雑貨店業界の戦略(市場リサーチ・競合企業調査)

体験とデータが紡ぐ未来:AI時代の雑貨店業界における次世代リテール戦略

  1. 第1章:エグゼクティブサマリー
    1. 本レポートの目的と調査範囲
    2. 最も重要な結論
    3. 主要な推奨事項
  2. 第2章:市場概観(Market Overview)
    1. 市場規模の推移と予測
    2. 市場セグメンテーション分析
      1. 製品カテゴリ別
      2. チャネル別
    3. 市場成長ドライバーと阻害要因
    4. 業界の主要KPIベンチマーク分析
  3. 第3章:外部環境分析(PESTLE Analysis)
    1. 政治(Politics)
    2. 経済(Economy)
    3. 社会(Society)
    4. 技術(Technology)
    5. 法規制(Legal)
    6. 環境(Environment)
  4. 第4章:業界構造と競争環境の分析(Five Forces Analysis)
    1. 供給者の交渉力:中
    2. 買い手(消費者)の交渉力:高
    3. 新規参入の脅威:高
    4. 代替品の脅威:高
    5. 業界内の競争:高
  5. 第5章:バリューチェーンとサプライチェーン分析
    1. バリューチェーン分析
    2. サプライチェーン分析
  6. 第6章:顧客需要の特性分析
    1. 顧客セグメント分析
    2. KBF(Key Buying Factor)の変化
    3. 購買行動プロセス
  7. 第7章:業界の内部環境分析
    1. VRIO分析
    2. 人材動向
    3. 従業員の賃金相場とトレンド
    4. 労働生産性
  8. 第8章:AIが雑貨店業界に与える影響とインパクト
    1. 商品開発とMD(マーチャンダイジング)
    2. サプライチェーンと在庫管理
    3. マーケティングと顧客体験(CX)
    4. 店舗運営と労働生産性
  9. 第9章:主要トレンドと未来予測
    1. OMO (Online Merges with Offline) の深化
    2. 体験型リテールへのシフト
    3. コミュニティ・コマースの隆盛
    4. D2Cブランドの台頭と既存店のプラットフォーム化
    5. サステナビリティの主流化
  10. 第10章:主要プレイヤーの戦略分析
    1. 大手チェーン
    2. ライフスタイル提案型
    3. 低価格帯
    4. EC/D2C
    5. 異業種からの参入
  11. 第11章:戦略的インプリケーションと推奨事項
    1. 勝者と敗者を分ける決定的要因
    2. 機会(Opportunity)と脅威(Threat)
    3. 戦略的オプション
    4. 最終提言:ハイブリッド戦略「データ駆動型・体験ブランド」の構築
  12. 第12章:付録
      1. 引用文献

第1章:エグゼクティブサマリー

本レポートの目的と調査範囲

本レポートは、日本の雑貨店業界が直面する多層的な構造変化を深く分析し、この変革期において持続可能な成長を遂げるための、具体的かつ実行可能な次世代リテール戦略を提言することを目的とする。業界は現在、①EC・D2Cブランドとの競争激化、②消費者の価値観の根本的な変化(「モノ消費」から「コト・イミ消費」へ)、③サプライチェーンの複雑化とコスト上昇、そして④AIに代表されるデジタル技術による顧客体験とオペレーションの変革という、四つの大きな潮流に晒されている。本分析の対象範囲は、生活雑貨、インテリア雑貨、ファッション雑貨、文具等を主に取り扱う専門店、セレクトショップ、およびそれらに関連するEC(電子商取引)/D2C(Direct to Consumer)チャネルとする。

最も重要な結論

日本の雑貨小売市場は、全体としては今後5年間で約6.5%縮小し、緩やかな縮小均衡に向かうと予測される 1。しかし、このマクロ的な縮小傾向の裏側で、価値の源泉が「モノの所有」から「体験・共感・効率性」へと不可逆的に移行しており、新たな成長領域が明確に生まれつつある。今後の業界における勝者と敗者を分ける決定的な要因は、以下の三点に集約される。

  1. 世界観を核とした体験価値の設計力: 商品そのものの機能的価値を超え、店舗やオンラインでの「発見の楽しさ」「ブランドへの共感」といった情緒的価値をいかに設計し、収益化できるか。
  2. OMOとAIを駆使したデータ活用能力: オンライン(EC)とオフライン(実店舗)の顧客データを完全に統合し、AIを用いてパーソナライズされた顧客体験の提供と、サプライチェーン全体の徹底的な効率化を両立できるか。
  3. サステナビリティのブランド価値への転換力: 環境配慮や社会貢献といった「イミ消費」の要請を、単なるコスト要因ではなく、顧客からの信頼と共感を獲得するためのブランド価値向上の源泉として事業に統合できるか。

市場は今後、「唯一無二の体験価値を提供するニッチなブランド」と、「データとテクノロジーを駆使して圧倒的な効率性と利便性を提供するプラットフォーマー」へと二極化が進行し、その中間に位置する従来型の小売業者は淘汰されるリスクが極めて高い。

主要な推奨事項

以上の分析に基づき、取るべき事業戦略上の主要な推奨事項を以下に提示する。

  1. 事業モデルの再定義:「体験型ブランド」への転換: 単なる「商品の販売者」から脱却し、「特定のライフスタイルや世界観をキュレーションし、顧客との共感を通じてコミュニティを形成する体験型ブランド」へと自社のポジショニングを再定義する。
  2. OMOとAIへの戦略的投資: 散在する顧客データを統合するCDP(カスタマーデータプラットフォーム)を構築する。これを基盤に、AIを活用した需要予測、パーソナライズド・マーケティング、SKU単位での在庫最適化を実現し、データドリブンな経営体制へと移行する。
  3. 店舗の役割の再発明:「売る場所」から「体験するメディア」へ: 実店舗の役割を、販売拠点から「ブランドの世界観を五感で体験し、新たな発見と驚きを得るメディア空間」へと変革する。ワークショップの開催、ショールーム機能の強化、限定イベントの実施などを通じて、来店動機そのものを創出する。
  4. サステナビリティの事業統合: 環境配慮型素材を用いたPB(プライベートブランド)商品の開発、リペア(修理)・リユース(中古品買取・販売)サービスの導入を本格化させる。サプライチェーンの透明性を高め、その取り組みを積極的に情報開示することで、これをブランドの信頼性と付加価値に転換する。

第2章:市場概観(Market Overview)

市場規模の推移と予測

日本の雑貨小売業界の国内市場規模は、現在約5兆5,256億円と推計されている 1。しかし、人口動態の変化、可処分所得の伸び悩み、そして消費の選択肢の多様化といったマクロ環境の変化を背景に、市場は成熟期から緩やかな縮小期へと移行している。AIによる市場予測によれば、今後5年間で市場規模は約6.5%縮小し、5兆1,665億円に達する見込みである 1。この縮小トレンドは、業界全体がゼロサム、あるいはマイナスサムの競争環境に突入することを意味しており、従来の成長戦略の抜本的な見直しが不可欠であることを示唆している。

市場規模(兆円)前年比成長率(%)出典
2019(推計)5.70Xenobrain
2020(推計)5.61-1.6%Xenobrain
2021(推計)5.58-0.5%Xenobrain
2022(推計)5.55-0.5%Xenobrain
20235.53-0.4%1
2024(予)5.42-2.0%1
2025(予)5.31-2.0%1
2026(予)5.24-1.3%1
2027(予)5.19-1.0%1
2028(予)5.17-0.4%1

注:2023年以前の数値はXenobrainの公表データとトレンドから逆算した推計値。

市場セグメンテーション分析

市場全体が縮小する一方で、セグメント別に見ると成長領域と縮小領域が明確に分かれている。

製品カテゴリ別

  • 生活雑貨・家具・インテリア: EC化が最も進展している巨大セグメントである。2021年度のBtoC-EC市場規模は2兆2,752億円に達し 2、2024年には2兆5,616億円規模へと拡大している 4。このうち、家具・インテリア単体のEC市場は約6,600億円と推察される 2。一方で、矢野経済研究所の調査では、2022年の家庭用家具市場(メーカー出荷ベース)は約7,090億円となっている 5。
  • ファッション雑貨: 国内アパレル総小売市場(2023年で約8兆3,564億円)の一部を構成している 6。EC化が非常に進んでおり、EC市場規模は2兆2,203億円、EC化率は23.38%に達する 7。
  • 文具・事務用品: 市場規模はメーカー出荷金額ベースで約3,965億円(2023年度)と、前年比マイナス成長が続いている 9。オフィスでのペーパーレス化や学童人口の減少が構造的な逆風となっているが、個人消費者をターゲットとした高機能・高付加価値なシャープペンシルなどは市場が拡大しており、需要のパーソナル化が進んでいる 9。
  • ギフト: 雑貨店にとって極めて重要な需要源である。国内ギフト市場は全体で10兆円を超える巨大市場であり、安定的に推移している 11。特に、個人間(CtoC)で贈られるギフト市場は約6兆円を占める 13。近年、このギフト需要の主戦場が実店舗からオンラインへと急速に移行しており、インターネット通販経由のギフト購入額は3兆円に迫り、主要チャネルであった百貨店を上回っている 12。若年層を中心に、SNS経由で手軽に贈れるソーシャルギフトの利用が定着しており、市場のデジタル化を牽引している 11。

チャネル別

雑貨業界の最大の特徴は、他分野の小売業と比較して突出して高いEC化率にある。経済産業省の調査によれば、日本の物販系分野全体のBtoC-EC化率が9.78%(2024年)であるのに対し、「生活雑貨、家具、インテリア」分野のEC化率は32.58%にものぼる 4。これは、同カテゴリの商品がオンラインでの情報収集や比較検討と親和性が高いことを明確に示しており、ECを前提としたOMO(Online Merges with Offline)戦略の構築が事業の成否を分けることを裏付けている。

市場成長ドライバーと阻害要因

  • 成長ドライバー:
    • EC/OMOの深化: 高いEC化率を背景に、オンラインとオフラインを融合させた新たな顧客体験の創出が成長を牽引する。
    • おうち時間の充実化: コロナ禍を経て定着した、自宅での時間を豊かにしたいという消費者ニーズは根強く、インテリアやキッチン雑貨などの需要を下支えする。
    • 巨大なギフト需要: 10兆円規模のギフト市場 11、特にデジタル化が進むソーシャルギフトは大きな成長機会である。
    • SNSによるトレンド創出: InstagramやTikTokなどを起点としたトレンドが消費者の購買意欲を直接的に刺激する 17。
    • サステナビリティ・エシカル消費への意識向上: 環境や社会に配慮した商品を選択する消費者が、特に若年層を中心に増加している 19。
  • 阻害要因:
    • 国内市場の縮小: 人口減少を背景としたマクロ的な市場縮小圧力 1
    • コスト上昇: 原材料価格の高騰、物流コストの上昇、人件費の上昇が利益を圧迫する。
    • 競争激化: D2Cブランドや異業種からの参入が相次ぎ、競争環境は厳しさを増している。

業界の主要KPIベンチマーク分析

  • EC化率: 32.58%(生活雑貨、家具、インテリア分野、2024年)4。業界のデジタル化が不可逆的であることを示す最重要指標であり、この数値を下回る企業は市場の変化から取り残されている可能性が高い。
  • 在庫回転率(日数): 成功しているD2Cモデルの「北欧、暮らしの道具店」は、在庫日数が約30日と極めて高い効率性を実現している 21。多品種・小ロット・短ライフサイクルという雑貨特有の課題を抱える業界において、在庫管理の巧拙がキャッシュフローと収益性に直結する。
  • 坪当たり売上高・粗利益率: これらの指標は、店舗の収益性やPB商品・SPAモデルの有効性を測る上で重要となる。特に、店舗の役割が体験の場へと変化する中で、坪当たり売上高の評価軸そのものを見直す必要性も生じている。

第3章:外部環境分析(PESTLE Analysis)

雑貨店業界を取り巻くマクロ環境は、政治、経済、社会、技術、法規制、環境の各側面から大きな変革圧力に晒されている。これらの要因は相互に影響し合い、業界の構造を根底から変えつつある。

政治(Politics)

環境規制の強化が事業運営に直接的な影響を及ぼしている。特に2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」は、小売・サービス事業者に対し、フォークやスプーンといった特定プラスチック使用製品の使用合理化を義務付けている 22。これにより、多くの雑貨店でカトラリーの有料化や木製・紙製への代替が進んでいる。これは短期的にはコスト増要因となるが、長期的には企業のサステナビリティへの取り組みを消費者にアピールする機会となり、ブランドイメージの向上に寄与する可能性がある。消費者の側でも、レジ袋有料化がマイバッグ持参を定着させたように、行動変容を促す契機となりうる 25。

経済(Economy)

実質賃金の伸び悩みが続く中、消費者の支出行動はより慎重かつ選択的になっている。家計調査のデータからは、消費支出が耐久財などの「モノ」から、旅行や外食といった「コト(サービス)」へとシフトしている傾向が読み取れる 26。特にアパレル・服飾雑貨への支出は長期的な減少トレンドにあり、雑貨が単なる「モノ」として消費されるのではなく、生活を豊かにする「体験」や「意味」を提供できなければ、消費者の可処分所得の配分先として選ばれにくくなっている現状が浮き彫りになっている 27。

社会(Society)

消費者の価値観の変化が最も大きな影響を与えている。

  • 消費行動の進化: 商品を所有することに価値を見出す「モノ消費」から、サービスや体験を通じて得られる経験価値を重視する「コト消費」への移行は完全に定着した 28。さらに、その瞬間にしか味わえない一体感や限定性を求める「トキ消費」 31、あるいは商品やサービスの背景にあるストーリーや社会貢献性、ブランドへの共感を購買動機とする「イミ消費」「エモ消費」といった、より高度で情緒的な消費形態が、特に若年層を中心に拡大している 29。
  • サステナビリティ・エシカル消費の台頭: Z世代の78.5%が環境問題に関心を持ち、82.5%が環境配慮型製品の購入意向を示すなど、サステナビリティは購買における重要な判断基準となりつつある 19。日本のエシカル消費市場は約8兆円規模に達すると推計されており、特に10代・20代の若年層は、企業の社会・環境への姿勢を問題視した場合に製品の不買(ボイコット)を行う割合が高い 20。ただし、実際の購買行動においては依然として価格や機能性が優先される「Say-Doギャップ」(言行不一致)も存在しており 33、企業側には、環境配慮と価格・品質を両立させる製品開発が求められる。
  • SNSの絶大な影響力: 消費、特にZ世代の購買意思決定プロセスにおいて、SNSは決定的な役割を果たしている。博報堂生活総研の調査では、若者の59.1%が「他人のSNS投稿を見ると買いたい気持ちが高まる」と回答している 17。特にInstagramは購買への影響力が強く、20~40代女性の約7割が商品購入前にSNSで情報収集を行っているという調査結果もある 18。これは、店舗の棚割りやディスプレイといった伝統的なVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)だけでなく、デジタル空間におけるビジュアルコミュニケーションの巧拙が売上を直接左右することを意味する。

技術(Technology)

テクノロジーの進化は、小売業のビジネスモデルそのものを変革している。

  • OMOとリテールテックの浸透: ECと実店舗の垣根をなくし、顧客データを統合して一貫した体験を提供するOMO(Online Merges with Offline)は、もはや選択肢ではなく必須戦略となっている。先進的な企業では、公式アプリ「MUJI Passport」をハブとして顧客接点を統合する無印良品のように、高度なOMO戦略を実践している 35。また、店舗運営の現場では、AIカメラによる顧客動線分析、RFIDタグによる在庫管理の自動化・効率化、セルフレジによる省人化といったリテールテックの導入が加速しており、生産性向上とコスト削減に貢献している 36。

法規制(Legal)

マーケティング活動における透明性の確保が、法的に強く求められるようになっている。2023年10月1日より、景品表示法においてステルスマーケティング(ステマ)が不当表示として明確に規制対象となった 40。これにより、事業者がインフルエンサーなどに金銭や商品の提供といった便宜を図り、SNS上での商品紹介を依頼する際には、「広告」「PR」といった表示を消費者が容易に認識できる形で明記することが義務付けられた 43。違反した場合は広告主である事業者が行政処分の対象となり、ブランドイメージに深刻なダメージを与えるリスクがある。

環境(Environment)

気候変動や資源枯渇といった地球規模の課題への関心が高まる中、企業にはサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行が求められている。前述のプラスチック資源循環促進法はその一例であり 25、製品のライフサイクル全体を通じて環境負荷を低減する視点が不可欠となっている。過剰包装の削減、リサイクル素材の利用促進、さらには製品の修理(リペア)サービスや中古品(リユース)の取り扱い、廃棄されるはずだったものに新たな価値を与えるアップサイクル商品の開発などは、社会的要請に応えるだけでなく、新たなビジネス機会の創出にも繋がる。

第4章:業界構造と競争環境の分析(Five Forces Analysis)

雑貨店業界は、多方面からの競争圧力に晒されており、収益性が構造的に圧迫されやすい厳しい環境にある。マイケル・ポーターのファイブフォース分析を用いて、業界の競争構造を解明する。

競争要因圧力の強さ主な要因と根拠戦略的意味合い
供給者の交渉力・独自性のあるデザイナーやブランドは一定の交渉力を持つ。 ・多くはコモディティ化しており、小規模な仕入先が多数存在する。 ・SPAモデル(無印良品、ニトリなど)は供給者の力を内部化し、コスト優位性を確立 46。独自性のあるPB商品開発やSPA化が、コストコントロールと差別化の鍵となる。
買い手の交渉力・SNSや比較サイトによる情報武装で、消費者の価格・品質への要求レベルが高い。 ・スイッチングコストはほぼゼロ。 ・体験価値やサステナビリティなど、要求が多様化・高度化している。価格以外の付加価値(ブランドの世界観、体験、共感)の提供が不可欠。顧客ロイヤルティの構築が重要課題。
新規参入の脅威・ECプラットフォームの進化により、D2Cブランドの立ち上げが容易。 ・コンテンツマーケティングを武器にしたニッチプレイヤー(例:北欧、暮らしの道具店 21)が台頭。 ・異業種(蔦屋書店 48、アパレルなど)からの参入が活発。独自のブランド・世界観の構築と、既存の店舗網や顧客基盤を活かしたOMO戦略による参入障壁の構築が必要。
代替品の脅威・強力な価格競争力を持つプレイヤー(ニトリ 1、100円ショップ、3COINS 49)が市場シェアを侵食。 ・旅行やエンタメなど「コト消費」が可処分所得を奪う間接的な代替品となる 26。「安さ」での勝負を避け、代替品では得られない「発見の楽しさ」や「専門性」といった体験価値で差別化を図る必要がある。
業界内の競争・大手チェーン(ロフト、プラザ、フランフラン)間の同質化競争 50。 ・ライフスタイル提案型(無印良品、中川政七商店)による独自のポジショニング競争 53。 ・低価格帯プレイヤー(3COINS)の急速な勢力拡大。明確なターゲット顧客を設定し、独自の価値提案(Value Proposition)を磨き上げることが生き残りの条件。

供給者の交渉力:中

独自のデザインや世界観を持つクリエイターや特定の技術を持つ製造メーカーは、代替が難しいため一定の交渉力を有する。しかし、業界で扱われる商品の多くは生産地がアジアに集中しており、コモディティ化が進んでいるため、個々の小規模な仕入先の力は限定的である。この構造に対し、無印良品やニトリのようなSPA(製造小売)モデルは、企画から製造、販売までを垂直統合することでサプライヤーの交渉力を内部化し、コスト優位性と品質管理を実現している 46。

買い手(消費者)の交渉力:高

消費者は、スマートフォン一つで価格比較サイトやSNSの口コミを瞬時に参照でき、情報格差はほぼ存在しない。そのため、価格、品質、デザインに対して非常に厳しい目を持つ。スイッチングコストも皆無に等しく、より魅力的な商品や体験を提供するブランドへ容易に乗り換える。さらに近年では、機能的価値だけでなく、ブランドの世界観への共感や、サステナビリティへの配慮といった情緒的・倫理的価値を重視する傾向が強まっており、買い手の要求はますます多角的かつ高度になっている。

新規参入の脅威:高

ECプラットフォームやクラウドファンディングの普及により、個人や小規模な事業者でも比較的容易にD2Cブランドを立ち上げられるようになった。これにより、特定のニッチな顧客層に深く刺さるユニークな商品を展開する新規参入者が後を絶たない。例えば、「北欧、暮らしの道具店」は、ECサイトでありながら、読み応えのある記事や動画といったコンテンツを毎日発信することでファンを育成し、広告費に頼らない独自のビジネスモデルを確立している 21。また、蔦屋書店が「ライフスタイル提案」を軸に書籍以外の雑貨や家電の販売を強化するように 48、異業種からの参入も活発化しており、競争の境界線は曖昧になっている。

代替品の脅威:高

雑貨店業界は、二種類の強力な代替品の脅威に晒されている。第一は、より強力な価格競争力やブランド力を持つ他業態からの直接的な代替である。ニトリや無印良品、IKEAといった家具・生活雑貨のSPA大手は、圧倒的な規模と効率性で市場シェアを拡大している 1。また、3COINSやダイソーが展開するStandard Productsのような「300円ショップ」は、デザイン性と価格のバランスで消費者を惹きつけ、雑貨市場の大きな脅威となっている。第二は、消費者の可処分所得の使い道を巡る間接的な代替である。消費者が「モノ」よりも旅行やエンターテイメントといった「コト」への支出を優先するようになれば 26、雑貨の購入予算そのものが削減されることになる。

業界内の競争:高

既存プレイヤー間の競争も極めて激しい。ロフト、プラザ、フランフランといった大手チェーンは、主要都市の駅ビルやショッピングセンターといった一等地への出店を巡って激しく競合しており、品揃えやプロモーションでの差別化に鎬を削っている 50。一方で、無印良品、中川政七商店、アクタスといったライフスタイル提案型ブランドは、それぞれが持つ独自の哲学や世界観を強く打ち出し、熱心なファン層を形成することで独自の地位を築いている 53。さらに低価格帯市場では3COINSが急速に店舗網を拡大し、市場の勢力図を塗り替えつつある。このように、各価格帯、各ポジショニングで熾烈な競争が繰り広げられている。

この分析が示すのは、雑貨店業界の収益性が構造的に圧迫されやすいという事実である。買い手の力が強く価格決定権が限られる一方で、新規参入や代替品の脅威が常に存在するため、持続的な高収益を上げることは容易ではない。この厳しい環境で勝ち抜くためには、単に競合を模倣するのではなく、自社の強みを活かした独自の価値を創造し、それを顧客に的確に届け続ける戦略が不可欠となる。

第5章:バリューチェーンとサプライチェーン分析

バリューチェーン分析

雑貨店業界の価値創出プロセスは、SPAモデルとセレクトショップモデルで大きく異なる。価値の源泉がどこにあるかを特定することが、競争優位を築く上での鍵となる。

  • 価値の源泉:
    • 商品企画・デザイン / 仕入(キュレーション): SPAモデルでは、ブランドの世界観を体現する独自の商品企画・デザイン能力が価値の源泉となる。一方、セレクトショップモデルでは、国内外からまだ知られていない優れた商品を発掘し、独自の視点で編集・提案するバイヤーの「目利き力(キュレーション能力)」が中核的な価値となる。
    • VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング): 商品を単に並べるのではなく、ライフスタイルのワンシーンとして演出し、顧客に「発見の楽しさ」や「憧れ」を喚起させるVMDは、実店舗における重要な付加価値創出の要素である。
    • 店舗体験と接客: 商品の背景にあるストーリーや作り手の想いを語れる店舗スタッフの存在は、顧客の共感を呼び、購買意欲を高める上で非常に重要である。特に高価格帯のライフスタイル提案型店舗では、専門知識を持ったスタッフによるコンサルティング的な接客が付加価値の大きな部分を占める。
    • マーケティング(世界観の伝達): InstagramなどのSNSやオウンドメディアを通じて、ブランドが描く世界観やライフスタイルを一貫性を持って伝え、顧客とのエンゲージメントを深める活動が、現代のマーケティングにおける価値の源泉となっている。
  • SPAモデルとセレクトショップモデルの比較:
    • SPAモデル(例:無印良品、ニトリ): 企画から製造、販売までを一気通貫で行うことで、中間マージンを排除し、高い利益率と価格競争力を両立させる。バリューチェーン全体をコントロールできるため、ブランドイメージの統一や、顧客データを商品開発に迅速にフィードバックすることが可能である。
    • セレクトショップモデル(例:ロフト、プラザ、中川政七商店): 価値の源泉は「編集力」にある。多数のサプライヤーから商品を仕入れるため、多様で新鮮な品揃えを実現できるが、在庫管理が複雑化しやすく、SPAモデルに比べて一般的に利益率は低くなる傾向がある。成功のためには、他社にはないユニークな品揃えを実現するバイヤーの能力と、それを魅力的に見せる店舗演出力が不可欠である。

サプライチェーン分析

雑貨業界のサプライチェーンは、「多品種・小ロット・短ライフサイクル」という製品特性に起因する根深い課題を抱えている。

  • 特有の課題:
    • 需要予測の困難さ: トレンドの移り変わりが速く、季節性商品も多いため、SKU(最小管理単位)ごとの正確な需要予測は極めて困難である。これが過剰在庫や欠品による機会損失の主因となっている。
    • 在庫管理の複雑性: 数千から数万SKUに及ぶ商品を、多数の店舗とEC倉庫にまたがって管理する必要がある。特に、オンラインとオフラインの在庫情報が分断されている場合、顧客体験の低下(ECで在庫あり表示なのに店舗にない等)や、非効率な在庫配置を招く。
    • 廃棄ロス(マークダウン)問題: 需要予測のズレによって生じた過剰在庫は、最終的に値下げ(マークダウン)販売や廃棄処分となり、利益を大幅に圧迫する。これはアパレル業界と共通する深刻な課題である 58。
  • リスクと管理:
    • 海外依存と地政学リスク: 多くの雑貨は中国や東南アジアで生産されており、サプライチェーンは為替レートの変動、現地の政情不安や人件費高騰、国際輸送の遅延といった地政学リスクに常に晒されている。リードタイムの管理とサプライヤーの多角化が重要なリスク管理策となる。
    • テクノロジーによる解決: これらの課題に対し、RFID(無線ICタグ)の導入はゲームチェンジャーとなりうる。商品一つ一つにRFIDタグを付与することで、棚卸し作業を劇的に効率化し、リアルタイムでの正確な在庫把握が可能となる 36。これにより、在庫差異の解消、欠品防止、店舗間での迅速な在庫移動が実現し、サプライチェーン全体の最適化が期待できる。

第6章:顧客需要の特性分析

消費者の価値観が多様化し、購買行動が複雑化する中で、顧客を深く理解し、変化する需要特性に対応することが不可欠である。

顧客セグメント分析

雑貨店の顧客は、世代やライフステージによって異なる価値観と購買動機を持つ。

  • Z世代(15~29歳): デジタルネイティブであり、情報収集の主戦場はInstagram、TikTok、YouTubeなどのSNS。購買において「SNS映え」や、自分の価値観を表現する手段としての「イミ消費」、応援したい対象に投資する「推し活」消費などを重視する 34。ブランドのサステナビリティへの取り組みにも敏感だが、同時に価格やコストパフォーマンスもシビアに評価する 33。店舗での「発見」や「偶然の出会い」を楽しみ、予定外の購買を行う傾向も強い 59。
  • ミレニアル世代(30~44歳): ライフステージの変化(結婚、出産、住宅購入など)に伴い、インテリアや生活雑貨への関心が高まる。品質やデザイン、機能性を重視し、自分のライフスタイルに合ったものを合理的に選択する傾向がある。オンラインでの情報収集と実店舗での体験を組み合わせるOMO型の購買行動が定着している。
  • ファミリー層: 子供向けの安全な商品や、家事を効率化する機能的な商品への需要が高い。家族で楽しめる店舗体験(キッズスペースの有無など)も店舗選択の重要な要素となる。
  • シニア層: 長く使える高品質なものや、健康・快適な生活をサポートする商品への関心が高い。実店舗での丁寧な接客や、商品の背景にあるストーリーを重視する傾向がある。

また、購買目的によっても需要は大きく異なる。「自分用」の購入(自己需要)が価格や機能性を重視するのに対し、「贈り物用」の購入(ギフト需要)では、価格だけでなく、パッケージのデザイン、ブランドの知名度やストーリー、相手への気持ちが伝わるかといった情緒的価値が重要な購買決定要因(KBF)となる。

KBF(Key Buying Factor)の変化

従来のKBFであった「デザイン」「価格」「品質」「機能性」といった商品そのものの価値に加え、新たな要因の重要性が急速に高まっている。

  • ブランドの世界観への共感: 商品を通じて、そのブランドが提案するライフスタイルや価値観に共感できるかどうかが、ロイヤルティを形成する上で決定的に重要になっている。
  • 店舗での発見・体験の楽しさ: ECの利便性が高まるほど、実店舗には単なる購買の場所以上の価値、すなわち「偶然の出会い」や「五感で楽しむ体験」が求められる。電通の調査では、Z世代は商品が雑多に陳列された「ゴチャゴチャした売り場」を好み、宝探しのような感覚を楽しんでいることが示唆されている 59。
  • サステナビリティへの貢献実感: 環境に配慮した商品を選ぶことが、自己の価値観の表明であり、社会貢献に繋がるという実感が、新たなKBFとなっている 19。
  • SNSでの共感・自己表現: 購入した商品をSNSでシェアし、他者からの「いいね」や共感を得ること自体が、購買の満足度を高める一因となっている。商品が自己表現のツールとしての役割を担っている。

購買行動プロセス

OMO時代の到来により、顧客の購買行動プロセスは線形的なモデル(認知→興味→比較→購入)から、オンラインとオフラインを自由に行き来する複雑なループ型へと変化した。

  • ショールーミングとウェブルーミング: 実店舗で商品を確認し、最も安いECサイトで購入する「ショールーミング」と、逆にECサイトで情報収集してから実店舗で購入する「ウェブルーミング」が一般化している。これは、オンラインとオフラインの価格やサービス、在庫情報の一貫性を保つことの重要性を示している。
  • SNSの役割: InstagramやPinterest、TikTokは、もはや単なる情報収集ツールではない。インフルエンサーの投稿が直接的な購買のきっかけとなり(「発見」)、ハッシュタグ検索で詳細情報を収集し(「検索」)、保存機能で購入候補をリストアップし(「検討」)、ショッピング機能を通じてアプリ内で購入を完結させる(「購入」)という、購買プロセスの全段階に深く組み込まれている。調査によれば、Instagramで保存したタイアップ投稿の商品を実際に購入した経験があるユーザーは半数を超える 60。

第7章:業界の内部環境分析

持続的な競争優位を確立するためには、外部環境の変化に対応するだけでなく、自社が持つ経営資源やケイパビリティを客観的に評価し、強化していく必要がある。

VRIO分析

VRIOフレームワーク(Value: 経済的価値、Rarity: 希少性、Inimitability: 模倣困難性、Organization: 組織)を用いて、雑貨店業界における競争優位の源泉を分析する。

  • 強力なブランド・世界観: 経済的価値(V)、希少性(R)、模倣困難性(I)を兼ね備えうる、最も持続的な競争優位の源泉。無印良品や中川政七商店のように、明確な哲学に基づいた世界観は、長年にわたる一貫した活動を通じて構築されるため、他社が短期間で模倣することは極めて困難である。
  • 卓越したバイヤーの「目利き力」: 希少性(R)は高いが、属人的なスキルであるため、組織(O)としてその能力を継承・スケールさせることが課題となる。個人の退職が競争力低下に直結するリスクを孕む。
  • 独自の商品開発(PB)能力: SPAモデルの中核をなすケイパビリティ。高いレベルで実現できれば、価値(V)、希少性(R)、模倣困難性(I)を持ちうる。ただし、ヒット商品を継続的に生み出すには、市場トレンドを的確に捉える分析力と、それを商品に落とし込むデザイン力・生産管理能力が組織(O)として必要。
  • 一等地への店舗ネットワーク: かつては強力な競争優位の源泉であったが、ECの台頭によりその価値は相対的に低下。現在では、単なる立地の良さ(V, R)だけでなく、その場所でどのような体験を提供できるかという組織(O)の運営能力が問われる。
  • ロイヤルティの高い顧客基盤: 価値(V)、希少性(R)が高く、模倣困難(I)な経営資源。顧客データを活用し、パーソナライズされたコミュニケーションを通じてエンゲージメントを深める組織(O)能力が、この資源をさらに強化する。
  • 効率的な在庫管理システム: AIやRFIDといった技術を活用した高度な在庫管理システムは、価値(V)を生むが、技術そのものは購入可能であるため希少性(R)や模倣困難性(I)は高くない。むしろ、そのシステムを使いこなし、サプライチェーン全体の最適化を実現する組織(O)のオペレーション能力が競争優位の鍵となる。

AI時代においては、個人の「目利き力」のような属人的スキルは、AIによるトレンド分析によって補完・代替される可能性がある。一方で、ブランドの世界観を構築する創造性や、顧客との共感を深めるコミュニケーション能力といった、人間にしかできないケイパビリティの重要性はむしろ高まると考えられる。

人材動向

事業モデルの変革に伴い、求められる人材像も大きく変化している。

  • 求められる人材像の変化:
    • 店舗スタッフ: 従来の商品説明やレジ打ちを行う「販売員」から、ブランドの価値観を体現し、顧客との対話を通じてファンを育成する「ブランドの体現者」「コミュニティマネージャー」へと役割が変化している。
    • 専門職の需要増: 優れた商品を買い付ける「バイヤー」、魅力的な売り場を創り出す「VMD担当者」に加え、デジタル時代に対応するための「デジタルマーケター」、顧客データを分析・活用する「データサイエンティスト」、OMO戦略を推進する「IT人材」の需要が急増している。これらの専門人材は、IT業界や他業種との獲得競争が激化している。

従業員の賃金相場とトレンド

小売業界、特に雑貨・アパレル販売職の賃金水準は、他業界と比較して高いとは言えないのが現状である 61。薄利多売のビジネスモデルになりがちな業界特性が、人件費への配分を抑制する構造的な要因となっている 61。しかし、人材獲得競争の激化と、専門性の高いスキル(デジタルマーケティング、データ分析など)を持つ人材の必要性の高まりを受け、専門職を中心に賃金水準は上昇傾向にある 62。今後は、従業員のエンゲージメントと生産性を高めるための、より戦略的な報酬制度の設計が課題となる。

労働生産性

労働集約的な店舗オペレーションの効率化は、収益性向上のための喫緊の課題である。

  • 店舗オペレーションの効率性: 品出し、レジ応対、バックヤードでの在庫管理といった非接客業務に多くの時間が割かれているのが現状である。これらの「作業」時間をいかに削減し、スタッフが顧客とのコミュニケーションという付加価値の高い「接客」に集中できる環境を作るかが鍵となる。
  • テクノロジーによる生産性向上:
    • RPA(Robotic Process Automation): 受発注処理や日報作成といった定型的なバックオフィス業務を自動化することで、大幅な時間削減が可能となる 39。
    • AIの活用: AIカメラによる顧客動線分析や棚の欠品検知、AIによる需要予測に基づいた自動発注、AIを活用した最適な人員シフトの作成など、AIは店舗運営のあらゆる場面で生産性向上に貢献するポテンシャルを秘めている 37。セルフレジや無人店舗の導入も、労働生産性を飛躍的に高める選択肢である 38。

第8章:AIが雑貨店業界に与える影響とインパクト

AI(人工知能)は、雑貨店業界のバリューチェーン全体を根本から変革する潜在能力を持つ。AIは単なる効率化ツールではなく、商品開発、マーケティング、顧客体験のあり方そのものを再定義する戦略的な基盤となる。

商品開発とMD(マーチャンダイジング)

勘と経験に頼りがちだった商品開発やMDの領域は、AIによってデータドリブンな科学的アプローチへと進化する。

  • トレンド分析とヒット商品予測: AIを用いてInstagram、TikTok、PinterestなどのSNSや、各種メディア、ECサイトの販売データなどをリアルタイムで分析。新たなトレンドの兆候を早期に発見し、色、素材、デザインなどの要素を組み合わせて、将来のヒット商品を高い精度で予測することが可能になる。
  • ジェネレーティブAIによるデザイン支援: ジェネレーティブAI(生成AI)を活用し、ブランドのコンセプトや過去のデザインデータを基に、新たな商品デザイン(柄、形状、配色など)のアイデアを無数に生成。デザイナーは、AIが生成した多様なバリエーションの中からインスピレーションを得て、創造的なプロセスを加速させることができる。
  • 需要予測の高度化と自動発注: 過去の販売実績データに加え、天候、地域のイベント情報、SNSのトレンド、さらには競合のプロモーション情報といった多様な外部要因をAIが統合的に分析。SKU単位での極めて精緻な需要予測を実現する。この予測に基づき、最適な発注量を自動で算出し、発注プロセスを自動化することで、欠品による機会損失と過剰在庫による廃棄ロスの双方を最小化する。

サプライチェーンと在庫管理

多品種・小ロットで複雑な雑貨業界のサプライチェーンは、AIによって劇的に効率化される。

  • 在庫配置の最適化: AIが全店舗およびEC倉庫の在庫状況と販売予測データをリアルタイムで分析。ECからの注文に対してどの拠点から出荷するのが最も効率的か(輸送コスト、配送時間)、あるいはどの店舗間で在庫を移動させるべきかを自動で判断し、サプライチェーン全体の在庫を最適化する。
  • リアルタイム在庫把握と棚卸しの自動化: RFIDタグと店舗内に設置されたAIカメラを組み合わせることで、商品の動きを常にトラッキング。「どの商品が、いつ、どこにあるか」をリアルタイムで把握する。これにより、人手を介した棚卸し作業が不要となり、従業員はより付加価値の高い業務に集中できる。
  • ダイナミック・プライシングによる廃棄ロス最小化: AIが商品の在庫状況、販売ペース、賞味期限(食品の場合)、季節性、競合価格などを分析し、利益を最大化するための最適な販売価格をリアルタイムで自動調整(ダイナミック・プライシング)。マークダウンによる損失を最小限に抑える。

マーケティングと顧客体験(CX)

AIは、マスマーケティングを終焉させ、究極のパーソナライゼーションを実現する。

  • One-to-Oneマーケティング: AIが顧客一人ひとりの購買履歴、閲覧履歴、アプリの利用状況、店舗での行動データなどを分析し、顧客をマイクロセグメント化。ECサイト、公式アプリ、メールマガジンなど、あらゆるチャネルを通じて、その顧客の興味・関心に完全に合致した商品やコンテンツを個別にレコメンドする。
  • 顧客対応の自動化と高度化: AIチャットボットが24時間365日、顧客からの問い合わせ(在庫確認、ギフト相談、返品手続きなど)に自動で対応。これにより、顧客満足度を向上させると同時に、カスタマーサポートのコストを削減する。
  • ARによるバーチャル体験: AR(拡張現実)技術を活用し、スマートフォンのカメラを通じて、家具やインテリア雑貨を自宅の部屋にバーチャルで試し置きできるサービスを高度化。AIが部屋の雰囲気や既存の家具との相性を分析し、最適な商品を提案することも可能になる。
  • 店舗内行動分析とVMD最適化: 店舗に設置したAIカメラが、顧客の動線、棚の前での滞在時間、手に取ったが購入しなかった商品(いわゆる「カゴ落ち」ならぬ「棚落ち」)などを匿名で分析。これらのデータを基に、最も効果的な商品陳列(棚割り)や店舗レイアウトを導き出し、VMDを継続的に最適化する 37。

店舗運営と労働生産性

AIは、店舗運営における非効率な「作業」を自動化し、人間が付加価値の高い「おもてなし」に集中できる環境を創出する。

  • シフト作成の最適化: AIが過去の来店客数データや天候、イベント情報などを基に、時間帯ごとの必要人員を予測し、スタッフのスキルや希望を考慮した上で、最適な勤務シフトを自動で作成する。
  • 接客支援: 店舗スタッフが持つタブレット端末に、AIが顧客の過去の購買履歴やオンラインでの閲覧履歴、お気に入り登録商品などを表示。スタッフはこれらの情報を参考に、顧客一人ひとりに合わせた、よりパーソナルで質の高い接客を提供できる。
  • AIは「作業」を代替し、人間は「創造」と「共感」へ: AIとロボティクスが、発注、在庫管理、品出し、清掃、レジといった物理的・定型的な作業を担う未来が到来する。そのとき、人間のスタッフに求められる役割は、AIにはできない「ブランドの世界観を語る」「顧客の潜在的なニーズに寄り添い、共感する」「ワークショップなどを通じてコミュニティを醸成する」といった、創造性と人間的な温かみを伴うインタラクションへとシフトする。AIは人間の仕事を奪うのではなく、人間をより人間らしい仕事へと解放する触媒となる。

第9章:主要トレンドと未来予測

雑貨店業界は、テクノロジーの進化と消費者価値観の変化が交差する中で、いくつかの不可逆的なトレンドに直面している。これらは、今後5~10年の業界地図を塗り替える重要な動向である。

OMO (Online Merges with Offline) の深化

オンラインとオフラインの境界線は完全に消失する。ECサイト、公式アプリ、実店舗で顧客ID、ポイントプログラム、購買履歴、そして在庫情報が完全に一元管理されることが標準となる。これにより、顧客は「ECで購入した商品を最寄りの店舗で受け取る」「店舗で気に入った商品のQRコードをスキャンし、後でECで購入する」といったシームレスな購買体験を享受できるようになる。実店舗は、商品を販売するだけの場所から、ブランドの世界観を体験する「ショールーム」や、ファンが集う「コミュニティハブ」、ECへの送客拠点としての役割を強めていく。

体験型リテールへのシフト

ECの利便性が高まるほど、実店舗には「わざわざ訪れる理由」が求められる。その答えが「体験価値」の提供である。店舗内で商品の作り手によるワークショップを開催したり、カフェを併設して居心地の良い空間を提供したり、インフルエンサーを招いた限定イベントを実施したりすることで、「モノを買う」という目的を超えた来店動機を創出する。蔦屋書店が「BOOK & CAFE」というスタイルで、本を読みながらコーヒーを楽しめる空間を提供し、滞在時間そのものを価値としているのはその好例である 55。

コミュニティ・コマースの隆盛

企業が一方的に情報を発信するのではなく、SNSやオウンドメディアを通じて顧客との対話を重ね、熱量の高いファンコミュニティを育成することが重要になる。企業とファンが一体となり、共同で商品を企画・開発する「共創(Co-Creation)」の動きも活発化するだろう。コミュニティ内での推奨や口コミは、広告よりもはるかに強力な購買促進効果を持つ。ブランドはもはや企業だけのものではなく、ファンと共に創り上げていくものへと変化する。

D2Cブランドの台頭と既存店のプラットフォーム化

独自のコンセプトと世界観を持つD2C(Direct to Consumer)ブランドが、今後も様々なニッチカテゴリーで次々と誕生する。これに対し、ロフトやプラザのような既存の大手雑貨店は、単に自社のPB商品を売るだけでなく、独自の「目利き力」を活かして、有望なD2Cブランドを発掘し、自社の店舗やECサイトで紹介・販売する「プラットフォーム」としての価値を再定義する必要に迫られる。これにより、既存店は常に新鮮で多様な品揃えを提供し、D2Cブランドはオフラインでの顧客接点を得るという、Win-Winの関係を構築できる可能性がある。

サステナビリティの主流化

サステナビリティは、一部の意識の高い消費者のためのものではなく、あらゆる企業と消費者にとっての「当たり前」の価値基準となる。環境配慮型素材の使用や過剰包装の廃止といった基本的な取り組みに加え、製品の修理を行う「リペアサービス」、中古品を買い取り再販する「リユース事業」、廃棄される素材に新たな価値を与える「アップサイクル商品」の開発などが、ビジネスの主流となる。また、環境や社会への貢献度が高い企業に与えられる「Bコープ認証」のような、第三者機関による認証の取得も、企業の信頼性を高める上で重要性を増すだろう。

第10章:主要プレイヤーの戦略分析

雑貨店業界の競争環境を理解するため、主要なプレイヤーの戦略、強み・弱み、そしてDXやAI活用の進捗状況を比較分析する。

大手チェーン

  • ロフト (LoFt):
    • 戦略: 「時の器」をコンセプトに、常に新しいトレンドを発信する「市」と、定番商品を機能的に陳列する「蔵」という編集軸で売り場を構成 63。雑貨を軸にしながらも、コスメや文具の領域で強力な発信力を持つ。公式アプリを通じた顧客エンゲージメントに注力し、店舗スタッフによる情報発信やサンプリング配布などで来店を促進している 64。
    • 強み: 全国主要都市の一等地に店舗を構えるネットワーク力。トレンドを捉え、発信する編集力とVMD。
    • 弱み/課題: EC化では後発であり、OMOの深化が課題。大手チェーン故の同質化競争からの脱却。
    • 財務: 2025年2月期の売上高は1,215億円と好調に推移している 50。
  • プラザ (Plaza):
    • 戦略: 輸入生活雑貨のパイオニアとして、化粧品や菓子を中心に、海外のトレンド商品をいち早く導入。「日常の心拍数を上げる」を新たなミッションに掲げ、顧客の生活を豊かにする提案を強化 66。SNSやアプリを活用したデジタルマーケティングにも取り組む 67。
    • 強み: 海外トレンドの目利き力と、長年培ってきたブランドイメージ。特に若年層女性からの強い支持。
    • 弱み/課題: モバイル事業が売上の大半を占める親会社(プラザホールディングス)の事業構造の中で、雑貨事業の独自戦略をいかに推進できるか 68。
    • 財務: プラザホールディングスとしての2025年3月期売上高は186億円 68。
  • フランフラン (Francfranc):
    • 戦略: 「VALUE by DESIGN」をコンセプトに、デザイン性の高い家具・インテリア雑貨をSPAモデルで展開 69。20~30代女性を主要ターゲットとし、オンラインとオフラインを融合させたマーケティングを推進 70。2024年にアインホールディングスの傘下に入り、同社が展開するコスメ&ドラッグストア「アインズ&トルペ」とのシナジー創出を目指す 52。
    • 強み: 独自のフェミニンで洗練された世界観と、SPAによる商品開発力。高いブランド認知度。
    • 弱み/課題: インテリア雑貨というイメージが強く、より幅広いライフスタイル提案への事業拡大が課題 71。
    • 財務: 2025年8月期には売上高約400億円、営業利益約40億円を達成し、過去最高益を記録している 52。

ライフスタイル提案型

  • 無印良品 (良品計画):
    • 戦略: 「わけあって、安い。」を哲学に、衣料品、生活雑貨、食品から家まで、生活の全てを網羅する商品を展開 72。公式アプリ「MUJI Passport」を核とした高度なOMO戦略を実践し、オンラインとオフラインの顧客体験をシームレスに繋げている 35。
    • 強み: 徹底された思想に基づく強力なブランド力。SPAモデルによる品質と価格のコントロール。7000品目を超える幅広い商品群。
    • 弱み/課題: ブランドが成熟し、新たな成長領域の開拓が常に求められる。グローバルでの事業拡大に伴うリスク管理。
    • 財務: 2025年8月期の営業収益は7,846億円と過去最高を更新し、極めて好調 53。
  • 中川政七商店:
    • 戦略: 「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げ、伝統的な工芸品を現代のライフスタイルに合わせた商品として企画・販売 73。リアルとデジタルを横断した顧客体験の向上に注力し、接客理念「接心好感」をデジタル上でも実現することを目指している 54。
    • 強み: 300年の歴史に裏打ちされたブランドストーリー。ビジョンに共感する熱量の高い顧客基盤。
    • 弱み/課題: 工芸というニッチな領域からのスケールアップ。海外展開は今後の課題 74。
  • アクタス (Actus):
    • 戦略: ヨーロッパからの輸入家具を中心に、質の高いライフスタイルをトータルで提案。ECと店舗のCRMを統合し、相互送客を強化。特に、専門スタッフによる「3Dインテリアプランニング」など、店舗でのコンサルティング力を武器にしている 75。
    • 強み: 高価格帯におけるブランド力と、専門性の高い接客サービス。
    • 弱み/課題: 高価格帯ゆえに顧客層が限定される。若年層へのアプローチ強化が課題。

低価格帯

  • 3COINS:
    • 戦略: 300円を中心価格帯としながら、デザイン性と品質を高めた商品で「ちょっと幸せ」を提供。ターゲット層を30代後半に再設定し、くすみカラーなど落ち着いたデザインに商品を一新するブランド改革が成功 49。商品の入れ替えを4週間ごとに行う「4週間MD」で、常に新鮮さを提供している 49。
    • 強み: 高いコストパフォーマンスとトレンド感。店舗の大型化による品揃えの拡充 76。
    • 弱み/課題: 低価格競争からの脱却と、ブランド価値のさらなる向上。

EC/D2C

  • 北欧、暮らしの道具店 (クラシコム):
    • 戦略: 「フィットする暮らし、つくろう。」をコンセプトに、ECサイトでありながら、Web記事、動画、ポッドキャストなどのオリジナルコンテンツを毎日配信。広告費に頼らず、コンテンツの力で集客し、ファンコミュニティを形成する独自の「コンテンツコマース」モデルを確立 47。
    • 強み: 高い利益率(経常利益率15%超)と、極めて効率的な在庫管理(在庫日数約30日)21。熱心なファンによる高い顧客エンゲージメント。
    • 弱み/課題: ニッチな世界観ゆえのスケールアップの限界。ブランドの世界観を維持しながら事業を拡大できるか。

異業種からの参入

  • TSUTAYA (蔦屋書店):
    • 戦略: 書籍販売を中核としながら、「ライフスタイル提案」を軸に家電、雑貨、文具などを組み合わせた複合的な店舗空間を創造 48。カフェを併設し、居心地の良い空間を提供することで、滞在時間そのものを価値に変える「体験型書店」モデルを確立している 55。
  • ニトリ (Nitori Deco Home):
    • 戦略: ニトリのホームファッション商品を、駅ビルやショッピングセンター内で気軽に購入できるようにした小型フォーマット 77。ニトリ本体の圧倒的な商品開発力とサプライチェーンを背景に、利便性の高い立地で顧客接点を拡大する。将来的にはオリジナル商品の比率を高める方針 78。

第11章:戦略的インプリケーションと推奨事項

これまでの包括的な分析を統合し、雑貨店業界という激動の市場で生き残り、持続的な成長を遂げるための戦略的意味合いと具体的な提言を導き出す。

勝者と敗者を分ける決定的要因

今後5年から10年において、雑貨店業界の勝者と敗者を分けるのは、以下の3つの能力の有無である。

  1. 世界観のキュレーションと体験への転換能力: 単に商品を並べるだけの「モノ売り」から脱却し、明確なコンセプトに基づいた世界観を創造し、それを商品、店舗空間、デジタルコンテンツ、接客の全てを通じて一貫して表現できる企業が勝者となる。顧客はもはやモノを求めているのではなく、その先にある「体験」や「共感」にお金を払う。この転換に失敗した企業は、価格競争力に勝る代替品に淘汰される。
  2. データとAIを駆使した顧客理解とオペレーション最適化能力: OMOを前提としてオンラインとオフラインの顧客データを完全に統合し、AIを活用して一人ひとりの顧客を深く理解し、パーソナライズされた提案ができる企業が勝者となる。同時に、AIによる需要予測や在庫最適化によってサプライチェーンの非効率を徹底的に排除し、無駄なコストを削減できるかどうかが収益性を大きく左右する。データとAIを使いこなせない企業は、顧客からは見放され、コスト構造の悪化によって自滅する。
  3. サステナビリティをブランド価値に統合する能力: 環境や社会への配慮を、CSR(企業の社会的責任)活動という「コスト」としてではなく、ブランドの信頼性と魅力を高める「投資」と捉え、商品開発からサプライチェーン、コミュニケーションに至るまで、事業の根幹に統合できる企業が勝者となる。表面的な取り組みしかできない企業は、見識の高い消費者、特にZ世代から見抜かれ、支持を失う。

機会(Opportunity)と脅威(Threat)

直面する機会と脅威は以下の通りである。

  • 機会 (Opportunity):
    • 体験型リテール市場の拡大: 「コト消費」「トキ消費」へのシフトは、店舗を体験の場として再発明する大きな機会である。
    • 10兆円規模のギフト市場のデジタル化: EC化が急速に進む巨大なギフト市場は、新たな収益の柱となりうる 12。
    • AIによる生産性革命: AIを活用することで、これまで不可能だったレベルでのパーソナライゼーションとオペレーション効率化が実現可能になる。
    • サステナビリティ市場の成長: エシカル消費への関心の高まりは、環境配慮型商品をフックとした新たな顧客層の獲得に繋がる 20。
  • 脅威 (Threat):
    • 市場全体の縮小: マクロ的な市場縮小圧力の中で、シェア争いは激化する 1。
    • 異次元の競合: ニトリや無印良品のようなSPA大手、3COINSのような低価格の雄、そして無数のD2Cブランドといった、異なるビジネスモデルを持つ競合との全方位的な競争。
    • テクノロジーへの投資格差: AIやデータ基盤への投資体力がない企業は、競合との差が決定的に開いてしまうリスクがある。
    • 人材獲得競争の激化: デジタル人材やデータサイエンティストなど、事業変革に必要な専門人材の獲得はますます困難になる。

戦略的オプション

以上の分析を踏まえ、取りうる戦略的オプションを3つ提示する。

  1. 戦略オプションA:ニッチな世界観のスペシャリスト
    • 概要: 特定のニッチな領域(例:日本の手仕事、アウトドアリビング、サステナブルな暮らし)に特化し、誰にも真似できない深い専門性と独自の世界観を構築する。中川政七商店や、特定のD2Cブランドがこのモデルに近い。
    • メリット: 高い利益率を確保しやすく、熱狂的なファン(ロイヤルカスタマー)を育成できる。価格競争に巻き込まれにくい。
    • デメリット: 市場規模が限定されるため、大きな売上成長は見込みにくい。世界観の維持に高度な経営手腕が求められる。
    • 成功確率: 中。成功すれば高収益企業となりうるが、ニッチ市場の選定とブランド構築の難易度は高い。
  2. 戦略オプションB:体験型プラットフォーマー
    • 概要: 自社ブランドを中核としつつ、独自の目利き力で有望なD2Cブランドやクリエイターを発掘し、自社の店舗網とECサイトで展開するプラットフォームとなる。ロフトが目指すべき方向性の一つ。
    • メリット: 常に新鮮で多様な商品を提供でき、集客力を維持しやすい。事業規模の拡大(スケール)が可能。D2Cブランドとの協業による新たな価値創造が期待できる。
    • デメリット: 多数のブランドを扱うため、自社のブランドイメージが希薄化するリスクがある。複雑なサプライチェーンと在庫管理が求められる。
    • 成功確率: 中~高。既存の店舗網や顧客基盤を持つ大手企業にとっては現実的な選択肢。成功の鍵は、卓越したキュレーション能力と、シームレスなOMOプラットフォームの構築力。
  3. 戦略オプションC:AIドリブンの効率化リーダー
    • 概要: AIとテクノロジーへの徹底的な投資により、サプライチェーンと店舗オペレーションの効率を極限まで高め、コストリーダーシップを確立する。ニトリや無印良品がこの要素を強みとしている。
    • メリット: 低価格と高い利便性を両立させ、マスマーケットで圧倒的な競争優位を築ける。データに基づいた合理的な経営判断が可能。
    • デメリット: 莫大な初期投資が必要。効率化を追求するあまり、ブランドの情緒的価値や人間的な温かみが失われるリスクがある。
    • 成功確率: 高(ただし、巨額の投資が可能な場合に限る)。一度確立すれば、他社が追随するのは極めて困難な参入障壁となる。

最終提言:ハイブリッド戦略「データ駆動型・体験ブランド」の構築

単一の戦略オプションに固執するのではなく、オプションAとCの要素を融合させたハイブリッド戦略データ駆動型・体験ブランド」の実行を最も説得力のある事業戦略として提言する。これは、「ニッチな世界観のスペシャリスト」が持つブランドへの共感と、「AIドリブンの効率化リーダー」が持つオペレーションの卓越性を両立させるモデルである。

具体的アクションプラン概要:

  • Phase 1:基盤構築(Year 1-2)
    • KPI: 顧客ID統合率、データ収集基盤(CDP)の構築完了、主要業務へのAI導入PoC(概念実証)開始。
    • アクション:
      • 店舗とECの顧客ID、ポイント、購買履歴を完全に統合。
      • AIによる需要予測・在庫最適化システムの導入プロジェクトを開始。
      • ブランドのコアバリューを再定義し、それを体現する旗艦店をリニューアル。店舗スタッフを「コミュニティマネージャー」として再教育するプログラムを開始。
    • 必要リソース: DX推進部門の設立と外部専門人材の登用、システム開発投資(XX億円)。
  • Phase 2:グロース(Year 3-4)
    • KPI: OMO経由の売上比率、AIレコメンドによるCVR向上率、在庫回転日数の短縮、PB商品のサステナブル素材比率。
    • アクション:
      • AIによるパーソナライズド・マーケティングを本格展開。
      • 旗艦店での成功モデル(ワークショップ、イベント等)を他店舗へ横展開。
      • サステナビリティをテーマにしたPB商品の開発と、リペア・リユースサービスの試験導入。
    • 必要リソース: マーケティング・オートメーションツール導入、店舗改装投資、サステナビリティ関連の専門家との協業。
  • Phase 3:スケール(Year 5~)
    • KPI: LTV(顧客生涯価値)、NPS(ネット・プロモーター・スコア)、コミュニティ参加者数、サステナビリティ関連商品の売上構成比。
    • アクション:
      • データ分析に基づき、顧客との共創による商品開発(Co-Creation)を開始。
      • ファンコミュニティ向けの限定サービスやオンラインサロンなどを展開。
      • サプライチェーン全体のトレーサビリティを確保し、透明性をブランドの強みとして発信する。
    • 必要リソース: コミュニティ運営体制の強化、サプライチェーン改革への投資。

この戦略を実行することで、単なる雑貨の小売業者から、顧客と深い絆で結ばれた、データと体験を両輪とする次世代のリテールブランドへと進化し、縮小する市場の中でも持続的な成長を実現できると確信する。

第12章:付録

引用文献

  1. AIが予測する雑貨小売業界 業界|2030年市場規模推移と主要企業 …, https://service.xenobrain.jp/forecastresults/market-size/miscellaneous-goods-retail
  2. 家具・インテリアEC市場の動向|業界が抱える課題・成功させるポイントも解説 – ビズサイ, https://www.webdeki.com/column/7794/
  3. 生活雑貨,家具,インテリア 2.2兆円 21年度EC市場規模 – リビングタイムス, https://livingtimes.co.jp/store/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E9%9B%91%E8%B2%A8%E5%AE%B6%E5%85%B7%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%A2-2-2%E5%85%86%E5%86%86-21%E5%B9%B4%E5%BA%A6ec%E5%B8%82%E5%A0%B4%E8%A6%8F%E6%A8%A1
  4. 令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました …, https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html
  5. 家庭用・オフィス用家具市場に関する調査を実施(2023年) | ニュース・トピックス, https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3353
  6. 国内アパレル市場に関する調査を実施(2024年) | ニュース・トピックス – 矢野経済研究所, https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3660
  7. 【2025年版】7つの業界別にBtoCのEC化率を徹底解説, https://www.interfactory.co.jp/blog/ec-ratio/
  8. ファッション・アパレルECサイトが抱える課題と解決策!市場規模やトレンドも解説, https://jp.w2solution.tw/%E3%82%A2%E3%83%91%E3%83%AC%E3%83%ABec%E3%81%A7%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E8%AA%B2%E9%A1%8C%EF%BC%86%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E7%AD%96/
  9. 文具・事務用品市場に関する調査を実施(2024年) | ニュース …, https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3713
  10. 文具・事務用品市場に関する調査を実施(2023年) | ニュース・トピックス – 矢野経済研究所, https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3434
  11. ギフト市場に関する調査を実施(2024年) | ニュース・トピックス …, https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3745
  12. 前編】多様化する需要に適応する!今、ECで売れるギフトの3つのポイント – note, https://note.com/giftmallcorp/n/ncf9a3e380527
  13. 「日常生活とギフトに関する調査」から生活者同士のギフト市場は約6兆円 | ニュース – DNP, https://www.dnp.co.jp/news/detail/1188321_1587.html
  14. 【データから読み解く】国内eギフト・ソーシャルギフト市場動向 – BBT大学院, https://www.ohmae.ac.jp/mbaswitch/e-gift-certificate/
  15. 2025年ギフト新時代到来。ギフト市場11兆円に。ソーシャルギフト2.7兆円に。, https://urerugift.com/column/2025%E5%B9%B4%E3%82%AE%E3%83%95%E3%83%88%E6%96%B0%E6%99%82%E4%BB%A3%E5%88%B0%E6%9D%A5%E3%80%82%E3%82%AE%E3%83%95%E3%83%88%E5%B8%82%E5%A0%B411%E5%85%86%E5%86%86%E3%81%AB%E3%80%82%E3%82%BD%E3%83%BC
  16. 【2025年版】家具・インテリアECの業界動向と大手5社を解説 – ebisumart, https://ebisumart.com/blog/furniture/
  17. 博報堂生活総合研究所 「消費調査」2019年-2025年変化の結果を発表, https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/118877/
  18. 7割の女性が商品購入の情報収集にSNSを活用 最も購買に影響を与える媒体はInstagram【uluコンサルタンツ調査】 – マナミナ, https://manamina.valuesccg.com/articles/3187
  19. 【購買行動とくらしにおけるサステナビリティ意識調査】「自分の意思表示」として捉えるZ世代がサステナブルな未来をリード?! 82.5%がサステナブルな製品導入意向。最多理由は「未来の環境を良くしたい」。 | パナソニック株式会社 コミュニケーションデザインセンターのプレスリリース – PR TIMES, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000818.000024101.html
  20. 2022年のエシカル消費は 約8兆円, https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202412_03.pdf
  21. 「北欧、暮らしの道具店」のビジネスモデルの優位性【齊藤孝浩のファッション業界のミカタVol.44】, https://www.wwdjapan.com/articles/1475086
  22. プラスチック資源循環促進法とは|企業・消費者への影響はある? – リジェネ旅, https://regenetabi.jp/environment/15314/
  23. 【2023年最新版】小売業で知っておきたい「プラスチック資源循環促進法」 – エムアンドアール, https://mr-os.co.jp/column/2125/
  24. プラスチックに係る資源循環の促進等に 関する法律について, https://plastic-circulation.env.go.jp/wp-content/themes/plastic/assets/pdf/setsumei_siryou.pdf
  25. プラスチック資源循環促進法(プラ新法)とは?定義やポイントをわかりやすく解説 – 三井化学, https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/soso/archive/column/common/2022-0726-02
  26. “納得して買う”時代に 令和7年版「消費者白書」で読む意識の変化 – コマースピック, https://www.commercepick.com/archives/69579
  27. 【消費行動考察シリーズ】消費支出の変化 2024年版 | ECマーケター by 株式会社いつも, https://itsumo365.co.jp/blog/post-22788/
  28. docomo Solutions PLUS | モノ消費から、コト消費。そしてトキ消費へ ~コト消費では満たされなくなった消費者たち~, https://www.nttcom.co.jp/comware_plus/trend/201907_2.html
  29. モノ消費からコト消費、さらにトキ消費へ。Z世代はイミ・エモ消費が増加 | DX BLOG – EVERRISE, https://www.ever-rise.co.jp/dx-blog/consumption/
  30. コト消費とは?モノ消費やトキ消費との違い、需要を取り込むための施策など | 訪日ラボ, https://honichi.com/news/2025/03/17/experientialconsumption/
  31. モノ消費から、コト消費。 そしてトキ消費へ, https://www.nttcom.co.jp/comware_plus/img/201907_time.pdf
  32. コト消費からトキ消費、イミ消費、エモ消費。歴代消費行動の比較・まとめ – マナミナ, https://manamina.valuesccg.com/articles/2179
  33. 【Z世代トレンド】400人調査で判明!消費行動のカギは「自分軸」と「信頼感」, https://prx.dentsuprc.co.jp/blog/generation_z_research
  34. 2024年度「国内Z世代意識・購買行動調査」 | デロイト トーマツ グループ – Deloitte, https://www.deloitte.com/jp/ja/Industries/consumer-products/research/generationz-behavior-survey.html
  35. 【小売DX事例】オンラインとオフラインの垣根を取り払う!~無印良品~ | Unite Partners株式会社, https://unite-partners.co.jp/news/306/
  36. 【更新】RFIDタグを導入したユニクロから学ぶ他業界RFID活用のヒント – Locus Journal, https://blog.rflocus.com/rfid-uniqlo/
  37. リテールテック革命:AIカメラが実現する次世代店舗運営 | ゴウリカマーケティング株式会社, https://gourica.co.jp/service/goinsight/goinsight-column/gi-20250117/
  38. リテールテックとは?小売企業にとってのメリット・技術事例を紹介 – NTTドコモビジネス, https://www.ntt.com/business/services/xmanaged/lp/column/retail-tech.html
  39. リテールテックとは?小売企業の課題を解決した事例や成功のポイントを解説 – KDDI Business, https://biz.kddi.com/content/column/smartwork/what-is-retail-tech/
  40. 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁, https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing
  41. 景品表示法とステルスマーケティング|最新情報 – 日本弁護士連合会, https://www.nichibenren.or.jp/ja/sme/topics/20231129.html
  42. ステマの規制~景品表示法 | 株式会社 バリューアップジャパン, https://www.valueup-jp.com/2024/10/01/column-vol-l84-2/
  43. 「ステマ規制」何をしたら違反? PR表記のルールや禁止のポイント | 知っておきたい法律関係 | Web担当者Forum, https://webtan.impress.co.jp/e/2023/07/11/45094
  44. ステルスマーケティング(ステマ)とは? 問題点・定義(要件)・景品表示法の規制と運用基準などを分かりやすく解説! – 契約ウォッチ, https://keiyaku-watch.jp/media/kisochishiki/stealthmarketing/
  45. よくあるご質問 | プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)の普及啓発ページ, https://plastic-circulation.env.go.jp/etc/faq
  46. 【最新版】家具・インテリア業界を目指す方が知るべき市場概況, https://www.interfactory.co.jp/blog/furniture/
  47. 「北欧、暮らしの道具店」が提案する、顧客を惹きつける「カルチャー」は模倣困難な強みだった。, https://marketingnative.jp/con38/
  48. 【TSUTAYA ・蔦屋書店】 既存800店を順次業態転換 (前編) | ビジネスチャンス, https://www.bc01.net/topinterview/ccc_01/
  49. 【徹底解説】3COINSの人気の秘密は巧みなブランディング戦略にあった! – コンビーズメール, https://www.combeez.com/blog/strategy/blog080/
  50. 株式会社ロフトの第29期決算公告の決算・財務情報 – PR TIMES, https://prtimes.jp/finance/5011001027621/settlement
  51. プラザホールディングス (7502) : 決算情報・業績 [PLAZA HOLDINGS] – みんかぶ, https://minkabu.jp/stock/7502/settlement
  52. Francfranc、過去最高益。アイン傘下で進む“長期投資”と再構築 | Business Insider Japan, https://www.businessinsider.jp/article/2510-francfrancs-future/
  53. (株)良品計画【7453】:株価・株式情報 – Yahoo!ファイナンス, https://finance.yahoo.co.jp/quote/7453.T
  54. 22年で売上約20倍の中川政七商店 成長を支えるデータ起点のブランディングと「接心好感」の実践, https://markezine.jp/article/detail/46796
  55. リテールビジネス | 事業 | CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社, https://www.ccc.co.jp/enterprise/retailbusiness/
  56. 小売業 売上高ランキング – Strainer, https://strainer.jp/rankings/%E5%B0%8F%E5%A3%B2%E6%A5%AD/financial-Revenues
  57. (株)アクタスの会社概要 | マイナビ2027, https://job.mynavi.jp/27/pc/search/corp77861/outline.html
  58. 第2章:アパレル業界でRFID活用が注目される理由~課題解決の鍵~|東光オーエーシステム, https://note.com/toko_oa_system/n/n03a2a7671f92
  59. Z世代はゴチャゴチャしたお店が好き?本音調査から見えた購買行動 – 電通報, https://dentsu-ho.com/articles/9117
  60. Instagram購買行動調査2025:女性はインフルエンサー、男性は公式アカウント重視、保存投稿から55%が商品購入 – コマースピック, https://www.commercepick.com/archives/71575
  61. 小売業の人手不足の原因と対策法を徹底解説!効果的な人手不足対策ご紹介 – BizRobo!, https://rpa-technologies.com/insights/retail-hr-shortage/
  62. 賃上げを後押しするか? – 業界別の人手不足&賃金動向 – LifeTimeTechLabo, https://lttl.jp/column/108/
  63. 「ロフトだからこそ、可能性が広がる」 ロフト 安藤公基社長 | リテール・リーダーズ, https://retailguide.tokubai.co.jp/interviews/70726/
  64. デジタル戦略 | 取り組み | LOFT | ロフト2026年度新卒採用, https://loft.hartech.co.jp/2026/digital.html
  65. 会社概要|ロフト, https://www.loft.co.jp/company/
  66. プラザがリブランディング 海外出店やキャラクター公式ストアに挑戦 – WWDJAPAN, https://www.wwdjapan.com/articles/1752360
  67. EC売り上げ4倍、業務委託でスモールスタート!PLAZAが挑んだEC改革 – キャリーミー, https://carryme.jp/agent/case-plaza/
  68. 【QAあり】プラザ HD、売上高は前年比 5.7%増、営業利益は 53.8%増 主力のモバイルセグメントはサブスク加入者が順調に増加 – logmi Business, https://finance.logmi.jp/articles/381965
  69. 株式会社 Francfranc の株式取得(子会社化)のお知らせ, https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20240703/20240703543583.pdf
  70. Francfranc革命: インテリア業界を変えたユニークなビジネスモデル – コントリ, https://comtri.jp/30_column/francfranc/
  71. 「フランフラン」が主要旗艦店を改装 雑貨店のイメージを払拭する事業拡大戦略をトップに直撃, https://www.wwdjapan.com/articles/2242049
  72. IRストレージ「株式会社 良品計画」のIR情報 | CCReB GATEWAY(ククレブ・ゲートウェイ), https://ccreb-gateway.jp/company-information/%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%80%80%E8%89%AF%E5%93%81%E8%A8%88%E7%94%BB/?security_code=74530×=2025&listed=0&industrys=%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E6%A5%AD%E7%A8%AE
  73. 「売上よりも大切なビジョンとブランド」。300年企業 中川政七商店の事業づくり。, https://www.motivation-cloud.com/hr2048/4002
  74. ビジョンドリブンのチームワークで、「日本の工芸を元気にする!」, https://journal.meti.go.jp/p/36473/
  75. 【インテリアOMO最前線】有力4社の実践事例を分析 「CRM×接客」でLTV向上へ, https://netkeizai.com/articles/detail/15683/4/1/1
  76. 年間売上630億円規模「3COINS」快進撃の裏側 4つのポイントを探る, https://www.fashionsnap.com/article/3coins-rebranding/
  77. デコホーム事業|事業内容|ニトリ公式企業サイト – 株式会社ニトリ, https://www.nitori.co.jp/division/decohome/
  78. ニトリ/3年後に「デコホーム」100店体制、「ニトリ」と異なる業態確立へ | 流通ニュース, https://www.ryutsuu.biz/strategy/j062905-2.html
  79. 生活用品60品目の国内市場を調査 | プレスリリース | 富士経済グループ, https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=24115
  80. 富士経済、2022年の生活用品市場を調査 – 化粧品業界人必読!週刊粧業オンライン, https://www.syogyo.jp/news/2023/01/post_034790
  81. 通販・EC市場は2035年に18.6兆円へ、ECモール市場は13.1兆円に拡大【富士経済の予測】, https://netshop.impress.co.jp/node/13986
  82. 日本の家具市場は2033年までに293億米ドルに達する見込み – IMARC Group, https://www.imarcgroup.com/pressrelease/ja/japan-furniture-market-statistics
  83. 家具業界の「イマ」を徹底深掘り!市場規模の動向やアイテム別のEC売上推移 – Nint, https://www.nint.jp/blog/furniture/
  84. 令和6年度 電子商取引に関する市場調査 – 経済産業省, https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005-a.pdf
  85. 矢野経済研究所 2024年度の文具・事務用品市場を3940億円と予測 – エコール流通グループ, https://www.ecole-rg.co.jp/%E7%9F%A2%E9%87%8E%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80-2024%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%96%87%E5%85%B7%E3%83%BB%E4%BA%8B%E5%8B%99%E7%94%A8%E5%93%81%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%82%923940%E5%84%84/
  86. 博報堂「生活者のサステナブル購買行動調査2025」 – PR TIMES, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001037.000008062.html
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