加価値業務の生産性を極限まで高める企業。そして、その効率化によって創出された人的・金銭的リソースを、「人材の育成」と「キャリア支援」という、人間ならではの高度な付加価値創造活動に再投資できる企業である。彼らは、単なる人材供給者ではなく、派遣先企業の「人的資本経営パートナー」としての地位を確立し、高い収益性と顧客からの信頼を両輪として持続的な成長を実現する。

要するに、勝敗を分けるのは「テクノロジーによる効率化人間による高付加価値化」という二つのエンジンを、いかに高速で回転させられるかにかかっている。

捉えるべき機会と備えるべき脅威

本分析から導出される、直面する主要な機会(Opportunity)と脅威(Threat)は以下の通りである。

  • 捉えるべき機会(Opportunity):
    1. リスキリング市場への本格参入: 社会全体で高まるリスキリング需要を捉え、派遣事業と連携した教育・研修事業を新たな収益の柱として確立する機会。
    2. 中小企業のDX支援パートナー: 人手不足とDXの遅れに悩む中小企業に対し、IT人材の派遣とDXコンサルティングをセットで提供する統合ソリューションの提供機会。
    3. 人的資本経営コンサルティング: 人的資本の情報開示に悩む大企業に対し、外部人材活用に関するデータ分析や戦略策定を支援するコンサルティング事業への進出機会。
    4. エコシステム・プラットフォーマーへの進化: 多様な働き手を惹きつけ、学習プラットフォームやギグワークサービスを繋ぐハブとなることで、労働市場のインフラを担うプラットフォーマーへと進化する機会。
  • 備えるべき脅威(Threat):
    1. 中核事業の代替: AI/RPAの進化による、売上の大きな部分を占める一般事務派遣などの市場が縮小・消滅する脅威。
    2. ニッチ市場の侵食: 特定の専門領域に特化したHRテック・スタートアップによって、収益性の高いニッチ市場を奪われる脅威。
    3. 短期労働市場の喪失: ギグワーク・プラットフォームの利便性とスピードによって、これまで派遣が担ってきた短期・単発の労働市場を完全に失う脅威。
    4. 高度専門人材の獲得競争敗北: コンサルティング業界やIT業界との競争に敗れ、高付加価値サービスの提供に不可欠な高度専門人材(社内外問わず)を確保できなくなる脅威。

戦略的オプションの提示と評価

上記の機会と脅威を踏まえ、取りうる戦略的な方向性として、以下の3つのオプションを提示し、それぞれのメリット・デメリットを評価する。

  • Option A: 専門領域特化戦略(Specialist Strategy)
    • 概要: 特定の成長分野(例:AI/データサイエンス、サイバーセキュリティ、GX関連人材など)に経営資源を集中投下し、その領域における圧倒的なNo.1プレイヤーを目指す。人材の採用、育成、評価、マッチングの全てをその専門領域に最適化する。
    • メリット: 高い専門性による価格交渉力の確保と高利益率の実現。特定領域における強固なブランド構築が可能。
    • デメリット: 特定市場の動向に業績が大きく左右されるリスク。事業規模の拡大(スケーラビリティ)に限界がある。
  • Option B: ソリューション・インテグレーター戦略(Solution Integrator Strategy)
    • 概要: 派遣事業を顧客との主要な接点と位置づけ、そこから派生するあらゆる人材課題(BPO、研修、組織コンサルティングなど)をワンストップで解決する総合ソリューションを提供する。
    • メリット: 顧客一人(一社)あたりの単価(LTV)が向上する。顧客との関係性が深まり、長期的なパートナーシップを構築しやすい。
    • デメリット: 提供するソリューションごとに幅広い専門人材を自社で確保・育成する必要がある。各事業間のシナジーを創出するための高度な組織運営能力が求められる。
  • Option C: プラットフォーム・エコシステム戦略(Platform Ecosystem Strategy)
    • 概要: 自社を中核とし、M&Aやアライアンスを積極的に活用して、オンライン学習、スキル評価、ギグワーク、人材紹介といった様々なサービスをシームレスに繋ぐオープンプラットフォームを構築する。自社ですべてを提供するのではなく、他社の優れたサービスを取り込むことでエコシステム全体を支配する。
    • メリット: ネットワーク効果が働き、一度確立すれば他社の追随を許さない圧倒的な競争優位を築ける。高いスケーラビリティを持つ。
    • デメリット: プラットフォーム構築に多額の先行投資が必要。多様なパートナー企業をマネジメントする複雑な調整能力が求められる。

最終提言:ハイブリッド型「ソリューション・プラットフォーマー」戦略

これまでの分析と戦略オプションの評価に基づき、取るべき最も有効な事業戦略として、Option BとOption Cを組み合わせたハイブリッド型「ソリューション・プラットフォーマー」戦略を提言する。

  • 戦略の核心:
    この戦略の核心は、「深化」と「拡大」の両立にある。自社が歴史的に強みを持ち、高い専門性を蓄積してきた中核領域(例:IT、製造業、金融など)においては、ソリューション・インテグレーターとして、顧客の課題に深く入り込む高付加価値なサービスを自社で提供する(深化)。一方で、それ以外の領域や、自社でカバーしきれない多様なニーズに対しては、他社の優れたサービスを積極的に取り込み、連携させるオープンプラットフォームとして機能する(拡大)。これにより、自社の強みを活かしつつ、市場全体の多様なニーズに柔軟に対応することが可能となる。
  • 実行に向けたアクションプラン概要:
    この戦略を成功裏に実行するため、以下の3つのフェーズからなるアクションプランを提案する。
    • Phase 1: 基盤構築(Year 1-2)
      • 目的: データ駆動型経営とソリューション提供能力の基盤を確立する。
      • 主要アクション:
        1. 全社横断のデータ基盤(CDP: Customer Data Platform)を構築し、登録者、求人、取引実績データを統合。
        2. 営業担当者全員を対象とした「タレントソリューション・コンサルタント育成プログラム」を開始(労働法規、キャリアコンサルティング、データ分析)。
        3. 主要なオンライン学習プラットフォーム(国内・海外)およびスキル評価サービスとの戦略的提携を締結。
      • 主要KPI: データ基盤統合完了率(100%)、営業のキャリアコンサルタント有資格者比率(50%以上)、主要パートナーとの提携数(5社以上)。
      • 必要リソース: DX部門への集中投資(ITインフラ、データサイエンティスト採用)、全社的な研修プログラム予算。
    • Phase 2: ソリューション展開とエコシステム拡大(Year 3-4)
      • 目的: 中核領域でのソリューション事業を本格化させ、プラットフォームとしての機能を拡張する。
      • 主要アクション:
        1. 中核領域において、「人材派遣+DXコンサルティング」「人材派遣+BPO」といったパッケージソリューションを正式にローンチ。
        2. ギグワーク・プラットフォームとのAPI連携を実装し、短期・単発の仕事も自社プラットフォーム上で提供開始。
        3. エコシステム拡大を目的とした、小規模なHRテック企業へのM&AまたはCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)による出資を開始。
      • 主要KPI: ソリューション事業の全社売上高に占める比率(15%以上)、提携パートナー経由のマッチング成約数、派遣社員のLTV(前年比20%向上)。
      • 必要リソース: M&A専門チームの組成、パートナーシップ推進部門の設置、CVCファンドの設立。
    • Phase 3: プラットフォーム収益化と市場リーダーシップ確立(Year 5)
      • 目的: 構築したプラットフォームとデータを活用し、新たな収益源を創出。業界のリーダーとしての地位を不動のものとする。
      • 主要アクション:
        1. 蓄積された市場データ(スキル需要予測、賃金動向など)を分析し、レポートとして企業に販売するデータ分析サービスを開始。
        2. 提携パートナーが自社プラットフォームを利用する際の利用料(トランザクションフィー)モデルを導入。
        3. 「人的資本経営への貢献度」を可視化するレポーティングサービスを標準化し、全顧客に提供。
      • 主要KPI: プラットフォーム経由の売上高、データ分析サービスの契約社数、顧客当たり平均収益(ARPU)。
      • 必要リソース: データサイエンティストおよびアナリストの増員、新規事業開発部門への投資拡大。

この戦略を実行することにより、単なる労働力仲介業者から脱却し、スキルとデータを核とした次世代の人材エコシステムを主導する、真の「ソリューション・プラットフォーマー」へと変貌を遂げることができると確信する。

第12章:付録

参考文献・引用データリスト

  • 厚生労働省. 「労働者派遣事業報告書」. 各年度. 1
  • 厚生労働省. 「一般職業紹介状況」. 26
  • 厚生労働省. 「同一労働同一賃金ガイドライン」. 24
  • 総務省統計局. 「労働力調査」. 4
  • 日本人材派遣協会(JASSA). 「労働者派遣事業統計調査」. 4
  • 日本人材派遣協会(JASSA). 「派遣社員WEBアンケート調査」. 9
  • 株式会社矢野経済研究所. 各種市場調査レポート. 2
  • 株式会社リクルートホールディングス. IR関連資料. 47
  • 株式会社リクルートスタッフィング. 会社概要. 13
  • パーソルホールディングス株式会社. IR関連資料. 5
  • 株式会社パソナグループ. IR関連資料. 15
  • Adecco Group. IR関連資料. 16
  • テクノプロ・ホールディングス株式会社. IR関連資料. 11
  • 株式会社メイテックグループホールディングス. IR関連資料. 12
  • マイナビキャリアリサーチLab. 「派遣社員の意識・就労実態調査」. 28
  • エン・ジャパン株式会社. 「派遣会社満足度ランキング」. 56
  • パーソル総合研究所. 「派遣社員のリスキリングに関する定量調査」. 135
  • その他、本レポート作成にあたり参照した各種ウェブサイト、ニュース記事、調査レポート。 19

引用文献

  1. 人材派遣業界の将来性は?市場規模の推移や生き残る企業の特徴を解説します! | ひとキャリ, https://hitocareer.com/https-hitocareer-com-hr-staffing-future-potential/
  2. 人材ビジネス市場に関する調査を実施(2024年) | ニュース・トピックス – 矢野経済研究所, https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3661
  3. 2024年度の国内人材ビジネス市場規模は10兆円超に | LOGISTICS TODAY, https://www.logi-today.com/668930
  4. March,2025 – 一般社団法人日本人材派遣協会, https://www.jassa.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/information_market_03.pdf
  5. パーソルホールディングス株式会社, https://www.persol-group.co.jp/ir/upload_file/m005-m005_09/IRDAYstaffingTranscriptJP.pdf
  6. 2030年の人材サービス・アウトソーシング市場に関する調査を実施(2024年) – 矢野経済研究所, https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3502
  7. 2030年の人材サービス・アウトソーシング市場に関する調査 | 『日本の人事部』, https://jinjibu.jp/news/detl/23575/
  8. December,2023 – 一般社団法人日本人材派遣協会, https://www.jassa.or.jp/wp-content/uploads/2023/12/information_market_12.pdf
  9. 派遣社員WEBアンケート調査結果 2024年度, https://www.jassa.or.jp/wp-content/uploads/2025/01/250116web-enquete_raw.pdf
  10. パソナ派遣データTOPICS(2025年4月更新版), https://www.pasona.co.jp/clients/service/column/jhk/jhkdata2504/
  11. IR情報|テクノプロ・ホールディングス株式会社 TechnoPro …, https://www.technoproholdings.com/ir/
  12. IR Searcher, https://www.ir-searcher.com/tdnet_search.php?code=97440&type=5
  13. 会社情報|人材派遣会社の【リクルートスタッフィング】, https://www.r-staffing.co.jp/corporate/data.html
  14. 【HRog決算解説】パーソルホールディングス株式会社の2025年3月期通期決算から見える人材業界の最新トレンドは?, https://hrog.net/ir/129548/
  15. IR情報 | パソナグループ, https://www.pasonagroup.co.jp/ir/
  16. アデコグループ – Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%87%E3%82%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97
  17. 企業情報 | テクノプロ – TECHNOPRO, https://www.technopro.com/aboutus/company-profile/
  18. (株)メイテックグループホールディングス【9744】:株価・株式情報 – Yahoo!ファイナンス, https://finance.yahoo.co.jp/quote/9744.T
  19. 派遣法(労働者派遣法)の3年ルールとは?法改正の歴史や必ず押さえたいポイントと対策をわかりやすく解説! | BLOG | キャル株式会社, https://cal.co.jp/blog/1276/
  20. 【最新版】派遣法改正の6つのポイントと企業が注意すべき4つのことを紹介 – しゅふJOB, https://part.shufu-job.jp/business/details/1677/
  21. 【2024年最新】労働者派遣法の近時の改正ポイント|企業に求められる対応, https://xn--alg-li9dki71toh.com/column/roudousha-haken-kaisei/
  22. 【2024年最新版】派遣法改正ポイントをわかりやすく解説! – 厚生労働省(パソナ), https://digital-jinzai.mhlw.go.jp/useful-client/34786/
  23. 同一労働同一賃金とは|ガイドラインや企業の対応などわかりやすく解説, https://xn--alg-li9dki71toh.com/roumu/work-style-reform/equal-pay-for-equal-work/
  24. 同一労働同一賃金ガイドライン|わかりやすく解説 | 労働問題の相談はデイライト法律事務所, https://www.fukuoka-roumu.jp/workstyle/douitsu-chingin/
  25. 「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する 不合理な待遇の禁止等に関する指針」につ, https://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_46/pdf/s2-1.pdf
  26. 一般職業紹介状況(令和7年8月分)について – 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64026.html
  27. 【速報】今年1月の有効求人倍率「1.26倍」で4か月ぶり上昇 厚生労働省|TBS NEWS DIG, https://www.youtube.com/watch?v=uTfdiq9iyEg
  28. 派遣社員の意識・就労実態調査(2025年版) | マイナビキャリアリサーチLab, https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250918_101117/
  29. HRテックの市場規模とは?普及の背景と今後の動向や最新トレンドを紹介|One人事, https://onehr.jp/column/management-strategy/hr-tech-market-size/
  30. AIが予測するHRテック業界 業界|2030年市場規模推移と主要企業ランキング, https://service.xenobrain.jp/forecastresults/market-size/hrtech
  31. 【HRTech】人材マッチングの有名企業5社を紹介!各社のAI活用方法とは?転職エージェントが解説!, https://www.geekly.co.jp/column/cat-technology/hrtech-matching/
  32. AI が候補者と求人案件を自動マッチング。最も響く時にアプローチ, https://bdlab.or.jp/lab/matching-ai
  33. 労働者派遣事業報告書とは?作成方法やポイント、令和6年からの変更点も解説, https://company.hakenshien.en-japan.com/blog/worker-dispatch-business-report
  34. ESG投資とは?メリットや企業の取り組みをわかりやすく解説 – パソナ, https://www.pasona.co.jp/clients/service/column/cs/esg/
  35. 企業の脱炭素・ESG経営を支える、GX人材不足解消の一手に。GX・ESG人材特化型転職プラットフォーム「アスエネキャリア」とは?|経営・戦略, https://asuene.com/media/1653/
  36. スキルよりも人間性重視? 企業が派遣社員に求めること – HRプロ, https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=519
  37. 【最新】エンジニア派遣の単価相場は?SESの料金やそのほかの採用手法も解説 – レバテック, https://levtech.jp/partner/guide/article/detail/83/
  38. 人材サービス新事業「ナイス!メディカル」開始 ~『看護師』『看護助手』『医療事務・受付』を派遣・紹介 – PR TIMES, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000414.000011666.html
  39. BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2024年) – 日本の人事部, https://jinjibu.jp/news/detl/24446/
  40. スポットワーク市場が急成長、24年に824億円規模に‐メルカリも参入 – マイナビニュース, https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240219-2887180/
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  42. 【2025年版】労働者派遣事業報告書とは?今さら聞けない基本をおさらい, https://www.pro-seeds.com/haken/blog/haken-jigyohoukoku-2025/
  43. 国内おすすめHRテックベンチャー2025年版|人事DXを推進する注目スタートアップ20選, https://techgym.jp/column/startup/hr-tech/
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  46. 2024年度は824億円の市場規模予定!スキマバイトの今後 – ネクストレベル, https://www.e-nextlevel.jp/sukimabaito/2024/08/shijokibo/
  47. 【HRog決算解説】株式会社リクルートホールディングスの2026年3月期第1四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?, https://hrog.net/ir/131830/
  48. キャリアコンサルティング|アデコの派遣・紹介予定派遣 – Adecco, https://www.adecco.com/ja-jp/career-and-employee-benefit/career-support/consulting
  49. キャリアカウンセリングのご相談事例 | 世界最大級の総合人材サービス ランスタッド, https://www.randstad.co.jp/find-jobs/support/career/career_counseling_voices/
  50. キャリア形成支援 | 製造業の人材派遣会社ならフジアルテ, https://fujiarte.co.jp/about/strength_career
  51. 人材派遣サービスの特長 – パソナ, https://www.pasona.co.jp/clients/service/jhk/features/
  52. 人材育成・組織開発 | 人材派遣・人材紹介のマンパワーグループ, https://www.manpowergroup.jp/client/serve/hr-consulting/
  53. Custom Employee Development Programs | Coursera for Business, https://www.coursera.org/business
  54. Importance of Reskilling & Upskilling – Randstad USA, https://www.randstadusa.com/employers/areas-expertise/importance-reskilling-upskilling/
  55. 派遣社員の就業評価~キャリア形成支援との連携で本質的な運用を – 日本の人事部, https://jinjibu.jp/spcl/SP0008497/cl/detl/3692/
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  58. VRIO分析とは?自社の競争優位性を分析するためのフレームワークを解説 – HiPro, https://hipro-job.jp/and_hipro/column/A000000431/
  59. VRIO分析とは?【やり方をわかりやすく】メリット、具体例 – カオナビ, https://www.kaonavi.jp/dictionary/vrio-bunseki/
  60. キャリアコンサルタントと営業の役割の違い !業界の特徴も解説, https://ageru-career.com/media/306891/
  61. 【営業職の方必見!】人材派遣営業で目指すことができるキャリアパスの全貌を徹底解説, https://media.calife.co.jp/1850/
  62. 人材派遣営業とは?仕事内容や年収相場、キャリアパスまで解説! – facing, https://facing.co.jp/staffing-service/temporary_staffing_sales/
  63. 派遣会社の業務効率化にAIを導入する9つの方法 – note, https://note.com/ai_komon/n/n40a06ddcecea
  64. 生成AIで人材派遣が変わる!企業の導入事例5選と活用するメリットを徹底解説 | WEEL, https://weel.co.jp/media/generative-ai-staffing/
  65. 派遣マッチングにAIを導入し成功率を向上させる方法 – note, https://note.com/ai_komon/n/n361df0f75dca
  66. 人材AI革命!効率的で質の高い人材採用を実現する、デジタル時代のリクルーティングの未来とは? – aidiot, https://aidiot.jp/media/matching/post-6734/
  67. 【人材派遣業界AI活用事例4選】AIによるマッチング精度の向上から書類処理の効率化まで, https://ai-market.jp/industry/hr_ai/
  68. AI×人材派遣で業務効率化!時短テクニックや活用事例も解説 – AI Front Trend, https://ai-front-trend.jp/personnel-dispatch-ai/
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  72. ISO30414とは? 人的資本の活用と取得企業のメリット – ハーモストレンド – HRMOS, https://hrmos.co/trend/talent-management/11328/
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  83. IRストレージ「株式会社メイテックグループホールディングス」のIR情報 – CCReB GATEWAY, https://ccreb-gateway.jp/company-information/%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B9/?security_code=97440×=2025&listed=0&industrys=%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E6%A5%AD%E7%A8%AE
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  152. エンジニア派遣の単価相場は?コストを抑えるためのポイントも解説, https://webedge.jp/information/6909.html
  153. 看護 有効求人倍率 2025年7月 3分で分かる驚きの47都道府県ランキング – note, https://note.com/jinzaishinbun/n/nf203aa663255
  154. 看護師の求人倍率!都道府県別・病院・施設別では、どこが中途採用されやすい?, https://peko.co.jp/guide/data/job-opening-ratio-for-nurses
  155. 一般職業紹介状況(令和6年11月分) – 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧 – 厚生労働省, https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/002077407.pdf
  156. アカデミー(研修サービス・人材育成) | AKKODiS(アコーディス)コンサルティング株式会社, https://www.akkodis.com/ja/services/academy
  157. 企業のご担当者様 | 総合人材サービスのベルキャリエール, https://www.bellecarriere.jp/service/
  158. 人材サービス事業 | 株式会社ヒューマン・ライジン, https://h-raizin.co.jp/business/sales_assist/
  159. 派遣労働におけるキャリア形成支援 事例集, https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/var/rev0/0133/4225/2016121594047.pdf
  160. 派遣労働者のキャリア形成に向けた取組事例集 – 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/content/000921670.pdf
  161. 令和4年派遣労働者実態調査の概況 – 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/haken/22/dl/haken22_gaikyo.pdf
  162. VRIO分析とは?やり方やメリットを具体的な事例で解説 – Lucid Software, https://lucid.co/ja/blog/how-to-use-vrio-framework
  163. VRIO分析を採用に取り入れるには|他社事例を交えて紹介, https://www.kumaoka-matsuko.com/blog/human-resource/a112
  164. VRIO分析とは?強者が衰退する時代に「持続的な競争優位」を築く方法【SWOT分析との違いも解説】 – インソース, https://www.insource.co.jp/ihl/250904_strategic-management1.html
  165. VRIO分析とは?基礎からメリット、手順、活用事例までを解説 | 記事一覧 | 法人のお客さま, https://www.persol-group.co.jp/service/business/article/18231/
  166. 人材派遣営業の将来性は?今後の展望と年収アップを目指すための転職戦略, https://cakyujin-navi.com/articles/column/knowledge/166
  167. 派遣労働者の キャリア形成支援のために – 厚生労働省, https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/var/rev0/0133/4223/2016121593957.pdf
  168. AIによるマッチングとは?メリット・課題・活用されている業界・導入ポイントを徹底解説! – AI Market, https://ai-market.jp/case_study/industry-all-ai-matching/
  169. 【2025年版】人材の新規営業はAI活用で差がつく!人材業界における営業のコツ, https://lead-dynamics.com/post41.html
  170. Best Career Management Software of 2025 – SourceForge, https://sourceforge.net/software/career-management/
  171. D3.1 – National report Flanders (Belgium) – CEPS, https://cdn.ceps.eu/wp-content/uploads/2023/09/D-3.1-I-SKILL-National-Report_Belgium_Flanders.pdf
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