化粧品業界の戦略(市場リサーチ・競合企業調査)

パーソナライズとサステナビリティが拓く未来:AI時代の化粧品業界 生存と成長の戦略

  1. 第1章:エグゼクティブサマリー
  2. 第2章:市場概観(Market Overview)
    1. 世界の化粧品市場規模の推移と今後の予測
    2. 主要な市場成長ドライバーと阻害要因
    3. 業界の主要KPIベンチマーク分析
  3. 第3章:外部環境分析(PESTLE Analysis)
    1. 政治(Politics)
    2. 経済(Economy)
    3. 社会(Society)
    4. 技術(Technology)
    5. 法規制(Legal)
    6. 環境(Environment)
  4. 第4章:業界構造と競争環境の分析(Five Forces Analysis)
    1. 供給者の交渉力:中~高
    2. 買い手の交渉力:高
    3. 新規参入の脅威:高
    4. 代替品の脅威:中~高
    5. 業界内の競争:激しい
  5. 第5章:サプライチェーンとバリューチェーン分析
    1. サプライチェーン分析
    2. バリューチェーン分析
  6. 第6章:顧客需要の特性分析
    1. 顧客セグメンテーション
    2. 購買行動プロセスの変化:非線形のエコシステムへ
    3. KBF(主要購買決定要因)の分析
  7. 第7章:業界の内部環境分析
    1. VRIO分析:持続的な競争優位の源泉
    2. 人材動向
    3. 従業員の賃金相場とトレンド
    4. 労働生産性
  8. 第8章:AIが化粧品業界に与える破壊的インパクト(Deep Dive)
    1. R&D(研究開発):イノベーションの加速
    2. 製造・サプライチェーン:予測と最適化の実現
    3. マーケティング:超パーソナライゼーションの具現化
    4. 販売・顧客体験(CX):非接触・個別対応の進化
    5. ビジネスモデル変革:マスから個へ
  9. 第9章:主要プレイヤーの戦略分析
    1. グローバル・コングロマリット
    2. 日系大手
    3. 新興D2C/インディーズブランド
    4. 有力小売/プラットフォーマー
  10. 第10章:主要トレンドと未来予測(~2030年)
    1. 超パーソナライゼーションの一般化
    2. ウェルネスとの完全融合
    3. サステナビリティの「証明可能な透明性」
    4. 美容医療とのシームレス化
    5. 「メタバース」ビューティーの萌芽
  11. 第11章:戦略的インプリケーションと推奨事項
    1. 今後5~10年で勝者と敗者を分ける決定的要因
    2. 捉えるべき機会と備えるべき脅威
    3. 戦略的オプションの提示と評価
    4. 最終提言とアクションプラン
  12. 第12章:付録
      1. 引用文献

第1章:エグゼクティブサマリー

本レポートは、化粧品業界が直面する多層的かつ急速な構造変化を分析し、持続可能な成長戦略を策定するための戦略的基盤を提供することを目的とする。調査対象は、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス等の主要カテゴリーに加え、関連する原料、容器、OEM/ODM、販売チャネル、テクノロジー業界までを網羅する。

化粧品業界は、ビジネスモデルの根本的な変革を迫られる岐路に立たされている。価値の源泉は、従来の「マス市場向けのブランドエクイティ」から、個々の消費者に最適化された「パーソナルな体験と効果」へと不可逆的にシフトしている。この地殻変動の背景には、パンデミックを経て定着したEC/D2Cへの消費行動の変化、ウェルネス意識の高まり、そしてAIやARといったテクノロジーの進化がある。

本分析からの最重要結論として、今後の化粧品業界における勝者と敗者を分ける決定的な要因は、「AIを駆使した超パーソナライゼーションの実現能力」と「サステナビリティおよびインクルーシビティへの本質的な対応力」という二つの軸に集約される。これらはもはや単なるトレンドではなく、企業の存続を左右する経営アジェンダそのものである。

これらの分析に基づき、取るべき事業戦略として、以下の4点を推奨する。

  1. AI主導のパーソナライゼーション事業の確立: AIによる肌診断・需要予測を事業の中核に据え、顧客一人ひとりに最適化された製品と体験を提供するD2Cサブスクリプションモデルへと事業構造を転換する。これにより、顧客との直接的な関係を構築し、LTV(顧客生涯価値)の最大化を図る。
  2. サステナビリティの事業中核への統合: 製品ライフサイクルの全段階(原料調達、開発、製造、包装、廃棄)において、透明性の高いサステナビリティを徹底する。これを単なるコストやコンプライアンス要件としてではなく、ブランド価値を高め、意識の高い消費者を惹きつける競争優位性の源泉として戦略的に位置づける。
  3. デジタルネイティブな顧客エンゲージメントモデルの構築: SNS、インフルエンサー、ファンコミュニティを統合的に活用し、従来の「売る場」としてのチャネルから、顧客と継続的に「繋がる場」へと再定義する。UGC(ユーザー生成コンテンツ)を誘発し、ブランドがコミュニティの一部として受け入れられるエコシステムの構築を目指す。
  4. テクノロジー企業への戦略的投資・M&A: AI/AR、バイオテクノロジー、データ分析領域における最先端のケイパビリティを迅速に獲得するため、有望なスタートアップへの戦略的投資やM&A(アクイハイアリングを含む)を積極的に実行する。

これらの戦略を実行することで、構造変化の波を乗りこなし、次世代のビューティー市場におけるリーディングカンパニーとしての地位を確立できると確信する。

第2章:市場概観(Market Overview)

世界の化粧品市場規模の推移と今後の予測

世界の化粧品市場は、消費者の美容意識の高まりや新興国における可処分所得の増加を背景に、安定した成長を続けている。複数の調査機関のデータを総合すると、2020年には約3,411億米ドルから3,984億米ドル規模であった市場は、2030年には約5,605億米ドルから8,646億米ドルに達すると予測されている 1。予測期間における年平均成長率(CAGR)は5.1%から7.1%の範囲で見込まれており、マクロ経済の不確実性の中でも底堅い成長が期待される 1。

カテゴリー別
スキンケアは市場全体の約35%から41%を占める最大のセグメントであり、今後も市場成長を牽引する中核であり続ける 3。特に、皮膚科学的知見に基づいた「ダーモコスメティクス」は、科学的根拠を重視する消費者の支持を集め、高い成長を遂げている 5。メイクアップとヘアケアも安定した需要に支えられ成長が見込まれる。特筆すべきはフレグランス市場であり、経済不安の時代において「手頃な贅沢品(Affordable Luxury)」として自己表現や精神的な満足感を求める需要を捉え、堅調に推移している 5。また、男性の身だしなみ意識の向上を背景に、メンズグルーミング市場も2030年に向けてCAGR 4%から8%台という高い成長が予測される重要な領域である 6。

地域別
アジア太平洋地域は、世界市場の約40%を占める最大かつ最速の成長市場であり、2027年にかけてのCAGRは6.7%と予測されている 1。この成長は、中国、インド、東南アジア諸国における中間所得層の拡大とデジタル化の急速な進展が原動力となっている 11。北米は成熟市場でありながら、米国が単一国として世界最大の市場規模を誇り、依然として重要な地位を占めている 1。欧州も安定した市場だが、サステナビリティや成分に関する規制が世界で最も厳しく、市場のトレンドをリードする役割を担っている。

販売チャネル別
販売チャネルの構造は劇的に変化しており、EC(Eコマース)が最も高い成長率(CAGR 6.75%~6.95%)を示し、市場全体の成長を牽引している 4。特に、メーカーが消費者に直接販売するD2C(Direct-to-Consumer)モデルは、全産業でCAGR 11%超という驚異的な成長が見込まれており、化粧品業界もその大きな潮流の中にある 17。一方で、百貨店やドラッグストアといった伝統的な小売チャネルはシェアを落としつつあるものの、ARによるバーチャル試用や専門的なカウンセリングなど、オンラインでは得られない「体験価値」を提供する場としての役割へと進化を模索している。

市場セグメント2022年市場規模(推定, 10億米ドル)2030年市場規模(予測, 10億米ドル)CAGR(%)主要トレンド
全体429.2 3560.5 – 864.6 15.1 – 7.1 1ウェルネスとの融合、パーソナライズ化
カテゴリー
スキンケア176.0294.06.6 3ダーモコスメティクスの台頭、サイエンス志向
メイクアップ90.1145.06.1 3インクルーシブな色展開、SNS映え
ヘアケア94.4160.06.8 3スカルプケア(頭皮ケア)への関心増
フレグランス52.488.06.7 3手頃な贅沢品、ニッチ・パーソナルな香り
メンズグルーミング55.581.14.8 7スキンケアの日常化、ジェンダーレス化
地域
アジア太平洋176.0294.06.0 – 7.5 1中国・インドが牽引、K-Beauty/J-Beautyの影響力
北米120.2185.05.5 1クリーンビューティー、インディーズブランドの成長
欧州98.7155.65.8 3サステナビリティ・動物実験規制の先進地域
販売チャネル
EC(オンライン)85.8216.212.2 18D2C、ソーシャルコマース、ライブコマースの拡大
伝統的小売343.4500.0 (推定)4.8 (推定)体験価値の提供、OMO(Online Merges with Offline)

(注: 各調査機関の数値を基に統合・推定。市場規模は出典により定義や範囲が異なるため、傾向を把握するための参考値とする)

主要な市場成長ドライバーと阻害要因

成長ドライバー

  • 美容・健康意識の深化(ウェルネス化): 消費者は化粧品を単なる外見の美化ツールとしてではなく、心身の健康やセルフケアの一環として捉えるようになっている。これが、高機能スキンケアやリラックス効果のあるフレグランス、インナービューティー製品への需要を押し上げている 19。
  • 新興国における経済成長: アジア太平洋、中南米などの新興国における中間層の拡大と可処分所得の増加は、化粧品市場の裾野を広げる最大の要因である 1。
  • デジタル化とECの浸透: ECプラットフォームの普及は、地理的な制約なく多様な製品へのアクセスを可能にした。特にD2Cモデルは、ブランドが直接顧客と繋がり、関係性を構築する新たな機会を創出している 21。
  • SNSとインフルエンサーの影響力: InstagramやTikTokは、新たなトレンドの発信源であり、消費者の「発見」から「購買」までのプロセスに絶大な影響力を持つ。インフルエンサーや一般ユーザーによるUGC(ユーザー生成コンテンツ)は、広告以上に信頼される情報源となっている 10。
  • パーソナライゼーションへの期待: AIやAR技術の進化により、個人の肌質や好みに合わせた製品・サービスへの期待が高まっている。これは新たな付加価値創出の機会である 14。
  • サステナビリティと倫理観への配慮: 環境への配慮(リサイクル、プラスチック削減)や動物福祉(クルエルティフリー)といった倫理的な価値観が、特に若年層の購買決定において重要な要素となっている 19。

阻害要因

  • コスト上昇圧力: 原油価格の高騰に伴う原材料費、世界的な物流網の混乱による輸送費、人件費の上昇が、企業の収益性を圧迫している。大手メーカーですら、このコスト増が利益を大幅に押し下げる要因となっている 23。
  • グローバルな規制強化: 各国・地域で化粧品に関する規制が年々厳格化している。EUの動物実験禁止や成分規制、中国のNMPAによる複雑な承認プロセスなどは、グローバル展開におけるコンプライアンスコストを増大させ、市場投入の障壁となり得る 19。
  • 化学成分に対する消費者の懸念: インターネットやSNSを通じて成分に関する情報が容易に入手できるようになった結果、消費者は特定の化学成分(パラベン、硫酸塩など)の安全性に敏感になっている。副作用への懸念が、製品選択をより慎重にさせている 10。
  • 偽造品・模倣品の流通: 特にEC市場の拡大に伴い、ブランドの信頼性を損なう偽造品の問題が深刻化している 10。

業界の主要KPIベンチマーク分析

業界の健全性と競争力を評価するため、主要なKPI(重要業績評価指標)のベンチマークを分析する。

KPIベンチマーク/トレンド戦略的意味合い(So What?)
売上高成長率グローバル大手:5~10%前後市場平均(CAGR 5-7%)を上回る成長は、市場シェアを獲得している証左。
営業利益率プレステージ主体:15~20%超 マス主体:5~15%高い利益率は、強力なブランド力、高付加価値製品、効率的なコスト構造を示す。
平均単価 (AUR)2010年代は上昇傾向も、近年は価格感度の高まりで鈍化 5。一方で高級ブランドは値上げも実施 27。プレミアム化とマス市場での価格競争の二極化が進行。単価維持・向上のためには、価格に見合う価値(効果、体験)の提供が不可欠。
EC化率日本:8.57% (2023年) 28 グローバル:35%+ (推定) 29EC化の遅れは機会損失に直結。特に日本市場はまだ成長余地が大きい。オンラインでの顧客体験(CX)の向上が急務。
D2C比率急速に上昇中。D2C市場は年率12%で成長予測 18。D2Cは単なる販売チャネルではなく、顧客データ獲得とブランド構築の戦略的拠点。D2C比率の向上は、顧客との直接的な関係性の深化を示す。
LTV/CAC比率健全性の目安は 3:1 以上 30。この比率が3を下回る場合、顧客獲得コストが将来の利益に見合っていない可能性。マーケティング効率やリピート率の改善が必要。
リピート購入率サブスクリプションモデルでは最重要指標。化粧品は消耗品であり、リピート購入が事業の根幹。高いリピート率は顧客ロイヤルティの高さを示し、安定した収益基盤となる。

市場は単に「化粧品」という枠組みで成長しているのではなく、「ウェルネス」というより広範な概念へとその境界を広げている。スキンケアが健康志向、フレグランスが精神的充足、オーガニック製品が倫理的価値観と結びついている事実は、消費者が製品の機能的価値だけでなく、それがもたらす身体的・精神的・社会的な便益を統合的に評価していることを示唆している 5。このことから導き出されるのは、今後の事業戦略は肌表面の問題解決に留まらず、消費者のホリスティックな(全体的な)自己実現を支援する視点が不可欠になるということである。これは、競合が従来の化粧品メーカーだけでなく、ウェルネス、ヘルスケア、さらには食品業界にまで広がることを意味する。

また、地域によるEC化率の顕著な差異、例えば中国や韓国の40-50%に対して日本の8.57%という低さは、単なるデジタル化の進捗度だけでなく、小売における「信頼」の構築モデルの違いを反映している 11。日本では歴史的に、百貨店の美容部員(BA)による専門的な対面カウンセリングが信頼醸成の核となってきた 31。EC化率の低さは、このBAが果たしてきた信頼構築の機能をデジタル上でいかに代替・再現するかが課題であることを物語っている。したがって、日本のような市場で成功を収めるためには、単に商品をオンラインで販売するだけでなく、ライブコマース、AIによるパーソナルカウンセリング、信頼性の高いレビューコミュニティといった、デジタル上での新たな信頼構築メカニズムへの投資が不可欠となる。これは技術的な課題であると同時に、文化的な変革への挑戦でもある。

第3章:外部環境分析(PESTLE Analysis)

化粧品業界を取り巻くマクロ環境は、政治、経済、社会、技術、法規制、環境の各側面から大きな影響を受けている。PESTLEフレームワークを用いてこれらの要因を分析し、事業戦略上の機会と脅威を特定する。

政治(Politics)

  • グローバルな化粧品規制の潮流: EUが2013年に化粧品の動物実験を全面的に禁止して以来、この動きはグローバルスタンダードとなりつつある。EU域外で実施された動物実験データを用いた製品すら販売が禁止されており、これに対応できない企業は巨大な欧州市場へのアクセスを失うリスクを負う 33。企業は代替試験法への投資とサプライチェーン全体でのクルエルティフリーの徹底を迫られている。
  • 中国市場の参入障壁: 中国の国家薬品監督管理局(NMPA)は近年、「化粧品監督管理条例」を大幅に改定し、規制を強化している。特に、新原料の登録・届出義務や、製品の安全性評価報告書の提出要件が厳格化された。2025年5月1日からは、より詳細なデータが求められる「完整版」報告書の提出が義務化され、中国市場への参入・製品導入のハードルとコストは著しく高まっている 36。
  • マーケティング規制の強化: インフルエンサーマーケティングの普及に伴い、その透明性を確保するための規制が各国で導入されている。日本では2023年10月より、広告であることを隠して宣伝するステルスマーケティング(ステマ)が景品表示法違反となった。これにより、インフルエンサーへの依頼案件では「#PR」「#広告」といった表示が法的に必須となり、違反した場合は広告主である事業者が処分の対象となる 39。
  • 地政学リスクとサプライチェーン: 米中間の貿易摩擦、ウクライナ情勢、中東の不安定化といった地政学リスクは、特定の国からの原料調達を困難にしたり、関税の急な変動を引き起こしたりする。これにより、サプライチェーンの寸断やコスト増のリスクが常態化しており、調達先の多様化などレジリエンス強化が不可欠となっている 41。

経済(Economy)

  • 世界経済の不確実性と消費マインド: 世界的なインフレ、金利上昇、景気後退懸念は、消費者の購買行動に直接影響を与える。特に中間層以下の消費者は価格に敏感になり、必需品以外の支出を切り詰める傾向がある 5。一方で、化粧品、特にフレグランスやリップスティックは「手頃な贅ACY」として、不況下でも比較的好調を維持する「リップスティック効果」が見られることもある 5。2025年に向けて個人消費の緩やかな回復が予測されるものの、消費者は「価格に見合う価値」をより厳しく見極めるようになる 43。
  • コストプッシュ・インフレの影響: 原油価格の高騰は、プラスチック容器や多くの化学原料の価格に直結する。加えて、世界的な物流費の上昇、人件費の増加が重なり、製造コストは上昇の一途を辿っている。大手メーカーですら、これらのコスト増が営業利益を数十億円単位で圧迫しており、製品価格への転嫁が避けられない経営課題となっている 23。

社会(Society)

  • ウェルネス志向の浸透: 美容(Beauty)と健康(Health/Wellness)の境界線が溶解している。消費者は、肌の外見だけでなく、食生活、睡眠、ストレス管理といったライフスタイル全体が美に影響すると認識している。このトレンドは、スキンケアとメンタルヘルスを結びつけたり、インナービューティー(サプリメント等)市場を拡大させたりしている 45。
  • 価値観の多様化とインクルーシビティ(包摂性): 「美の基準は一つではない」という考え方が社会の共通認識となりつつある。リアーナのFenty Beautyが多様な肌の色に対応するファンデーションを発売し大成功を収めて以降、インクルーシビティは業界の必須要件となった 48。消費者の半数が多様性を重視するブランドを好み、特にZ世代にとってはブランド選択の重要な基準となっている 48。ジェンダーニュートラルな製品やマーケティングも増加している。
  • SNSとUGC(ユーザー生成コンテンツ)の絶大な影響力: 消費者の購買意思決定プロセスは、SNSによって根本的に変容した。特にZ世代の約9割は、コスメの購買意欲がSNSに影響されると回答している 52。企業が発信する広告よりも、信頼するインフルエンサーのレビューや、自分と似た属性を持つ一般ユーザーのリアルな口コミ(UGC)が、購買の最終的な決め手となるケースが多い 52。

技術(Technology)

  • AI(人工知能)とAR(拡張現実)の社会実装: AIによる画像認識技術を活用した肌診断アプリや、ARを用いたバーチャルメイクアップ機能は、もはや目新しい技術ではなく、顧客体験を向上させるための標準装備となりつつある。これらはECサイトでのコンバージョン率を大幅に引き上げる効果が報告されている 22。さらに、AIは研究開発(新規成分探索)や需要予測、マーケティングの自動化など、バリューチェーン全体を革新するポテンシャルを秘めている 56。
  • バイオテクノロジーの進化: ゲノム編集、合成生物学といった先端科学の応用により、これまで自然界に存在しなかった高機能な成分を創出することが可能になっている。皮膚常在菌叢(マイクロバイオーム)に着目したスキンケアや、細胞間情報伝達物質であるエクソソームを応用したアンチエイジング研究など、バイオテクノロジーは化粧品科学の新たなフロンティアを切り拓いている 45。
  • デジタルプラットフォームの進化: D2Cブランドが自社ECサイトを容易に構築できるプラットフォーム(Shopifyなど)や、顧客関係管理(CRM)、マーケティングオートメーション(MA)ツールが高度化・低価格化したことで、新規参入者が大手と遜色ないデジタルインフラを構築できるようになった。TikTokなどで行われるライブコマースは、エンターテインメントと購買を融合させた新たな販売手法として定着している。

法規制(Legal)

  • 薬機法(日本): 日本国内で化粧品を販売する上で最も重要な法律。化粧品に標榜できる効能効果は、「肌を整える」「皮膚にうるおいを与える」など56項目に厳密に定められている。「シワが消える」「シミを治療する」といった医薬品的な効果を暗示する表現は一切認められない 57。広告表現のコンプライアンスは極めて重要である。
  • 個人情報保護法: パーソナライズサービスを提供する上で、AI肌診断データや購買履歴といった機微な個人情報を収集・活用する際には、改正個人情報保護法を遵守する必要がある。利用目的の明示、本人の明確な同意取得、データの安全管理措置が厳しく求められる 59。
  • 景品表示法(日本): 製品の効果について、合理的・客観的な根拠がないにもかかわらず、著しく優良であると見せかける「優良誤認表示」を禁止している。例えば、「絶対焼けない日焼け止め」といった表現は、裏付けとなるデータがなければ景品表示法違反に問われるリスクがある 62。

環境(Environment)

  • サステナビリティへの強い要請: 気候変動への対応は、全産業における最重要課題である。化粧品業界においても、バリューチェーン全体でのカーボンニュートラル達成、水資源の保全、生物多様性への配慮などが、企業の社会的責任として強く求められている 64。
  • 容器包装の環境規制: プラスチック廃棄物問題への関心の高まりを受け、容器包装に対する規制が世界的に強化されている。EUでは「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」の導入が進んでおり、リサイクル材の最低使用率、リユース(再利用)目標の設定、過剰包装の禁止などが法制化される見込みである。これにより、リフィル(詰め替え)製品へのシフトや、プラスチックから紙やガラスへの素材転換が加速する 67。
  • クリーンビューティーとトレーサビリティ: 消費者は、製品に使用されている成分が安全であること(クリーン)だけでなく、その原料がどこで、どのように、誰によって作られたのかという透明性(トレーサビリティ)を求めるようになっている。パーム油やマイカ(雲母)など、生産過程で環境破壊や児童労働といった人権問題が指摘される原料については、責任ある調達が不可欠である 66。

このPESTLE分析から浮かび上がるのは、規制環境が単なるコンプライアンス上の課題ではなく、戦略的な競争の舞台になっているという事実である。例えば、EUの厳格な動物実験禁止令や包装規制、中国の複雑なNMPA制度は、それぞれ異なる対応を企業に要求する 33。これらの相違する規制を予見し、迅速に対応できる企業は、対応が遅れる競合他社に対して「規制という名の参入障壁」を築くことができる。そのためには、専門の薬事部門と俊敏な研究開発部門が連携し、グローバルで通用する、あるいは地域ごとに最適化可能な製品設計を行う能力が、今や中核的な競争力となっている。これは、従来はコストセンターと見なされがちだったコンプライアンス部門を、事業成長を牽引する戦略的部門へと昇華させることを意味する。

さらに、社会的(Social)トレンドと環境的(Environmental)トレンドの融合は、「コンシャス・ビューティー(意識の高い美)」という新たな統一された消費者価値体系を生み出している。これはもはや個別のトレンドではなく、製品そのものから企業の運営に至るまで、個人にとって、社会にとって、そして地球にとって「善い」ものであることへの包括的な期待である。ウェルネス志向は個人の健康を、インクルーシビティは社会の多様性を、そしてサステナビリティは地球環境の健全性を志向するものであり、これらは分かちがたく結びついている 45。したがって、サステナブルなパッケージを採用する一方でインクルーシブなマーケティングを怠る、といった断片的なアプローチはもはや通用しない。事業戦略は、この「コンシャス・ビューティー」という首尾一貫した思想に基づき、ESGの原則をブランドの根幹と事業運営のあらゆる側面に深く統合する必要がある。これこそが、現代の化粧品業界におけるPESTLE分析が導き出す、最も重要な戦略的示唆である。

第4章:業界構造と競争環境の分析(Five Forces Analysis)

マイケル・ポーターのFive Forcesフレームワークを用いて化粧品業界の収益構造と競争環境を分析する。業界の魅力度と、競争優位を築くための戦略的要諦を明らかにする。

供給者の交渉力:中~高

  • 高機能・独自成分メーカー: BASF、Givaudan、DSM Firmenich、IFFといったグローバルな化学・香料メーカーは、研究開発力が高く、特許で保護された独自の有効成分や香料を供給している 72。これらの原料は製品の差別化に不可欠であり、特にプレステージブランドにとっては代替が困難なため、供給者は強い価格交渉力を持つ。
  • 容器メーカー: AlbéaやAptarなどの大手容器メーカーは、機能性(エアレスポンプなど)やデザイン性に優れたパッケージを供給し、ブランド体験の重要な一部を担う 75。近年では、サステナブル素材(リサイクルプラスチック、バイオマスプラスチックなど)の供給能力が新たな交渉力の源泉となっている。
  • OEM/ODMメーカー: 韓国のコスマックス(COSMAX)やイタリアのインターコスメ(Intercos)に代表される大手OEM/ODMは、世界中の多くのブランド(特に新規参入のD2Cブランド)の製品開発から製造までを請け負う 77。その巨大な生産能力と研究開発力は、ブランド側にとって重要なパートナーであると同時に、依存度を高め、交渉力を強める要因ともなっている。

買い手の交渉力:高

  • 消費者: 買い手の交渉力は極めて高い。SNS、インフルエンサー、@cosmeのような口コミサイトを通じて、消費者は製品情報、成分、他者の評価を瞬時に入手できる 52。これにより、ブランド間の比較が容易になり、スイッチングコスト(ブランドを乗り換える際の障壁)は著しく低下している。価格、品質、効果だけでなく、ブランドが示す価値観(サステナビリティ、インクルーシビティなど)に共感できなければ、消費者はためらわずに他のブランドへスイッチする。
  • 小売業者: SephoraやUlta Beautyのような有力な化粧品専門小売チェーン、そしてAmazonのような巨大ECプラットフォーマーは、膨大な顧客基盤と販売データを握っており、メーカーに対して非常に強い交渉力を持つ 55。彼らは有利な取引条件(マージン、販促協力金)を要求するだけでなく、どのブランドを棚に並べるか、どのようにプロモーションするかの決定権を持つゲートキーパーである。さらに、彼らが展開するプライベートブランド(PB)は、メーカーの製品と直接競合し、メーカーの利益率をさらに圧迫する。

新規参入の脅威:高

  • インフルエンサー/セレブリティブランド: 絶大な影響力を持つインフルエンサーやセレブリティが、自身のファンベースを武器にD2Cブランドを立ち上げるケースが急増している。前述のOEM/ODMを活用することで、製造設備への大規模な初期投資なしに、比較的少ない資本で市場参入が可能である。リアーナのFenty Beautyやカイリー・ジェンナーのKylie Cosmeticsは、既存の業界秩序を揺るがすほどの成功を収めた代表例である 51。
  • 異業種からの参入: 製薬会社(第一三共ヘルスケアなど)、食品会社(味の素、サントリーなど)、さらには写真フィルムメーカー(富士フイルム)まで、多様な業種からの参入が相次いでいる 84。彼らは、本業で培った独自の技術(例:抗酸化技術、アミノ酸科学、皮膚科学の知見)を応用し、科学的根拠を訴求する高機能性化粧品市場で独自のポジションを築いている。

代替品の脅威:中~高

  • 美容医療: より即効性や劇的な効果を求める消費者にとって、美容医療は高機能化粧品の強力な代替品となる。ヒアルロン酸注射、ボトックス、レーザー治療といった非侵襲的〜低侵襲的な施術は年々身近になっており、市場も拡大を続けている 86。化粧品と美容医療の境界は曖昧になりつつあり、両者を組み合わせたトータルケアが一般化している。
  • 美容家電: 家庭用美顔器、LEDマスク、脱毛器などの技術が進化し、エステサロンやクリニックレベルのケアを自宅で手軽に行えるようになった。これらの美容家電は、特にスペシャルケア領域において、化粧品の需要を代替する可能性がある 88。
  • インナービューティー: 「美は内側から」という考え方の浸透により、美容効果を謳うサプリメント、ドリンク、健康食品市場が成長している 90。これらは、体の内側から肌の状態を改善するアプローチとして、外用化粧品の代替品、あるいは補完品と位置づけられる。

業界内の競争:激しい

  • グローバル大手間の寡占的競争: L’Oréal、Estée Lauder、P&G、Unilever、資生堂といったグローバル・コングロマリットが市場シェアの多くを占めている 93。これらの企業は、多岐にわたるブランドポートフォリオ、巨額の研究開発費とマーケティング予算、そして広範なグローバル販売網を武器に、熾烈なシェア争いを繰り広げている。
  • 競争軸の多様化(大手 vs. 新興ブランド): 競争はもはや規模やブランドの知名度だけで決まらない。伝統的な大手企業が「長年のブランド資産」や「科学的権威性」で勝負する一方、新興のD2Cブランドは「特定のニッチな価値観(例:クリーン、ヴィーガン)への特化」「コミュニティとの強固な繋がり」「市場の変化に即応するスピード」を武器に競争を挑んでいる。これにより、業界内の競争軸は複雑かつ多様化している。

この分析から明らかになるのは、化粧品業界の伝統的な境界が溶解しつつあるという点である。最も重大な競争圧力は、もはや業界内の競合他社からだけでなく、業界の外から来ている。AR/AI体験を提供するテクノロジー企業、代替的な施術を提供する美容医療、そしてマーケティングのルールを書き換えるインフルエンサー主導のD2Cブランドが、新たな競争相手として台頭している 83。これは、化粧品企業がもはや単に他の化粧品ブランドと競争しているのではなく、Instagramと顧客の可処分時間を、皮膚科医と製品の有効性を、そしてテックスタートアップと顧客インターフェースを奪い合っていることを意味する。したがって、勝利のための戦略は、これらの隣接領域におけるケイパビリティを自社で構築するか、M&Aや提携を通じて獲得することが不可欠となる。

さらに、バリューチェーンにおけるパワーバランスが、顧客との関係性を直接的に「所有」するプレイヤー、すなわち川下へとシフトしていることが見て取れる。Sephoraのような小売業者やAmazonのようなプラットフォームは、その膨大なファーストパーティデータとロイヤリティプログラムを駆使して、単に価格圧力をかけるだけでなく、自らがトレンドセッターとなり、プライベートブランドを通じて製品開発者にさえなっている 55。これにより、従来のブランド主導のモデルは根底から覆されつつある。彼らの力の源泉は、数百万人の顧客データへの直接アクセスにある。このデータを分析することで、メーカー自身よりも早く市場のトレンドや未充足ニーズを把握し、それを基にPB商品を企画したり、メーカーに対して有利な取引条件を要求したりする。この構造は、伝統的なメーカーを単なる「供給者」の地位に貶め、利益率とブランドコントロールの両方を侵食する。このことから導き出される戦略的含意は、現代の化粧品業界で最も価値ある資産は、もはやブランド名や特許成分だけでなく、最終消費者との直接的でデータ豊富な接点そのものであるということだ。これこそがD2Cモデルが台頭する本質的な理由であり、既存の大手企業にとっては、小売ゲートキーパーの増大する力に対抗するための戦略的ヘッジとして、自社のD2Cチャネルを販売目的だけでなく、データ獲得と顧客関係構築の拠点として構築することが急務となっている。

第5章:サプライチェーンとバリューチェーン分析

サプライチェーン分析

化粧品業界のサプライチェーンは、「原材料調達 → 成分・処方開発 → 製造(自社/OEM) → 容器充填・包装 → 物流・在庫管理 → 販売チャネル」という一連のフローで構成される。この伝統的な線形モデルは、近年の外部環境の変化により、大きな変革を迫られている。

パンデミックと地政学リスクの影響とレジリエンス強化
COVID-19パンデミックやウクライナ情勢、米中対立などの地政学リスクは、化粧品サプライチェーンの脆弱性を露呈させた。特定の国や地域に依存した原材料の供給が途絶し、港湾の封鎖やコンテナ不足によって国際物流が停滞、輸送コストは前例のないレベルまで高騰した 41。これらの経験から、サプライチェーンのレジリエンス強靭性・回復力)強化が最重要の経営課題となった。具体的な対応策として、以下の方向性が挙げられる。

  • 調達先の多様化: 単一の供給者や国に依存するリスクを分散するため、複数のサプライヤーと契約する「マルチソーシング」や、調達地域を地政学的に安定した複数の国に広げる動きが進んでいる 41。
  • 生産拠点の最適配置: グローバルな大手企業は、市場の近くで生産する「地産地消」モデルを強化している。L’Oréalは世界中に37の工場と152の配送センターを戦略的に配置し、各市場へのリードタイムを短縮し、俊敏性を確保している。これにより、地域ごとの需要変動や物流寸断リスクに柔軟に対応できる体制を構築している 95。
  • 需要予測と在庫管理の高度化: AIを活用して需要予測の精度を高め、欠品を防ぎつつ過剰在庫を削減する取り組みが不可欠となっている。

サステナビリティが要求する変革
サプライチェーンは、サステナビリティという新たな要請にも応えなければならない。これは単なるCSR活動ではなく、事業継続性の根幹に関わる課題である。

  • トレーサビリティの確保: 消費者は製品の成分だけでなく、その原料がどこで、どのように調達されたかに関心を持っている。例えば、化粧品の光沢剤として広く使われるマイカ(雲母)は、インドの一部地域で児童労働との関連が指摘されている。資生堂は、こうした人権課題に対応するため、「Responsible Mica Initiative (RMI)」に加盟し、責任ある調達を推進している 96。ブロックチェーンなどの技術を活用し、原料の採掘から製品化までの全工程を追跡可能にする取り組みも始まっている。
  • CO2排出量の削減: 気候変動対策として、バリューチェーン全体でのCO2排出量削減が求められる。これには、自社の工場やオフィスでの排出(Scope 1, 2)だけでなく、原材料の調達、物流、製品の使用・廃棄といったサプライヤーや消費者が関わる排出(Scope 3)の削減も含まれる。資生堂は2026年までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、再生可能エネルギーの導入や共同配送による輸送効率化を進めている 97。

バリューチェーン分析

化粧品業界における価値創造の源泉は、時代と共に変化している。

伝統的モデルにおける価値の源泉
従来のバリューチェーンでは、以下の要素が付加価値の主要な源泉であった。

  1. R&D(研究開発): 独自の有効成分や革新的な製剤技術の開発。例えば、資生堂がIFSCC(国際化粧品技術者会連盟)で世界最多の受賞数を誇ることは、その高い研究開発力が価値の源泉であることを示している 31。
  2. ブランドマーケティング: 長年にわたる投資によって築き上げられたブランドエクイティ(資産価値)と、広告宣伝によって創出される「憧れ」や「世界観」。
  3. 販売チャネル(顧客接点): 百貨店カウンターにおける美容部員(BA)による専門的なカウンセリングと、それを通じてもたらされる信頼感や特別感。

D2Cモデルによるバリューチェーンの破壊と価値の再配分
D2C(Direct-to-Consumer)モデルの台頭は、この伝統的なバリューチェーンを根底から覆した。

  • 中間流通の排除: D2Cは、卸売業者や小売業者といった中間流通を「中抜き」する。これにより、従来は中間マージンとして流通業者に支払われていたコストを削減できる。その結果、メーカーはより高い利益率を確保するか、削減分を製品原価(より高品質な成分の使用)やマーケティングに再投資することが可能になる 100。
  • 顧客データという新たな価値の創出: D2Cモデルがもたらす最大の価値は、単なるコスト削減ではない。それは、顧客との直接的な関係構築と、それによって得られるファーストパーティ・データ購買履歴、ウェブサイト上の行動履歴、レビュー、問い合わせ内容など)である。このデータを活用することで、企業は以下のような新たな価値を創造できる。
    • 迅速な製品開発・改善: 顧客からのフィードバックをリアルタイムで収集し、それを基に新製品を開発したり、既存製品を迅速に改良したりすることが可能になる。snaq.me(おやつ)やAllbirds(靴)といったD2Cブランドは、顧客の声を製品開発に直接反映させることで成功を収めている 101。
    • パーソナライズされた体験の提供: 収集したデータを分析することで、顧客一人ひとりの嗜好やニーズに合わせた製品レコメンデーション、マーケティングコミュニケーションが可能となり、顧客エンゲージメントとLTV(顧客生涯価値)を向上させることができる。

サステナビリティへの要請は、従来の「採取→製造→廃棄」という線形的なサプライチェーンモデルから、「削減→再利用→再生」を志向する循環型モデルへの根本的な再設計を迫っている。リフィル製品の普及や使用済み容器の回収・リサイクルは、その一例である 64。これは、工場から消費者への一方通行だった物流に、「消費者から工場・リサイクル施設へ」という逆方向の流れ(リバース・ロジスティクス)を組み込むことを意味する 97。このような変革は、サプライチェーンを単なるコストセンターから、ブランドの価値提案の核となる部分へと変貌させる。透明性が高く、循環型のサプライチェーンを構築し、それを消費者に伝えることは、環境意識の高い現代の消費者に対する強力なマーケティングメッセージとなり、重要な差別化要因となる。

また、D2Cモデルの真の破壊力は、中間マージンの削減による利益率向上という直接的な効果に留まらない。その本質は、消費者と研究開発(R&D)部門の間に高速なフィードバックループを構築する「データ・バリューチェーン」の創出にある。伝統的なモデルでは、数年に一度の市場調査やフォーカスグループの結果を基に、長い時間をかけて製品が開発される。一方、D2Cブランドは、発売した製品に対する顧客のリアルタイムのフィードバックデータを直接収集し、それを基に迅速に製品を改良・アップデートすることができる 101。これは、「完璧な製品を発売する」モデルから、「優れた製品を発売し、顧客と共に完璧にしていく」モデルへの転換を意味する。研究開発プロセスが長く、組織が硬直化しがちな既存の大手企業にとって、このスピード感と顧客との近さは、本質的な脅威である。対抗するためには、既存の小売モデルの中であっても、迅速かつ直接的な消費者フィードバックを得るためのチャネルを構築し、アジャイルな製品開発手法を取り入れる組織変革が不可欠となる。

第6章:顧客需要の特性分析

現代の化粧品市場を理解するには、多様化する顧客セグメント、特にZ世代とミレニアル世代の価値観と行動を深く分析することが不可欠である。彼らの需要特性が、市場全体のトレンドを形成している。

顧客セグメンテーション

従来の年齢や所得といったデモグラフィック変数だけでは、現代の消費者を捉えることはできない。美容への関心度や価値観といったサイコグラフィック変数を掛け合わせた分析が重要となる。

世代別セグメンテーションとKBF(主要購買決定要因)

  • Z世代(1990年代後半~2010年代序盤生まれ):
    • 特徴: 生まれた時からインターネットやSNSが存在する真のデジタルネイティブ。情報収集の主戦場はTikTok、Instagram、YouTubeである。彼らの価値観は「自分らしさ」の表現にあり、画一的な美の基準を拒絶する。広告よりも、信頼するインフルエンサーや友人、あるいは匿名の一般ユーザーによる「リアルな」口コミ(UGC)を信じる傾向が強い 103。
    • KBF:
      1. ソーシャルプルーフ(社会的証明): 信頼するコミュニティやインフルエンサーの間で話題になっているか。
      2. 自己表現: 「自分らしさ」を表現できるユニークな色やコンセプトか。人と被らないニッチな製品を好む 105。
      3. 価値観の一致: サステナビリティ、インクルーシビティ、クルエルティフリーといったブランドの姿勢に共感できるか 104。
      4. 体験の共有可能性: パッケージが写真映えするか、製品を使った体験をSNSでシェアしたくなるか 103。
  • ミレニアル世代(1980年代前半~1990年代中盤生まれ):
    • 特徴: Z世代と同様にデジタルへの親和性は高いが、情報収集源としてInstagramやYouTubeに加え、Webメディアや口コミサイトも活用する。キャリアやライフステージの変化に伴い、より具体的な肌悩み(エイジングケアなど)に関心が高まる。Z世代と価値観の多くを共有しつつも、製品の「機能性・効果」といったサイエンスに基づいた便益をより重視する傾向がある 53。
    • KBF:
      1. 機能・効果: 科学的エビデンスや有効成分に基づいた、具体的な肌悩みへの効果。
      2. 口コミ・レビュー: @cosmeなどのレビューサイトでの高評価や、専門家による推薦。
      3. コストパフォーマンス: 価格と品質のバランス。
      4. 利便性: ECサイトでの購入しやすさ、定期購入などのサービス。
  • X世代以降(1970年代以前生まれ):
    • 特徴: 伝統的なメディアやブランドへの信頼が比較的厚い。百貨店カウンターなどでの美容部員(BA)による対面カウンセリングを重視する層も根強く存在する。アンチエイジングなど、加齢に伴う深刻な悩みに対する高い効果を求める。
    • KBF:
      1. ブランドへの信頼: 長年の実績や歴史に裏打ちされたブランドへの安心感。
      2. 高い効果: 特にエイジングケア領域における、目に見える効果。
      3. 専門家による推奨: 美容部員や皮膚科医からの推薦。

購買行動プロセスの変化:非線形のエコシステムへ

従来の「認知(Attention)→興味(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)→行動(Action)」といった線形的なAIDMAモデルは、もはや現代の購買行動を説明できない。現在は、以下のような複数のプラットフォームを回遊する、複雑で非線形なサイクルとなっている。

  1. 発見(Discovery): Instagramのフィードをスクロールしている時、あるいはTikTokのおすすめ動画を見ている時に、インフルエンサーや友人が紹介している製品を「偶然」発見する。
  2. 興味・関心(Interest): その製品について、まずはアプリ内で検索(ハッシュタグ検索など)し、他のユーザーの投稿(UGC)を閲覧する。
  3. 比較・検討(Comparison & Validation): 次に、@cosmeやLIPSといった専門の口コミサイトに移動し、製品の総合評価、ランキング、詳細なレビューを確認する。Instagramと@cosmeが、情報収集の1番目と2番目に訪れる媒体として最も多い 80。
  4. 購入(Purchase): 最もお得に、あるいは便利に購入できるチャネルを選択する。それはブランドの公式ECサイトかもしれないし、ポイントが貯まる大手ECモールかもしれない。
  5. 共有(Share): 購入後、製品の使用感や結果を自身のSNSアカウントに投稿する。この投稿が、また別の誰かの「発見」の起点となり、エコシステムを循環させる。

このプロセスにおいて、インフルエンサーの影響力は絶大である。Z世代とミレニアル世代の8割以上が、SNSが購買意欲に影響を与えると回答している 52。ただし、影響力の源泉はフォロワー数(メガインフルエンサー)だけでなく、特定の分野における専門性(マイクロインフルエンサー)や、消費者との近さ(ナノインフルエンサー)へと多様化している。

KBF(主要購買決定要因)の分析

ECサイトで化粧品を購入する際に最も重視するポイントを尋ねた調査では、「口コミやレビュー評価」が38.7%でトップとなり、「価格」(30.9%)や「成分」(13.7%)を上回った 52。これは、製品の客観的なスペック以上に、他者からの社会的証明が購買の強力なトリガーとなっていることを示している。

KBFの優先順位は、前述のセグメントによって異なるが、大きく「サイエンス(機能・効果)」と「エモーション(ブランドの世界観・共感)」という二つの軸で整理できる。ダーモコスメティクスのように科学的根拠を訴求して成功するブランドがある一方で、Glossierのようにコミュニティとの共感を軸に成長するブランドも存在する。現代の消費者は、これらの要因を自身の価値観に基づいて複合的に評価し、最終的な購買を決定している。

消費者の購買プロセスは、もはやブランドがコントロールできる直線的な「ファネル(漏斗)」ではなく、多様な情報チャネルが相互に影響し合う複雑な「エコシステム」へと変貌した。このエコシステム内では、発見、検証、購買、共有が任意の順序で発生し、その原動力はUGCやインフルエンサーによる「社会的証明」である 52。ブランドの役割は、かつてのように一方的にメッセージを発信する「放送局」から、このエコシステム内で自社製品に関するポジティブな「対話を促進する」ファシリテーターへと変化した。したがって、マーケティング戦略の重点は、広告キャンペーンの実施から、インフルエンサーへの製品シーディング、シェアしたくなるコンテンツの作成、レビュー投稿の奨励といった、エコシステム全体を常に管理する活動へとシフトしなければならない。

特にZ世代にとって、化粧品は単なる機能的な製品ではなく、「ソーシャル・オブジェクト(社会的なモノ)」としての側面を強めている。その価値は、肌を美しく見せるという機能的性能だけでなく、自己のアイデンティティを表現し、他者との社会的繋がりを促進する能力によっても決定される。彼らが「自分らしさ」や「人と被らないこと」を重視し 105、同性の友人と会う時にメイクへのモチベーションが高まるのは 104、製品が自己表現と相互承認のツールとして機能しているからに他ならない。購買プロセスに「共有」の段階が含まれ、店舗体験までもが「撮ってシェアする」ことを前提に設計されていることは 103、製品がSNSコンテンツの小道具となり、特定のコミュニティに所属していることを示す記号として消費されている実態を物語っている。このことから、製品開発やマーケティングにおいては、製品の機能的価値と同等に、その「共有可能性」や「物語性」を考慮することが不可欠となる。パッケージはInstagramで映えるか、製品コンセプトは文化的なトレンドを捉えているか、その製品を使うことで消費者は特定のコミュニティの一員であると感じられるか。こうした「社会的価値」の設計が、今後のブランド成功の鍵を握る。

第7章:業界の内部環境分析

企業の持続的な競争優位性を評価するため、VRIOフレームワークを用いて経営資源とケイパビリティを分析し、人材や生産性に関する内部環境の動向を考察する。

VRIO分析:持続的な競争優位の源泉

VRIOフレームワークは、企業の経営資源が「価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Imitability)」「組織(Organization)」の4つの要件を満たすかを問い、持続的な競争優位の源泉を特定する手法である 108。

経営資源/ケイパビリティ価値(V)希少性(R)模倣困難性(I)組織(O)競争優位性AI時代の有効性
ブランドエクイティ (L’Oréal, Estée Lauderなど)持続的競争優位依然として有効だが、D2Cブランドの挑戦を受ける。
基礎研究開発能力 (資生堂のIFSCC受賞歴など)持続的競争優位AIによる成分探索が脅威となり得るが、科学的権威性は重要。
グローバルな販売・マーケティング網一時的競争優位EC/D2Cにより参入障壁が低下。物理的網の価値は相対的に減少。
美容部員(BA)の接客ノウハウ一時的競争優位組織文化に根差し模倣困難。ただし、オンラインへの移行が課題。
D2Cで蓄積したファーストパーティ・データ活用次第AI時代の最重要資源。これを活用できる「組織」能力が勝敗を分ける。
特許ポートフォリオ持続的競争優位法的に保護されており、模倣は困難。

分析と示唆
伝統的な大手化粧品企業は、「ブランドエクイティ」や「基礎研究開発能力」といった、価値があり、希少で、模倣が困難な経営資源を長年にわたり蓄積してきた 99。これらは依然として強力な競争優位の源泉である。
しかし、AI時代において最も戦略的な価値を持つ資源は「D2Cで蓄積したファーストパーティ・データ」である。このデータをAIで解析し、パーソナライズされた製品開発やマーケティングに迅速に繋げる能力こそが、新たな競争の核となる。問題は、多くの伝統的企業が、この価値あるデータを活用するための「組織(Organization)」、すなわち、部門横断的なデータ統合基盤やアジャイルな意思決定プロセスを持ち合わせていない点にある。価値(V)、希少性(R)、模倣困難性(I)を満たす資源を持っていても、それを活かす組織(O)がなければ、宝の持ち腐れとなり、持続的な競争優位には繋がらない。

人材動向

業界の構造変化は、求められる人材像にも根本的な変革を要求している。

求められる人材像のシフト
競争の主戦場がデジタルへと移行する中、需要が急増しているのは以下の専門人材である 109。

  • デジタルマーケター: SNS運用、SEO、コンテンツマーケティング、インフルエンサーマーケティングの専門家。
  • データサイエンティスト/アナリスト: 膨大な顧客データを分析し、ビジネスインサイトを抽出する専門家。
  • AI/ARエンジニア: AIモデルの開発やAR体験の実装を担う技術者。
  • バイオテクノロジー研究者: マイクロバイオームや遺伝子工学など、先端科学の知見を持つ研究者。
  • サステナビリティ専門家: ESG戦略の策定、サプライチェーンの環境負荷評価、規制対応などを担う専門家。

これらの人材は、IT、製薬、金融など他業界からの需要も極めて高く、業界を超えた激しい人材獲得競争が繰り広げられている。

美容部員(BA)の役割変化
美容部員(BA)の役割も、単なる店頭での販売員から大きく進化している。オンラインカウンセリングやライブコマースでの製品紹介、個人のSNSアカウントでの情報発信など、デジタル空間でも顧客と接点を持ち、ブランドの価値を伝えるアンバサダーやインフルエンサーとしての役割が期待されるようになっている。これに伴い、従来の接客スキルに加え、デジタルツールを使いこなす能力や、カメラの前で魅力的に話すプレゼンテーション能力が新たな必須スキルとなっている。

従業員の賃金相場とトレンド

専門人材の賃金水準
データサイエンティストやAIエンジニアといった高度専門人材の年収相場は、600万円から1,200万円、あるいはそれ以上に達する 111。これはGAFAに代表される大手IT企業や金融業界が提示する水準であり、伝統的な製造業である化粧品業界の給与体系では、これらのトップタレントを獲得することは容易ではない。実際に化粧品業界のデータサイエンティスト求人では年収800万円以上の提示も見られるが、依然としてIT業界と比較すると見劣りするケースも散見される 114。優秀なデジタル人材を惹きつけるためには、報酬だけでなく、挑戦的なプロジェクトや柔軟な働き方、データドリブンな企業文化といった非金銭的な魅力も不可欠である。

美容部員(BA)の賃金トレンド
美容部員の平均年収は、300万円台から400万円台が中心であり、専門職としては必ずしも高い水準とは言えない 118。前述の役割変化に伴い、デジタルスキルやオンラインでの販売実績、インフルエンサーとしての影響力などを評価し、報酬に反映させる新たなインセンティブ制度やキャリアパスの設計が、優秀な人材の確保と定着のために急務となっている。

労働生産性

R&Dの投資対効果
新製品の市場投入までのリードタイム短縮と、上市後のヒット率向上が、R&D生産性の重要な指標である。中国市場では、国内ブランドがR&D投資を積極的に拡大しており、イノベーション競争が激化している 121。AIの活用は、成分探索や処方最適化のプロセスを効率化し、R&Dの投資対効果を飛躍的に高める可能性がある。
マーケティングROI
デジタルマーケティングへの投資が増加する中、そのROI(投資収益率)を正確に測定することが重要となっている。単純な売上貢献((売上 – コスト) / コスト)だけでなく、ブランド認知度の向上、顧客エンゲージメントの深化、UGCの創出件数といった、直接的な売上に現れない貢献度も評価する多角的な指標が必要である 122。
BAの1人あたり売上高
BAの生産性評価も変革が必要である。従来の店舗売上だけでなく、ライブコマースやオンラインカウンセリング経由の売上など、オンラインでの貢献度を可視化し、オフラインと合算して評価する新たな指標を導入することで、BAのモチベーション向上と適切な人員配置が可能になる。
VRIO分析は、既存の大手企業が抱える核心的な脆弱性を浮き彫りにする。すなわち、彼らが持つ最も価値があり、希少で、模倣困難な資産(ブランドエクイティ、研究開発力)が、既存の「組織」によって十分に活用されていないという問題である 99。旧態依然とした組織構造や企業文化が、データとデジタルのスピードに対応することを妨げている。この構造的な問題は、価値ある資産を持ちながらも、それを新しい競争環境で効果的に展開するための組織的な俊敏性を欠いているというギャップを生み出す。したがって、内部環境における最大の課題は資源の不足ではなく、組織変革そのものである。顧客データを中心としたアジャイルな部門横断型チームを創設し、迅速な意思決定権限を与えるといった、文化的・構造的な転換を優先的に進める必要がある。

さらに、重要なデジタル人材を巡っては、IT業界と化粧品業界の間で、持続不可能な「人材の価格差(タレント・アービトラージ)」が拡大している。化粧品企業は、GoogleやAmazonと同じデータサイエンティストやAIエンジニアを採用しようとしているが、多くの場合、給与や企業文化の面で競争できていない 110。この構造的な人材不足は、単に求人広告を出すといった従来型の採用戦略では解決不可能である。この問題に対処するには、多角的な人材戦略が求められる。具体的には、①テクノロジースタートアップのM&Aを通じた人材獲得(アクイハイアリング)、②資生堂がGoogle Cloudと連携して行っているような、大規模な社内再教育プログラムによる人材育成 109、③テクノロジー企業やコンサルティングファームとの戦略的提携による人材の借用、という3つのアプローチを組み合わせる必要がある。

第8章:AIが化粧品業界に与える破壊的インパクト(Deep Dive)

人工知能(AI)は、化粧品業界のあらゆる側面を根底から覆す破壊的な力を持っている。単なる業務効率化ツールに留まらず、研究開発、製造、マーケティング、顧客体験、そしてビジネスモデルそのものを再定義する。本章では、そのインパクトをバリューチェーンに沿って詳細に分析する。

R&D(研究開発):イノベーションの加速

  • 生成AIによる新規有効成分の探索: 従来、新規成分の発見は偶然や膨大なスクリーニングに依存し、数年単位の時間を要した。生成AIは、タンパク質の構造や化学物質のデータベースを学習し、特定の肌悩み(例:シワ改善、美白)に対して効果を発揮する可能性のある全く新しい分子構造をコンピュータ上で設計・提案する 124。バイオテクノロジー企業Debutが開発したAIプラットフォーム「BeautyORB™」は、500億もの分子ライブラリをスクリーニングし、抗炎症作用において既存成分ナイアシンアミドの15倍の効果を持つとされる新規成分を発見したと発表している 125。これにより、イノベーションのサイクルは劇的に短縮される。
  • AIによる処方開発の最適化: 複数の成分を組み合わせる処方開発は、安定性、使用感、コスト、安全性といった多数の変数が絡み合う複雑なプロセスである。AIは、過去の膨大な処方データを学習し、目的とする機能やテクスチャーを実現するための最適な成分の組み合わせと配合比率を予測する 126。これにより、研究者が行う試作の回数を大幅に削減し、開発期間の短縮とコスト削減に貢献する。
  • バーチャル臨床試験(In-silico Testing): AIを用いて人間の皮膚の構造や生化学的反応をデジタル空間でシミュレートし、開発中の製品の有効性や安全性を予測する。これにより、コストと時間のかかるヒト臨床試験の前に、有望な処方を絞り込むことができ、開発の成功確率を高めることができる 124。

製造・サプライチェーン:予測と最適化の実現

  • AIによる需要予測の高度化: 従来の需要予測は、過去の販売実績や季節性といった構造化データに依存していた。AIはこれらに加え、SNS上のトレンド、インフルエンサーの発言、気象データ、競合の新製品情報といった非構造化データをリアルタイムで分析し、SKU(最小管理単位)レベルでの需要をより高い精度で予測する 129。L’Oréalは「TrendSpotter」と名付けたAIプログラムを用いて、3,500以上のオンラインソースからトレンドの兆候を検知し、1年以上先の需要予測に活用している 129。これにより、欠品による販売機会の損失と、過剰在庫による廃棄コストの両方を削減できる。
  • スマートファクトリーと在庫管理の最適化: 工場内の生産ラインに設置されたセンサーから得られるデータをAIが分析し、生産計画をリアルタイムで最適化したり、画像認識技術を用いて製品の品質検査を自動化したりする「スマートファクトリー」の導入が進んでいる。資生堂は那須、大阪茨木、福岡久留米に最新鋭の工場を新設し、IoTやAIを活用した生産体制を構築している 132。また、AIはサプライチェーン全体の在庫状況を可視化し、需要予測に基づいて最適な在庫配置や自動発注を指示することで、サプライチェーン全体の効率を最大化する 131。

マーケティング:超パーソナライゼーションの具現化

  • AIによる顧客セグメンテーションとターゲティング: AIは、顧客の購買履歴、ウェブサイトの閲覧行動、居住地、年齢といったデモグラフィック・行動データに加え、肌診断の結果といったパーソナルデータを統合的に分析し、顧客を数百、数千のマイクロセグメントに自動で分類する 134。これにより、「乾燥肌に悩み、オーガニック製品を好む30代前半の都市部在住者」といった極めて具体的なターゲット層に対し、パーソナライズされたメッセージや製品レコメンデーションを配信することが可能になる。
  • 生成AIによる広告クリエイティブの自動生成: ターゲットセグメントの特性や、キャンペーンの目的に応じて、生成AIが広告用の画像、動画、キャッチコピーといったクリエイティブを大量かつ高速に生成する 136。これにより、多様な広告パターンを短時間で作成し、効果の高いクリエイティブを迅速に見つけ出すA/Bテストの効率が飛躍的に向上する。

販売・顧客体験(CX):非接触・個別対応の進化

  • AI肌診断アプリ: スマートフォンのカメラで顔を撮影するだけで、AIがシミ、シワ、毛穴、キメ、水分量などを分析し、肌年齢や肌状態をスコア化する。Cliniqueの「Clinical Reality」やCetaphilの「AI Skin Analysis」などが代表例である 137。診断結果に基づき、個々のユーザーに最適な製品をその場でレコメンドすることで、ECサイトにおける購買転換を促進する強力なツールとなる。現状では診断精度に関する課題も指摘されているが、技術の進化は著しい 139。
  • ARバーチャルメイクアップ: ECサイトや店頭のデジタルサイネージで、自分の顔にリアルタイムでリップやアイシャドウを「試す」ことができる。色選びの失敗というオンライン購入の大きな障壁を取り除くことで、コンバージョン率を2倍から3倍に高める効果が報告されている 141。SephoraはARミラーの導入後、売上が31%増加したと報告している 141。
  • AIチャットボットによる24時間の美容相談: 顧客からの製品に関する質問や美容に関する悩みに、AIチャットボットが24時間365日対応する。ChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)の進化により、その対話能力は飛躍的に向上した。もはや単なるFAQの自動応答ではなく、個人の悩みを聞き出し、共感を示しながら、パーソナライズされたアドバイスを提供する「AIビューティーアドバイザー」としての役割を担いつつある 143。

ビジネスモデル変革:マスから個へ

AIがもたらす最大のインパクトは、ビジネスモデルそのものの変革である。

  • AI主導のパーソナライズド・サブスクリプション: AI肌診断を起点とし、その結果に基づいて、毎月あるいは四半期ごとに、その時々の顧客の肌状態や季節の変化に合わせた製品をパーソナライズして届けるサブスクリプションモデルが本格的に可能になる。これは、製品を一度売って終わりにする取引型モデルから、顧客と継続的な関係を築き、LTV(顧客生涯価値)を最大化するリレーションシップ型モデルへの完全な移行を意味する。
  • 「One to One」マーケティングの実現: AIによる超パーソナライゼーションは、不特定多数に向けたマス・マーケティングを過去のものとし、究極的には顧客一人ひとりに異なる製品、異なるメッセージ、異なる価格を提供する「One to One」の世界を実現する可能性を秘めている。
バリューチェーンAI技術具体的な適用例ビジネスインパクト
R&D生成AI、予測分析新規有効成分の探索・設計、処方最適化、バーチャル臨床試験開発期間を数年から数ヶ月に短縮、研究開発コストの大幅削減、イノベーションの加速
製造・SCM予測分析、機械学習SNSトレンドを含む需要予測、生産計画・在庫管理の最適化、品質検査の自動化欠品率・過剰在庫率の低減(例:20-30%削減)、生産性の向上
マーケティング機械学習、生成AIマイクロセグメンテーション、パーソナライズド広告配信、広告クリエイティブの自動生成広告ROIの向上、顧客エンゲージメントの深化
販売・CXコンピュータビジョン、AR、自然言語処理AI肌診断アプリ、ARバーチャルメイクアップ、AIチャットボットによる美容相談コンバージョン率の向上(例:200%以上)、返品率の低下、顧客満足度の向上
ビジネスモデル全てのAI技術パーソナライズド・サブスクリプションモデルの構築LTVの最大化、顧客ロイヤルティの強化、マス市場からの脱却

AIは単なる最適化ツールではなく、バリューチェーン全体を圧縮する触媒として機能する。従来の研究開発、製造、マーケティング、販売という直線的で段階的なプロセスは、AIを核とした単一の統合されたループへと変貌しつつある。AIがSNSからニーズを汲み取り、生成AIがそれに応える成分と処方を提案し、AIが需要を予測して生産を指示し、生成AIがマーケティングコンテンツを作り、AIが最適な顧客にそれを届け、そしてAIチャットボットやAR試用から得られた顧客データが再びAIの分析モデルにフィードバックされる。この統合された「AIフィードバックループ」を構築できた企業は、他社が追随不可能なスピードと市場適合性を手に入れるだろう。

さらに、AI肌診断アプリやChatGPTのような消費者向けAIの台頭は、「誰が推奨をコントロールするか」という新たな競争領域を生み出している。消費者がGoogle検索やインフルエンサーを介さず、直接AIに「私の肌に合う美容液は?」と尋ねる時代が到来しつつある 143。AIの回答は、その学習データ(ウェブ上の記事、レビュー、科学論文など)に基づいているため、AIの学習データ内で最も信頼され、最も多く引用されるブランドが、購買意思決定の瞬間に顧客を勝ち取ることになる。これは「ジェネレーティブ・エンジン最適化(GEO)」とも呼ばれる新たなマーケティング手法であり、従来の広告の概念を覆す可能性がある 144。今後のマーケティングは、広告を作ること以上に、AIを「教育」すること、すなわち、自社製品の有効性に関する高品質で信頼性の高いコンテンツを生成し、AIが参照するプラットフォーム上でのポジティブな言及を増やすことが、死活問題となる。

第9章:主要プレイヤーの戦略分析

化粧品業界の競争環境は、グローバルな巨大企業、伝統ある日系大手、破壊的な新興ブランド、そして強力なプラットフォーマーが複雑に絡み合い、それぞれの戦略で覇権を争っている。

グローバル・コングロマリット

  • L’Oréal(ロレアル):
    • 戦略: 世界最大の化粧品企業として、皮膚科学研究からラグジュアリー、マスマーケットまでを網羅する圧倒的なブランドポートフォリオを武器に全方位戦略を展開。近年は「Beauty Techのチャンピオン」を標榜し、AIやデータ活用を全社的に推進。傘下のModiFaceによるAR技術や、AIを用いたトレンド予測「TrendSpotter」はその代表例である 129。
    • 強み: 巨額の研究開発投資(年間13億ユーロ超)145、グローバルに最適化されたサプライチェーン(37工場、152配送センター)95、強力なマーケティング力。
    • サステナビリティ/デジタル: 「L’Oréal for the Future」というコミットメントのもと、サステナビリティを経営の中核に据える。2024年の年次報告書では「責任あるデジタル」を掲げ、環境・社会フットプリントの改善を強調している 146。EC売上比率は28.2%に達する 145。
  • Estée Lauder Companies(エスティローダー):
    • 戦略: ラグジュアリーおよびプレステージ市場に特化。M&Aを成長の重要なドライバーと位置づけ、近年ではThe Ordinaryの親会社であるDECIEMを完全子会社化した 147。これにより、急成長する「サイエンス・ベースド・ビューティー」領域と、それに熱狂するZ世代・ミレニアル世代の顧客基盤を獲得し、ポートフォリオの近代化を図った。
    • 強み: プレステージ市場における圧倒的なブランド力(Estée Lauder, La Mer, Jo Malone Londonなど)、高い収益性。
    • サステナビリティ/デジタル: サステナビリティを重視し、特に責任ある原料調達やサプライヤーとの協業を推進 150。デジタル化にも注力しているが、具体的な戦略はロレアルほど明確には打ち出されていない。
  • P&G(プロクター・アンド・ギャンブル):
    • 戦略: 「Superiority(優位性)」を全事業の核に据え、製品、パッケージ、ブランドコミュニケーション、店頭実行、価値の5つの側面で競合を凌駕することを目指す 152。ビューティー事業では、グローバルプレステージブランド「SK-II」と、マス市場のヘアケアブランド(Pantene, H&S)などが中核。
    • 強み: 消費者理解に基づく科学的な製品開発力、世界的な流通網とマスマーケティングのノウハウ。
    • 動向: 2024年度の業績では、ヘアケア事業が好調だった一方、スキン&パーソナルケア事業は微減となるなど、カテゴリーによるばらつきが見られる 153。
  • Unilever(ユニリーバ):
    • 戦略: 「Growth Action Plan (GAP)」に基づき、売上の75%以上を占める30の「Power Brands」への投資集中を進める。特に、ビューティー&ウェルネス、パーソナルケア領域を成長の中核と位置づけ、プレミアム化とデジタルコマースを強化 154。
    • 強み: DoveやVaselineなど、世界的に高い認知度を持つメガブランド。新興国市場における強力な事業基盤。
    • サステナビリティ/デジタル: サステナビリティを企業のパーパスとして掲げ、業界をリードしてきた歴史を持つ。AIやデータを活用したサプライチェーンの効率化にも注力している 155。

日系大手

  • 資生堂:
    • 戦略: 「WIN 2023 and Beyond」戦略のもと、スキンビューティー領域への集中を加速。日本発のグローバルビューティーカンパニーとして、高い研究開発力を競争優位の源泉とする。
    • 強み: IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)での世界最多受賞歴が示す、世界トップクラスの基礎研究開発力 99。SHISEIDO、Clé de Peau Beautéといった強力なプレステージブランド。
    • サステナビリティ/デジタル: サステナビリティを経営の根幹に据え、バリューチェーン全体での環境負荷軽減や責任ある調達を推進 98。DXにも注力し、Googleとの提携によるデジタル人材育成などに取り組む 109。
  • 花王:
    • 戦略: 中期経営計画「K27」において、「グローバル・シャープトップ」戦略を掲げる。化粧品事業を成長ドライバーの一つと位置づけ、特に欧州市場などグローバル展開を加速させる方針 157。
    • 強み: 長年の研究に裏打ちされた皮膚科学の知見。マス市場における強力な販売網。
    • サステナビリティ/デジタル: ESG視点の「よきモノづくり」を推進 159。DXによるサプライチェーン改革などにも着手している。
  • コーセー:
    • 戦略: 多様性のあるブランドポートフォリオ(DECORTÉからViseeまで)を強みとする。サステナビリティプランを策定し、「美しい知恵 人へ、地球へ。」というメッセージのもと、環境・社会課題への取り組みを強化している 160。
    • 強み: 独自の存在感を放つ個性的なブランド群。メイクアップ製品における高い開発力。

新興D2C/インディーズブランド

  • Glossier:
    • 戦略: 美容ブログ「Into The Gloss」から派生したコミュニティ・ベースのブランド。製品を開発する前に、まず顧客との対話を通じてコミュニティを形成。UGC(ユーザー生成コンテンツ)をマーケティングの核とし、熱狂的なファンベースを構築した 161。
    • 強み: ブランドと顧客との強固なエンゲージメント。「Less is more」を体現するミニマルな製品哲学とブランド美学。
    • 資金調達: これまでに総額2.6億ドル以上を調達し、企業価値は18億ドルに達するなど、D2Cモデルの成功例として注目されている 162。
  • The Ordinary (DECIEM):
    • 戦略: 「誠実な臨床処方」を掲げ、有効成分を高濃度配合した製品を、徹底した透明性(成分、濃度、pHの明記)と驚異的な低価格で提供。過剰なマーケティングや華美な包装を排し、「成分」そのものをヒーローにすることで、知識豊富な消費者の心を掴んだ。
    • 強み: 価格破壊的な製品群と、科学的根拠に基づくブランドの信頼性。
    • 動向: Estée Lauderによる買収後もブランドの独自性は維持されており、ELCのグローバルな販売網を活用してさらなる成長を遂げている 147。
  • Fenty Beauty:
    • 戦略: 創業者のリアーナが持つ絶大な影響力と、「Beauty for All」という明確なミッションが一体となったブランド。発売当初から40色以上のファンデーションを展開し、業界におけるインクルーシビティ(包摂性)の基準を塗り替えた 51。
    • 強み: 多様な人種・肌トーンをカバーする製品ラインナップ。ARバーチャル試用などのデジタル技術を積極的に活用し、オンラインでの顧客体験を向上させている点 83。

有力小売/プラットフォーマー

  • Sephora (LVMH傘下):
    • 戦略: プレステージ化粧品に特化した世界最大の専門小売チェーン。厳選されたブランドポートフォリオ、自由に製品を試せる体験型の店舗フォーマット、専門知識を持つスタッフが強み。近年はサステナビリティ(「Clean at Sephora」)やインクルーシビティにも注力 163。
    • 強み: 強力なブランドキュレーション能力と、グローバルな店舗ネットワーク。
  • Ulta Beauty:
    • 戦略: プレステージ製品とドラッグストアで販売されるマス製品を同一店舗で扱う、米国独自のハイブリッド型小売。幅広い品揃えと、店舗内に併設されたサロンサービスが特徴。強力な会員プログラム「Ultamate Rewards」で4,000万人以上の会員を抱える 55。
    • 強み: ワンストップショッピングの利便性。郊外を中心とした店舗網。2024年からはウェルネス領域の強化も打ち出している 165。
  • Amazon:
    • 戦略: 「地球上で最も豊富な品揃え」を武器に、ビューティーカテゴリーでも存在感を増している。当初はマス製品が中心だったが、近年は「Premium Beauty」ストアを立ち上げ、高級ブランドの誘致を強化 81。
    • 強み: 圧倒的な顧客リーチ、膨大な購買データに基づくAIレコメンデーション、Prime会員向けの高速配送といった強力な物流インフラ 166。
  • @cosme (istyle):
    • 戦略: 日本最大の化粧品口コミサイトを中核に、メディア(情報)、EC(購買)、実店舗(体験)をシームレスに連携させた独自の「ビューティープラットフォーム」を構築。ユーザーから集まる膨大なクチコミデータを資産とし、ブランド向けのマーケティング支援サービスに繋げている 167。
    • 強み: 日本の消費者における圧倒的な信頼性と影響力。オンラインとオフラインを融合したユニークなビジネスモデル。

業界の戦略動向を俯瞰すると、明確な二極化が見て取れる。L’OréalやEstée Lauderといったグローバル・コングロマリットは、革新的な新興ブランドを買収することでイノベーションと新たな顧客層を「購入」する「ポートフォリオ戦略」を追求している 147。一方、GlossierやFenty Beautyのようなディスラプターは、特定の価値観やミッションを軸に熱狂的な支持層を形成してから製品ラインを拡大する「コミュニティ・ファースト戦略」を採っている 51。これは、既存大手にとって二つの成長経路を示唆する。一つは、ポートフォリオのギャップを埋める有望な新興ブランドを特定し、買収するための高度なソーシング・M&A能力を構築する道。もう一つは、ディスラプターから学び、大企業でありながらオーセンティックなコミュニティ主導型ブランドを社内で育成するという、文化的に極めて困難な道である。

一方で、Amazonや@cosmeといったプラットフォーム企業は、単なる「販売チャネル」から「市場インテリジェンス・エンジン」へと進化している。彼らの真の戦略的価値は、個別のブランドでは決して到達できない規模で消費者データ(レビュー、検索、購買履歴)を集約し、市場が何を求めているかに関する事実上の「信頼できる唯一の情報源」となりつつある点にある 167。これらのプラットフォームは、どのブランドが流行り、どの成分が検索され、既存製品にどんな不満があるかを誰よりも早く知ることができる。この予測能力は、彼らが自ら市場に完璧に合致したプライベートブランドを立ち上げ、他の全ブランドを陳腐化させるという長期的な脅威をもたらす。この事実は、ブランド企業がこれらのプラットフォームを単なる販売パートナーとしてではなく、重要な競争情報源として捉え、同時に、戦略的ヘッジとして自社のD2Cチャネルを通じたデータ収集能力を強化する必要性を強く示唆している。

第10章:主要トレンドと未来予測(~2030年)

これまでの分析を踏まえ、2030年に向けて化粧品業界の未来を形作るであろう5つの主要なメガトレンドを予測する。

超パーソナライゼーションの一般化

AIによる肌診断やオンラインでのカウンセリングは、もはや特別なサービスではなく、業界の標準装備となるだろう。未来のパーソナライゼーションはさらにその先へと進む。個人の遺伝子情報(肌の老化スピードや特定の成分への感受性など)の解析、あるいは皮膚常在菌叢(マイクロバイオーム)のバランス分析といった科学的データに基づき、一人ひとりの生物学的特性に完全に最適化された処方のスキンケア製品やインナービューティーサプリメントが提供されるようになる 14。AIは、過去のデータと生活習慣、環境要因(気候、大気汚染など)を組み合わせて、未来の肌状態を予測し、問題が表面化する前にケアを提案する「予測美容(Predictive Beauty)」を実現する。これにより、消費者は「自分だけの」「自分だけに効く」製品とサービスを、サブスクリプションモデルなどを通じて継続的に享受する時代が到来する。

ウェルネスとの完全融合

美容(Beauty)は、より広範なウェルネス(Wellness)の概念に完全に包含される。外見を美しく見せることは、心身の全体的な健康と幸福感(Well-being)を達成するための一つの手段と位置づけられる。「Metabolic Beauty」(細胞の代謝機能に着目した美容)や、香りが脳や感情に与える影響を科学的に解明し活用する「ニューロ・フレグランス」など、より科学的なアプローチで内外の美を結びつける製品・サービスが進化する 45。将来的には、パーソナライズされたスキンケア、カスタマイズされたサプリメント、睡眠の質を向上させるスリープテック、ストレスを管理するメンタルヘルスアプリなどが一つのプラットフォーム上で統合され、ホリスティック(包括的)なソリューションとして提供されるようになるだろう 47。

サステナビリティの「証明可能な透明性」

「サステナブル」「クリーン」「エコフレンドリー」といった言葉は、もはやマーケティング上の美辞麗句としては機能しなくなる。消費者は、企業がその主張をどのように実現しているのか、具体的かつ証明可能な情報を要求するようになる。ブロックチェーンなどの改ざん不可能な技術を活用し、製品の完全なトレーサビリティが実現される未来が予測される。消費者は、スマートフォンのカメラを製品にかざすだけで、使用されている原料がどの農園で、誰によって、どのような環境配慮のもとで栽培されたのか、製造工場でのCO2排出量はどれくらいか、そしてどのようなルートで店舗まで運ばれてきたのかといった、サプライチェーン全体の情報を瞬時に確認できるようになる。このような「証明可能な透明性」こそが、ブランドへの信頼を勝ち取るための新たなスタンダードとなる。

美容医療とのシームレス化

高機能化粧品(Cosmeceuticals)と、美容医療クリニックで提供される低侵襲な施術(ミニマルな注入治療やレーザー治療など、通称「Tweakments」)との境界線は、ますます曖昧になる 47。消費者は、日々のスキンケアと、四半期に一度のクリニックでの施術を、分断されたものではなく、一つの連続したパーソナルケアプログラムとして捉えるようになる。これにより、化粧品ブランドが美容クリニックと提携して共同で製品やサービスを開発したり、あるいは自社でクリニックを監修・運営したりする動きが加速する。AIによる肌診断データが、ホームケア製品のレコメンデーションとクリニックでの施術メニュー提案の両方にシームレスに活用されるエコシステムが構築されるだろう。

「メタバース」ビューティーの萌芽

現時点ではまだ黎明期にあるが、仮想空間(メタバース)の発展は、ビューティーの新たな表現と消費の場を生み出す可能性がある。将来的には、アバターが使用するデジタルなメイクアップや「スキン」(外見アイテム)が、NFT(非代替性トークン)として取引される新たな市場が形成されるかもしれない。また、ブランドはメタバース内にバーチャルな旗艦店をオープンし、ユーザーが仮想空間で製品を体験したり、バーチャルインフルエンサーと交流したりする機会を提供する。こうした仮想空間での没入型ブランド体験が、現実世界での製品購入へと繋がる、新たなマーケティング・販売チャネルとして機能する可能性を秘めている。

第11章:戦略的インプリケーションと推奨事項

これまでの包括的な分析を統合し、AI時代の化粧品業界で生き残り、持続的な成長を遂げるための具体的な戦略的インプリケーションと推奨事項を提言する。

今後5~10年で勝者と敗者を分ける決定的要因

化粧品業界の未来における勝敗は、以下の3つの能力によって決定づけられる。

  1. データとAIの活用能力: 顧客とのあらゆる接点からファーストパーティ・データを直接収集し、それをAIで解析して、超パーソナライズされた製品・体験・コミュニケーションを迅速に提供できるか。データとAIは、もはやIT部門の課題ではなく、事業戦略そのものの中核となる。
  2. 「コンシャス・ビューティー」の実践能力: サステナビリティとインクルーシビティを、単なるマーケティング上のポーズやCSR活動としてではなく、ブランドの存在意義(パーパス)と事業運営の根幹に据え、透明性をもって実践できるか。Z世代をはじめとする次世代の消費者は、企業の倫理観を厳しく評価する。
  3. 組織のアジリティ(俊敏性): 伝統的な縦割り組織を脱し、市場の変化や顧客のニーズに迅速に対応できる、アジャイルで部門横断的な組織文化とプロセスを構築できるか。特に、R&D、マーケティング、サプライチェーンが一体となって高速でPDCAを回せる体制が不可欠である。

これらに対応できない企業、すなわち、旧来のマス・マーケティングと卸売モデルに固執し、テクノロジーへの投資を怠り、社会的な価値観の変化を軽視する企業は、市場での存在感を失い、敗者となる可能性が高い。

捉えるべき機会と備えるべき脅威

直面する戦略的環境は、以下の機会(Opportunity)と脅威(Threat)によって特徴づけられる。

  • 機会(Opportunity):
    • パーソナライズドD2C市場の創造: AI肌診断を起点とした、高LTVが期待できるサブスクリプションモデルは、未だ絶対的な勝者がいないブルーオーシャンである。
    • 未開拓・成長セグメントの深耕: 本格的な拡大期に入ったメンズ美容市場や、年齢をポジティブに捉える「エイジレス」市場は、大きな成長機会を提供する。
    • サステナビリティ先進企業としての地位確立: 特に規制が先行する欧州市場などで、環境配慮型製品・ビジネスモデルでリーダーシップを発揮することで、グローバルなブランドイメージを向上させることができる。
    • ウェルネス・エコシステムの構築: インナービューティーや美容医療、メンタルヘルスケアなど、隣接領域との連携・融合により、単なる製品販売を超えた新たなサービス事業を創出する。
  • 脅威(Threat):
    • ディスラプターによる顧客基盤の侵食: 特定の価値観やコミュニティに特化した新興D2Cブランドが、大手企業の顧客基盤を少しずつ、しかし確実に奪っていく「千の切り傷による死(Death by a thousand cuts)」。
    • プラットフォーマーによる顧客接点の支配: Amazon、Google、TikTokといった巨大テクノロジープラットフォームが、顧客データと購買の入り口を独占し、化粧品ブランドを単なる製品供給者(サプライヤー)へと貶めるリスク。
    • 異業種からの越境攻撃: 製薬、食品、ITといった異業種が、その専門性を武器に高機能・高付加価値領域に参入し、既存の競争ルールを破壊する。
    • 規制の複雑化とコンプライアンスコストの増大: 環境、成分、広告、データプライバシーに関する規制が世界各地でますます厳格化・多様化し、事業運営コストを押し上げ、製品開発の自由度を制約する。

戦略的オプションの提示と評価

上記の分析に基づき、取り得る3つの戦略的オプションを提示し、評価する。

オプションA:全方位型「総合美の巨人」戦略の進化オプションB:「サイエンス×パーソナライゼーション」特化戦略オプションC:「コンシャス・ビューティー・プラットフォーマー」戦略
戦略概要既存の広範なブランドポートフォリオを維持しつつ、全社的なDXを推進。AI/AR、バイオテック関連のテクノロジー企業を積極的にM&Aし、グループ全体の技術基盤を底上げする。事業ポートフォリオを皮膚科学に基づく高機能スキンケア領域に大胆に絞り込み、経営資源を集中。AI肌診断と完全に連携したD2Cモデルを構築し、「効果」を求める顧客層で圧倒的No.1を目指す。サステナビリティとインクルーシビティを最重要の経営軸に設定。自社ブランドの変革に加え、同じ価値観を持つ新興ブランドを発掘・育成・出資するプラットフォームとなり、エコシステムを主導する。
メリット・規模の経済性とシナジー ・多様な顧客セグメントへのリーチ ・リスク分散・高い専門性とブランドイメージの確立 ・高価格・高利益率の実現 ・明確なターゲット顧客への集中・Z世代など若年層からの強い共感と支持 ・長期的なブランド価値の向上 ・新たなビジネスエコシステムの主導権
デメリット・組織の巨大化による意思決定の遅延 ・ブランド間のカニバリゼーション ・変革のスピードが遅くなるリスク・マス市場の喪失による売上規模の縮小 ・事業ポートフォリオの偏りによるリスク増大 ・技術的優位性を維持し続ける必要性・短期的な収益性は低い可能性 ・価値観の訴求が曖昧だと失敗するリスク ・投資・育成に関する高度な目利き能力が必要
成功確率中~高 (強力なリーダーシップと実行力があれば) (他社を凌駕する技術的優位性を確立できれば)中~高 (長期的な視点と本質的なコミットメントがあれば)

最終提言とアクションプラン

最終提言:
オプションA「全方位型『総合美の巨人』戦略の進化」を基本路線としつつ、その実行の中核エンジンとしてオプションB「サイエンス×パーソナライゼーション」の要素を戦略的に組み込むハイブリッドアプローチを提言する。
これは、既存の事業基盤とブランド資産を活かしながら、最も成長性が高く、業界の未来を象徴するパーソナライゼーション領域で破壊的イノベーションを自ら起こすことを目指すものである。具体的には、全社横断の特命組織として「AIパーソナライゼーション事業本部」をCEO直下に設立し、まずは最も親和性の高いプレステージ・スキンケアブランド群を対象に、AI肌診断を起点としたD2Cサブスクリプションモデルのパイロット事業を迅速に立ち上げるべきである。

実行に向けたアクションプラン(概要)

  • Phase 1:基盤構築(初年度)
    • アクション:
      • CEO直轄の「AIパーソナライゼーション事業本部」を設立。外部から最高デジタル責任者(CDO)を招聘し、データサイエンティスト、AIエンジニア、UXデザイナー、D2Cマーケター等で構成される精鋭チームを組成する。
      • AI肌診断技術を持つスタートアップとの提携または買収(アクイハイアリング)を検討し、自社アプリの開発に着手する。
      • パイロット事業の対象となるプレステージ・スキンケアブランドを選定し、詳細な事業計画(KPI:CAC、LTV、チャーンレート等)を策定する。
    • 主要KPI: 事業計画の取締役会承認、主要人材の採用完了、技術パートナーの確定。
  • Phase 2:事業立ち上げと検証(2~3年目)
    • アクション:
      • AI肌診断アプリをローンチし、パイロットブランドにてパーソナライズド・サブスクリプションサービスを開始する。
      • 収集した顧客データを分析し、製品改善、マーケティング最適化のサイクルを高速で回す。
      • M&A/出資候補となるテクノロジー企業(バイオテック、データ分析等)のデューデリジェンスを進め、1~2件の実行を目指す。
    • 主要KPI: アプリダウンロード数、アクティブユーザー数、有料会員数、LTV/CAC比率(目標 > 3)、顧客満足度スコア。
  • Phase 3:全社展開とエコシステム化(4~5年目)
    • アクション:
      • パイロット事業で確立した成功モデルを、他のブランド(メイクアップ、ヘアケア等)や他の地域(北米、欧州、アジア)へ横展開する。
      • パーソナライズド製品の少量多品種生産に対応できるよう、サプライチェーンと製造プロセスの最適化に着手する。
      • 収集したデータを基に、インナービューティーや提携クリニックでの施術メニュー開発など、新たなサービスエコシステムの構築を検討する。
    • 主要KPI: 全社EC売上高に占めるパーソナライズ製品比率、全社顧客数に占めるD2C会員比率、新規サービス事業の売上高。
  • 成功のための必要リソース:
    • 資金: 初期投資としてXX億円(システム開発、人材採用、マーケティング、M&A資金)。
    • 人材: 上記専門人材の獲得と、既存社員のリスキリングプログラム。
    • 経営コミットメント: 短期的な収益への影響を許容し、長期的な視点で事業変革を推進する、CEOおよび経営陣の強力かつ揺るぎないコミットメント。

第12章:付録

引用文献

  1. Cosmetics Market Size, Share & Analysis Report, 2022-2030, https://www.novaoneadvisor.com/report/cosmetics-market
  2. Cosmetics Market Size, Trends, Analysis and Forecast till 2030, https://www.prophecymarketinsights.com/market_insight/Global-Cosmetics-Market-By-Product-798
  3. Cosmetics Market Size, Share, Growth & Report, 2032, https://www.alliedmarketresearch.com/cosmetics-market
  4. Cosmetics Market Size, Share, Growth, & Industry Report, 2032, https://www.fortunebusinessinsights.com/cosmetics-market-102614
  5. The World Market for Beauty and Personal Care | Market Research …, https://www.euromonitor.com/the-world-market-for-beauty-and-personal-care/report
  6. 男性用グルーミング製品:市場シェア分析、産業動向・統計、成長予測(2025年~2030年), https://www.gii.co.jp/report/moi1687479-mens-grooming-products-market-share-analysis.html
  7. 男性用グルーミング製品市場規模、成長|見通し [2032年] – Fortune Business Insights, https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E8%A3%BD%E5%93%81%E5%B8%82%E5%A0%B4-106217
  8. The United States Men’s Grooming Products Market Size & Outlook, 2030, https://www.grandviewresearch.com/horizon/outlook/men-s-grooming-products-market/united-states
  9. Men Personal Care Market Size & Growth Forecast to 2023-2030 – KBV Research, https://www.kbvresearch.com/men-personal-care-market/
  10. Cosmetic Products Market Size, Growth Analysis Report, Share 2030, https://www.mordorintelligence.com/industry-reports/global-cosmetic-products-industry
  11. The beauty sector is growing and glowing in Asia – BDA Partners, https://www.bdapartners.com/wp-content/uploads/2024/07/BDA_The-beauty-sector-is-growing-and-glowing-in-Asia_2024_07.pdf
  12. 化粧品市場規模、シェア、成長、産業レポート、2032 – Fortune Business Insights, https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/%E5%8C%96%E7%B2%A7%E5%93%81%E5%B8%82%E5%A0%B4-102614
  13. 2025年アジア美容市場の展望:中国・日本・韓国の成長戦略とは – Euromonitor International, https://www.euromonitor.com/article/2025-asia-pacific-beauty-whats-driving-growth-in-china-japan-and-south-korea-jp
  14. Asia Pacific Cosmetic Market, Share, Revenue and … – Ken Research, https://www.kenresearch.com/industry-reports/asia-pacific-cosmetic-market
  15. Southeast Asia Cosmetics Market Size & Outlook 2033 – IMARC Group, https://www.imarcgroup.com/southeast-asia-cosmetics-market
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  17. D2C Ecommerce Market Size and Future Scope To 2035, https://www.marketresearchfuture.com/reports/d2c-ecommerce-market-35564
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  19. Cosmetics Market Size, Share & Forecast Report 2035, https://www.researchnester.com/reports/cosmetics-market/6210
  20. Cosmetics Market Outlook, Size, and Industry Growth Insights, https://www.skyquestt.com/report/cosmetics-market
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  22. 10 Beauty e-commerce trends to watch out for in 2025 – Ryder, https://www.ryder.com/en-us/insights/blogs/e-comm/beauty-e-commerce-trends
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  33. 欧州連合では化粧品に新たな動物実験のデータを使用することは禁止されているが、 それを弱めようとする業界の動きが裁判所の判決により阻止された― | Humane World for Animals, https://www.humaneworld.org/africa/ja/news/ouzhoulianhetehahuazhuangpinnixintanadongwushiyannotetawoshiyongsurukotohajinzhisareteiruka
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  55. 美容小売り大手「Ulta」の「顧客体験」戦略が競合を凌駕する …, https://hc.kyodoprinting.co.jp/article/783/
  56. 長寿科学×AI技術で誕生した次世代スキンケア成分Cellaigie™の全貌 – innovaTopia, https://innovatopia.jp/healthcare/healthcare-news/64727/
  57. 薬機法に違反しない化粧品の表現や禁止事項について解説! – デジタルアイデンティティ, https://digitalidentity.co.jp/blog/pmd-act/cosmetic.html
  58. 化粧品広告で注意表現や言い換え例を解説!媒体別の注意点も掲載 – 山田製薬, https://www.yamada-seiyaku.com/blog/010
  59. PRIVACY POLICY -プライバシーポリシー – 銀座ステファニー化粧品, https://ginza-stefany.com/privacypolicy/
  60. 個人情報の取扱いについて | タカミ化粧品 公式通販(TAKAMI), https://www.takami-labo.com/information/privacy
  61. 花王 | 「個人情報の保護に関する法律」に基づく公表事項, https://www.kao.com/jp/privacy/privacy-02/
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  72. 香料業界の世界市場シェアの分析 | deallab, https://deallab.info/flavor-fragrance/
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  77. 【大手化粧品OEM・ODMメーカー】売上ランキング・市場シェア(100億円超), https://www.syogyo.jp/matome/2024/06/post_038747
  78. K-ビューティーの軌跡と展望(2)韓国化粧品OEM・ODMに強み | 地域・分析レポート – ジェトロ, https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/1dc4c2f43f730c61.html
  79. 2025年最新版!化粧品OEMメーカー厳選ランキングTOP10 – Accio, https://www.accio.com/supplier/ja/%E5%8C%96%E7%B2%A7%E5%93%81oem%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0
  80. 購入の決め手は「クチコミ」がトップ!情報接触はひとりあたり平均約1.8媒体の中、見るのはSNS?@cosme?|トレンドコラム, https://business.cosme.net/column/research-202309
  81. Why Beauty Retail Is Moving to Amazon – and How Agencies Are Driving That Shift, https://www.style-splash.com/beauty/why-beauty-retail-is-moving-to-amazon/
  82. Secrets for Succeeding in Amazon Premium Beauty – Cosmetic Executive Women, https://cew.org/beauty_news/four-secrets-for-breakout-success-in-amazon-premium-beauty-store/
  83. 【EC事例】海外ECの成功から学ぶべき未来とは?『Fenty Beauty』編, https://www.micro-wave.net/column/detail/ecvol6_ececfenty_beauty.html
  84. 【業界研究】化粧品業界の企業研究!他業界との関わりやメーカー就職に必要なこと, https://j.futurefinder.net/article/business-world-corporate-analysis/research-keshouhingyoukai-kenkyuu/
  85. 「富士フイルムに続け!」と化粧品に異業種が続々参入の背景 – NEWSポストセブン, https://www.news-postseven.com/archives/20130507_185164.html?DETAIL
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  87. 美容医療市場に関する調査を実施(2025年) | ニュース・トピックス – 矢野経済研究所, https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3844
  88. 家庭用美容器具 市場規模とシェア 2025-2035 – Metatech Insights, https://www.metatechinsights.com/jp/industry-insights/household-beauty-appliances-market-1953
  89. 日本の美容機器市場 | 業界シェア 市場規模 成長性 2025 – 2030年 – グローバルインフォメーション, https://www.gii.co.jp/report/moi1686205-japan-aesthetic-devices-market-share-analysis.html
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  91. 市場成長性 | プロラボホールディングス公式サイト – インナービューティ・美容・医療, https://prolabo.co.jp/about/market-growth-potential/
  92. TPCマーケティングリサーチ、インナービューティ市場を調査~2025年の市場規模は前年比2.6%増の1121億円 – 週刊粧業, https://www.syogyo.jp/news/2025/07/post_041708
  93. 【最新版】化粧品メーカー 売上世界ランキングトップ10 – 週刊粧業, https://syogyo.jp/matome/2024/10/post_039566
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  101. D2Cとは?メリットや成功事例をわかりやすく解説 – NECソリューションイノベータ, https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sp/contents/column/20220805_d2c.html
  102. D2Cブランドの成功事例20選 注目されている理由や共通点などを解説 | Marketics(マーケティクス) – b→dash, https://bdash-marketing.com/marketics/marketing/8527/
  103. 【TREND Ai vol.4】 Z世代の購買行動について 韓国ブームの視点から、新大久保を調査! | 販促支援コラム – 東具, https://www.togu.co.jp/column/detail/358
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  106. アフターコロナのZ世代〜ミレニアル世代の美容意識変化と2023年下半期美容トレンドを、約11万件の投稿データから予測。キーワードは「リップ」「60年代」「攻めのケア」 | ByteDance株式会社 Lemon8チームのプレスリリース – PR TIMES, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000059856.html
  107. 化粧品市場: 美容トレンドを強化 – 2032 年 – ドリームニュース, https://www.dreamnews.jp/press/0000327153/
  108. 【2025年最新】VRIO分析とは?競争優位性を強化するフレームワークの活用法と実践事例, https://www.koukoku.jp/service/suketto/marketer/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E6%88%A6%E7%95%A5/%E3%80%902025%E5%B9%B4%E6%9C%80%E6%96%B0%E3%80%91vrio%E5%88%86%E6%9E%90%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E7%AB%B6%E4%BA%89%E5%84%AA%E4%BD%8D%E6%80%A7%E3%82%92%E5%BC%B7%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E3%83%95/
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  110. 化粧品業界におけるデジタルマーケティングの進化と成功事例 – AIさくらさん, https://www.tifana.ai/article/furumai-article-405
  111. データサイエンティストの平均年収・給料の統計 | 収入を上げる転職のコツも紹介, https://career.levtech.jp/guide/income/occ-29/
  112. データサイエンティストとは?仕事内容や平均年収、必要スキルなどを分かりやすく解説 – doda, https://doda.jp/engineer/guide/it/059.html
  113. AIエンジニア・AI人材の平均年収・給与は? – ムービン, https://www.movin.co.jp/it/special/special107.html
  114. 化粧品・美容・消費財メーカーのデータサイエンティスト・データ分析の転職・求人情報, https://www.pasonacareer.jp/jb600/jm640/ib10/is1f/
  115. 【化粧品メーカー】データアナリスト・データサイエンティスト・リサーチャーの転職・求人・中途採用情報 doda(デューダ), https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchList/j_ind__0321S/-oc__0206M/-preBtn__2/
  116. メーカー(化学・素材)のデータサイエンティストの転職・求人一覧 – ミドルの転職, https://mid-tenshoku.com/itengineer/datascientist/maker-kagaku/
  117. 外資系化粧品メーカーへの転職は未経験でも可能?最新求人や年収相場を解説, https://www.jac-recruitment.jp/market/multi-national-company/foreign-company-cosmetics/
  118. 化粧品開発者の平均年収は?年収を上げるための2つのポイントを解説 |, https://www.tcm.ac.jp/contents/column/cosmetics-developer_annual-income/
  119. 美容部員の給料はどれくらい?平均年収や手取りでもらえる金額を紹介, https://www.belle.ac.jp/archives/column/15612
  120. 美容部員の給料相場を年齢・雇用形態別に解説!年収アップの秘訣とは | 就活マガジン, https://shukatsu-magazine.com/column/94883/?columnid=94883
  121. 化粧品分野にも国産の波(中国)(2)R&D・買収加速で競争力強化 | 地域・分析レポート – ジェトロ, https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/e7858d796db0a938.html
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  204. D2Cブランドの成功事例20選をD2Cマーケターが解説 – 株式会社Venture Ocean, https://venture-ocean.com/blog/d2c-successful-case/
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  211. 化粧品(コスメ)・医薬品メーカー/初年度年収500万円以上/「データサイエンティスト」を含む転職・求人・中途採用情報, https://tenshoku.mynavi.jp/engineer/list/i02210/min0500/kw%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%88/
  212. 美容部員の給料はどのぐらい貰える?平均給与や収入UPの秘訣を解説 – 株式会社ディンプル, https://www.dimples.co.jp/wp-content/themes/dimples/articles/sale/column_078/
  213. 化粧品産業ビジョン, https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/bio/cosme/cosme_vision2021.pdf
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  217. L’Oréal 2024 Annual Report – Interview Christophe Babule & Ezgi Barcenas – YouTube, https://www.youtube.com/watch?v=24XmURJqL24
  218. Environment & Sustainability Efforts & Goals | Estée Lauder, https://www.esteelauder.com/discover/caring-for-the-environment
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  220. A Portfolio of Daily-Use Categories | P&G 2024 Annual Report, https://us.pg.com/annualreport2024/a-portfolio-of-daily-use-categories-where-performance-drives-brand-choice/
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  228. アイスタイル、「@cosme」を中心に美容関連の総合プラットフォームを展開 売上利益ともに最高更新を見込む – logmi Business, https://finance.logmi.jp/articles/381908
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