エクスペリエンス・エコノミーの勝者:AIとアセット戦略で再定義するホテル業界の未来
第1章:エグゼクティブサマリー
本レポートの目的と要約
本レポートは、パンデミック後の急激な需要回復、インバウンド観光の再拡大、深刻化する人手不足、そして顧客体験の根本的な変化という、複雑かつ多層的な要因が絡み合うホテル業界において、持続可能な成長を達成するための事業戦略策定の基盤を提供することを目的とする。調査範囲は、グローバルおよび国内の主要ホテルチェーン、独立系ホテル、OTA(Online Travel Agent)、さらにはホテル事業に密接に関連する不動産、テクノロジー、人材サービス業界までを包括的に網羅する。
最も重要な結論
分析の結果、日本のホテル市場はインバウンド需要の歴史的な回復を追い風に、客室単価(ADR)や販売可能な客室あたりの収益(RevPAR)といった主要業績評価指標(KPI)がコロナ禍以前を上回る活況を呈している。しかし、その華やかなトップライン成長の裏側では、構造的かつ深刻な人手不足が供給能力を制約し、人件費や業務委託費の急騰が利益を著しく圧迫する「利益なき繁忙」とも言うべき危機的状況が進行している。
この構造的課題を踏まえた上で、今後5年から10年先のホテル業界における勝者と敗者を分ける決定的な要因は、もはや一等地の不動産(ハード)所有ではなく、以下の3つの「ソフト」な経営資源をいかに高度に統合し、実行できるかに集約される。
- ブランド力と体験価値の創造: 単なる「宿泊」機能の提供から脱却し、ウェルネス、サステナビリティ、地域文化との融合といった、顧客の価値観に寄り添う独自の「体験」を設計・提供する能力。
- オペレーショナル・エクセレンス: AIやデジタル技術を駆使し、バックオフィス業務からレベニューマネジメント、顧客対応に至るまで、バリューチェーン全体の生産性を抜本的に向上させる運営能力。
- 顧客との直接的な関係構築: 強力なロイヤリティプログラムとデータ活用を基盤に、OTAへの依存から脱却し、顧客生涯価値(LTV)を最大化するダイレクト・トゥ・コンシューマー(D2C)戦略の実行能力。
これら3つの要素は独立して存在するのではなく、相互に作用し、業界の収益構造と競争原理を根本から再定義している。すなわち、アセットライト戦略によって創出された資本をテクノロジーと人材に再投資し、AIで効率化されたオペレーションが生み出す人的リソースを高度な「おもてなし」に集中させ、そこで創出された独自の体験価値がブランド力を高め、顧客を直販チャネルに惹きつける、という好循環を構築できる企業こそが、未来の勝者となる。
主要な戦略的推奨事項
以上の分析に基づき、取るべき事業戦略上の主要な推奨事項を以下に提示する。
- AI主導のオペレーション変革の断行:
レベニューマネジメント、バックオフィス業務(経理、発注)、定型的なフロント業務(予約、問い合わせ対応)をAIと自動化技術で徹底的に効率化する。これにより創出された人的リソースを、複雑な問題解決や共感を呼ぶコミュニケーションなど、人間にしか提供できない高付加価値なホスピタリティ業務へと戦略的に再配置する。これはコスト削減に留まらず、生産性と顧客満足度を同時に向上させるための最重要施策である。 - 「体験価値」を核としたブランド・ポートフォリオの再構築:
画一的なフルサービスやリミテッドサービスの概念から脱却する。ウェルネス、食、アート、サステナビリティなど、特定の価値観やライフスタイルを持つ顧客セグメントに深く刺さる、専門性の高い「ライフスタイルブランド」を複数開発・展開する。これにより、価格競争から脱却し、高いブランド・ロイヤリティを基盤とした高収益事業構造を構築する。 - データドリブンな直販(D2C)チャネルへの全面シフト:
OTAへの手数料支払いは、単なるコストではなく、顧客データという最も重要な経営資源の流出であると認識を改める。強力な特典を持つロイヤリティプログラムを刷新し、AIを活用したパーソナライズ・マーケティングを駆使して、顧客を自社ウェブサイトやアプリへ誘導する。直販比率の向上を最優先の経営KPIに設定し、顧客との直接的な関係を構築することで、LTVを最大化する。 - アセットライト戦略の加速と資本の再配分:
不動産所有に伴うリスクと資本の硬直性から脱却する。既存の所有物件はREITへの売却などを通じてオフバランス化し、経営資源をブランド開発、テクノロジー投資、人材育成といった「ソフト」な競争優位の源泉へと集中させる。新規展開においては、マネジメント契約やフランチャイズモデルを基本とし、資本効率と成長スピードを最大化する。
第2章:市場概観(Market Overview)
市場規模の推移と予測(2019年~2030年)
グローバル市場
世界のホテル市場、特にラグジュアリーセグメントは、パンデミック後の力強い回復と成長が予測されている。世界の高級ホテル市場規模は、2025年の1,394億1,000万米ドルから2030年には2,187億7,000万米ドルに達し、この間の年平均成長率(CAGR)は9.43%にのぼると見込まれる 1。この高い成長率は、世界的な富裕層の旅行意欲の回復、そして単なる豪華さだけでなく、ユニークな体験やパーソナライズされたサービスに対する支出意欲の高まりを明確に反映している。
日本市場
日本のホテル・旅館市場は、グローバル市場とは異なる様相を呈している。市場規模(金額ベース)は現在約2.96兆円と推計され、2030年にかけては微増(+0.14%)に留まるとの予測もある 3。しかし、このマクロ予測は、インバウンド需要の質的・量的変化を十分に織り込んでいない可能性がある。
より実需に近い指標である「延べ宿泊者数」で見ると、市場の力強い成長ポテンシャルが明らかになる。価値総合研究所の推計によれば、2030年の延べ宿泊者数は約7.0億人泊に達し、2023年比で14%増加する見込みである 5。この成長を牽引するのはインバウンド需要であり、同期間に日本人延べ宿泊者数が微減する一方、外国人延べ宿泊者数は約2.1億人泊へと、2023年比で82%増という爆発的な増加が予測されている 5。
| 年 | 日本人延べ宿泊者数 (億人泊) | 外国人延べ宿泊者数 (億人泊) | 合計延べ宿泊者数 (億人泊) | 対2019年比 (外国人) |
|---|---|---|---|---|
| 2019 (実績) | 5.00 | 1.18 | 6.18 | 100% |
| 2023 (実績) | 4.99 | 1.15 | 6.14 | 97% |
| 2030 (予測) | 4.90 | 2.10 | 7.00 | 178% |
カテゴリ・業態・地域別分析
市場の成長は一様ではない。特にラグジュアリーおよびアッパーアップスケールといった高価格帯セグメントが、富裕層インバウンドの増加により市場全体の成長を牽引する構図となっている。
地域別に見ると、インバウンド需要の恩恵は東京、大阪、京都といった主要都市圏に集中する傾向が顕著である。観光庁の宿泊旅行統計調査(2024年10月)によると、2019年同月比での延べ宿泊者数の伸びは、東京都で+40.7%、大阪府で+32.3%に達する一方、地方では一桁の伸びやマイナスに留まる地域が多く、回復格差が鮮明になっている 6。CBREのレポートでは、札幌・名古屋・福岡といった地方中核都市にもインバウンド需要が波及し始めていると指摘されているが、同時に、これらの都市では新規供給がビジネスホテルに偏っており、レジャー目的のインバウンド(特にファミリー層)のニーズに対応しきれていないという構造的ミスマッチも課題として挙げられている 7。
主要業績評価指標(KPI)の動向分析
OCC、ADR、RevPAR
パンデミック中に歴史的な落ち込みを記録した主要KPIは、2022年後半からの需要回復、特にインバウンドの再開に伴い急速に改善した。
- OCC (客室稼働率): 2024年11月には全体で66.6%に達し、コロナ禍前の2019年同月を1.0ポイント上回る水準に回復した 6。施設タイプ別に見ると、ビジネスホテルが81.4%、シティホテルが79.6%と高い稼働率を維持している。
- ADR (平均客室単価): ADRの上昇は特に著しい。JLLのレポートによると、2023年の各月のADRはすべて2019年を上回る水準で推移している 8。この背景には、旺盛なインバウンド需要に加え、深刻な人手不足によってホテル側が全客室を販売できず、供給が制約されていることがある。さらに、水道光熱費や人件費、食材費などのコストプッシュ型のインフレも、価格転嫁を後押ししている 8。
- RevPAR (販売可能な客室あたりの収益): OCCの回復とADRの大幅な上昇が掛け合わさり、RevPARは多くのエリアで2019年の水準を大きく超えている 8。
このRevPARの力強い成長は、一見すると業界の健全な回復を示しているように見える。しかし、その内実を精査すると、異なる側面が浮かび上がる。現在のRevPAR成長は、純粋な需要増だけでなく、「供給制約(人手不足)」という事業運営上のボトルネックによってもたらされている側面が強い。需要があるにもかかわらず、清掃やフロントの人員が不足しているために客室を販売できないという機会損失が発生している。同時に、人件費や委託費の高騰が利益を圧迫している。つまり、売上(RevPAR)は伸びているものの、コスト構造の悪化と機会損失によって、利益が伸び悩む「利益なき繁忙」に陥るリスクを内包している。この構造的課題を直視せず、トップラインの成長のみに安住することは、持続可能な成長を見誤ることに繋がる。
インバウンド市場の動向
インバウンド市場は、日本ホテル業界の成長を支える最大のエンジンである。日本政府観光局(JNTO)の統計によれば、2025年9月には単月の訪日外客数が326万人を超え、9月までの累計でも3,165万人と、過去最速で3,000万人の大台を突破した 9。円安が海外旅行者にとって強力な追い風となり、日本の旅行商品が相対的に割安になっていることが最大の要因である 6。
国・地域別に見ると、地理的に近い韓国、中国、台湾、香港が依然として大きな割合を占めている。しかし、注目すべきは旅行者の多様化である。2025年9月の統計では、米国(前年同月比+17.1%)、ドイツ(同+42.3%)、インド(同+42.2%)、そして中東地域(同+109.2%)など、多くの市場で高い伸び率を記録し、18の市場で9月として過去最高を更新した 9。これは、高単価での滞在が期待できる欧米豪や中東からの旅行者が増加していることを示唆しており、ホテル業界にとっては客単価向上に向けた大きな機会となる。
MICE市場の動向
MICE(Meeting, Incentive, Convention, Exhibition)は、一般の観光旅行に比べて一人当たりの消費額が高く、平日の稼働率向上にも寄与するため、ホテルにとって極めて収益性の高いセグメントである 11。日本のMICE市場は、2023年の35億ドルから2035年には90.3億ドルへと、CAGR 8.382%という高い成長が見込まれている 12。
この成長は、政府による国際会議の誘致支援強化、ビジネス旅行の本格的な回復、そしてバーチャル参加などを組み合わせたハイブリッド形式の普及といったテクノロジーの進歩に支えられている 12。特に、サステナビリティへの関心の高まりから、環境に配慮した「グリーンMICE」の需要が増加しており、これに対応できる施設は新たな競争優位を築くことができる 12。
市場成長ドライバーと阻害要因
成長ドライバー
- 強力なインバウンド政策: 政府は「観光立国推進基本計画」において、2030年までに訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円という極めて野心的な目標を掲げている 14。これは、業界にとって長期的な成長を約束する強力な追い風である。
- 歴史的な円安水準: 外国人旅行者にとって日本の商品・サービスの価格競争力を高め、インバウンド需要を刺激し続ける最大の要因である 8。
- 富裕層・高付加価値旅行へのシフト: 旅行者のニーズが多様化・高度化し、特に富裕層を中心に、高価格でもユニークな体験価値を求める傾向が強まっている。JLLのレポートでは、ライフスタイルホテルの客室供給が2027年までに34%成長すると予測されており、このセグメントの拡大が市場を牽引する 16。
阻害要因
- 深刻な人手不足: 業界が直面する最大かつ最も根深い課題。ザイマックス不動産総合研究所の調査では、宿泊客対応で73%、宴会・料飲で71%のホテルが人手不足を感じていると回答している 17。これはサービス品質の低下、機会損失、そして人件費高騰による利益圧迫に直結する。
- コスト高騰: 人件費に加え、客室清掃やリネンサプライといった業務委託費も高騰しており、76%のホテルが単価上昇を報告している 17。また、建設コストの高騰は、新規ホテルの開発を抑制し、供給の伸びを鈍化させる要因となっている。
- 外部リスク: 地政学リスク、新たな感染症の発生、自然災害といった予測困難な外部環境の変化は、常に旅行需要を急減させるリスクをはらんでいる。
業界の主要KPIベンチマーク分析
主要ホテルチェーンのRevPARや収益性を比較すると、ビジネスモデルの違いが業績に明確に反映されている。一般的に、マリオットやヒルトンのようなグローバルチェーンは、強力なブランド力とロイヤリティプログラム、高度なレベニューマネジメントシステムを駆使して高いRevPARを維持している。国内では、独自の運営ノウハウで高付加価値を実現する星野リゾートや、徹底したコスト管理と高稼働率を両立させるアパホテルが高い収益性を示している。これに対し、伝統的なアセットヘビー型の国内大手ホテルは、資産効率の面で課題を抱える傾向にある。
第3章:外部環境分析(PESTLE Analysis)
ホテル業界の事業環境は、多様なマクロ環境要因によって大きく左右される。ここでは、PESTLEフレームワークを用いて、政治、経済、社会、技術、法規制、環境の6つの側面から外部環境を分析する。
政治(Politics)
政治的要因は、ホテル業界の需要を直接的に創出、あるいは抑制する強力なドライバーである。
- 観光立国政策: 日本政府は観光を成長戦略の柱と位置づけ、「第4次観光立国推進基本計画」において2030年までに訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円という高い目標を設定している 14。この国家戦略は、ビザ緩和措置の拡大や国際会議(MICE)誘致支援など、具体的な政策として実行されており、業界にとって最大の追い風となっている。
- 政府の旅行支援策: 「GoToトラベル」に代表される国内旅行需要喚起策は、短期的には市場を活性化させ、特に地方の観光地に恩恵をもたらす。しかし、これらの政策は財源に限りがあり、政治判断によって突然停止されるリスクを伴う。政策への過度な依存は、需要の乱高下を招き、安定的な経営を困難にする可能性がある。
- 民泊規制: 2018年に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)は、無秩序な民泊の拡大に一定の歯止めをかけた。しかし、その運用実態は自治体によって異なり、依然としてホテル、特にエコノミーセグメントのホテルにとっては競争環境を左右する重要な要素であり続けている。
経済(Economy)
経済環境、特に為替と金利の動向は、ホテル業界の収益性に直接的な影響を与える。
- 為替レート(円安): 現在の歴史的な円安は、インバウンド需要を爆発的に増加させる最大の要因である。外国人旅行者にとって、日本の宿泊費、交通費、商品購入費が相対的に割安になるため、旅行先としての日本の魅力を飛躍的に高めている 8。一方で、ホテル運営に必要なエネルギー、輸入食材、リネン類などの調達コストを押し上げ、利益を圧迫する「諸刃の剣」でもある。
- インフレと可処分所得: 国内における物価上昇は、人々の可処分所得を実質的に減少させ、国内旅行への支出意欲を減退させる可能性がある 6。特に、価格に敏感なレジャー層やファミリー層の需要に影響を与える懸念がある。
- 金利政策: 長らく続いた低金利政策は、ホテル開発における資金調達コストを低く抑え、不動産投資を促進してきた。しかし、将来的な金利の上昇局面では、新規開発プロジェクトの採算性が悪化し、投資が鈍化する可能性がある。また、変動金利で多額の借り入れを行っているアセットヘビー型の事業者にとっては、金利上昇が財務を直接圧迫するリスクとなる。
社会(Society)
社会的な価値観やライフスタイルの変化は、顧客がホテルに求めるものを根本から変えつつある。
- ライフスタイルの変化:
- ウェルネス志向: 心身の健康を重視する傾向が強まり、スパ、フィットネス、ヘルシーな食事、良質な睡眠などを提供するウェルネスツーリズムの需要が拡大している。
- サステナビリティへの関心: 環境保護や社会貢献への意識が高まり、エコフレンドリーなアメニティの採用、食品ロスの削減、地域社会との共生といった、サステナブルな取り組みを実践しているホテルが顧客から選ばれるようになっている 18。
- ブリージャー(Business + Leisure): 出張(Business)と休暇(Leisure)を組み合わせる新しい働き方が定着し、快適なワークスペースや高速Wi-Fi、そして仕事後に楽しめるアクティビティやリラクゼーション施設を求める需要が増加している 20。
- 人口動態の変化と旅行形態: 高齢化や単身世帯の増加に伴い、旅行の形態は団体旅行から個人旅行(FIT)へと完全にシフトした。これにより、画一的なサービスではなく、個々のニーズに合わせたパーソナライズされた体験が求められるようになっている。
- 深刻化する労働力不足: 少子高齢化による生産年齢人口の減少は、サービス産業全体を直撃している。特にホテル業界は、国税庁の調査で全産業平均を大きく下回る賃金水準(平均給与260万円)や、不規則な勤務形態から、若年層にとって魅力的な職場とは言い難く、人材獲得競争において極めて不利な状況にある 21。この問題は、単なるコスト増や機会損失に留まらず、事業の存続そのものを脅かす最大の経営課題である。
この社会的な課題である人手不足は、技術的な解決策であるAIやDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入を、単なる選択肢から「生き残りのための必須条件」へと変質させている。人件費が高騰し、そもそも人材が採用できないという不可避の制約下では、従来の労働集約型モデルはもはや維持不可能である。AIやロボティクスによる定型業務の自動化は、コスト削減という経営合理化の文脈だけでなく、事業を継続するための前提条件となっている。この構造変化を認識し、テクノロジー投資を事業継続コストとして捉え、迅速に実行できるかどうかが、企業の将来を左右する。
技術(Technology)
テクノロジーの進化は、ホテル業界のオペレーション効率と顧客体験の両面を劇的に変革している。
- 基幹システムの進化: PMS(Property Management System)とCRM(Customer Relationship Management)がクラウド化・統合され、予約情報、顧客情報、決済情報などを一元的に管理・分析することが可能になった 22。これにより、データに基づいた迅速な意思決定と、パーソナライズされたマーケティングが実現する。
- レベニューマネジメントの高度化: AIが過去のデータや市場動向を分析し、最適な客室料金をリアルタイムで提案するダイナミックプライシングが普及。人間の経験と勘に頼っていた価格設定を、データドリブンで自動化・最適化し、収益を最大化する 23。
- 非接触技術と客室IoT: スマートフォンアプリによる非接触チェックイン/アウト、スマートキー、客室内の照明・空調・カーテンをタブレットや音声で制御するIoT技術が標準化しつつある 23。これにより、フロント業務の省人化と、顧客の利便性向上が同時に達成される。
- OTAの技術的優位性: OTAは、膨大な顧客データと高度な分析技術、そして優れたUI/UXを持つプラットフォームを武器に、市場での優位性を確立している。彼らのデータ独占は、ホテル側が顧客との直接的な関係を築く上での大きな障壁となっている。
法規制(Legal)
ホテル事業は、様々な法規制の下で運営されている。
- 旅館業法: 2023年12月の改正により、従業員に過重な負担を強いるカスタマーハラスメント行為を行う顧客の宿泊を拒否できるようになった 26。これは、従業員の労働環境を保護し、離職率の低下に繋がることが期待される。ただし、障害者への合理的配慮の提供義務とのバランスなど、現場での適切な運用が課題となる 27。
- 外国人労働者に関する規制: 人手不足を補うため、特定技能制度などを活用した外国人材の受け入れが進んでいるが、在留資格の要件や手続きの煩雑さが、迅速な人材確保の障壁となる場合がある。
- 個人情報保護法: グローバルに顧客データを扱う上で、日本の個人情報保護法に加え、EUのGDPR(一般データ保護規則)など、各国の規制への準拠が不可欠となる。違反した場合は多額の制裁金が科されるリスクがある。
環境(Environment)
環境問題への対応は、企業の社会的責任(CSR)の範疇を超え、ブランド価値と顧客からの支持に直結する重要な経営課題となっている。
- サステナビリティへの要請: Booking.comの調査では、旅行者の8割以上が「サステナブルな旅行を優先したい」と回答しており 19、ホテルの環境への取り組みが、顧客の選択基準として明確に意識されている。
- 具体的な取り組み:
- 脱プラスチック: 2022年施行の「プラスチック資源循環促進法」を受け、歯ブラシやかみそりといった客室アメニティをプラスチック代替素材(竹、木など)に変更したり、必要な分だけをフロントで提供する「アメニティバイキング」方式を導入する動きが加速している 18。
- 省エネルギー: LED照明や人感センサーの導入、再生可能エネルギーの活用などにより、CO2排出量を削減する取り組みが進んでいる 18。
- 食品ロス削減: ビュッフェ形式のレストランでの需要予測精度向上や、規格外食材の活用など、食品ロスを減らす努力が求められている。
- 環境認証: LEEDやBREEAMといった国際的な環境性能評価認証を取得することは、サステナビリティへの取り組みを客観的に示し、特に環境意識の高い欧米の旅行者に対する強力なアピールとなる。
第4章:業界構造と競争環境の分析(Five Forces Analysis)
ホテル業界の収益構造と競争の力学を、マイケル・ポーターの「ファイブフォース分析」を用いて解き明かす。結論から言えば、ホテル業界は供給者と買い手の双方から強い圧力を受け、新規参入や代替品の脅威にも晒される、極めて競争の激しい市場環境にある。
供給者の交渉力:強い
ホテル事業者は、事業運営に不可欠な経営資源を提供する供給者から強い交渉圧力に晒されている。
- OTA(Online Travel Agent): Booking.comやExpediaといったグローバルOTAは、その圧倒的な集客力とマーケティング力を背景に、ホテルに対して極めて強い交渉力を持つ。一般的な手数料率は宿泊料金の10%から20%にも達し、ホテルの利益を大きく圧迫している 29。多くのホテル、特に独立系ホテルは、売上の大部分をOTA経由の予約に依存せざるを得ず、手数料交渉の余地はほとんどない。
- 人材(労働市場): 深刻な人手不足は、労働者(供給者)の交渉力を著しく高めている。総支配人や総料理長といった専門スキルを持つ人材はもとより、フロント、客室清掃、料飲サービスといった現場スタッフの確保も困難になっている。他業界との人材獲得競争が激化する中、賃金水準の引き上げや労働条件の改善に応じなければ人材を確保できず、人件費は上昇の一途を辿っている 17。
- その他サプライヤー: 客室清掃の委託会社、リネンサプライヤー、食材納入業者なども、同様の人手不足や燃料費・原材料費の高騰を背景に価格交渉力を強めている。特に清掃委託単価は多くのホテルで上昇しており、コスト増の大きな要因となっている 17。
買い手の交渉力:強い
情報を容易に入手できるようになった現代の旅行者(買い手)は、非常に強い交渉力を持っている。
- 個人旅行者: OTAや価格比較サイトの普及により、消費者は瞬時に複数のホテルの料金、設備、空室状況を比較できるようになった。さらに、トリップアドバイザーやGoogleレビューといった口コミサイトの存在が、品質の透明性を飛躍的に高めた 34。調査によれば、半数以上の旅行者が「口コミのないホテルは予約しない」と回答しており 34、ネガティブな評価は売上に直結する。この情報の非対称性の解消が、買い手の価格と品質に対する要求水準を極めて高くしている。
- 法人顧客: 企業の出張手配やMICE(国際会議・展示会など)においては、一度に大量の客室を予約するため、ボリュームディスカウントを要求する強い価格交渉力を持つ。
新規参入の脅威:中程度から高い
ホテル業界は、異業種からの参入が相次いでおり、新規参入の脅威は増大している。
- 異業種からの参入: 不動産デベロッパー(例:三井不動産、三菱地所)、鉄道会社(例:JR各社)、総合通販(例:ベルーナ)、アパレル(例:ストライプインターナショナル)など、豊富な資本力、既存の顧客基盤、不動産開発ノウハウ、あるいは独自のブランド構築力を持つ企業が、新たな成長機会を求めてホテル事業に参入している 12。これらの新規参入者は、既存の業界の常識にとらわれない新しいコンセプトやビジネスモデルを持ち込む可能性があり、競争環境を大きく変える潜在力を持つ。
- 新たな宿泊形態: ラグジュアリーコンドミニアムや、キッチン・洗濯機などを備えたサービスアパートメントの市場が拡大している 39。これらは特に中長期滞在者やファミリー層にとって、ホテルに代わる魅力的な選択肢となり、直接的な競合となっている。
代替品の脅威:中程度
ホテルというサービスそのものが、他の選択肢に置き換えられる脅威も存在する。
- 民泊(Airbnbなど): 住宅宿泊事業法による規制はあるものの、Airbnbは依然として強力な代替品である。2024年には日本国内で7,700億円の経済効果を生み出し、特にグループ旅行、長期滞在、そして「暮らすような旅」といったローカルな体験を求める層から強い支持を得ている 40。ホテルとは異なるユニークな宿泊体験を提供することで、特定の顧客セグメントを奪っている。
- オンライン会議: コロナ禍を経て、ビジネス出張の一部は恒久的にオンライン会議に代替された。これにより、平日のビジネス需要が構造的に減少したホテルも少なくない。
業界内の競争:非常に激しい
上記の4つの力に加え、既存のホテル事業者間の競争も極めて熾烈である。
- プレイヤー間の競争: マリオット、ヒルトンといったグローバル・メガチェーン、星野リゾート、プリンスホテル、アパホテルのような国内大手チェーン、そして無数の独立系ホテルが、ラグジュアリーからエコノミーまであらゆるセグメントで顧客を奪い合っている。
- ビジネスモデルの競争: ブランド力と運営ノウハウで収益を上げる「アセットライト」モデル(マリオット、星野リゾートなど)と、不動産価値を収益の源泉とする伝統的な「アセットヘビー」モデル(帝国ホテル、ホテルオークラなど)が混在し、異なる戦略で競争を繰り広げている。
- チャネル競争: 各ホテル事業者は、収益性を改善するために、OTAへの依存度を下げ、自社ウェブサイトやアプリからの直接予約(D2C)比率を高めようと必死である 43。ロイヤリティプログラムの強化や会員限定価格の設定などを通じて、顧客の囲い込みを図っているが、OTAの圧倒的な集客力に対抗するのは容易ではない。
この分析から導き出されるのは、ホテル業界が構造的に厳しい収益環境に置かれているという事実である。上流ではOTAや労働市場がコストを押し上げ、下流では情報武装した顧客が価格を引き下げる。この「二重の挟撃(Double Squeeze)」とも言える構造が、業界の利益率を構造的に低くしている根本原因である。この厳しい構造から抜け出すためには、小手先の改善では不十分である。①OTAへの依存度を下げ(直販強化)、②労働生産性を抜本的に向上させ(DX/AI活用)、③価格競争から脱却できる独自の価値(体験、ブランド)を創造するという、三位一体の戦略的変革が不可欠となる。
第5章:バリューチェーンとサプライチェーン分析
ホテル事業の価値創造プロセスと、それを支える供給網の構造を分析することで、業界が直面する課題の核心と、競争優位の源泉がどこにシフトしているかを明らかにする。
バリューチェーン分析
ホテル事業のバリューチェーンは、大別して「ホテル開発・企画」→「マーケティング・予約獲得」→「運営(フロント、客室清掃、料飲、施設管理)」→「顧客関係管理(CRM)・ロイヤリティ醸成」という一連の活動で構成される。この連鎖の中で、価値創造の源泉は劇的に変化している。
価値の源泉のシフト:「ハード」から「ソフト」へ
かつて、ホテルの価値は主に「開発・企画」段階で決定されていた。都心の一等地という「立地」や、大理石をふんだんに使ったロビー、豪華なシャンデリアといった「豪華な設備(ハード)」が競争力の源泉であった。しかし、顧客ニーズが「所有」から「体験」へとシフトし、情報が瞬時に共有される現代において、価値の源泉は明確に「ソフト」へと移行している。
現在の価値創造の核心は、「運営」と「顧客関係管理」のフェーズにある。
- ブランド: 顧客に安心感と一貫した品質を約束し、特定のライフスタイルや価値観を想起させる無形の資産。
- 体験: 宿泊という機能を超え、そのホテルでしか得られないユニークなアクティビティ、感動的なおもてなし、地域の文化との深いつながりといった、記憶に残る価値。星野リゾートの成功は、まさにこの「体験価値」の創造能力に立脚している 45。
- データ活用によるパーソナライズ: 顧客の過去の宿泊履歴や好みをデータとして蓄積・分析し、一人ひとりに最適化されたサービスを先回りして提供する能力。
このシフトは、不動産を所有しない「アセットライト」戦略の合理性を裏付けている。価値の源泉が運営ノウハウやブランドといったソフト面に移行した以上、重い不動産資産をバランスシートに抱える必要性は薄れ、むしろ資本効率を悪化させる要因となり得る。
OTAがもたらすバリューチェーンの「空洞化」
OTAは「マーケティング・予約獲得」のフェーズを事実上支配している。これはホテル事業者にとって深刻な問題を引き起こす。OTA経由の予約では、ホテルは宿泊者の詳細な顧客データ(メールアドレスなど)を直接入手することができない。これにより、バリューチェーンの最終段階である「顧客関係管理」が機能不全に陥る。
顧客との直接的な接点を失うことで、ホテルはリピート利用を促すためのパーソナライズされたコミュニケーションや、ロイヤリティプログラムへの誘導が困難になる。その結果、一度宿泊した顧客が次もOTA経由で予約するという悪循環が生まれ、ホテルは永続的に高い手数料を支払い続けることになる。これは、自社のバリューチェーンの最も重要な部分が外部プラットフォームに依存し、中身が「空洞化」している状態に他ならない。
サプライチェーン分析
ホテルの日常的な運営は、リネン、アメニティ、食材、そして清掃や警備といった多様な外部サプライヤーによって支えられている。このサプライチェーンは現在、人手不足という共通の課題によって深刻な脆弱性を露呈している。
主要な調達・アウトソーシング
- 物品調達: 客室で使用するリネン類、歯ブラシやシャンプーなどのアメニティ、レストランで提供する食材・飲料などが主要な調達品目である。
- 業務委託: 特に客室清掃、警備、施設管理といった業務は、専門の外部業者へアウトソーシングされるケースが多い。
人手不足が引き起こすサプライチェーンの「脆弱化」
ホテル業界だけでなく、そのサプライチェーンを構成する清掃業や物流業もまた、深刻な人手不足に直面している。これがボトルネックとなり、ホテル運営の根幹を揺るがしている。
- 客室清掃の危機: 最も深刻なのが客室清掃である。清掃委託費は高騰を続けており、ある調査では76%のホテルが委託単価の上昇を報告している 17。コスト増だけでなく、清掃スタッフを確保できないために「清掃が間に合わず、空室があるのに販売できない」という直接的な機会損失が発生している。さらに、スタッフの熟練度低下による清掃品質の悪化は、顧客満足度の低下やネガティブな口コミに直結するリスクをはらむ 17。
- F&B部門への影響: 食材の安定供給や、レストランでのサービススタッフの確保も困難になっている。スタッフ不足は、料理提供の遅延やサービス品質の低下を招き、顧客体験を損なう要因となる。
このように、ホテル事業は二つの構造的な課題に直面している。「バリューチェーンの空洞化」は、顧客との関係を断絶させ、ブランド価値の構築を阻害する。一方で、「サプライチェーンの脆弱化」は、提供するサービスの品質そのものを維持することを困難にする。この二つの問題は、ホテルが自社の事業の根幹である「顧客体験のコントロール」を内外から失いつつあるという危機的な状況を示している。持続的な成長を実現するための戦略とは、この失われたコントロールを取り戻すプロセスに他ならない。すなわち、直販チャネルを通じて顧客と直接的な関係を再構築し(空洞化への対策)、テクノロジー活用や内製化、サプライヤーとの強固なパートナーシップ構築によって、安定した品質のオペレーションを担保すること(脆弱化への対策)が、戦略上の最優先課題となる。
第6章:顧客需要の特性分析
ホテル業界における持続的な成長戦略を策定するためには、顧客が誰であり、彼らが何を求めているのかを深く理解することが不可欠である。顧客の需要特性は、ライフスタイルの変化やテクノロジーの進化に伴い、大きく変容している。
主要顧客セグメント分析
ホテルの顧客は、その旅行目的によって多様なセグメントに分類される。
- ビジネス: 出張者を主とするセグメント。立地の利便性、効率的なチェックイン/アウト、快適なワークスペース、高速Wi-Fi、質の高い睡眠環境などを重視する。
- レジャー: 観光やリラクゼーションを目的とするセグメント。ファミリー、カップル、友人グループ、ソロトラベラーなど、さらに細分化される。非日常的な体験、食事の質、景観、レクリエーション施設などを重視する。
- インバウンド: 日本国外からの旅行者。出身国・地域によって文化や嗜好が大きく異なる。多言語対応、自国の食文化への配慮、日本ならではの文化体験などを求める傾向が強い。
- MICE: 会議や研修、展示会などの参加者。会場へのアクセス、大規模な宴会施設、効率的な運営サポートなどが求められる。
- 長期滞在者: サービスアパートメントの競合となるセグメント。キッチン設備、ランドリーサービス、居住性の高い客室レイアウトなどを重視する。
これらのセグメントごとに、ホテルを選択する際の決定要因(KBF)は大きく異なるため、ターゲットとするセグメントを明確にした上で、それに合致した価値提供を行うことが重要である。
KBF(Key Buying Factor)の変化
ホテル選びの基準は、伝統的な要素の重要性を維持しつつも、新たな価値基準へと大きくシフトしている。
- 伝統的KBF(衛生要因): 「価格」「立地」「清潔さ」「安全性」は、顧客がホテルを選ぶ上での前提条件、すなわち「あって当たり前」の衛生要因であり続けている。これらの要素が欠けていれば選ばれないが、これらが優れているだけでは積極的に選ばれる理由にはなりにくい。
- 新たなKBF(差別化要因): 競争が激化する中で、他社との差別化を図り、顧客に選ばれるための新たなKBFの重要性が飛躍的に高まっている。
- ユニークな体験: そのホテルでしかできない特別な活動や学び。例えば、地域の文化に触れるワークショップ、プロが指導するウェルネスプログラムなど。
- デザイン性と世界観: 空間のデザイン、アート、音楽、香りなどが一体となって創り出す、独自のコンセプトや世界観。
- パーソナライズ: 顧客一人ひとりの好みを記憶し、先回りしたサービスを提供すること。
- サステナビリティへの貢献: 環境や社会に配慮した運営方針。宿泊すること自体が社会貢献に繋がるという価値。
- 口コミ・評価: トリップアドバイザーやGoogleレビューなど、第三者による客観的な評価。インターブランド社の「顧客体験価値ランキング2023」で帝国ホテルが1位を獲得したことは、物理的な豪華さだけでなく、総合的な体験価値がいかに評価されているかを示している 48。
ロイヤリティプログラムの役割
グローバルチェーンにとって、ロイヤリティプログラムは顧客を囲い込み、OTAへの依存度を低減させるための最も強力な武器である。
- Marriott Bonvoy: マリオット・インターナショナルが展開する世界最大級のロイヤリティプログラム。2億2,800万人(2024年末時点)もの巨大な会員基盤を誇る 49。
- Hilton Honors: ヒルトンが展開するプログラム。
- 提供価値: これらのプログラムは、宿泊実績に応じたポイント付与(無料宿泊と交換可能)、会員限定の割引料金、客室のアップグレード、レイトチェックアウト、ラウンジへのアクセス権など、多岐にわたる特典を提供する 50。これにより、顧客はOTAで予約するよりも自社サイトやアプリで直接予約する方が得であると感じ、直販チャネルへと誘導される。この強力な会員基盤こそが、グローバルチェーンがOTAに対して一定の交渉力を保ち、高い収益性を維持できる源泉となっている。
しかし、顧客、特に新しい世代が求める価値が金銭的なインセンティブから「体験」へとシフトする中で、ロイヤリティプログラムのあり方も進化が求められている。単にポイントや割引を提供するだけでなく、会員限定の特別なコンサートへのアクセス権や、著名シェフによるディナーイベントへの招待など、そこでしか得られない「体験」を特典として提供することが重要になる。これにより、ホテルは単なる宿泊施設から、顧客のライフスタイルを豊かにする「体験プラットフォーム」へと昇華することができる。この進化こそが、価格競争を超えた真の顧客ロイヤリティを構築する鍵となる。
Z世代など新しい顧客層の価値観
今後の市場の主役となるZ世代(1990年代後半から2010年代序盤生まれ)は、上の世代とは異なる独特の価値観を持っており、彼らのホテル選びの基準を理解することは極めて重要である。
- 「コト消費」と「トキ消費」: モノを所有すること(モノ消費)よりも、体験すること(コト消費)、そしてその場でしか味わえない瞬間を共有すること(トキ消費)に価値を見出す。ホテルに対しては、快適なベッドや広い部屋といったスペック以上に、そこで何ができるか、どんな感情的な満足が得られるかを重視する 55。
- 「インスタ映え」と自己表現: 彼らにとって旅行は、SNSを通じて自己を表現し、他者と繋がるための重要なコンテンツである。そのため、写真映えする美しい景観、デザイン性の高いインテリア、ユニークな料理などを提供できるホテルは、強力な選択動機となる 55。
- 価値観の多様性とパーソナライズ: 「みんなが良いと言うから」ではなく、「自分にとって価値があるか」を基準に選択する。サステナビリティやエシカル消費への関心も高く、ホテルの環境や社会に対する姿勢を評価基準の一つとする傾向がある 56。
- デジタルネイティブ: 情報収集、予約、支払い、そして体験の共有まで、旅のあらゆるプロセスをスマートフォンで完結させる。そのため、シームレスなモバイル体験や、無料かつ高速なWi-Fi環境は必須条件である 58。
- 新しい滞在スタイル: 一つの旅で複数のホテルを泊まり歩く「ホテル・ホッピング」のように、ホテル滞在そのものを旅の目的の一つとして楽しむ新しいスタイルも生まれている 59。
これらの新しい価値観に対応できないホテルは、次世代の顧客から選ばれなくなり、市場での存在感を失っていくだろう。
第7章:業界の内部環境分析
外部環境と顧客需要の変化に対応するためには、企業が保有する内部の経営資源や能力(ケイパビリティ)を客観的に評価し、強みを活かし、弱みを克服する戦略を立てる必要がある。本章では、VRIO分析、人材、生産性の観点からホテル業界の内部環境を分析する。
VRIO分析:持続的な競争優位の源泉
持続的な競争優位を築くためには、価値があり(Value)、希少で(Rarity)、模倣が困難(Inimitability)であり、かつそれを活用する組織(Organization)が整備されている経営資源が必要である。
- 価値(Value):
- グローバルな予約網とロイヤリティプログラム: マリオットやヒルトンのように、世界中に広がる予約システムと数億人規模の会員基盤は、安定した顧客フローを生み出す価値ある資源である。
- 独自の運営ノウハウ: 星野リゾートが実践する「マネジメント契約方式」や、地域文化を深く掘り下げた体験プログラムの創造能力は、高い収益性を生み出す価値あるケイパビリティである 46。
- 一等地の不動産: 伝統的なアセットヘビー型ホテルにとって、主要都市の中心部などに所有する不動産は、依然として高い資産価値を持つ。
- 希少性(Rarity):
- 圧倒的な会員基盤: 数億人規模のロイヤリティプログラム会員を抱えるグローバルチェーンの顧客基盤は、他のどの企業も容易には構築できない希少な資源である。
- 模倣困難なブランド文化: 帝国ホテルやホテルオークラが長年かけて築き上げてきた格式高いブランドイメージや、星野リゾートの「フラットな組織文化」は、他社が短期間で模倣することが困難な希少性を持つ 45。
- 模倣困難性(Inimitability):
- 競争優位の源泉が、単一の技術や資産ではなく、ブランド、組織文化、サービス提供プロセス、人材育成システムといった複数の要素が複雑に絡み合って構築されている場合、その模倣は極めて困難になる。星野リゾートの強みは、単にアセットライトであることだけでなく、スタッフがマルチタスクで顧客接点を最大化する「サービスチーム」という独自の仕組みと、それを支える組織文化が一体となっている点にある 45。
- 組織(Organization):
- 上記の価値ある希少で模倣困難な資源を、企業が最大限に活用するための組織構造、プロセス、インセンティブシステムが整備されているかどうかが問われる。優れたブランドや人材を持っていても、それを活かす組織がなければ競争優位には繋がらない。
人材動向と課題
ホテル業界の内部環境における最大かつ最も深刻な課題は「人材」である。
- 深刻な人手不足の現状:
- コロナ禍で多くの人材が業界を離れ、需要が急回復した現在もその多くは戻っていない。サービス・ツーリズム産業労働組合連合会の調査によれば、人材不足を理由に何らかの営業制限(例:客室の販売数制限、レストランの営業時間短縮)を実施している施設は85%にものぼる 60。
- その根本原因は、構造的な問題にある。国税庁の調査によると、ホテル業界の平均給与は260万円であり、全産業平均の443万円を大幅に下回っている 21。さらに、年次有給休暇取得率も全産業平均の58.3%に対し44.3%と著しく低く、「低賃金・長時間労働」のイメージが定着してしまっている 21。
- 求められる人材像の変化:
- 伝統的に求められてきた丁寧な言葉遣いや立ち居振る舞いといった「おもてなし」のスキルは、依然として重要である 61。
- しかし、それに加え、現代のホテルスタッフには新たなスキルセットが不可欠となっている。PMSやCRMを使いこなし、データを基に顧客への提案を行うデジタルリテラシー、インバウンド顧客に対応するための多言語能力、そして予期せぬトラブルに迅速かつ的確に対応する問題解決能力など、求められるスキルのレベルは格段に上がっている 61。
従業員の賃金相場とトレンド
前述の通り、ホテル業界の賃金水準は他産業と比較して低い。Payscale.comのデータによれば、日本のホテル業界の平均年収は約300万円である 64。これは、フードサービス業界(約300万円)と同水準、レストラン業界(約295万円)をわずかに上回る程度である 64。しかし、小売業や介護、ITといった他サービス産業との人材獲得競争においては、賃金面での魅力に欠けることは否めない。最低賃金の上昇や社会的な賃上げの潮流を受け、ホテル業界も賃金引き上げを迫られているが、それが収益性をさらに圧迫するというジレンマに陥っている。
労働生産性
日本のホテル業界の労働生産性は、国際的に見て極めて低い水準にある。
- 国際比較: 日本全体の時間当たり労働生産性は、OECD加盟38カ国中29位と低迷している 65。産業別に見ると、特に飲食・宿泊業の生産性の低さは際立っており、米国のわずか26.5%という衝撃的なデータもある 67。これは、サービスプロセスのデジタル化の遅れ、非効率な人員配置、スタッフの多能工化(マルチタスク化)が進んでいないことなどが原因と考えられる。
- 生産性向上のポテンシャル: 逆に言えば、これはIT化や業務プロセスの見直しによる生産性向上のポテンシャルが非常に大きいことを意味する。AIによるレベニューマネジメントの自動化、バックオフィス業務のRPA化、清掃ロボットの導入、そしてスタッフのマルチタスク化などを推進することで、少ない人員でより高い付加価値を生み出すことが可能である。
これらの内部環境分析から浮かび上がるのは、人材不足という課題が単なる採用や賃金の問題ではなく、低生産性・労働集約型という旧来の事業モデルそのものの持続可能性が問われているという本質である。人手が足りず、人件費も高いという制約の中で、従来通りのやり方を続けていては事業は立ち行かなくなる。根本的な解決策は、事業モデル自体を「高生産性・高付加価値」モデルへと変革すること以外にない。それは、テクノロジーへの投資によって生産性を極限まで高め、それによって創出された付加価値(利益)を従業員の待遇改善に還元し、魅力的な職場を作ることで優秀な人材を惹きつけ、その人材がさらに高い付加価値(優れたサービス)を生み出す、という好循環を創り出すことに他ならない。
第8章:AIの影響とインパクト(特別章)
人工知能(AI)、特に生成AIの急速な進化は、ホテル業界のバリューチェーン全体に破壊的とも言える変革をもたらす。AIは単なる効率化ツールではなく、オペレーションのあり方、顧客体験の質、そして競争優位の源泉そのものを再定義する戦略的基盤となる。
オペレーションの抜本的効率化
AIは、これまで人間の経験や勘、あるいは膨大な手作業に依存してきた業務を自動化・高度化し、生産性を飛躍的に向上させる。
- レベニューマネジメントの完全自動化・高度化:
AIは、過去の宿泊データ、競合ホテルの価格動向、航空券の予約状況、地域のイベント情報、天候予報、さらにはSNS上で特定の観光地に関する言及が増えているといった非構造化データまでを統合的に分析する 24。これにより、未来の需要を極めて高い精度で予測し、1円単位での最適な価格設定(ダイナミックプライシング)をリアルタイムかつ完全に自動で実行する。これにより、収益機会の最大化と、レベニューマネージャーの業務負荷の大幅な軽減が実現する。実際に、レベニューマネジメントシステム(RMS)を導入した倉敷アイビースクエアでは、売上が前年比で約10%向上し、価格設定業務の作業時間を約30%削減したという成果が報告されている 70。 - バックオフィス業務の自動化:
経理部門における請求書の読み取りと仕訳入力、人事部門における勤怠管理と給与計算、購買部門における在庫状況に応じた食材や備品の自動発注など、バックオフィスにおける定型的かつ反復的な業務は、AIとRPA(Robotic Process Automation)によってその大部分が自動化される。これにより、管理部門のコストを大幅に削減し、従業員はより戦略的な分析や企画業務に集中できるようになる。 - 省人化技術の進化:
- 清掃ロボット: 広大なロビーや廊下、宴会場などの共用部の床清掃を、プログラムされたスケジュールに基づき夜間などに自動で実行する 71。星野リゾート奥入瀬渓流ホテルなどの導入事例では、スタッフの負担軽減と清掃品質の安定化に貢献している 71。最新のロボットは、掃き掃除、吸引、水拭き、ゴミの自動収集までを一台でこなし、コストを最大85%削減したという報告もある 73。
- 配膳・下げ膳ロボット: レストランや宴会場で、料理の配膳や使用済み食器の回収を自動で行う。ホールスタッフは、顧客とのコミュニケーションや料理の説明といった、より付加価値の高い業務に専念できる 75。
- AI監視カメラ: 単なる防犯目的だけでなく、レストランの朝食会場の混雑状況をリアルタイムで検知し、客室のテレビやサイネージに表示することで、顧客の行動を分散させ、混雑を緩和する(ホテルオークラJRハウステンボスの事例)といった活用が進んでいる 75。
顧客体験(CX)の超パーソナライズ
AIは、これまで不可能だったレベルでの「個客」対応を可能にし、顧客体験を根底から変える。
- AIコンシェルジュ/チャットボット:
24時間365日、多言語で顧客からの問い合わせに即時応答する。ウェブサイトや客室のタブレット、あるいは顧客自身のスマートフォンを通じて、「Wi-Fiのパスワードは?」「近くにおすすめのレストランは?」「空港へのシャトルバスを予約したい」といった定型的な質問にAIが自動で回答する 76。これにより、フロントスタッフの電話対応業務が大幅に削減され、チェックイン時の丁寧な対応や、複雑な相談への対応といった、人間ならではの接客に集中できる。ホテル日航成田では、「トリップAIコンシェルジュ」の導入により、業務効率化と顧客の利便性向上を両立させている 79。 - 顧客データ分析に基づく「先回り」のおもてなし:
AIは、CRMシステムに蓄積された顧客の過去の宿泊履歴、食事のアレルギー情報、予約時のリクエスト(例:「高層階希望」)、さらには公開されているSNSの投稿から読み取れる趣味・嗜好といった膨大なデータを統合・分析する 80。その分析結果に基づき、個々の顧客に最適化されたサービスを、顧客が要求する前に「先回り」して提供する。- 例1: 過去に冷房を常に24℃に設定していた顧客がチェックインする際には、あらかじめ部屋の温度を24℃に設定しておく。
- 例2: SNSで現代アートへの関心を示している顧客に対し、滞在中に近隣で開催されているアート展の情報をプッシュ通知で知らせる。
- 例3: 記念日での宿泊を予約した顧客に対し、生成AIがパーソナルなメッセージカードの文案を作成し、サプライズの演出をサポートする。
マーケティングとセールスの変革
- 生成AIによるコンテンツ自動生成:
ターゲットとする顧客ペルソナ(例:「30代、ウェルネスに関心のある女性ソロトラベラー」)を指定するだけで、生成AIがそのペルソナに響く、魅力的で感情に訴えかける宿泊プランの説明文、ブログ記事、Instagramの投稿キャプションなどを瞬時に複数パターン生成する。これにより、マーケティングコンテンツの制作時間が劇的に短縮され、ABテストなども容易になる。 - レビュー(口コミ)のAI分析によるサービス改善:
OTAやSNSに投稿される膨大な量の口コミテキストデータを、AIが自然言語処理技術を用いて分析。「スタッフの対応」「客室の清潔さ」「朝食の味」といったトピックごとに、顧客がどのような点に満足し(ポジティブ)、どのような点に不満を抱いているか(ネガティブ)を自動で分類・スコアリングする。これにより、サービス改善の優先順位をデータに基づいて客観的に判断し、改善サイクルを高速化できる。
人材へのインパクトとおもてなしの再定義
AIの導入は、ホテルで働く人々の役割を大きく変える。
- AIに代替される業務: 予約受付、定型的な問い合わせ対応、データ入力、請求書処理、単純な清掃作業など、ルールベースで遂行可能、あるいは物理的な反復作業。
- 価値が高まる業務: 複雑なクレームや予期せぬトラブルへの臨機応変な対応、顧客の言葉にならないニーズを察知し、共感を示すコミュニケーション、新しい体験価値を創造する企画力やデザイン思考など、高度な判断、創造性、そして感情的知性が求められる業務。
AIの普及は、巷で懸念されるような「おもてなしの終焉」を意味するものではない。むしろ逆である。AIが「作業(タスク)」を人間から引き受けることで、人間はこれまで忙殺されてきた定型業務から解放される。そして、その時間とエネルギーを、人間にしかできない、より本質的な「おもてなし」—すなわち、顧客一人ひとりの心に寄り添い、感情的な繋がりを築き、忘れられない思い出を創り出すこと—に集中させることが可能になる。AIは「おもてなし」の競争相手ではなく、人間がより高度な「おもてなし」を実践するための強力なパートナーとなる。AIの導入が進めば進むほど、人間による「温かみ」や「パーソナルな気遣い」の価値は相対的に高まり、それこそが究極の差別化要因となる。AIは、おもてなしを「作業」と「価値創造」に分離させ、後者の本質を純化させる触媒として機能するのである。
| バリューチェーンの段階 | AI活用具体例 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 開発・企画 | 市場トレンド、競合分析、立地評価のAIによるデータ分析 | 収益性の高いホテルコンセプトの策定、投資判断の精度向上 |
| マーケティング・予約 | 生成AIによる広告コピー・SNS投稿の自動生成、AIによるレビュー分析 | マーケティングROI向上、サービス改善点の迅速な特定 |
| 運営(フロント) | AIチャットボットによる24時間問い合わせ対応、AI顔認証によるセルフチェックイン | 業務効率化、人件費削減、顧客利便性向上 |
| 運営(客室・施設) | 清掃ロボットによる共用部・客室の自動清掃、AIカメラによる混雑検知 | 清掃コスト削減、品質安定化、顧客満足度向上 |
| 運営(F&B) | AIによる需要予測に基づく食材発注の最適化、配膳ロボットの導入 | 食品ロス削減、人件費削減、サービス効率化 |
| 顧客関係管理 | 顧客データ分析に基づく超パーソナライズされたサービス提案 | 顧客満足度・ロイヤリティ向上、リピート率・LTV向上 |
第9章:主要トレンドと未来予測
ホテル業界は、構造的な変化の渦中にある。今後5年から10年の業界の姿を形作る、不可逆的ないくつかのメガトレンドを以下に詳述する。
アセットライト戦略の本格化
ホテル事業における「所有」と「運営」の分離は、もはや一部の先進的な企業が取る戦略ではなく、業界のスタンダードとなりつつある。マリオット、ヒルトン、IHGといったグローバル・メガチェーンは、そのポートフォリオの大部分をフランチャイズ契約またはマネジメント契約(運営受託)で構成しており、自社で不動産を所有するリスクを最小限に抑えながら、ブランド力と運営ノウハウを収益源とする、資本効率の極めて高い成長モデルを確立している 82。
この潮流は、競争優位の源泉が不動産という「ハードアセット」から、ブランド、顧客基盤(ロイヤリティプログラム)、運営システム、人材といった「ソフトアセット」へ完全に移行したことを意味する。今後、日本の伝統的なアセットヘビー型企業も、所有不動産をREIT(不動産投資信託)へ売却するなどしてオフバランス化を進め、そこで得た資金をブランドやテクノロジー、人材といったソフトアセットへの投資に振り向ける動きが加速するだろう。この戦略転換のスピードが、企業の成長力を大きく左右することになる。
ブランドの細分化とライフスタイルホテルの隆盛
顧客の価値観が多様化し、旅行の目的が単なる観光から自己実現や特定の体験へと深化する中で、ホテルのブランド戦略も大きく変化している。かつてのような「ラグジュアリー」「ミッドスケール」「エコノミー」といった価格帯による単純な分類は意味を失いつつある。
代わりに台頭しているのが、「ライフスタイルホテル」である 16。これは、ウェルネス、サステナビリティ、アート、音楽、食、地域文化との融合など、特定のテーマやコンセプトを強く打ち出し、それに共感する顧客層を惹きつけるホテル群を指す 20。大手チェーンも、マリオットの「Autograph Collection」やヒルトンの「Curio Collection by Hilton」のような「ソフトブランド」を通じて、独自性の高い独立系ホテルを自社の予約網に取り込み、ポートフォリオの多様化と魅力向上を図っている。今後、ブランドはさらに細分化・専門化し、顧客は価格や立地だけでなく、「どのブランドの価値観に共感するか」でホテルを選ぶようになるだろう。
「直販(D2C)」 vs OTA
OTAへの高い手数料支払いは、ホテル業界全体の収益性を圧迫する最大の要因の一つである。そのため、各ホテル事業者は自社のウェブサイトや公式アプリからの直接予約、すなわち「直販(D2C: Direct to Consumer)」の比率を高めることを最重要の経営課題と位置付けている 43。
この「チャネル戦争」の勝敗を分ける鍵は、以下の3点に集約される 44。
- 価格優位性: 「ベストレートギャランティ」を掲げ、自社サイトが最も安い価格であることを保証する。
- 強力なロイヤリティプログラム: ポイント付与や会員限定の特典(アップグレード、レイトチェックアウト等)を提供し、自社サイトで予約するインセンティブを強化する。
- 優れた顧客体験: 蓄積した顧客データを活用し、パーソナライズされた情報提供やシームレスな予約体験を実現する。
OTAの圧倒的な集客力と利便性に抗うのは容易ではないが、顧客との直接的な関係を構築し、長期的なLTV(顧客生涯価値)を最大化するためには、直販チャネルの強化は避けて通れない道である。
サステナビリティとESG経営
環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への配慮を重視するESG経営は、もはや企業の社会的責任(CSR)活動の一環ではなく、企業価値そのものを左右する中核的な経営課題となった。
特にZ世代をはじめとする若い顧客層は、企業の環境問題や人権問題への姿勢を厳しく評価し、それを商品やサービスの選択基準としている 18。プラスチック製アメニティの削減、食品ロスの削減、省エネルギー、地域社会への貢献、そして従業員の働きがい向上といった取り組みは、コスト削減やリスク管理に留まらず、ブランドイメージを向上させ、顧客や従業員、投資家から選ばれるための必須条件となる。ヒルトンの「Travel with Purpose」 86 やマリオットの「Serve 360」 49 のように、大手グローバルチェーンは既に体系的かつ具体的な目標を掲げた取り組みを推進している。
ホテル不動産の用途転換と複合開発
働き方やライフスタイルの多様化は、ホテル不動産のあり方にも変化を促している。従来の「短期滞在」を前提とした施設だけでなく、他の用途と融合した新しい形態の不動産開発が増加する。
- 長期滞在型・コリビング: リモートワークの普及により、特定の場所に縛られずに働く人々が増加。これに伴い、キッチンや洗濯機、広いワークスペースを備えた長期滞在型のサービスアパートメントや、居住空間と共用ワークスペース、コミュニティ機能が融合した「コリビング」施設の需要が高まる。
- 複合開発: 都市部の再開発プロジェクトにおいて、ホテルがオフィス、商業施設、住宅などと一体的に開発されるケースが増えている 87。これにより、多様な都市機能が連携し、街全体の魅力と不動産価値を高めることが可能になる。例えば、分譲マンションの居住者がホテルのコンシェルジュサービスやレストランを利用できるといった、新たな付加価値が生まれる 87。
第10章:主要プレイヤーの戦略分析
ホテル業界の競争環境を理解するため、異なるビジネスモデルを持つ主要プレイヤーの戦略、強み・弱みを比較分析する。
グローバル・メガチェーン: Marriott International, Hilton, IHG Hotels & Resorts
- 主要戦略: グローバルな規模の経済とブランドポートフォリオの多様性を武器に、徹底した「アセットライト」戦略を推進。フランチャイズおよびマネジメント契約を主軸に、資本効率の高い成長を目指す 82。
- アセット戦略: アセットライト。不動産所有を極力避け、ブランド使用料と運営フィーを収益の柱とする。
- 強み(競争優位の源泉):
- 圧倒的なロイヤリティプログラム: Marriott Bonvoy(会員数2.28億人)49 やHilton Honorsといった巨大な会員基盤が、安定した直販顧客を送客する。
- 多様なブランドポートフォリオ: ラグジュアリーからエコノミー、ライフスタイル、長期滞在型まで30以上のブランドを揃え(マリオットの場合)、あらゆる顧客セグメントと立地条件に対応できる 82。
- グローバルな予約・販売網: 世界中に広がる販売網と、高度に最適化されたレベニューマネジメントシステム。
- 弱み/課題: 巨大組織ゆえの意思決定の遅さ。ブランドの数が多すぎることによるカニバリゼーション(共食い)や、ブランドイメージの希薄化のリスク。
- デジタル/AI投資の焦点: ロイヤリティプログラムの強化、直販チャネル(アプリ、ウェブサイト)のUX向上、AIを活用したパーソナライゼーションとレベニューマネジメントの高度化。
- サステナビリティ: Marriottの「Serve 360」、Hiltonの「Travel with Purpose」など、全社的なESG戦略を策定し、具体的な数値目標を掲げて推進している 49。
国内大手(アセットヘビー型): プリンスホテル(西武HD), JR系ホテル, 帝国ホテル
- 主要戦略: 主要都市の一等地やリゾート地に自社で所有する優良な不動産資産(アセット)の価値を最大化する伝統的なモデル。
- アセット戦略: アセットヘビー。不動産の所有と運営を一体で行う。
- 強み(競争優位の源泉):
- 優良な不動産資産: 東京の中心部や主要駅直結といった、他社が容易に取得できない一等地の不動産を多数所有。
- 高いブランド認知度と信頼: 帝国ホテルやホテルオークラなど、長年の歴史の中で培われた国内での高いブランドイメージとサービス品質。
- 弱み/課題: 資産が重く、資本効率が低い。市場環境の変化に対する柔軟性や、新規出店のスピード感に欠ける。グローバルチェーンと比較して、デジタル投資やロイヤリティプログラムの規模で劣後する。アセットライトモデルへの転換が遅れている。
- デジタル/AI投資の焦点: 既存施設の改修やサービス品質の維持が中心となりがちで、抜本的なDX投資は途上。
- サステナビリティ: 各社で取り組みは進めているものの、グローバルチェーンのような体系的かつ野心的な目標設定は今後の課題。
国内(独自運営型): 星野リゾート, アパホテル
- 星野リゾート:
- 主要戦略: 「マネジメント契約方式」を駆使したアセットライト戦略の国内における先駆者。「日本の観光をヤバくする」というビジョンの下、独自のコンセプトと運営ノウハウで施設を再生・運営する 45。
- アセット戦略: アセットライト。
- 強み: 「星のや(圧倒的非日常)」、「界(地域の魅力を再発見する温泉旅館)」、「リゾナーレ(洗練されたデザインと豊富なアクティビティ)」、「OMO(都市観光ホテル)」といった、明確なコンセプトを持つ強力なブランドポートフォリオ 46。スタッフが複数の業務をこなす「マルチタスク」とフラットな組織文化が生み出す、高い生産性と創造性 45。
- 弱み/課題: 独自の文化が強いため、急激な規模拡大が難しい。個々の施設の個性に依存する部分が大きく、標準化が困難。
- アパホテル:
- 主要戦略: 「直販+ダイナミックプライシング」を徹底し、高収益・高稼働率を実現する独自のビジネスモデル。都市部の駅前立地に集中出店するドミナント戦略 91。
- アセット戦略: アセットヘビー(自社開発・所有が中心)だが、高い収益性でそれをカバー。
- 強み: 1900万人以上の会員を抱える強力な会員制度(アパポイント)と、最安値を保証する直販サイト「アパ直」による高い直販比率。AIも活用した精緻なダイナミックプライシングによる収益最大化 68。コンパクトながら機能性を追求した客室設計による高い空間効率。
- 弱み/課題: ビジネスホテルという単一業態への依存度が高い。ブランドイメージが固定化されており、レジャー需要や高価格帯市場への展開には限界がある。
プラットフォーマー(OTA): Booking Holdings, Expedia Group, 楽天トラベル
- 主要戦略: 圧倒的なデータ量とテクノロジーを武器に、旅行者と宿泊施設のマッチングプラットフォームを支配する。ネットワーク効果を最大限に活用し、市場での独占的地位を強化する。
- アセット戦略: 究極のアセットライト。物理的な資産を一切持たず、情報とトランザクションを収益源とする。
- 強み(競争優位の源泉):
- グローバルな集客力: 世界中の旅行者にリーチできる圧倒的なマーケティング力。
- 膨大な顧客データとAI活用: 予約データ、閲覧履歴、口コミなどを分析し、パーソナライゼーションや需要予測に活用。
- 優れたテクノロジーとUI/UX: 誰もが簡単に利用できる、洗練された予約プラットフォーム。
- 弱み/課題: 各国での独占禁止法など、規制当局からの監視が強まっている。ホテル側の直販強化の動きは、長期的には脅威となり得る。
- Booking Holdingsの戦略: 「Connected Trip」構想を掲げ、宿泊予約だけでなく、航空券、レンタカー、現地でのアクティビティまでをシームレスに繋ぐ「総合旅行プラットフォーム」への進化を目指している。決済機能などのフィンテック領域への展開も視野に入れている 92。
| プレイヤー | 主要戦略 | アセット戦略 | 強み(競争優位の源泉) | 弱み/課題 | デジタル/AI投資の焦点 | ロイヤリティプログラム |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Marriott | グローバル展開、ブランド多様化 | アセットライト | 巨大な会員基盤 (Bonvoy)、多様なブランドポートフォリオ | 組織の巨大さ、ブランド間の重複 | 直販チャネル、パーソナライズ、レベニューマネジメント | 非常に強い |
| Hilton | ブランド開発、運営効率 | アセットライト | 強力な会員基盤 (Honors)、新ブランド開発力 | ラグジュアリー層での相対的な弱さ | デジタルキー、顧客体験向上 | 非常に強い |
| 星野リゾート | 体験価値創造、施設再生 | アセットライト | 独自の運営ノウハウ、明確なブランドコンセプト、組織文化 | 規模拡大の難しさ、標準化の困難性 | 顧客満足度分析、業務効率化 | – |
| アパホテル | 直販・高収益モデル、都市集中 | アセットヘビー | 高い直販比率、AI活用ダイナミックプライシング、会員制度 | ビジネスホテルへの高い依存度 | 直販サイト(アパ直)、AI価格設定 | 強い |
| プリンスホテル | 不動産価値最大化 | アセットヘビー | 一等地の不動産資産、国内での高い知名度 | 資本効率の低さ、デジタル化の遅れ | 既存施設の維持・改修 | 中程度 |
| Booking.com | プラットフォーム支配 | 究極のアセットライト | 圧倒的な集客力、膨大な顧客データ、テクノロジー | 規制リスク、ホテル側の直販強化 | AIによるマッチング精度向上、Connected Trip構想 | – |
第11章:戦略的インプリケーションと推奨事項
これまでの包括的な分析を統合し、ホテル業界という複雑な市場で生き残り、持続的な成長を遂げるための戦略的な示唆と具体的な推奨事項を提言する。
今後5~10年で、ホテル業界の勝者と敗者を分ける決定的な要因
今後のホテル業界における競争の様相は、従来の延長線上にはない。勝者と敗者を分ける決定的な要因は、以下の3つの能力の有無に集約される。
- 勝者の条件:
- AI/データ活用能力: AIとデータを駆使し、レベニューマネジメント、バックオフィス業務、顧客対応の全てにおいて圧倒的な生産性を実現すると同時に、そこで得られた顧客インサイトを基に、究極のパーソナライズ体験を提供できる企業。
- 資本効率と成長スピード: アセットライトモデルを基本とし、不動産所有のリスクと資本の硬直性から解放されることで、変化の速い市場環境に機動的に対応し、ブランドとテクノロジーへの投資を加速させ、成長スピードを高められる企業。
- ブランド・ロイヤリティ構築能力: 価格競争の消耗戦から脱却できる、強力でユニークなブランド価値と、顧客を熱狂的なファンに変えるロイヤリティプログラムを構築できる企業。
- 敗者の特徴:
- 労働集約型モデルからの脱却失敗: 深刻化する人手不足とコスト高騰に対し、旧来の労働集約的なオペレーションに固執し、生産性革命に乗り遅れる企業。
- 不動産資産への固執: 「不動産を所有すること」自体が目的化し、バランスシートが重くなり、戦略的な柔軟性を失う企業。
- OTAへの過度な依存: 顧客との直接的な関係構築を怠り、OTAに手数料と顧客データを搾取され続け、自社のブランド価値を毀損させていく企業。
捉えるべき機会と備えるべき脅威
- 捉えるべき機会(Opportunity):
- 高付加価値インバウンド市場の拡大: 政府目標にも後押しされ、富裕層を含むインバウンド需要は今後も力強く成長する。特に、欧米豪や中東からの高単価顧客層の獲得は大きな収益機会となる。
- AIによる生産性革命: AIと自動化技術は、業界の最大の課題である人手不足を克服し、コスト構造を劇的に改善するゲームチェンジャーとなり得る。
- 新しい価値観に対応した新市場の創造: ウェルネス、サステナビリティ、ブリージャーといった新しい顧客ニーズは、既存の枠組みにとらわれない、高付加価値な新ブランドや新サービスを創造するチャンスである。
- 備えるべき脅威(Threat):
- 人材獲得競争の永続化: 少子高齢化というマクロトレンドにより、労働力不足と人件費の上昇圧力は今後も恒久的に続く。
- OTAによるプラットフォーム支配の強化: Booking.comの「Connected Trip」構想のように、OTAは単なる宿泊予約サイトから、旅の全行程をカバーするスーパーアプリへと進化し、顧客接点をさらに独占しようとしている。
- 異業種からのディスラプション: 豊富な資本と異なるノウハウを持つ異業種からの参入者が、既存の競争ルールを破壊する可能性がある。
具体的な戦略的問いへの回答
- 「アセットライト化」は進めるべきか?
結論:イエス。 競争優位の源泉が不動産から運営能力へと完全にシフトした現在、アセットライト化は「選択肢」ではなく「必須」である。所有不動産はREITへの売却などを通じて速やかにオフバランス化し、そこで得られたキャッシュを、競争力の源泉であるブランド、テクノロジー、人材への投資に再配分すべきである。 - 「直販比率」の目標値は?
結論:短期的(3年)に50%、長期的(5年)には70%以上を目指すべき。 これは単なる収益性改善(OTA手数料削減)の問題ではない。顧客データを自社で掌握し、LTV(顧客生涯価値)を最大化するための、事業の生命線に関わる最重要KPIと位置づけるべきである。 - 「AI投資」はどこに集中すべきか?
結論:ROI(投資対効果)の観点から、以下の優先順位で段階的に投資すべき。- 最優先(短期):レベニューマネジメントの高度化。 AI導入による価格最適化は、即時的かつ直接的な収益増に繋がる。
- 次点(中期):バックオフィス業務の自動化。 経理・人事等のRPA化は、確実なコスト削減と業務効率化を実現する。
- その次(中期):AIコンシェルジュによる顧客対応効率化。 フロント業務の負荷を軽減し、人的リソースの高付加価値業務へのシフトを可能にする。
- 長期的視点:顧客データ分析基盤の構築。 超パーソナライズ体験を実現し、長期的な競争優位を築くための基盤投資。
- 「人手不足」への根本的な対策は?
結論:対症療法と根本治療の組み合わせが不可欠。- 対症療法: 採用チャネルの多様化、賃金・福利厚生の見直し。
- 根本治療: AI/DXによる徹底的な省人化と生産性向上。スタッフの多能工化(マルチタスク)の推進。そして、従業員エンゲージメントを高め、「働きたい」と思われる魅力的な企業文化とキャリアパスを構築すること。
戦略的オプションの提示と評価
取り得る戦略的オプションを3つ提示し、それぞれを評価する。
- オプションA: 規模の追求(M&Aによる水平統合)
- 内容: 地方の独立系ホテルや中小ホテルチェーンを買収し、規模の経済と市場シェアの拡大を追求する。
- メリット: 短期間での拠点網拡大、仕入れコストの削減。
- デメリット: アセットが重くなるリスク、買収後の統合(PMI)の困難さ、異なる企業文化の融合の難しさ。
- 成功確率: 中。相当な資本力と高度なPMI能力が求められる。
- オプションB: 価値の追求(ニッチ・特化戦略)
- 内容: 特定の顧客セグメント(例:富裕層向けウェルネスリトリート、Z世代向けアートホテル)に特化した新ブランドを立ち上げ、高付加価値・高価格戦略を追求する。
- メリット: 高い利益率、強力なブランドロイヤリティの構築、価格競争からの脱却。
- デメリット: 市場規模が限定されるリスク、コンセプト構築に高度な専門性と創造性が必要。
- 成功確率: 中〜高。明確なコンセプトと実行力があれば、高い収益性が見込める。
- オプションC: プラットフォーム化(運営ノウハウの外販)
- 内容: 自社で開発・洗練させた運営システム(PMS/CRM)、AIレベニューマネジメントツール、人材育成プログラムなどを、独立系ホテル向けにSaaS(Software as a Service)モデルで提供する。
- メリット: 新たな高収益事業の確立、アセットを全く持たないスケーラブルなビジネスモデル。
- デメリット: 高度な技術開発力と営業力が必要、既存のITベンダーとの競争。
- 成功確率: 高(ただし、実現には高いハードル)。成功すれば業界のゲームチェンジャーとなり得る。
最終提言:ハイブリッド戦略「Core & Explore」
上記の分析とオプション評価に基づき、最も説得力があり、持続的な成長を実現する可能性が高い事業戦略として、ハイブリッド戦略「Core&Explore」を提言する。
戦略概要
中核事業(Core)においては、AIとデータを徹底的に活用して既存事業のオペレーション効率と収益性を極限まで高める「守りの変革」を断行する。同時に、新規事業(Explore)として、特定の価値観に特化したライフスタイルブランドをアセットライトモデルで機動的に立ち上げ、新たな成長エンジンを育成する「攻めの創造」を行う。この両利きの経営を実践することで、短期的な収益基盤の強化と、長期的な成長機会の獲得を両立させる。
実行に向けたアクションプラン概要
- Phase 1: Coreの改革(1~2年目)
- 目的: 既存事業の徹底的な効率化と収益性改善。
- 主要アクション:
- 全社横断の「AI/DX推進室」をCEO直下に設置。
- AI搭載の次世代レベニューマネジメントシステムを導入。
- バックオフィス業務のRPA化プロジェクトを開始。
- 主要ホテルにて清掃ロボット、AIコンシェルジュのパイロット導入と効果検証。
- 主要KPI: 従業員一人当たり売上高30%向上、バックオフィス業務コスト20%削減、直販比率40%達成。
- 必要リソース: IT投資予算の倍増、CDO(Chief Digital Officer)およびデータサイエンティストの採用。
- Phase 2: Exploreの開始(2~4年目)
- 目的: 新たな成長エンジンの創出。
- 主要アクション:
- 市場調査に基づき、ターゲットセグメント(例:ウェルネス、サステナブルツーリズム)を特定。
- 外部のデザイナーやクリエイター、地域コミュニティと協業し、新ライフスタイルブランドのコンセプトを開発。
- マネジメント契約を前提に、1号店となる物件の探索とオーナー交渉を開始。
- 主要KPI: 新規ライフスタイルブランドの立ち上げ(最低2ブランド)、1号店の開業、開業後1年のRevPARが既存ブランド平均比で1.5倍を達成。
- 必要リソース: 新規事業開発チームの組成、ブランド開発・マーケティング予算の確保。
- Phase 3: ハイブリッドモデルの展開と加速(4~5年目)
- 目的: Coreの改革で得た収益基盤と、Exploreで得た成長モデルを全社的に展開する。
- 主要アクション:
- Coreで実証されたAI/DXソリューションを全ホテルに展開。
- ロイヤリティプログラムを刷新し、体験価値(Exploreブランドでの特典など)を組み込む。
- Exploreで成功した新ブランドのフランチャイズパッケージを開発し、パートナーオーナーの募集を開始。
- 主要KPI: 直販比率60%達成、新規ブランドのフランチャイズ契約5件締結。
- 必要リソース: フランチャイズ開発部門の設立、パートナー向けトレーニングプログラムの開発。
この「Core & Explore」戦略は、短期的な収益改善と長期的な成長機会の追求という、しばしば二律背反となる目標を両立させるための現実的かつ野心的なロードマップである。この戦略を断行することによってのみ、未来のホテル業界における真の勝者となることができる。
第12章:付録
参考文献・引用データ・参考ウェブサイト
公的機関・統計
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」 6
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数統計」 9
- 国土交通省 観光庁「観光立国推進基本計画」 14
- 厚生労働省「旅館業法改正」関連資料 26
- 総務省統計局「労働力調査」 21
- 国税庁「民間給与実態統計調査」 21
- OECD (Organisation for Economic Co-operation and Development) Productivity Statistics 65
業界レポート・調査会社
- STR 100
- CBRE (CBRE Group, Inc.) 7
- JLL (Jones Lang LaSalle) 8
- XenoBrain 3
- 価値総合研究所 5
- Global Information, Inc. (GII) 1
- Spherical Insights & Consulting 108
- Mordor Intelligence 109
- Straits Research 109
- ニッセイ基礎研究所 6
- ザイマックス不動産総合研究所 17
- 日本生産性本部 65
- BCG (Boston Consulting Group) 83
- ResearchGate 111
企業IR・公式資料
- Marriott International, Inc. (Annual Reports, IR) 30
- Hilton Worldwide Holdings Inc. (Annual Reports, IR) 86
- IHG Hotels & Resorts
- Accor
- 星野リゾート (公式ウェブサイト、REIT資料) 45
- プリンスホテル(西武ホールディングス)
- アパホテル 68
- Booking Holdings (IR) 92
- Expedia Group
- 楽天グループ(楽天トラベル)
- リクルート(じゃらん)
業界ニュース・その他
- 日本経済新聞、東洋経済オンライン 91、Travel Voice Japan 20、観光経済新聞 40 など、各種メディア記事
- その他、本レポート作成にあたり参照した全てのウェブサイトおよび資料 12
引用文献
- www.gii.co.jp, https://www.gii.co.jp/report/moi1687751-global-luxury-hotel-market-share-analysis-industry.html#:~:text=%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E9%AB%98%E7%B4%9A%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB%E3%81%AE,%E6%90%8D%E5%A4%B1%E3%81%AB%E7%9B%B4%E9%9D%A2%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
- 高級ホテル市場 | 業界シェア 市場規模 成長性 2025 – 2030年, https://www.gii.co.jp/report/moi1687751-global-luxury-hotel-market-share-analysis-industry.html
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- 【大躍進】2024年の日本ホテル投資市場の行方 – JLL, https://www.jll.com/ja-jp/insights/japan-hotel-investment-market-outlook-2024
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- MICEの誘致・開催の促進, https://www8.cao.go.jp/okinawa/4/kokusaikaigi/25/shiryou4.pdf
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- 観光立国推進基本計画(第4次)について, https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001743148.pdf
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- 持続可能なホテル運営と集客を実現する10の方法 | WASIMIL Blog, https://www.wasimil.com/blog/10-sustainable-hotel-management-and-attracting-guest-ideas
- 2025年のホテル滞在のトレンド考察、自分だけの体験、長期滞在、ウェルネスと良い睡眠【コラム】, https://www.travelvoice.jp/20250109-156908
- ホテルの人手不足はなぜ起こる?統計から見る原因と対策 – はたLuck, https://hataluck.jp/column/store-dx/hotel_labor-shortage/
- 2025年ホテル流行トレンド:テクノロジーとサステナビリティの融合, https://www.accio.com/business/ja/%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB%E6%B5%81%E8%A1%8C
- ホテルDX最新動向:2025年に注目すべきデジタル化事例 – MujInn, https://mujinn.com/column/hotel-dx-2025/
- 【事例紹介】「ホテル業界におけるレベニューマネジメントとは? — AI活用で業務効率化と収益改善を実現」【完全解説】, https://www.service-dplus.com/knowledge-1646
- ホスピタリティ業界におけるテクノロジー: 2025 年に業界を形作る 20 のトレンド, https://hoteltechreport.com/ja/news/tech-in-hospitality
- ホテルや旅館に泊まる前に知っておきたい「旅館業法」改正のポイント | 政府広報オンライン, https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202311/1.html
- 旅館業法改正 | TOP – 厚生労働省, https://www.mhlw.go.jp/kaiseiryokangyohou/
- ホテル業界のSDGsへの取り組み例7選【国内高級ホテルから海外ホテルまで】 – ミライト・ワン, https://www.mirait-one.com/miraiz/newsflash/article087.html
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- 【2025年最新】国内主要OTAの手数料比較|宿泊施設が知っておく …, https://archcorp.jp/columns/ota-fee-comparison-japan/
- 主要OTA24社の手数料を徹底比較 | ホテル・旅館コンサルティング|株式会社宿夢, https://yadomu.com/topics/column/ota-list/
- 清掃業界 値上げの実態 | 株式会社ダイキチサービスサイト, https://service.daikichi-el.co.jp/blog/2022/07/20200701/
- 【PR】提案力×DXで差がつく!ホテル清掃の新しい選択肢「エムエムインターナショナル」, https://hotelcleaning-hikaku.com/pr/
- 口コミが旅行予約に多大な影響を与える「トリップアドバイザー …, https://ampmedia.jp/2019/07/26/tripadvisor/
- トリップアドバイザーの肯定的なレビューに返信するにはどうすればいいですか? – Tagembed, https://tagembed.com/ja/blog/how-to-respond-to-positive-tripadvisor-reviews/
- トリップアドバイザー、クチコミが旅行予約に与える影響を調査、「クチコミのないホテルは予約しない」は52 – トラベルボイス, https://www.travelvoice.jp/20190729-135270
- ホテルが開業ラッシュ!話題のホテル&旅館を運営する新規参入企業 6社にロングインタビュー!, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000030338.html
- ホテル・旅館業界のM&A事例や最新動向を解説 | マネーフォワード …, https://biz.moneyforward.com/ma/basic/810/
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- OTAに頼らない!旅館・ホテルが直販比率を上げる方法, https://hotel-ryokan.com/ota-vs-choku/
- ホテルの直接予約を50%増やす効果的な方法 | WASIMIL Blog, https://www.wasimil.com/blog/effective-strategies-to-increase-your-direct-hotel-bookings-by-50-percent
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- AIはホテルの価格設定に変化をもたらすか? 稼働率より収益重視へ、未来に起きる地殻変動をホテル専門家が予測【外電コラム】 – トラベルボイス, https://www.travelvoice.jp/20230921-153942
- 【2025年最新版】ホテル業界におけるAI導入完全ガイド|業務効率化と売上アップを実現する最新事例と成功のヒント – ホテル・宿泊施設向けレベニューマネジメントシステム|Dynamic Plus『D+』, https://www.service-dplus.com/knowledge-1255
- 清掃ロボットのホテル導入事例3選!おすすめの清掃ロボットも紹介 – Bizcan, https://bizcan.jp/column/seisourobot-hotel/
- ホテル業界オートメーション:見逃せない活用業務とメリット! – Yopaz, https://yopaz.jp/tech-blog/automation-in-hotel/
- ホテル清掃の人手不足と品質管理を業務用ロボット掃除機で解決する具体的手法, https://nihonaicenter.co.jp/archives/1303
- 【JINNY20】ホテル客室清掃へのチャレンジ – エムエムインターナショナル, https://mmin-net.co.jp/jinny/case-study/jinny20-hcj2025/
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