音楽業界の戦略(市場リサーチ・競合企業調査)

ストリーミングを超えて:AIとファンダムが共創する次世代音楽ビジネス戦略

  1. 第1章:エグゼクティブサマリー
    1. 1.1 本レポートの目的と調査範囲
    2. 1.2 最も重要な結論(Key Findings)
    3. 1.3 戦略的推奨事項(Key Recommendations)
  2. 第2章:市場概観(Market Overview)
    1. 2.1 世界の音楽市場規模(推移と予測)
    2. 2.2 地域別分析(2024年)
    3. 2.3 成長ドライバーと阻害要因
    4. 2.4 業界主要KPIベンチマーク
  3. 第3章:外部環境分析(PESTLE Analysis)
    1. 3.1 政治(Politics)
    2. 3.2 経済(Economy)
    3. 3.3 社会(Society)
    4. 3.4 技術(Technology)
    5. 3.5 法規制(Legal)
    6. 3.6 環境(Environment)
  4. 第4章:業界構造と競争環境の分析(Five Forces Analysis)
    1. 4.1 供給者の交渉力
    2. 4.2 買い手の交渉力
    3. 4.3 新規参入の脅威
    4. 4.4 代替品の脅威
    5. 4.5 業界内の競争
  5. 第5章:バリューチェーンとサプライチェーン(権利と収益の流れ)分析
    1. 5.1 バリューチェーン分析(価値創造プロセス)
    2. 5.2 価値の源泉のシフト
    3. 5.3 サプライチェーン(収益分配)分析:「プロラタ方式」のジレンマ
  6. 第6章:顧客需要の特性分析
    1. 6.1 リスナーセグメント分析
    2. 6.2 Z世代の音楽消費行動
    3. 6.3 BtoB顧客(同期ライセンス)のニーズ分析
  7. 第7章:業界の内部環境分析
    1. 7.1 VRIO分析(メジャーレーベルの持続的競争優位)
    2. 7.2 求められる人材像の変化
    3. 7.3 人材獲得競争と労働生産性
  8. 第8章:AIの影響やインパクト(特別章)
    1. 8.1 音楽「創造(クリエイション)」へのインパクト
    2. 8.2 音楽「流通・消費(ディストリビューション)」へのインパクト
    3. 8.3 音楽「管理(アドミニストレーション)」へのインパクト
    4. 8.4 新たなビジネスモデルと脅威
  9. 第9章:主要トレンドと未来予測
    1. 9.1 「プロラタ」から「ユーザーセントリック」へ
    2. 9.2 D2F(Direct to Fan)モデルの本格化
    3. 9.3 ショート動画プラットフォームとの「共生」
    4. 9.4 グローバル・ミュージック・エコノミー(非英語圏の台頭)
    5. 9.5 ライブ・エンタテインメントの高付加価値化
  10. 第10章:主要プレイヤーの戦略分析
  11. 第11章:戦略的インプリケーションと推奨事項
    1. 11.1 今後5年で、音楽業界の勝者と敗者を分ける決定的な要因
    2. 11.2 直面する機会と脅威
    3. 11.3 事業ポートフォリオと戦略的オプションの評価
    4. 11.4 最終推奨事項:「A&F(Artist & Fandom)カンパニー」への変革
  12. 第12章:付録
    1. 12.1 参考文献、引用データ、参考ウェブサイトのリスト
      1. 引用文献

第1章:エグゼクティブサマリー

1.1 本レポートの目的と調査範囲

本レポートの目的は、音楽業界が直面する多層的な地殻変動を分析し、持続可能な成長戦略の策定に必要な戦略的洞察とファクトベースを提供することにあります。

現在、音楽業界は以下の4つの構造的変化の渦中にあります。

  1. プラットフォーム経済の成熟: ストリーミングが市場の大半を占める一方、その収益分配モデル(プロラタ方式)が限界を迎え、価値分配のあり方が問われています。
  2. バイラルヒットへの依存: TikTokやYouTube ShortsなどのSNSがヒット創出の主要な起点となり、マーケティングの在り方が根本から変わりました。
  3. ファンダム経済の深化: K-PopのWeverseなどに代表される、アーティストとファンが直接繋がるD2F(Direct-to-Fan)モデルが、高ARPU(ユーザー一人当たり売上高)を実現する新たな収益の柱となっています。
  4. 生成AIの台頭: AIが「創造・流通・権利管理」の全プロセスを不可逆的に変革し、新たなビジネス機会と法的な脅威を生み出しています。

本レポートの調査範囲は、録音音楽(原盤)、音楽出版(著作権)、ライブ・エンタテインメント、および関連するプラットフォーム、アーティストマネジメント、権利管理ビジネスを対象とします。

1.2 最も重要な結論(Key Findings)

本分析から導き出された最も重要な結論は、以下の3点です。

  1. 市場の「二重分断」の発生:
    音楽市場は、「ストリーミング」を中心とした「Attention Economy(可処分時間の奪い合い)」と、「ファンダム」を中心とした「Fandom Economy(エンゲージメントの深化)」という、異なる論理で動く2つの市場に分断されました。前者は月額10ドル前後の低ARPUで「広く浅く」収益を上げる一方、後者は高額なマーチャンダイズやライブを通じて高ARPUで「狭く深く」収益を上げます。業界の成長は、前者(ストリーミング)の成熟により鈍化しており 1、今後の成長機会は後者(ファンダム)にしか存在しません。
  2. 価値分配モデル(プロラタ)の構造的欠陥:
    現在の主要な収益分配モデルである「プロラタ方式」 3 は、ファンの支出が必ずしもそのファンが聴いたアーティストに分配されないという構造的欠陥 4 を抱えています。これは、アーティストとの「絆」に投資する「ファンダム経済」の論理と根本的に矛盾します。「ユーザーセントリック方式(UCPS)」 5 への移行は、豊富なカタログとニッチジャンルを持つ大手レーベルにとって、収益性を劇的に改善する最大の機会です 6。
  3. AIは「脅威」である以上に「交渉カード」である:
    Suno 8 やAIボーカルクローン 9 に代表される生成AIは、著作権侵害やディープフェイク 10 という深刻な脅威をもたらします。しかし、Universal Music Group (UMG)が示した二重戦略(Sunoへの法的措置とStability AIとの提携) 11 が示すように、AIは「自社の豊富なカタログ(原盤・出版権)」という最強の資産 12 を、AI企業に対する「高額な学習ライセンス」としてマネタイズするための、歴史的な「交渉カード」でもあります。

1.3 戦略的推奨事項(Key Recommendations)

上記分析に基づき、取るべき主要な戦略的推奨事項は以下の4点です。

  1. 事業ポートフォリオのピボット:「A&R」から「A&F(Artist & Fandom)」へ
    従来の「原盤権」を中心としたA&R(Artist & Repertoire)モデルから、HYBE 13 のような「アーティスト・ブランド」の価値を最大化する「A&F(Artist & Fandom)」モデルへと事業の軸足を移すべきです。低ARPUのストリーミングに最適化された組織(BtoC)と、高ARPUのD2F事業を推進する「ファンダム事業部門(BtoF)」を明確に分離し、後者に経営資源を集中投下する必要があります。
  2. AIに対する「キャロット・アンド・スティック」戦略の実行
    UMG 11 と歩調を合わせ、AIに対する二重戦略(アメとムチ)を採択します。「無許諾」のAIモデル(Suno等)に対しては法的措置を辞さず、自社カタログの価値を守ります。同時に、「許諾」を求めるAIモデル(Stability AI等)とは戦略的提携を結び、AIツール開発の主導権と「AI学習ライセンス」という新たな高額収益源を確立します。
  3. 「Rights-Tech」への投資によるバックオフィスの収益事業化
    AIボーカルクローン(「声」の権利) 9 や、UGC上の侵害コンテンツ 14 の爆発的増加に対応するため、AIによる権利検出・管理技術(Rights-Tech)への投資(M&Aまたは提携) 15 は不可避です。これは「コスト(防御)」であると同時に、自社のバックオフィス機能を高度化し、他のレーベルやアーティストに提供する「高マージンなBtoB収益事業(攻め)」の源泉となります。
  4. 「ユーザーセントリック方式(UCPS)」への移行の戦略的推進
    Spotifyが提示する「アーティストセントリック」 16 は、プロラタ方式の欠陥を解決しない「アリバイ作り」に過ぎません。UCPSへの移行が自社のカタログ収益を最大化するという試算 6 に基づき、これを「公正な分配」という名目だけでなく、自社の「P/L改善」のための最重要戦略として、規制当局や世論を巻き込み、プラットフォームに対して強く働きかけ続けるべきです。

第2章:市場概観(Market Overview)

2.1 世界の音楽市場規模(推移と予測)

世界の録音音楽市場は、ストリーミングに牽引された10年間の回復を経て、新たな局面を迎えています。MIDiA Researchの予測によると、世界の録音音楽収益は2032年までに1,098億ドル(約16.5兆円)に達すると見込まれています 1。

しかし、足元の成長は鈍化しています。2023年の好調な成長の後、2024年の世界録音音楽収益の成長率は4.5%にとどまりました 1。これは、欧米を中心とした成熟市場でのサブスクリプションの飽和と、広告市場の競争激化による広告収入の伸び悩みが要因です 2。

セグメント別では、2024年に史上初めて、総収益に占めるストリーミングのシェアが61.5%から61.3%へと微減しました 19。これは市場が「ストリーミング一辺倒」の成長期から、次の収益源を模索する成熟期へ移行したことを示す重要なシグナルです。
一方で、フィジカル(CD・アナログレコード)は、2024年に-4.8%と減少したものの 19、市場全体の動向を左右する「キングメーカー」としての役割を担っており、フィジカルが好調な年(例:2023年)は市場全体が好調になる傾向が続いています 1。

2.2 地域別分析(2024年)

市場の成長は、地域によって大きく異なる様相を呈しています。

米国(RIAA 2024年年次レポート) 20

  • 市場全体: 2024年の総収益(小売ベース)は前年比3%増の177億ドルと、過去最高を更新しました 22。
  • ストリーミング: 総収益の84%を占め、売上は149億ドル(前年比+3.6%)でした 21。
  • 有料会員: 史上初めて、年間の平均有料会員数が1億人を突破しました(1億30万人) 21。
  • フィジカル: 総売上は20億ドル。その内訳は、アナログレコード(LP/EP)が14.4億ドル(+6.9%)、CDが5.41億ドル(+0.7%)であり、アナログレコードがフィジカル市場の約72%を占め、CDの2.5倍以上の売上を記録しています 21。

日本(RIAJ 2024年データ) 23

  • 市場全体: 2024年の音楽ソフト(フィジカル)と音楽配信の合計売上は、3,285億円(前年比-2.6%)と、世界的な成長トレンドに逆行して市場が縮小しました 23。
  • ストリーミング: 売上は1,233億円(+5.8%)と堅調に成長し、11年連続のプラス成長となりました 23。
  • フィジカル: 売上は2,052億円(-7.1%)と減少し、特に音楽ビデオ(DVD/Blu-ray)が前年比-24.6%と急落したことが、市場全体の縮小の主因となりました 23。

その他の地域

  • アジア: 中国は2024年に+9.6%の成長を遂げ 23、MIDiA Researchは中国が2032年までに世界第2位の音楽市場になると予測しています 2。
  • グローバルサウス: ラテンアメリカ、中東、アフリカといった新興国市場が、欧米成熟市場の鈍化を補って余りある高い成長率を維持しており、世界市場の成長を牽引する主要なドライバーとなっています 2。2024年のサブスクライバーの純増のうち、5分の4は北米・欧州以外の地域から生まれています 2。

2.3 成長ドライバーと阻害要因

  • 主な成長ドライバー:
    1. 新興国(グローバルサウス)の成長: スマートフォンの普及と中間層の拡大により、中国 2、ラテンアメリカ、アフリカ 23 でのサブスクリプションが急増しています。
    2. SNSとの連携: TikTokやYouTube Shortsがプロモーションとヒット創出のプラットフォームとして機能し、新規・旧譜問わず楽曲の発見(Discovery)を促進しています 24。
  • 主な阻害要因:
    1. 成熟市場の飽和: 欧米市場でのサブスクリプション会員数の伸びが限界に達しつつあります 2。
    2. 広告収入の伸び悩み: 広告付き無料サービスの収益は、動画、ゲーム、SNSなど他のエンタテインメントとの広告枠の奪い合いにより、伸び悩んでいます 2。
    3. 収益分配の不透明性: プロラタ方式に代表される現在の収益分配モデルが、アーティストやレーベルの不満を生み、業界の持続可能性への懸念となっています 4。

2.4 業界主要KPIベンチマーク

業界の主要プレイヤー(メジャーレーベル、プラットフォーム)の財務健全性と規模感を比較し、自社の立ち位置と交渉相手の状況を定量的に把握することは、戦略策定の基礎となります。

表2.1:主要プレイヤーKPIベンチマーク(FY2024 / Q2 2025)

プレイヤーカテゴリ最新業績(売上)利益指標(EBITA / OIBDA / 営業利益)主要KPI
Universal Music Group (UMG)メジャーレーベル105億ドル (FY2024) 19N/A市場シェアNo.1。2024年成長率+10.2% 19
Sony Music Group (SMG)メジャーレーベル1兆8,426億円 (FY2024) 25営業利益 3,573億円 25録音・出版ともに好調。為替影響もプラスに 25
Warner Music Group (WMG)メジャーレーベル16.89億ドル (Q3 2025) 26Adjusted OIBDA 3.03億ドル (Q2 2025) 27Q2 2025は減収(-1%)。コスト削減進行中 27
Spotifyプラットフォーム42億ユーロ (Q3 2025予測) 28営業利益 4.6億ユーロ (Q2 2025) 28MAU 6.96億人, Premium ARPU €4.57 28
アーティスト(推定)クリエイターN/AN/ASpotify推定再生単価 $0.003 – $0.005 29

(注:FY2024は各社の決算期に基づく。Sonyは2025年3月期、UMG/WMGは2024年12月期または9月期。Spotifyは四半期ベース)


本章の分析から得られる戦略的示唆

第2章の市場分析は、2つの重要な事実を突きつけています。

第一に、音楽業界は「第二の踊り場」に到達しました。 2024年の世界的な成長鈍化 1 と、史上初のストリーミングシェア微減 19 は、先進国市場が「サブスクリプションの飽和」に達した明確なシグナルです。米国で有料会員数が1億人を突破した 22 ことは、裏を返せば「獲るべきユーザー」が枯渇しつつあることを意味します。SpotifyのARPUが€4.57 28 と微増にとどまっていることも、これ以上の単価上昇が困難であることを示しています。
したがって、経営戦略の基盤は、「新規ユーザー(New User)獲得」から「既存ユーザー(Existing User)のARPU(顧客単価)向上」へと、完全にシフトしなければなりません。これは、低ARPUのストリーミングモデル(Attention Economy)から、高ARPUの「スーパーファン」モデル(Fandom Economy) 30 への移行が、企業の生死を分けることを意味します。

第二に、日本市場の縮小 23 は、最悪のシナリオ(A worst-case scenario)を示唆しています。 日本は、K-Pop 13 と並び世界で最も強力なファンダム経済を持つ市場です。このファンダムが、高額なCD・DVD/BDといったフィジカル売上を支えてきました。しかし、2024年はそのフィジカル(特に映像)が-24.6%と急落しました 23。これは、ファンの消費行動がフィジカル(モノ)から離れた際、その熱量の受け皿となる高付加価値なデジタル(D2F)サービスが機能しなかったことを意味します。

これは対岸の火事ではありません。欧米でもアナログレコードは好調 21 ですが、これは「ノスタルジア消費」 31 に過ぎない可能性があります。日本市場の失敗 23 を教訓とし、フィジカルに依存するファンダムの熱量を、いかにしてHYBEのWeverse 13 のような持続可能なデジタル・プラットフォームに移行・収益化させるかを、最優先の戦略課題として設定する必要があります。

第3章:外部環境分析(PESTLE Analysis)

音楽業界の事業戦略は、個々の企業の努力だけでなく、マクロ環境の変動によって大きく左右されます。PESTLEフレームワークを用い、業界に影響を与える主要な外部要因を分析します。

3.1 政治(Politics)

  • プラットフォーマーへの規制圧力: 世界的にテックジャイアントの市場支配に対する監視が強まっています。特にEUでは、デジタルサービス法(DSA) 32 およびデジタル市場法(DMA) 33 が施行されました。これらは、違法コンテンツの削除義務や、自己優遇の禁止などを「ゲートキーパー」と呼ばれる巨大プラットフォーマー(VLOPs)に課すものであり、音楽レーベルとプラットフォーム間のパワーバランスに影響を与え始めています。
  • 文化振興策(ソフトパワー): 各国政府は、音楽を重要な文化輸出産業(ソフトパワー)と位置づけ、戦略的な支援を行っています。韓国政府によるK-Popの戦略的支援 34 や、日本政府のクールジャパン戦略 34 がその代表例です。これらの政策は、特定の国の音楽がグローバル市場で躍進する強力な後押しとなります。

3.2 経済(Economy)

  • 可処分所得の二極化: 可処分所得の変動は、エンタテインメント支出に直結します。月額10ドル程度のストリーミング・サブスクリプションは、景気後退局面でも解約されにくい「必需品」となりつつあります 37。一方で、高額化するライブチケット 38 やマーチャンダイズといった「ファンダム消費」は、可処分所得の減少に敏感に反応する「贅沢品」の側面を持ちます 39。
  • 為替レートの影響: 音楽ビジネスは本質的にグローバルであり、ロイヤリティ収入は為替レートの変動に大きく左右されます。例えば、Sony Music GroupはFY2024(2025年3月期)の業績において、為替レートの好影響(円安)が738億円に上ったと報告しており 25、グローバルな収益管理における為替リスクの重要性を示しています。

3.3 社会(Society)

  • ファンダム経済の深化: K-Pop 40 や日本の「推し活」に代表される、熱狂的なファンコミュニティ(ファンダム)が、組織化・経済圏化しています。彼らは単なる「消費者」ではなく、アーティスト・ブランドを積極的に支援し、時にはコンテンツを共創する「共創者(Co-creator)」となっています 41。
  • UGC(ユーザー生成コンテンツ)文化: TikTokやYouTube Shortsでの「ダンスチャレンジ」 43 や「ミーム」が、ヒット創出の主要な起点となっています。これは、レーベルによるトップダウンのマーケティングではなく、ユーザーによるボトムアップの「バイラル」がヒットを決定づける時代になったことを意味します。
  • ノスタルジア消費とリバイバル: デジタル化への反動として、Z世代を含む若年層がアナログレコードやカセットテープといった「モノ」としての音楽体験を再評価しています 31。RIAAのデータ 21 で、アナログレコードがフィジカル市場の7割以上を占めていることが、このトレンドを裏付けています。

3.4 技術(Technology)

  • ① 生成AI: SunoやUdio 8 による作曲、歌声合成(ボーカルクローン) 9、LANDR 47 によるAIミキシングなど、生成AIが「創造」プロセスを根本から変革しています。(詳細は第8章で詳述)
  • ② Web3.0: 音楽NFT(楽曲の所有権の細分化、新たなマネタイズ) 48 や、DAO(自律分散型組織によるファンコミュニティの運営) 50 が、アーティストとファンを「中間搾取(プラットフォームやレーベル)なし」で直接結びつける(D2F)技術的基盤として注目されています。
  • ③ 配信技術(高付加価値化): Appleの空間オーディオ(Spatial Audio) 52、Sonyの360 Reality Audio、Dolby Atmos 53 といったイマーシブ・オーディオ技術が、ストリーミングの「プレミアム・ティア(高額プラン)」を正当化する鍵となっています。

3.5 法規制(Legal)

  • AIと著作権/パブリシティ権: AIの「学習データ(インプット)」の著作権侵害、および「AI生成物(アウトプット)」の権利帰属が、世界中で最大の法的争点となっています。特に、AIボーカルクローン 9 の脅威に対し、米国テネシー州では2024年に「ELVIS法」が成立し、「」をパブリシティ権の保護対象に追加しました 9。これは画期的な進展です。
  • 独占禁止法(反トラスト法):
    • Live Nation / Ticketmaster: 米司法省(DOJ)および30州の司法長官は2024年5月、Live Nationと同社傘下のTicketmasterを反トラスト法違反で提訴しました 56。プロモーター(Live Nation)、会場、チケット販売(Ticketmaster)を垂直統合 58 した「フライホイール」モデル 59 による市場支配が問題視されており、司法判断次第では事業分割の可能性もあります。
    • プラットフォーム vs レーベル: 2024年初頭のUMG対TikTokのライセンス紛争 60 に見られるように、メジャーレーベルと巨大プラットフォーム間のライセンス交渉も、常に独禁法上の監視対象となっています。

3.6 環境(Environment)

  • ライブと製造の環境負荷: 大規模なコンサートツアーやフェスティバルは、膨大な電力消費(特にディーゼル発電) 62、観客の長距離移動、大量の廃棄物 62 を生み出し、深刻なカーボンフットプリントを発生させています。フィジカルメディア(CD、レコード)やマーチャンダイズの製造・配送も同様です。
  • サステナビリティへの要請: Coldplay 63 やMassive Attack 63 といったトップアーティスト自らが、環境負荷の低減(例:再生可能エネルギーの利用、187)をツアーの重要テーマに掲げています 64。サステナビリティは、単なる企業のCSR(社会的責任)から、「アーティスト・ブランドの必須要件」へと変化しており 65、ファン(特にZ世代)の支持を得るためにも不可欠な要素となっています。

本章の分析から得られる戦略的示唆

PESTLE分析は、戦略的立ち位置に3つの重要な追い風と逆風が吹いていることを示しています。

第一に、法的・政治的環境(PとL)は、歴史上初めて「プラットフォーマー(買い手)」よりも「コンテンツホルダー(供給者=レーベル)」に有利な追い風となっています。 2010年代、プラットフォームは「セーフハーバー」規定などを盾に、音楽の価値を不当に低く抑えることで成長してきました。しかし現在、EUのDSA/DMA 32 と米国のDOJ対Live Nation訴訟 56 は、「テック企業の行き過ぎた支配力」を抑制するという世界的な政治的コンセンサスを明確に示しています。
2024年のUMG対TikTok紛争 60 と、その後のUMGに有利な形での契約締結(より高いライセンス料とAI学習からの保護) 61 は、この「追い風」を最大限に利用した結果に他なりません。この「規制の波」をてことして、SpotifyやYouTubeとの次期ライセンス交渉において、より「公正な価値分配」(例:ユーザーセントリック導入、AI学習のロイヤリティ)を強気に要求できる戦略的ポジションにいます。

第二に、「技術(T)」と「社会(S)」のトレンドは、音楽消費を2つの全く異なる市場に分断しつつあります。 「技術(T)」としてのAIキュレーション(レコメンデーション) 66 やイマーシブ・オーディオ 53 は、音楽を「環境BGM」化し、受動的な「BtoC(大衆向け)」消費を促進します。一方で、「社会(S)」トレンドとしてのファンダム 41 やノスタルジア消費(レコード) 31 は、特定のアーティストへの深い愛着と「モノ」としての所有に基づく、能動的な「BtoF(ファン向け)」消費を促進します。
自社の組織と戦略を、この「二重市場(Dual Market)」に対応させる必要があります。ストリーミング対策(プレイリスト戦略)を行う「BtoCマーケティング部門」と、高ARPUを実現するD2Fサービスや限定フィジカルを企画する「BtoF事業部門」は、異なるKPIとスキルセット 67 を必要とする、全く別の事業として運営されるべきです。

第三に、「環境(E)」は、コスト要因から、アーティスト獲得(A&R)における「ブランド価値」要因へと変化しました。 従来、環境対策 62 はライブ制作における「コスト増」要因としてのみ認識されてきました。しかし、Coldplayの事例 63 や、サステナビリティへの意識が高いZ世代の動向 65 は、環境への配慮がアーティスト自身のブランド価値と直結することを示しています。
これからのA&Rにおいて、環境負荷の高いツアーや大量廃棄のマーチャンダイズを提案するレーベルは、意識の高いトップアーティストから選ばれなくなるリスクがあります。サステナビリティ(持続可能性) 64 は、今や「A&Rの交渉材料」の一つです。

第4章:業界構造と競争環境の分析(Five Forces Analysis)

マイケル・ポーターのFive Forces(5つの力)フレームワーク 68 を用い、音楽業界の複雑な競争環境と収益構造を分析します。この分析により、業界の収益性がどの要因によって圧迫され、どこに戦略的活路があるかが明らかになります。

4.1 供給者の交渉力

  • アーティスト / ソングライター:(強弱混合)
    • 交渉力が「強い」供給者: テイラー・スウィフトやBTSのような、グローバルなファンダムを持つ一握りのカリスマ的トップアーティストは、レーベルやプラットフォームに対して極めて強い交渉力(契約条件、原盤権の保有)を持ちます 69。
    • 交渉力が「弱い」供給者: 大多数の中堅・新人アーティストは、ストリーミングプラットフォーム(Spotifyのアルゴリズム 70)やメジャーレーベル(プロモーション網 71)への「依存」から逃れられず、その交渉力は皆無に近いのが実情です。

4.2 買い手の交渉力

  • プラットフォーマー (Spotify, Apple, YouTube, TikTok):(極めて強い)
    • 彼らは、音楽へのアクセス(需要)を全世界の数十億人のリスナーに対して独占的にコントロールしています 70。
    • レーベル(供給者)は、自社の楽曲を配信してもらうだけでなく、Spotifyの「New Music Friday」のような主要プレイリストに採用されるよう働きかける(ピッチングする)必要があり 71、需給のパワーバランスは完全に「買い手」優位です。
  • 消費者(リスナー):(実質的に強い)
    • 消費者は、月額10~15ドルのサブスクリプション料金で、数千万曲のほぼすべての音楽にアクセス可能です。サービス間のスイッチングコスト(プレイリストの移行など)は存在するものの、基本的には低く、より良い体験や価格を求めて乗り換えることは容易です。

4.3 新規参入の脅威

  • DIYディストリビューター:(極めて高い)
    • TuneCore 72、DistroKid 72、CD Baby 73 のようなDIY(Do It Yourself)ディストリビューターの台頭は、業界構造を根本から変えました。
    • これらのサービスは、年間数千円といった安価な(あるいは無料の)手数料で、個人アーティストがメジャーレーベルを介さず、直接グローバルなプラットフォーム(Spotify, Apple Music等)に楽曲を配信することを可能にしました。
    • MIDiA Researchのデータ 19 では、「Artists Direct(自己リリースアーティスト)」セグメントが成長しており、メジャーレーベルの「A&Rの源泉」であったインディー/新人層の市場を侵食しています。

4.4 代替品の脅威

  • 可処分時間とエンゲージメントの奪い合い:(極めて高い)
    • 音楽業界の真の競合は、他の音楽レーベルやプラットフォームではありません。それは、消費者の限られた「可処分時間」と「エンゲージメント」を奪い合う、あらゆるエンタテインメントです。
    • 具体的には、映画やドラマ(Netflix等の動画配信)、モバイルゲーム(Fortnite, 原神など)、SNS(TikTok, Instagram)、YouTubeの動画コンテンツ 74 が、音楽を聴く時間を奪う強力な「代替品」となります。

4.5 業界内の競争

  • メジャーレーベル間: Universal Music Group (UMG), Sony Music Entertainment (SME), Warner Music Group (WMG) の「3大メジャー」による寡占状態が続いています 78。
    • インディーレーベルの連合体であるMerlin 78 を含めると、この4グループで世界市場の約85%を占めています。インディーレーベル(非メジャー)は、2024年に市場シェアを29.7%に伸ばしており 19、競争は激化しています。
    • 競争の主戦場は、有力なアーティストの獲得(A&R)と、過去の有力な「カタログ(原盤・出版権)」のM&Aです。
  • プラットフォーム間: Spotify(機能・プレイリスト) vs Apple Music(音質・エコシステム) 79 vs YouTube Music(動画・UGC) 80 の間で、機能、価格、独占コンテンツ(ポッドキャストなど)によるシェア争いが続いています。
  • 著作権管理団体(日本市場): 日本においては、伝統的なJASRAC(日本音楽著作権協会)と、2016年から本格参入した新興のNexTone 81 との間で、著作権管理のシェアを巡る競争が発生しています 82。

本章の分析から得られる戦略的示唆

Five Forces分析は、この業界の収益性がなぜ圧迫されているのか、そしてどこに活路を見出すべきかを冷徹に示しています。

第一に、音楽業界の最大のボトルネックは「買い手(プラットフォーム)」であり、最大の脅威は「代替品(可処分時間の競合)」です。 業界の収益性は、プラットフォームの強すぎる力 70 によって恒常的に圧迫されています。同時に、「代替品」(ゲーム 84 や動画 75)が、市場のパイそのものである「リスナーの時間」を縮小させています。
この分析から導かれる戦略は明確です。

  1. 「買い手」の力を弱める: UMG対TikTokの紛争 60 のように、自社のカタログ(原盤)という「核兵器」を武器に、団結して交渉力を高める。あるいは、買い手(プラットフォーム)を「バイパス(迂回)」する。これが、第5章以降で詳述するD2F(Direct-to-Fan)、すなわち「ファンダム経済」へのシフトの論理的帰結です。
  2. 「代替品」と戦うのではなく「組む」: 音楽を「代替品」であるゲーム、動画、SNSに積極的にライセンス(シンク)し、そこを新たな収益源とプロモーションの場に変える。

第二に、「新規参入(DIY)」の脅威 72 は、レーベルの「アーティスト・マネジメント機能」の価値が、アーティスト自身から厳しく問われていることを示しています。 なぜアーティストはDIYを選ぶのでしょうか? それは、「配信するだけ」の機能に対して、従来のレーベル契約(69で示唆されるような高いマージン)が割に合わないからです。
メジャーレーベルは、もはや「ディストリビューション(流通)」機能で価値を出すことはできません。アーティストに提供すべき価値は、DIYでは不可能な「グローバル・マーケティング(特に非英語圏での展開)」「高度なデータ分析に基づく戦略(95)」「ファンダムコミュニティの構築・運営(41)」「AIやUGCから権利を守る複雑な権利管理(69)」にあります。これらの「高付加価値サービス」を強化し、DIYとの差別化を明確にする必要があります。

第5章:バリューチェーンとサプライチェーン(権利と収益の流れ)分析

音楽業界のバリューチェーンは、「アセット(資産)」としての権利の創出と、その権利から収益を生み出すサプライチェーン(分配)の2つの側面で理解する必要があります。

5.1 バリューチェーン分析(価値創造プロセス)

音楽の価値は、以下の2つの異なる権利を創出するプロセスから生まれます。

  1. ① 楽曲創造(作詞・作曲):
    • プレイヤー: ソングライター、作曲家、音楽出版社(Publishers)
    • 創出されるアセット: 出版権(Publishing Rights) 85。これは、楽曲の「メロディと歌詞」そのものに関する権利です。
  2. ② 原盤制作(レコーディング):
    • プレイヤー: アーティスト(実演家)、プロデューサー、レコードレーベル
    • 創出されるアセット: 原盤権(Master Rights) 85。これは、その楽曲を「レコーディングした特定の音源」に関する権利です。

これら2つの権利は、バリューチェーンの③管理・宣伝(出版社やレーベルによるプロモーション)、④流通・収益化(プラットフォームでの配信、CD製造、ライブ興行、同期ライセンス)を通じてマネタイズされます。

5.2 価値の源泉のシフト

伝統的に、レコードレーベルの力の源泉は「原盤権(Master Rights)」 86 の所有にありました。原盤を所有し、それを複製(CD、レコード)して販売することがビジネスの核心でした。

しかし、ストリーミングの登場はこの構造を一変させました。
ストリーミングは、1再生あたり$0.003(推定値) 29 という単価で音楽を「コモディティ化(日用品化)」させました 87。リスナーにとって、楽曲は「所有」するものではなく「アクセス」するものとなり、個々の楽曲(アセット)の価値は相対的に低下しました。
その結果、価値の源泉は、コモディティ化した「楽曲」や「原盤権」そのものから、以下へと明確にシフトしています。

  • 「アーティスト自身のブランド力」と「ファンダム」:
    楽曲の再生(ストリーミング)から得られる収益よりも、そのアーティストの「ブランド力」を背景とした、ライブ動員、高額なマーチャンダイズ販売、ブランドとのタイアップ、そしてファンコミュニティ(ファンダム) 41 からの直接収益(D2F) 42 が、アーティストとレーベルの収益の源泉として遥かに重要になっています。

これは、従来のレーベルのビジネスモデル(原盤権を所有し、そのアセットから収益を得る)が、現在の市場(ファンダムとの関係性から収益を得る)とミスマッチを起こし始めていることを示唆します。HYBE(Weverse) 13 のように、ファンダムとの「関係性」そのものを管理・収益化するビジネスモデルが、原盤権ビジネスよりも優位になりつつあります。

5.3 サプライチェーン(収益分配)分析:「プロラタ方式」のジレンマ

現在、価値の源泉が「ファンダム」に移行しているにもかかわらず、ストリーミング収益の根幹をなす「サプライチェーン(収益分配)」は、その逆の論理で動いています。これが「プロラタ方式」のジレンマです。

プロラタ方式(Pro-Rata Model)とは
Spotifyなど、現在の主要ストリーミングサービスが採用する収益分配モデルです 3。
収益分配プロセス 3

  1. プラットフォームが、特定の国・期間において、全ユーザー(プレミアムプランと広告付きプラン)から得た総収益(例:100億円)を一つの巨大な「ロイヤリティ・プール」に集めます。
  2. プラットフォームが、自社の取り分(例:約30%=30億円)を差し引きます 3。
  3. 残りの「ロイヤリティ・プール」(例:70億円)を、その国・期間の「全楽曲の総再生回数」で割ることで、1再生あたりの単価を(事後的に)決定します。
  4. 各アーティスト(権利者)は、自身の楽曲の「総再生回数シェア」に応じて、このプールから分配金を受け取ります。

致命的な欠陥:ファンダム経済との矛盾 4
このモデルの致命的な欠陥は、「特定のファンが支払ったお金は、そのファンが聴いたアーティストには直接行かない」という点にあります。
(例)

  • ユーザーAは、月額1,000円を支払い、ニッチなジャズアーティストXの曲だけを100回聴きました。
  • ユーザーBは、月額1,000円を支払い、トップスターYの曲を100回聴きました。
  • プロラタ方式の分配: ユーザーAの1,000円も、ユーザーBの1,000円も、同じ「ロイヤリティ・プール」に入ります。その月の「総再生回数シェア1位」がトップスターYであった場合、アーティストXを熱心に支援したユーザーAの1,000円も、その大半が(Aが一切聴いていない)トップスターYの分配原資となります。アーティストXが受け取るのは、総再生回数シェア(例:0.0001%)に応じたごくわずかな金額のみです。

プロラタ方式は、熱狂的なファン(スーパーファン)が特定のアーティストを「支援」しようと(4)、そのお金が(アーティストXではなく)市場の多数派(アーティストY)に流れてしまうシステムであり、「ファンダム経済」の論理と「論理的に矛盾」しています。


本章の分析から得られる戦略的示唆

第5章の分析は、ビジネスモデルの根幹に関わる2つの重要な戦略的転換点を示しています。

第一に、バリューチェーンの価値源泉が「原盤権(アセット)」から「アーティスト・ブランド(ファンダム)」へ移行した 87 今、原盤権の所有 86 のみに依存する伝統的なレーベルのビジネスモデルは、根本的な見直しを迫られています。 かつてレーベルの収益の柱は「原盤権」から発生するロイヤリティでした。しかし、そのロイヤリティを決定する「プロラタ方式」 3 が、楽曲の価値をコモディティ化させました 87。
したがって、自らを「原盤権ホルダー」と定義するのをやめ、「アーティスト・ブランド・サービス(A&F)企業」と再定義すべきです。原盤制作はもはや「コストセンター」であり、「プロフィットセンター」はファンダム・マネジメント(ライブ、マーチャンダイズ、D2F) 41 にあると認識を改める必要があります。

第二に、「プロラタ方式」 3 は、特定の層に不当に有利な、歪んだシステムです。 この方式は、”Heavy User”(再生時間が非常に長いユーザー)の聴くジャンル(7)(=往々にしてBGM的に長時間再生されるジャンルや、ヒップホップなど)に不当に多くの収益を分配します。一方で、熱心なファンが集中して聴くジャンル(=ジャズ、クラシック、ロック 6)の収益は、再生時間が短いために不当に低く抑えられています。
もし豊富な「カタログ(旧譜)」や「ニッチジャンル(ジャズ、クラシック等)」の原盤を多く保有している場合、現在のプロラタ方式は「戦略的に不利」なシステムです。自社のカタログ価値を最大化するため、第9章で詳述する「ユーザーセントリック方式」の導入を、業界のリーダーとして積極的に推進すべきです。

第6章:顧客需要の特性分析

音楽業界の顧客、すなわち「リスナー」は、単一の塊ではありません。熱量、世代、消費行動によって明確にセグメント分けされ、それぞれ異なるアプローチが求められます。

6.1 リスナーセグメント分析

顧客(リスナー)は、その熱量によって大きく3つのセグメントに分類できます。

  1. ① スーパーファン (Super Fans) / ファンダム:
    • 定義: アーティストの活動に深くコミットし、高額な支出(ライブ、マーチャンダイズ、限定フィジカル)を厭わない熱狂的なファン層 30。K-Popのファンダム 13 が典型です。
    • 行動: MIDiA Researchの分析によれば、この層は全リスナーの上位10-20%程度でありながら、音楽関連の収益(特にマーチャンダイズ 84 やライブ)の過半数を占めると推定されます。
    • 戦略的意味: 高ARPUの源泉であり、「ファンダム経済」の中心的な担い手です。
  2. ② アクティブリスナー (Active Listeners):
    • 定義: 新譜を能動的にチェックし、プレイリストを自ら作成・管理するなど、音楽への関与が比較的高い層。
    • 行動: ストリーミング(サブスクリプション)の中心的なユーザー層です。
    • 戦略的意味: ストリーミングの再生回数とサブスクリプション収益の基盤となります。
  3. ③ パッシブリスナー (Passive Listeners):
    • 定義: アルゴリズムによるレコメンデーションや既存のプレイリストに受動的に音楽を聴く層 89。
    • 行動: 音楽を「BGM」として、あるいは「ながら聴き」として消費することが中心です。
    • 戦略的意味: ストリーミングの再生回数(Volume)には貢献しますが、ARPUの向上は見込めません。

6.2 Z世代の音楽消費行動

特に重要なセグメントであるZ世代の音楽消費行動は、上の世代とは全く異なる特性を示します。

  • 発見(Discovery): 最大の発見起点は、TikTokおよびYouTube Shortsです 43。テレビやラジオではなく、アルゴリズムによって提示された「サウンド(15秒~30秒)」が、アーティストや楽曲との最初の出会いとなります。
  • 消費(Consumption): 「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する傾向が強く、曲全体を聴くよりも、TikTok上の「ダンスチャレンジ」 44 や「ミーム」として、特定の「サビ」や「フック」部分をUGC(ユーザー生成コンテンツ)を通じて繰り返し消費します 90。
  • エンゲージメント(Engagement): Z世代のエンゲージメントは、「極端な二極化」が特徴です。大多数の楽曲に対しては上記の「タイパ」重視の受動的な消費(パッシブ)に留まりますが、一度「推し(Oshi)」として認定したアーティスト(ファンダム対象)に対しては、旧来のファン以上に時間と高額な支出(ライブ、グッズ、D2Fサービス)を惜しまない、極めて深いエンゲージメント(アクティブ)を示します。

6.3 BtoB顧客(同期ライセンス)のニーズ分析

リスナーというBtoC顧客に加え、音楽業界にはBtoB顧客、すなわち同期ライセンス(シンクライセンス)の購入者(広告代理店、映画・ドラマ・ゲーム制作者、YouTuber)が存在します。

  • BtoB顧客のニーズ: 彼らが音楽に求める価値は、「ブランド親和性」「話題性(バイラルヒットであること)」、そして何よりも「ライセンス処理の容易さ」です。
  • 従来の課題: 従来のシンクライセンスは、①原盤権者(レーベル)と②出版権者(出版社)の双方から、個別に許諾を得る必要があり、非常に複雑で時間がかかる(=処理が容易でない)という大きなペインポイント(不満点)がありました。
  • 新たなトレンドとAIの影響:
    1. AI検索の需要: BtoB顧客は、AIによる「キーワード検索(例:悲しい、疾走感のある、80年代風の)」や「類似曲検索」の精度向上を求めています 91。
    2. AI生成BGMの脅威: AIが自動生成する「ロイヤリティフリーBGM」 92 が、低予算の広告案件やYouTube動画のBGM市場を急速に奪いつつあります 93。
    3. AIによる処理の自動化: AIやブロックチェーンを活用し、複雑な権利処理(クリアランス)を自動化・簡素化する「Rights-Tech」ソリューション 69 が求められています。

本章の分析から得られる戦略的示唆

第6章の顧客分析は、マーケティング戦略と事業開発が、2つの異なる「経済圏」をターゲットにしなければならないことを示しています。

第一に、音楽市場は「パッシブリスナー」向けの「Attention Economy」と、「スーパーファン」向けの「Fandom Economy」という2つの異なる経済圏に完全に分断されました。 パッシブ層 89 はストリーミングの「再生回数(Volume)」を稼ぎますが、ARPUは月額10ドルで頭打ちです。一方、スーパーファン 30 は「エンゲージメント(Value)」が極めて高く、ARPUは青天井(数万~数十万円)です 84。
現行の戦略(プロラタ方式のストリーミング 3)は、「Attention Economy」に最適化されすぎています。しかし、第2章で見たように、この市場はすでに飽和しています 19。真の成長(=ARPU向上)は「Fandom Economy」にしかありません。戦略的リソース(A&R、マーケティング予算)を、「スーパーファン」 30 の特定と、彼らに向けた高付加価値サービス(D2F)の開発に集中投下する必要があります。

第二に、Z世代の「TikTok起点」 43 の消費行動は、従来の「A&R → マーケティング → ヒット」というフローを「マーケティング(バイラル) → A&R → ヒット」という順序に逆転させました。 かつては、A&Rが「良い曲」を発掘し、マーケティングがそれをラジオやTVで「プッシュ」してヒットを生み出しました。現在は、TikTokのアルゴリズムが「ウケるサウンド」を勝手に発掘し 24、バイラル(UGCの連鎖) 90 が起きます。A&Rの仕事は、そのバイラルを「後追い」でデータ分析し 95、そのアーティストの「ファンダム化」のポテンシャルを即座に評価し、契約する、という「リアクティブ(反応型)」なものへと変化しました。
A&R部門は、「ヒット予測」から「バイラル・リアクション」へと役割を変えなければなりません。データ分析チーム 67 とA&Rを一体化させ、TikTok上のバイラルを即座に検知し、契約するスピードと精度が、レーベルの競争力を決定します。

第三に、BtoB(シンク)市場において、AI 92 は「競合」であり、同時に「ソリューション」でもあります。 AI生成BGM 92 は、低価格帯の「機能的音楽」市場 93 を破壊する「脅威」です。一方で、BtoB顧客の最大の不満 94 は「ライセンス処理の面倒さ」にあります。
低価格帯のシンク市場は「捨てる」(AIに任せる)という戦略的決断をすべきです。その代わり、自社が保有する高価値な「カタログ(原盤)」のライセンス処理プロセス(検索、許諾、決済)にAI 91 とブロックチェーン 69 を導入し、「ワンクリックで許諾可能」な状態にすべきです。これにより、面倒な手続きを嫌う高単価なBtoB顧客(映画、大手広告)のシェアを拡大することができます。

第7章:業界の内部環境分析

外部環境の変化(第3章)に対応するため、保有する内部リソース(資産)が、現在の競争環境においていかに機能するかをVRIOフレームワークで分析します。

7.1 VRIO分析(メジャーレーベルの持続的競争優位)

VRIO分析は、企業のリソースが「Value(価値)」「Rarity(希少性)」「Imitability(模倣困難性)」「Organization(組織)」の4つの条件を満たすかを評価し、競争優位の源泉を特定するフレームワークです 12。

表7.1:メジャーレーベルのVRIO分析

リソースValue (価値)Rarity (希少性)Imitability (模倣困難性)Organization (組織)競争優位
豊富な音楽カタログ(原盤権・出版権)◎ (高い) 12◎ (高い)◎ (極めて困難) (歴史的資産であり、資金があっても模倣不可能)96○ (管理体制あり)持続的競争優位
グローバルなプロモーション/ディストリビューション網○ (高い)○ (高い) 78△ (低い) (DIYディストリビューター 72 によりコモディティ化)○ (体制あり)一時的競争優位
豊富な資金力(M&A, A&R投資)◎ (高い)○ (高い)△ (困難) (他業界の巨大資本(例:テック企業)も参入可能)○ (体制あり)持続的競争優位
有力アーティストとの関係・ブランド◎ (高い)○ (高い)○ (困難) (信頼構築に時間がかかる) 69△ (A&R担当者の属人的スキルに依存)持続的競争優位

VRIO分析の結論:
この分析が示すのは、メジャーレーベルの競争優位の源泉が、かつての「ディストリビューション(流通)」機能(DIY 72 により模倣が容易になった)から、以下の3つにシフトしたという事実です。

  1. 歴史的な「カタログ(原盤・出版権)」 12
  2. M&Aや大規模A&Rを可能にする「資金力」
  3. アーティストとの「関係性(ブランド)」 69

7.2 求められる人材像の変化

競争優位の源泉が変われば、求められる人材も変わります。

  • 伝統的A&Rの変容:
    従来の「黄金の耳(Golden Ears)」と呼ばれる個人の感性や経験に依存したA&R 95 は、もはや機能しません。TikTokやSpotifyの再生データを分析し、ヒットの兆候を掴む「データ分析スキル」 97 が必須となっています。現代のA&Rは、アーティストを「投資先」として評価し、データに基づいてROIを管理する「VC(ベンチャーキャピタリスト)」 95 へと変貌しています。
  • 新規需要の高い専門職:
    1. データサイエンティスト: ヒット予測(244)、ファンダム動向分析、ストリーミングの不正再生(Fraud)の検出。
    2. デジタルマーケター: TikTok/Shortsでのバイラル戦略の策定、プレイリスト・ピッチングの最適化。
    3. コミュニティマネージャー: ファンダム(Weverse, Discord, etc.)の運営・活性化 67 を通じ、D2F(Direct-to-Fan)収益を最大化する専門家。

7.3 人材獲得競争と労働生産性

  • テック業界との人材獲得競争:
    上記の「データサイエンティスト」や「AIエンジニア」 67 の獲得において、音楽業界はGAFAM(Google, Apple, Meta, Amazon, Microsoft) 98 やTikTok(ByteDance)、AIスタートアップ 99 といったテック業界と、国境を超えた「人材獲得競争(Talent War)」 98 を繰り広げることになります。
  • 課題(給与水準の格差):
    音楽業界は、これらのテック企業に対して「給与水準」で圧倒的に劣ります 99。AIエンジニアやトップクラスのデータサイエンティストを、テック企業と同じ条件で「採用」することは極めて困難です。
  • 労働生産性:
    1. バックオフィス(低生産性): 複雑な権利処理や印税計算 69 は、いまだに手作業や部署ごとに分断されたレガシーシステムに依存しているケースが多く、業界全体の生産性を著しく下げています。
    2. AIによる生産性向上のポテンシャル: AI 15 やブロックチェーン 69 の導入により、これらのバックオフィス業務を自動化・効率化できる潜在的余地(Potential)は非常に大きく 94、高コスト体質の改善(=営業利益率の向上)に直結します。

本章の分析から得られる戦略的示唆

第7章の内部環境分析は、「真の資産」と「深刻な弱点」を浮き彫りにします。

第一に、VRIO分析 12 が示す通り、メジャーレーベルの最大の(そして唯一、模倣不可能な)資産は「カタログ(過去の原盤)」です。 この資産こそが、第8章で詳述する生成AI時代における「最強の交渉カード」となります。流通網 72 やA&Rのノウハウがコモディティ化する中で、この「カタログ」の価値をいかに守り、いかにレバレッジ(てこ)をかけるかに集約されます。

第二に、音楽業界は、重要な「データ/AI人材」 67 の獲得競争において、テック業界 99 に「勝つことができない」という前提に立つべきです。 データ 99 は、音楽業界が給与水準でテック大手に太刀打ちできないことを示しています。

したがって、戦略は「Build(自前で構築)」ではなく「Buy(買収)」または「Ally(提携)」でなければなりません。自社でゼロからAIエンジニアを「採用」しようとする(そして失敗する)のではなく、①AI権利管理やファンダム管理に特化したスタートアップを「買収(Acqui-hire)」する 100、②UMGとStability AI 11 のように、専門企業と「戦略的提携」を結ぶ、というアプローチが唯一の現実的な解となります。

第8章:AIの影響やインパクト(特別章)

生成AIの台頭は、音楽業界のバリューチェーン全体(創造、流通、管理)を根底から、かつ不可逆的に変革する最大の技術的インパクトです。

8.1 音楽「創造(クリエイション)」へのインパクト

  • プロンプト型AIによる作曲・編曲・作詞:
    Suno AI 8 やUdio 101 といった、テキストプロンプト(指示文)から数分で「歌唱入り」の高品質な楽曲を生成するAIが登場しました 8。これは、音楽制作のスキルを持たない「カジュアルクリエイター」 102 の爆発的な増加を意味します。
  • プロのワークフロー変革:
    プロのクリエイターにとって、AIは「脅威」であると同時に、強力な「アシスタント」となりつつあります。AIは、楽曲の「アイデアのスケッチ」 103 や「共創(Co-composition)ツール」 102、あるいは作詞の「インスピレーション源」 104 として活用され始めています。
  • 歌声合成・ボーカルクローン:
    特定のアーティストの声をAIに学習させ、その声で自由に歌唱させる「ボーカルクローン」 9 技術が急速に進化しています。これは、故人アーティストの声を蘇らせるといった新たな表現の可能性 105 を開く一方で、深刻な権利侵害、すなわち「AIディープフェイク」 10 の温床となっています。
  • 法的対応(ELVIS法):
    この脅威に対し、米国テネシー州は2024年、アーティストの「声」を、従来の「名前、肖像(NIL)」に加え、パブリシティ権の保護対象とする、通称「ELVIS法」を全米で初めて成立させました 9。これは、AI時代の「声」の権利保護における画期的な前例となります。
  • 制作プロセスの自動化:
    AIによるミキシング、マスタリング(例:LANDR, iZotope Ozone, Masterchannel) 47 が普及し、低コスト・短時間でプロ品質の音源制作が可能になりました。これにより、デモ制作のコストと時間が劇的に低下する一方、人間のエンジニアによる「感情的」で「芸術的」な調整の価値 108 が相対的に高まっています。

8.2 音楽「流通・消費(ディストリビューション)」へのインパクト

  • AIキュレーションの高度化:
    Spotifyの「Discover Weekly」 66 やTikTokの「For You」ページ(FYP)は、AIによるパーソナライズド・レコメンデーションが音楽発見(Discovery)の主流であることを示しています。AIキュレーションの精度が、プラットフォームの競争力を左右します 109。
  • フィルターバブル問題:
    一方で、AIキュレーションは、ユーザーが好むと「AIが判断した」音楽だけを提示し続けるため、ユーザーを「フィルターバブル」 66 に閉じ込め、新しいジャンルや未知のアーティストとの出会いを(意図せず)阻害する可能性が指摘されています。
  • コンテクスチュアル・プレイリスト:
    (未来予測)将来的には、ユーザーの状況、場所、時間、さらにはスマートウォッチなどで取得した感情やバイタルデータ 111 に応じ、AIがリアルタイムでBGMを「生成」するコンテクスチュアル(文脈に応じた)サービスが主流になる可能性があります。

8.3 音楽「管理(アドミニストレーション)」へのインパクト

  • AIによる著作権侵害の検出:
    YouTubeの「Content ID」 112 や、Pex 113、Audible Magic 14 に代表される、AI(音響指紋、オーディオフィンガープリント)技術によるUGC(ユーザー生成コンテンツ)上の無許諾利用の自動検出・収益化(またはブロック) 14 が、レーベルのUGC収益を支えるインフラとなっています。
  • AIによる権利処理・印税分配:
    近年の楽曲制作は「コライト(Co-write、共同制作)」が一般化し、1曲に10人以上の権利者が関わるなど、権利関係が極度に複雑化しています。AI 15 やブロックチェーン(スマートコントラクト) 69 を活用し、この複雑な印税計算を自動化・透明化・高速化する「Rights-Tech」分野が急速に勃興しています。

8.4 新たなビジネスモデルと脅威

  • AI生成音楽のライセンスビジネス:
    AIが生成した「ロイヤリティフリーBGM」 92 を、動画クリエイターや広告代理店に安価(または無料)で提供するビジネスモデルが急成長しています 93。これは、従来の「シンク(同期)ライセンス」市場(特に低価格帯のストックミュージック市場)を根底から破壊する「脅威」です。
  • AIディープフェイクの脅威:
    AIボーカルクローン 9 やフェイク楽曲 10 が市場に氾濫し、公式アーティストのレピュテーション(評判)を毀損 116 し、リスナーを混乱させ、権利者に支払われるべきロイヤリティを不正に奪う(ロイヤリティ・プールの汚染)脅威が深刻化しています。
  • UMGの二重戦略(キャロット・アンド・スティック):
    この脅威と機会に対し、UMGは2025年10月、画期的な二重戦略を発表しました 11。
    1. スティック(ムチ): 無許諾で学習した疑いのあるUdioやSunoを著作権侵害で提訴。
    2. キャロット(アメ): Stability AIとは「アーティスト中心」のAIツールを共同開発するために戦略的提携を締結。
      これは、AI企業に対し「無許諾利用は許さないが、許諾(ライセンス)を得れば提携する」という明確なメッセージであり、AI市場のルールメイキングを主導する動きです。

本章の分析から得られる戦略的示唆

第8章のAI分析は、3つの重大な戦略的決断を迫ります。

第一に、AIは「創造の民主化」と「管理の複雑化」を同時に引き起こします。 Suno 8 は誰でも作曲家になれる「創造の民主化」を実現しました。しかし、その結果、AIボーカルクローン 9 やディープフェイク 10 といった「管理」すべき違法・不法なコンテンツが爆発的に増加しました。
AIの「創造」機能(Suno等)はコモディティであり、本質的な収益源にはなりません。投資すべきは、AIによる「管理(Rights-Tech)」機能 14 です。爆発するAI生成コンテンツから自社の権利(原盤・声)を守り、ライセンス料を徴収する「AIの盾」こそが、AI時代の最大の収益源となります。

第二に、UMGの二重戦略 11 は、AIを「ライセンス市場」として確立するための高度な戦略です。 UMGは「Sunoを訴え」「Stability AIと組む」ことで、世界中のAI企業に対し「我々のカタログ(第7章 VRIO分析 12)で学習したければ、高額なライセンス料を払え」という明確なメッセージを送りました。
これは、ストリーミングの黎明期にレーベルが(Spotify等に対し)交渉力が弱く、低いロイヤリティを受け入れざるを得なかった「過去の失敗」を繰り返さない、という強い意志の表れです。UMGと歩調を合わせ、AI企業に対して「カタログ(原盤)」を武器に、「AI学習ライセンス料」という新たな巨大収益源を確立すべきです。

第三に、「ELVIS法」 9 の成立は、アーティストの「声」が、「原盤権」「出版権」に並ぶ「第三の権利」として資産化されたことを意味します。 これまで「声」の権利は曖昧でした 105。しかし、ELVIS法 9 は、AIボーカルクローンから保護するための明確な法的根拠を与えました。
所属アーティスト(特に故人やレジェンド)の「声」を「資産」として再定義し、管理・ライセンスする専門部署を設立すべきです。これには、ボーカルクローンの「公式ライセンス」(例:本人の許可を得たAIボイスの提供)ビジネスと、無許諾クローンをAIで検出・削除する「権利保護」ビジネスの両方が含まれます。

第9章:主要トレンドと未来予測

これまでの分析を踏まえ、今後5年間の音楽業界のビジネスモデルを規定する、不可逆的な主要トレンドと未来予測を提示します。

9.1 「プロラタ」から「ユーザーセントリック」へ

第5章で指摘した「プロラタ方式(MCPS)」 3 の構造的欠陥(ファンの支出がアーティストに直結しない 4)は、業界最大の議論の的です。その対案が「ユーザーセントリック方式(UCPS)」です。

  • ユーザーセントリック方式(UCPS)とは:
    リスナー(ユーザー)が支払ったサブスクリプション料を、そのリスナーが「実際に聴いたアーティストにのみ」、聴取時間や再生回数に応じて分配するモデルです 5。ユーザーAの1,000円は、ユーザーAが聴いたアーティストXとYにのみ分配され、Aが聴いていないスターZには1円も支払われません。
  • UCPSへの移行インパクト(試算):
    フランス国立音楽センター(CNM)や各種調査 7 によると、UCPSへ移行した場合、収益分配は劇的に変化します。
    • プラス影響(収益増): クラシック(+25%)、ロック(+12%)、ジャズ(+10%)など、熱心なファンが集中して聴くニッチジャンルや、長期間聴かれるカタログ(旧譜) 6。
    • マイナス影響(収益減): ヒップホップ(-40%)など、”Heavy User”(再生時間が極端に長い)によって再生され、プロラタ方式で過剰に分配金を得ていたジャンル 6。
  • 現状とSpotifyの「妥協案」:
    SoundCloudは「Fan-Powered Royalties」 6 として、Deezer 119 も一部でUCPSを導入しており、SoundCloudの対象アーティストはUCPSにより平均60%収益が増加したと報告されています 6。
    しかし、最大手のSpotifyは「実装コストの増大(2~3%)」 6 などを理由に、真のUCPS導入には消極的です。代わりにSpotifyが2024年から導入した「アーティストセントリック」モデル 120 は、UCPSとは全く異なります。これは、①年間1,000再生未満の曲への支払いを停止 16、②不正ストリーミングへのペナルティ、を柱としており、ロイヤリティ・プールの下位0.5%をカットし、上位に「プロラタで」再分配する「プロラタの改良版」に過ぎません。

9.2 D2F(Direct to Fan)モデルの本格化

Web3.0(NFTによるデジタル所有権) 48 や、HYBEのWeverse 13 に代表される独自のファンダム・プラットフォームの登場により、アーティストがレーベルやプラットフォーム(中間)を介さず、ファンと直接(D2F)繋がり、収益(限定コンテンツ、マーチャンダイズ、有料DM 122)を上げるビジネスモデルが本格化しています。これは、低ARPUのストリーミングとは対極にある、高ARPUのビジネスモデルです。

9.3 ショート動画プラットフォームとの「共生」

TikTokは最強のプロモーションツール(楽曲発見の場) 24 であると同時に、楽曲の価値を「15秒のミーム」に貶め、十分な対価を支払わない(とレーベル側が主張する)リスクも持ちます。
2024年初頭のUMG対TikTokのライセンス紛争 123 と、その後の(UMGに有利な形での)和解 60 は、レーベル側がTikTokに対し、「プロモーション効果」だけでなく「公正なライセンス料」と「AI学習からの保護」を要求する姿勢を明確にした点で画期的でした。今後も、この「共生と対立(Co-opetition)」の関係は継続します。

9.4 グローバル・ミュージック・エコノミー(非英語圏の台頭)

K-Pop 40、ラテン 125、アフロビーツ 126 など「非英語圏」の音楽がグローバルチャートを席巻する流れは、もはやトレンドではなく「常態」です。
Luminateが発表した2023年のデータ 125 は衝撃的です。米国内のTop10,000ストリーミング楽曲において、スペイン語楽曲のシェアが3.8%増加し、その一方で英語楽曲のシェアが3.8%減少したのです 127。これは、非英語圏の音楽が英語圏のシェアを直接奪う「ゼロサムゲーム」が始まったことを示しています。

9.5 ライブ・エンタテインメントの高付加価値化

ストリーミングで音楽(音源)が安価になった反動で、ライブ 128 やフェスティバル 129 といった「一度きりのリアル体験」の価値が(価格と共に)高騰しています。
一方で、Live Nation / Ticketmasterは、需要に応じて価格をリアルタイムで変動させる「ダイナミック・プライシング」 38 を導入していますが、これがチケット価格の異常な高騰を招き、消費者からの強い反発と、米司法省(DOJ)による反トラスト訴訟 56 の一因ともなっています。


本章の分析から得られる戦略的示唆

第9章のトレンド分析は、直面する「大きな機会」と「対処すべき脅威」を明確にします。

第一に、「ユーザーセントリック(UCPS)」への移行は、”Heavy User”(再生時間が長い)に依存するヒップホップ系レーベルにとっては「脅威」ですが、豊富なカタログと多様なジャンルを持つメジャーレーベルにとっては、収益を最大化する「絶好の機会」です。 CNMの調査 6 が示すように、UCPSは自社が強みを持つ「カタログ」や「ロック」「クラシック」 17 にとって有利です。
Spotifyが抵抗する(6)「真のUCPS」の導入を、政治(規制当局)や世論(アーティストへの公正な分配)を巻き込んで推進すべきです。これは、自社のカタログ収益を(プロラタ方式の呪縛から解放し)最大化するための「正義あるP/L改善戦略」です。

第二に、Luminateのデータ 125 が示す「英語圏シェアの低下(-3.8%)」は、A&Rの根本的なグローバル化が必須であることを意味します。 英語楽曲のシェアが3.8%「減少」し、スペイン語が3.8%「増加」したというデータは、これが「棲み分け」ではなく「シェアの奪い合い」であることを示しています。
クA&R部門は、「米国でラテン音楽を売る」のではなく、「ラテン市場で、ラテンのA&Rが、ラテン音楽のA&Rを行う」体制(=現地法人の強化と、非英語圏アーティストとの契約)へと、リソース(資金・人材)を大胆にシフトする必要に迫られています。

第三に、Spotifyの「アーティストセントリック」 16 は、UCPS導入を遅らせるための「アリバイ作り(Red Herring)」であると同時に、レーベルにとっては「カタログ収益化の新たな脅威」です。 1,000再生未満の曲への支払停止 16 は、一見すると合理的ですが、これはレーベルが保有する膨大な「カタログ(旧譜)」のうち、再生数が少ないが資産価値を持つ楽曲群を「無収益化」する可能性があります。
この「1,000再生」という閾値が、自社のカタログにどれだけのマイナス影響を与えるかを早急に試算する必要があります。同時に、Spotifyに対し、このカットされた原資(0.5%のプール 16)が「プロラタ」で再分配されるのではなく、「ユーザーセントリック」で再分配されるよう、交渉を続けるべきです。

第10章:主要プレイヤーの戦略分析

業界を動かす主要プレイヤーの戦略(=彼らが何を考え、何を達成しようとしているか)を理解することは、自社の戦略を策定する上で不可欠です。

表10.1:主要プレイヤーの戦略比較マトリクス

プレイヤーカテゴリコア戦略(ビジネスモデル)AI/Web3.0への取り組み戦略的「So What?」
UMG, Sony, WMG 78メジャーレーベルカタログ(原盤)の価値最大化。高マージンの「出版権」「アーティストマネジメント」事業の強化。AI(キャロット&スティック戦略)。Suno提訴 / Stability AI提携 11。「スーパーファン」プラットフォームの模索 30。カタログを武器に、プラットフォームとAI企業の両方から「価値(ライセンス料)」を最大化しようとしている、競合
Spotify 28プラットフォーム「音楽」から「オーディオ全般」への水平展開(ポッドキャスト、オーディオブック)79。音楽レーベルへの交渉力を相対的に下げること。AIキュレーション(Discover Weekly)66とAI DJ 132 でエンゲージメント向上。UCPSには消極的 6。レーベルへの依存度(=ロイヤリティ支払額)を下げることが全戦略の核心。
Apple Music 133プラットフォームAppleエコシステム(ハードウェア)へのロックイン。音楽はiPhone/AirPodsを売るための「キラーコンテンツ」。「品質」での差別化(空間オーディオ(Spatial Audio)52、ハイレゾ)。音楽単体での収益性よりも「Appleエコシステム」への貢献を重視。レーベルとは比較的良好な関係。
YouTube (Google) 80プラットフォーム広告(UGC)とサブスクの「二刀流」。UGC 135 を「漏斗」として有料会員(1.25億人 80)へ誘導。AIによるContent ID 112 でUGCを収益化。AIによる検索 136 やShorts 136 を強化。UGC(80: 音楽収益の約30%)という他社にない収益源を持つ最強のプレイヤー。
TikTok (ByteDance) 24プラットフォーム「発見(Discovery)」の独占と「流通(Distribution)」への進出。SoundOn 137 でアーティストを囲い込み、レーベルを中抜きする。AIアルゴリズムによる「バイラル創出」。最強のプロモーター(24)であると同時に、レーベルの機能を奪おうとする最大の競合相手(137)。
Live Nation / Ticketmaster 56ライブ「フライホイール」(垂直統合) 59。プロモーター、会場、チケット販売 58 を独占し、ライブ市場を完全に支配する。ダイナミック・プライシング 38。DOJの反トラスト訴訟 56 が最大の経営リスク。司法判断による事業分割が現実になれば、業界構造が激変する。
HYBE (Weverse) 13ファンダム「D2Fファンダム・プラットフォーム」。Weverse 138 でファン(MAU 1,090万人 139)を囲い込み、高ARPU(マーチャンダイズ、D2F)を実現。米国レーベルのM&A(Ithaca, QC Holdings)140 により、K-Popモデルをグローバルに輸出。レーベルの「未来の姿」であり、同時に有力アーティストを奪う最強の「競合モデル」
JASRAC / NexTone 82権利管理(日本)著作権管理。JASRAC(伝統的独占) vs NexTone(競争促進、デジタルに強み)81。N/A日本市場における分配の透明性と効率性、手数料率を巡る競争 81。

第11章:戦略的インプリケーションと推奨事項

これまでのすべての分析を統合し、取るべき戦略的な推奨事項を提言します。

11.1 今後5年で、音楽業界の勝者と敗者を分ける決定的な要因

今後5年で、音楽業界の勝者と敗者を分ける決定的な要因は、以下の4つの能力の有無に集約されます。

  1. AI権利管理・収益化能力:
    AI 8 が生成する膨大なコンテンツ(脅威)に対し、自社カタログ 12 とアーティストの「声」 9 という「資産」を法的に守り抜き、同時にAI学習ライセンス 11 や侵害検出(Content ID) 14 を通じて「収益化」できるか。
  2. ファンダム構築・運営能力:
    プロラタ方式 3 に依存した低ARPUのストリーミングモデルから脱却し、HYBE(Weverse) 13 のように「スーパーファン」 30 を特定・管理・収益化するD2Fプラットフォームを構築・運営(あるいは提携)できるか。
  3. グローバルA&R(非英語圏)能力:
    成長が鈍化する英語圏 127 から、急成長する「グローバルサウス」 2(ラテン 125、アフロビーツ 126)の現地A&Rへ、リソース(資金・人材)を迅速かつ大胆にシフトできるか。
  4. データ・AI人材の確保(Buy or Ally)能力:
    上記1~3を実行するために不可欠なデータサイエンティストやAIエンジニア 67 を、給与が高騰するテック業界 99 との競争の中で、いかに「M&A(買収)」や「戦略的提携」によって確保できるか。

11.2 直面する機会と脅威

以下の明確な機会(Opportunity)と脅威(Threat)に直面しています。

最大の機会(Opportunity):

  1. AIライセンス市場の創出: UMG 11 が切り開いたように、AI企業に対して自社の「カタログ学習ライセンス」を販売するという、全く新しい数十億ドル規模のBtoB市場が生まれつつあります。
  2. ユーザーセントリック(UCPS)への移行: UCPS 5 への移行は、プロラタ方式 3 の下で不当に低く評価されていた自社の豊富な「カタログ」と「ニッチジャンル」の収益性を劇的に高める、最大のP/L改善機会です 6。
  3. 規制当局の「追い風」: DOJ対Live Nation 56 やEUのDMA 33 など、プラットフォーマーへの規制(Politics)は、レーベルの交渉力(例:UMG対TikTok 61)を相対的に高める好機です。

最大の脅威(Threat):

  1. HYBE(Weverse)モデル 13: HYBEが証明した「ファンダムD2Fモデル」 138 は、有力アーティストにとって「レーベル不要論」の強力な根拠となり、A&R(アーティスト獲得)競争において不利になる最大の脅威です。
  2. TikTok(SoundOn)モデル 137: TikTokが「発見(プロモーション)」 24 から「流通(ディストリビューション)」 137 までを自社で完結させようとしており、レーベルの「流通」と「A&R」の機能を中抜き(Disintermediation)しようとしています。
  3. AIによる「声」と「BGM」のコモディティ化: AIボーカルクローン 9 とAI生成BGM 92 が、アーティストの「声」の独自価値と、低価格帯の「シンク」市場を破壊し、収益源を奪います 93。

11.3 事業ポートフォリオと戦略的オプションの評価

この環境下で、取りうる戦略的オプションは3つあります。

  • オプション1:現状維持(ストリーミング最適化):
    • *戦略:* プロラタ方式 3 とTikTokバイラル 43 に最適化したヒット創出を追求し続ける。
    • *メリット:* 短期的なキャッシュフローの維持。組織変革の痛みを伴わない。
    • *デメリット:* プラットフォーム 70 とファンダム経済(HYBE) 13 の脅威に無防備。中長期的に収益性は低下し、ジリ貧となる(茹でガエル)。(推奨しない)
  • オプション2:M&Aによる「Rights-Tech」化:
    • *戦略:* AI権利管理 15 やファンダム管理のスタートアップを積極的に買収 100 し、自らをBtoBの技術(Rights-Tech)企業へと変貌させる。
    • *メリット:* 高マージンな技術収益の獲得。人材獲得競争 99 の(買収による)解決。
    • *デメリット:* 高額なM&Aコスト。カルチャーの異なる企業(テック vs エンタメ)の統合(PMI)が極めて困難。
  • オプション3:D2F(ファンダム)へのピボット(推奨):
    • *戦略:* HYBE 13 のモデルを自社流に導入。アーティスト・マネジメント部門を強化し、D2Fのプラットフォームを(提携または買収により)構築する。
    • *メリット:* 低マージンの「ストリーミング」依存から脱却し、高ARPUの「ファンダム」収益 139 を獲得できる。アーティスト(供給者)への提供価値が向上し、A&R競争で優位に立てる。
    • *デメリット:* BtoB(レーベル)からBtoC(プラットフォーム)へのビジネスモデル転換を伴う、困難な組織変革が必要。

11.4 最終推奨事項:「A&F(Artist & Fandom)カンパニー」への変革

戦略提言:
本レポートの分析は、オプション1(現状維持)が緩やかな「死」を意味すること、オプション2(テック化)は本業とのシナジーが薄いこと、そしてオプション3(ファンダムへのピボット)こそが唯一の持続的成長の道であることを示しています。
従来の「原盤権(アセット)中心」のA&R(Artist & Repertoire)企業から、HYBE 13 のような「アーティスト・ブランド(ファンダム)中心」のサービス企業、すなわち「A&F(Artist & Fandom)カンパニー」へと、事業の軸足を根本的にシフトすべきです。

実行に向けたアクションプラン(概要):

  • Phase 1: 組織再編とKPIの変更(~1年)
    • 「ストリーミング最適化部門(BtoC)」と「ファンダム事業部門(BtoF)」を組織的に明確に分離します。
    • 「ファンダム事業部門」に、データサイエンティスト 67、コミュニティマネージャー 67、マーチャンダイジング、ライブ制作の専門家を集約し、社長直轄のプロフィットセンターとします。
    • (旧)KPI(ストリーミング再生回数)を廃止し、(新)KPI(D2F事業売上比率スーパーファン1人当たりARPUAIによる権利侵害検出・収益化件数)を導入します。
  • Phase 2: テクノロジーの確保(Buy or Ally)(~2年)
    • 「ファンダム・プラットフォーム」を自社開発しようとせず(人材獲得競争 99 に敗北するため)、Weverse 138 や他のD2Fプラットフォーム(Web3.0系 48 など)との戦略的提携(Ally)を結び、自社アーティストを供給します。
    • 同時に、AI権利管理(Rights-Tech) 15 のスタートアップをM&ABuy)し、バックオフィスと権利保護機能を一気に強化します。
  • Phase 3: 新契約モデルの導入(~3年)
    • アーティストのDIY(自立) 72 志向に対応するため、従来の「原盤権譲渡型」契約に加え、アーティストが原盤権を持ち、レーベルが「ファンダム・サービス」を提供する「サービス・フィー型」または「ファンダム収益のレベニューシェア型」の新契約モデルを導入します。
    • これにより、DIY 72 に流れていた優秀なインディーアーティストの「レーベル回帰」の受け皿となり、A&R競争での優位性を再確立します。

第12章:付録

12.1 参考文献、引用データ、参考ウェブサイトのリスト

本レポートの分析は、以下の公開情報およびデータに基づいています。

  • IFPI (International Federation of the Phonographic Industry) (GMR 2025等) 141
  • RIAA (Recording Industry Association of America) (2024 Year-End Report等) 20
  • RIAJ (Recording Industry Association of Japan) (2025年版「日本のレコード産業」等) 23
  • Luminate (2023 Year-End Report等) 125
  • MIDiA Research (Global Music Forecasts 2025-2032等) 1
  • CNM (Centre National de la Musique) (UCPS Study等) 7
  • Goldman Sachs (Music in the Air Report等) 138
  • 主要企業IR資料:
    • Universal Music Group (UMG) 145
    • Sony Music Group (Sony Group Corporation IR) 25
    • Warner Music Group (WMG) 26
    • Spotify 28
    • Live Nation Entertainment 56
    • HYBE 138
    • NexTone 81
  • その他、本レポートで使用した分析・データソース: 3

引用文献

  1. Music Forecasts – MIDiA Research, https://www.midiaresearch.com/music-forecasts
  2. Global music industry enters new phase of recalibration, says MIDiA, https://www.midiaresearch.com/blog/global-music-industry-enters-new-phase-of-recalibration-says-midia
  3. Understanding Streaming Royalties: Pro-Rata Model | Random Sounds Blog, https://www.sounds.co/en/post/royalties-streaming-pro-rata-model
  4. Streaming Payouts: Artist-Centric VS Pro Rata – Recording Fund, https://www.recordingfund.org/articles/streaming-payouts-artist-centric-vs-pro-rata
  5. Streaming: pro-rata vs user-centric distribution models | FIM, https://www.fim-musicians.org/streaming-pro-rata-vs-user-centric-distribution-models/
  6. The Music Streaming Economy – Part 15: Pro-Rata versus User-Centric, https://musicbusinessresearch.wordpress.com/2024/09/23/the-music-streaming-economy-part-15-pro-rata-versus-user-centric/
  7. Music streaming: impact of UCPS settlement model Detailed report, https://cnm.fr/wp-content/uploads/2021/03/1_CNM_UCPS_Detailed_report_January2021.pdf
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  10. Ethics Statements in AI Music Papers: The Effective and the Ineffective – arXiv, https://arxiv.org/html/2509.25496v1
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  13. Five Forces Shaping Asia-Pacific’s New Powerhouses | BCG, https://www.bcg.com/publications/2025/five-forces-shaping-asia-pacifics-new-powerhouses
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  15. Unveiling Music Publishing: Balancing Artist Rights & Earnings – UniteSync, https://www.unitesync.com/blog/controversial-take-are-music-publishing-companies-taking-too-much-from-artists
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  22. 2024 Year-End Music Industry Revenue Report | RIAA, https://www.riaa.com/reports/2024-year-end-music-industry-revenue-report-riaa/
  23. The Music Market in 2024 Declined by 2.6% — Challenges and Opportunities Facing Japan’s Music Industry : r/japanesemusic – Reddit, https://www.reddit.com/r/japanesemusic/comments/1jtil5t/the_music_market_in_2024_declined_by_26/
  24. Trending Tunes: How TikTok’s Platform Economy is Reshaping the Music Industry, https://culture-weekly.com/2025/06/02/trending-tunes-how-tiktoks-platform-economy-is-reshaping-the-music-industry/
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