観戦から共創へ:データとAI、D2Fが駆動する次世代スポーツエコノミー戦略
第1章:エグゼクティブサマリー
1.1. レポートの目的と調査範囲
本レポートは、世界のスポーツ業界が直面する構造的な地殻変動を分析し、持続可能な成長を実現するための事業戦略を策定することを目的とする。調査範囲は、プロスポーツリーグ・チーム運営、スポーツメディア・放映権、スポーツ用品、スポーツ施設、eスポーツ、スポーツベッティング、及び関連テクノロジー市場を含む、スポーツエコシステム全体を網羅する。本分析は、視聴形態のデジタル化、ファンエンゲージメントの変容、データとAIによる高度化という3つのメガトレンドを基軸とし、経営層が次世代のスポーツビジネスで勝利を収めるための戦略的示唆を提供することに主眼を置く。
1.2. 転換点:岐路に立つスポーツ産業
スポーツ産業は、歴史的な転換点に立っている。放映権料、スポンサーシップ、チケット収入という従来のビジネスモデルは、その基盤を揺るがされている。価値の源泉は、画一的なコンテンツを一方的に配信するマスマーケット型の受動的視聴から、個々のファンと直接的かつ継続的な関係を構築し、パーソナライズされた体験を提供する「Direct-to-Fan (D2F)」エンゲージメントへと急速に移行している。今後の勝敗を分けるのは、ファンとアスリートに関するファーストパーティデータを収集・分析・収益化する能力であり、スポーツ団体をテクノロジー主導のエンターテインメント企業へと変革できるか否かにかかっている。
1.3. 主要な結論と戦略的インペラティブ
本分析から導き出される最も重要な結論は以下の通りである。
- D2F革命は不可逆的である: 中核となる戦略的必須事項は、従来のBtoB/BtoC 1.0モデルからD2Fエコシステムへの移行である。これは単なる新たな販売チャネルの追加ではなく、ファンとの関係性を自社で所有し、ファーストパーティデータを獲得し、デジタルコレクティブル、パーソナライズされたコンテンツサブスクリプション、データ主導のパートナーシップといった新たな高収益事業を創出するための、事業全体の根本的な再構築を意味する。
- データこそが新たな中核資産である: スポーツ団体の最も価値があり、模倣困難な資産は、もはやその知的財産(IP)だけではない。自らのファンベースについて生成できる、リッチなファーストパーティデータこそが新たな中核資産となる。高度なデータ分析能力の構築は、将来の競争優位性を決定づける最重要因子である。
- 「スポーツ」の定義が拡張している: 伝統的スポーツ、eスポーツ、ゲーミング、ベッティングの境界線は、不可逆的に曖昧になっている。成長戦略は、この融合を積極的に受け入れなければならない。eスポーツを脅威ではなく若年層への重要なゲートウェイと捉え、スポーツベッティングを単なる収益源ではなく、ファンエンゲージメントを飛躍的に高める強力な増幅器として理解する必要がある。
1.4. 主要な戦略提言の要約
本レポートの分析に基づき、取るべき主要な戦略的推奨事項を以下に要約する。詳細は第11章で詳述する。
- 統合D2Fプラットフォームの構築: アプリ、ストリーミング、Eコマース、Web3.0の各タッチポイントを、データを中心とした単一のプラットフォームに統合し、ファンのエンゲージメントジャーニー全体を自社で管理・所有する。
- 「スポーツAIセンター・オブ・エクセレンス」の設立: データサイエンティストとAI人材を一元化し、競技パフォーマンス分析からファン体験のパーソナライズ、スポンサーシップROI測定まで、全部門にわたるイノベーションを推進する。
- eスポーツへの戦略的統合: 自社ブランドと親和性の高いeスポーツフランチャイズの買収または設立を通じ、Z世代のオーディエンスを獲得し、デジタルネイティブなファンエンゲージメントのノウハウを蓄積する。
- スポンサーシップの「データパートナーシップ」への再構築: スポンサーシップの価値提案を、単なるブランド露出から、集約・匿名化されたファンデータへのアクセス提供や、ターゲットを絞った共同アクティベーションキャンペーンの創出へと転換する。
第2章:市場概観(Market Overview)
2.1. グローバルスポーツ市場:規模と成長軌道(2019年~2030年)
世界のスポーツ市場は、パンデミック後の回復を経て、力強い成長軌道に乗っている。複数の主要な調査機関が、2030年に向けて市場が大幅に拡大すると予測している。コンサルティングファームのKearneyは、市場規模が2025年の4,170億ドルから2030年には6,020億ドルに達し、年平均成長率(CAGR)が5%から8%へと加速すると予測している 1。また、PwCは中東地域だけでもスポーツ関連セクターが約6,000億ドルの経済規模を持ち、年率9%近くで拡大していると指摘している 4。Research and Marketsも同様に、2029年までに市場が6,175.7億ドルに達する(CAGR 5.7%)という堅調な成長予測を示している 5。
これらの予測が6,000億ドル前後で収斂している事実は、業界のマクロ経済的な健全性に対する高い信頼性を与える。しかし、より重要なのはその成長の「構成要素」である。Kearneyが指摘する成長率の加速は、従来の収入源からではなく、後述する高成長のデジタルセグメントによって牽引されている。これは、従来のビジネスモデルに依存する企業が市場平均を下回るパフォーマンスに留まるリスクを示唆している。
2.2. 日本のスポーツ市場:現状と将来展望
日本政府は「第3期スポーツ基本計画」において、スポーツ市場規模を5.5兆円から2025年までに15兆円へと拡大するという野心的な目標を掲げている 7。この目標達成の鍵として、スタジアム・アリーナ改革や異業種連携によるオープンイノベーションが挙げられている 7。
一方、日本政策投資銀行(DBJ)による2021年時点の推計では、日本の「スポーツGDP」は約9.5兆円であり、コロナ禍以前の水準に回復している 9。その内訳は、「スポーツ活動」(施設運営、公営競技などを含む)が約3.1兆円、「スポーツ関連流通」が約2.0兆円と、大きな割合を占めている 9。また、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)は、スタジアム観戦や用品購入などを含む「参加型スポーツ市場」を約1.7兆円と試算している 10。
政府が掲げる2025年の15兆円という目標と、2021年時点で約9.5兆円という現実との間には大きな乖離が存在する。この「戦略的ギャップ」を埋めるためには、既存セグメントの有機的成長だけでは不十分であり、本レポートが主題とするD2F、スポーツベッティング、eスポーツといったデジタル変革による非連続的な成長が不可欠であることを示している。
2.3. 市場セグメンテーション分析
分野別
価値の源泉がどこにあるかを示す上で、分野別の市場構成は極めて重要である。Kearneyによる2025年の市場予測内訳は、業界の構造変化を明確に示している。ゲーミング(ベッティングを含む)が1,770億ドルと最大のセグメントとなり、従来のIP商業化&マッチデー収入(1,540億ドル)や放送&ストリーミング(860億ドル)を上回っている 1。これは、インタラクティブなデジタル体験が、従来の観戦型ビジネスモデルの規模を凌駕し始めたという、本レポートの核心的テーマを裏付ける決定的なデータである。
地域別
北米が依然として最大の市場であるが、成長のエンジンは他の地域に移りつつある。特に、サウジアラビアの「ビジョン2030」に代表される国家主導の巨額投資が行われる中東地域、そしてインドなどの新興国が牽引するアジア太平洋地域が最も高い成長率を示している 4。
主要スポーツ別
サッカー、アメリカンフットボール、バスケットボールが収益およびフランチャイズ価値の点で依然として世界市場を支配している。しかし、F1などのモータースポーツや、eスポーツから派生したKings Leagueのような新しいフォーマットが、特に若年層の間で急速な成長を遂げている 1。
2.4. 市場成長ドライバーと阻害要因
- 成長ドライバー: デジタル技術の進展 18、スポーツベッティングの合法化 20、グローバルなファンベースの拡大 14、そして女子スポーツの急速な商業的成長 1が市場を牽引する主要な力である。
- 阻害要因: 伝統的な放映権料の高騰とバブル化への懸念、Netflixやゲームなど他のエンターテインメントとの可処分時間の奪い合いによるファンの関心の断片化 22、そして若年層が従来のスポーツ観戦フォーマットから離れつつある可能性 23が、成長に対する潜在的なリスクとなっている。
2.5. 業界主要KPIベンチマーク
以下の表は、スポーツ業界の経済規模と勢力図を理解するための主要なKPIをまとめたものである。これらのベンチマークは、業界のトッププレイヤーがどれほどの価値を生み出しているか、そしてeスポーツのような新興勢力がどれほどの速度で成長しているかを示している。
| カテゴリ | 指標 | 数値/データ | 出典 |
|---|---|---|---|
| リーグ収益 | 世界トップ5プロリーグ(年間総収入) | 1. NFL (米): 約193億ユーロ 2. NBA (米/加): 約120億ユーロ 3. MLB (米/加): 約118億ユーロ 4. プレミアリーグ (英): 約77億ユーロ 5. NHL (米/加): 約60億ユーロ | 24 |
| チーム価値 | 世界で最も価値のあるスポーツチーム トップ5 | 1. ダラス・カウボーイズ (NFL): 101億ドル 2. ニューイングランド・ペイトリオッツ (NFL): 90億ドル 3. ゴールデンステート・ウォリアーズ (NBA): 88億ドル 4. ロサンゼルス・ラムズ (NFL): 76億ドル 5. ニューヨーク・ヤンキース (MLB): 75.5億ドル | 25 |
| eスポーツ市場 | グローバル市場規模と成長予測 | 2024年: 21.3億ドル 2030年予測: 74.6億ドル CAGR (2025-2030): 23.1% | 27 |
第3章:外部環境分析(PESTLE Analysis)
スポーツ業界を取り巻くマクロ環境は、事業戦略に直接的な影響を与える複雑な要因に満ちている。PESTLEフレームワークを用いてこれらの要因を分析する。
3.1. 政治(Politics)
スポーツ業界に対する政治的影響は、かつてなく強まっている。最も顕著なトレンドは、スポーツベッティングの合法化の世界的な潮流である。米国では2018年の最高裁判決以降、38以上の州で合法化され、新たな巨大市場が創出された 21。これはリーグやチームに新たな収益源をもたらす一方で、八百長や依存症といった新たな規制リスクも生み出している。また、サウジアラビアの「ビジョン2030」のように、スポーツを国家戦略のツールとして活用する動きが活発化しており、巨額の政府系ファンドがグローバルなスポーツ資産への投資や大規模イベントの誘致を加速させている 4。オリンピックやワールドカップのような国家的イベントの誘致、スタジアム建設への公的支援も、引き続き重要な政治的要素である。
So What?: 企業は、各国のベッティング規制の動向を注視し、これをビジネスチャンスとして捉えるための政府関連渉外戦略を策定する必要がある。また、中東など政府主導で市場が急拡大している地域への進出やパートナーシップも積極的に検討すべきである。
3.2. 経済(Economy)
スポーツ産業は景気変動の影響を受ける消費者裁量支出に依存しているが、その影響度合いは事業セグメントによって異なる。景気後退期には、高額なチケットや関連グッズの売上は圧迫される可能性がある。一方で、インフレは選手年俸や施設維持費といった運営コストを増大させる要因となる。しかし、有力なリーグやチームの企業価値は、プレミアムなIP(知的財産)としての希少価値から、マクロ経済の不確実性の中でも上昇を続けている 19。これは、スポーツコンテンツが持つ不変の魅力と、投資対象としての安定性を示している。
So What?: 景気変動に対する耐性を高めるためには、チケット収入のような変動性の高い収益源への依存を減らし、D2Fモデルによるサブスクリプション収入や、ベッティング関連のデータライセンス収入など、より安定的で多様な収益ポートフォリオを構築することが不可欠である。
3.3. 社会(Society)
社会・文化的トレンドは、ファンの構成や価値観を根本から変えている。Z世代やミレニアル世代を中心に、チームへの帰属意識よりも特定のアスリート個人を応援する「推し活」文化が浸透している 30。また、eスポーツが単なるニッチな趣味から、若者文化のメインストリームへと成長したことは、伝統的スポーツにとって最大の社会変化の一つである 19。さらに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)や社会正義への関心の高まりは、ファンやスポンサーがチームやリーグに求める価値基準を変化させている 18。健康・ウェルネス志向の高まりも、「するスポーツ」市場を拡大させ、プロスポーツとの連携機会を生み出している 18。
So What?: マーケティング戦略は、チーム中心からアスリート個人のストーリーテリングへと軸足を移す必要がある。DE&Iや社会貢献活動への真摯な取り組みは、もはやCSR活動ではなく、若年層のファンや価値観を重視するスポンサーを惹きつけるための必須のブランド戦略となっている。
3.4. 技術(Technology)
技術は、本レポートが指摘する地殻変動の最も強力な駆動力である。AIは、競技面での戦術分析や選手評価から、ビジネス面でのファン体験のパーソナライズやスポンサーシップ効果測定まで、あらゆる領域を革命的に変えつつある 29。5G通信は、高精細なマルチアングルストリーミングや、遅延のないAR/VR観戦体験を可能にする。Web3.0技術(NFT、ファントークン)は、デジタル所有権という新たな概念を導入し、ファンがチームガバナンスに参加する新しいエンゲージメントモデルを提示している 33。また、ウェアラブルデバイスは、これまで取得不可能だった膨大なアスリートの生体データを生成し、パフォーマンス最適化と傷害予防に貢献している 36。
So What?: 包括的なテクノロジーロードマップの策定は、もはやIT部門の課題ではなく、経営戦略そのものである。これらの破壊的技術への投資と事業への統合を怠る企業は、ファンエンゲージメント、運営効率、収益創出のあらゆる面で、永続的な競争劣位に立たされるだろう。
3.5. 法規制(Legal)
法規制環境は、特にデータと権利の領域で複雑性を増している。GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)に代表されるデータプライバシー規制は、ファンデータとアスリートデータの両方の収集・利用方法を厳しく規定し、コンプライアンス違反には巨額の罰金が科されるリスクを伴う 38。選手の肖像権やパブリシティ権(米国大学スポーツにおけるNIL:Name, Image, and Likenessの解禁など)に関する法整備も進み、アスリート個人の権利と交渉力が強化されている。NFTやファントークンといったデジタル資産の法的地位も未だ流動的であり、法的な不確実性を内包している。
So What?: データプライバシーに関する堅牢な法的・コンプライアンスフレームワークの構築は、事業継続における最優先事項である。アスリート、スポンサー、テクノロジーベンダーとの契約は、新たなデジタルエコシステムにおけるデータ所有権、利用権、責任の所在を明確にするために、全面的に見直す必要がある。
3.6. 環境(Environment)
環境持続可能性(サステナビリティ)への要請は、スポーツ業界にとって無視できない経営課題となっている。スタジアム運営や大規模イベント開催に伴う環境負荷(エネルギー消費、廃棄物、移動に伴うCO2排出)に対する社会的な監視は厳しさを増している 18。ESG(環境・社会・ガバナンス)経営への注目度は高く、スポンサー企業は提携先スポーツ団体の環境への取り組みを厳しく評価するようになっている 44。パリ2024オリンピックが示すように、サステナビリティは大規模イベントの開催地選定における重要な基準となっている 43。
So What?: サステナビリティは、もはやコストではなく、ブランド価値を高め、新たな商業的機会を創出するアセットである。AIを活用したスマートスタジアムによるエネルギー消費削減(最大40%削減可能との報告もある 13)など、テクノロジー投資を通じて環境目標と経済的合理性を両立させることが可能である。信頼性の高いESG戦略は、新たなスポンサーを獲得し、ファンのロイヤルティを高め、規制リスクを低減する上で不可欠となる。
第4章:業界構造と競争環境の分析(Five Forces Analysis)
マイケル・ポーターのFive Forcesフレームワークを用いて、スポーツ業界の複雑な競争構造と収益性を分析する。
4.1. 新規参入の脅威:高い
スポーツ業界への新規参入の脅威は、特にメディア・配信領域において極めて高い。その最大の要因は、巨大IT企業(Amazon, Apple, Googleなど)の本格参入である 48。これらの企業は、潤沢な資金、世界規模の配信プラットフォーム、そしてデータ分析とユーザーエンゲージメントに関する深い専門知識を保有している。例えば、Amazonが投じた年間10億ドルのNFLサーズデーナイトフットボール独占放映権契約は、既存のメディア企業の競争条件を根底から覆すものである 49。
これらの巨大IT企業の参入が特に脅威である理由は、彼らのビジネスモデルが従来の放送局とは全く異なる点にある。彼らにとってスポーツコンテンツは、それ自体で利益を上げるべき独立したプロダクトではなく、より広範なエコシステムへとユーザーを誘い込み、ロックインするための「トロイの木馬」戦略の重要な一部である。AmazonはNFL中継を、プライム会員の獲得・維持、そして視聴者データを活用したEコマースや広告事業の拡大に利用する 50。AppleはMLSシーズンパスを、自社デバイスの販売促進とサービスエコシステムへの囲い込みのために提供している 49。彼らはメディア企業ではなく「データ駆動型のエコシステム企業」であり、その本質的な違いが、従来の放送局よりも高い放映権料を支払うことを可能にし、構造的な競争優位性を与えている。
さらに、eスポーツリーグのような全く新しい競技体の出現も、若年層のファンと可処分時間を奪うという点で、伝統的スポーツリーグにとっての新たな参入脅威となっている 52。
4.2. 買い手の交渉力:高い
スポーツ業界における買い手は、主にファン(最終消費者)と、メディアプラットフォーマーやスポンサー(BtoB顧客)の二種類に大別され、いずれも強い交渉力を持つ。
- ファン(最終消費者): 視聴・観戦手段の多様化により、ファンの選択肢は爆発的に増加した。テレビ放送、OTTストリーミングサービス、SNS上のハイライト動画など、ファンは自身のライフスタイルに合わせてコンテンツを消費できる。さらに、スポーツはNetflix、ゲーム、音楽、コンサートなど、あらゆるエンターテインメントとファンの限られた可処分時間と支出を巡って激しく競争しており、コンテンツの質や体験価値が低ければ、ファンは容易に他の選択肢へと流れてしまう 22。
- メディアプラットフォーマー/スポンサー(BtoB顧客): 彼らは巨額の放映権料やスポンサー料を支払う一方で、優良なコンテンツを獲得するため、あるいは投資対効果(ROI)を最大化するために強い交渉力を行使する。特にスポンサーは、単なるブランド露出に留まらず、ファンデータへのアクセスや、具体的な販売促進効果など、より可視化されたリターンを厳しく要求するようになっている 33。
4.3. 供給者の交渉力:高い
業界の収益構造は、一部の強力な供給者によって大きく左右される。
- スター選手と有力エージェント: ごく一握りのトップアスリートは、単なる選手ではなく、巨大なファンベースを持つ独立したブランド(「アスリートエコノミー」)である。彼らのSNSフォロワー数は所属チームを上回ることも珍しくなく、ファンはチームよりも選手個人に追随する傾向が強まっている 23。この影響力は、高額な年俸交渉において極めて強力な交渉力となり、チームの収益を圧迫する要因となり得る。
- 有力なリーグ(NFL, NBA, プレミアリーグなど): これらのリーグは、各スポーツにおける最高峰のコンテンツをほぼ独占的に供給している。そのIPは代替が効かない希少性の高い資産であり、メディア企業やスポンサーに対して圧倒的な交渉力を有している。これが、放映権料やスポンサー料が高騰し続ける根本的な理由である 24。
4.4. 代替品の脅威:高い
スポーツ業界における代替品の脅威は、他のスポーツ種目ではなく、ファンの可処分時間と支出を奪うあらゆるエンターテインメントである。NetflixやDisney+などの動画配信サービス、eスポーツやモバイルゲーム、コンサートやライブイベント、さらにはTikTokやYouTubeといったソーシャルメディアプラットフォームまで、すべてが競合となる 22。特に、短い時間で満足感を得られる「スナックカルチャー」に慣れ親しんだZ世代にとって、試合時間が長く展開の遅い伝統的なスポーツは、他の魅力的な代替エンターテインメントに比べて魅力を失うリスクを抱えている 23。
4.5. 業界内の競争:高い
業界内の競争は複数の次元で激化している。
- スポーツ種目間の競争: サッカー、野球、バスケットボール、アメリカンフットボールといった異なるスポーツが、国内外のファン、スポンサー、メディアの注目を巡って競争している。
- リーグ内でのチーム間競争: 同一リーグ内では、戦力補強による競技成績の向上、人気選手獲得によるファンベースの拡大、そして地域市場における商業的成功を目指して、各チームが熾烈な競争を繰り広げている。
- メディア企業間の競争: プレミアムなスポーツコンテンツの放映権を獲得するため、ディズニー(ESPN)のような既存の大手メディアと、AmazonやAppleといった巨大IT企業との間で、激しい入札競争が展開されており、これが放映権料の高騰を招いている 50。
第5章:バリューチェーンとサプライチェーン分析
5.1. バリューチェーン分析
スポーツ業界の伝統的なバリューチェーンは、アスリートの発掘・育成から始まり、リーグ・大会運営、チーム運営を経て、「試合」という中核コンテンツが創出される。このコンテンツは、メディアによる制作・配信、スポンサーシップ獲得、マーチャンダイジングという形で収益化され、最終的にファンエンゲージメントへと繋がる一連の線形的なプロセスであった 58。
しかし、デジタル化の進展はこの構造を根本から変革している。
価値源泉のシフト:「試合」から「データ」へ
かつて価値の源泉は、スタジアムやテレビ画面で繰り広げられる「試合(コンテンツ)」そのものにほぼ限定されていた。しかし現在、価値の源泉は、ファンとアスリートから生成される「データ」の収集、分析、活用へと劇的にシフトしている。ファンがどのコンテンツを視聴し、どのグッズを購入し、どの選手にエンゲージしているかという行動データ。アスリートのパフォーマンス、コンディション、生体情報を示すトラッキングデータ。これらのデータは、ファン体験のパーソナライズ、スポンサーシップ効果の最大化、チーム戦略の最適化、そして新たな収益モデルの創出を可能にする、最も重要な経営資源となりつつある 60。
D2Fモデルによるバリューチェーンの変革
Direct-to-Fan (D2F)モデルは、このデータ中心の価値創造を加速させる。従来のバリューチェーンでは、テレビ局や小売業者といった中間事業者がファンとの接点を持ち、貴重な顧客データを独占していた。しかし、D2Fモデルでは、リーグやチームが自社のOTTプラットフォーム、公式アプリ、Eコマースサイトを通じてファンと直接繋がり、中間業者を介さずに価値を提供(そしてデータを収集)することが可能になる 58。
この変革は、バリューチェーンの各段階に影響を及ぼす。
- コンテンツ制作・配信: 自社プラットフォームでの独占配信や、個々のファン向けにパーソナライズされたハイライト動画の自動生成が可能になる。
- マーチャンダイジング: 収集したファンデータを基に、需要予測の精度を高め、パーソナライズされた商品を直接販売することで、収益性を向上させる。
- ファンエンゲージメント: ファンはもはや単なる消費者ではなく、ファントークンを通じてチームの意思決定に参加するなど、価値共創のパートナー(Co-Creator)へと変化する 62。
5.2. サプライチェーン(エコシステム)分析
スポーツ業界は、単一のサプライチェーンではなく、リーグ、チーム、選手、エージェント、メディア、スポンサー、用品メーカー、ファン、地域社会といった多様なステークホルダーが相互に依存し合う複雑なエコシステムを形成している。
このエコシステムにおいて、近年、新たな役割を担うプレイヤーが急速に台頭している。
- 巨大プラットフォーマー(IT企業): AmazonやAppleといった企業は、単なる配信事業者ではなく、エコシステム全体のハブとしての地位を確立しつつある。彼らは自社のプラットフォーム上で、試合のライブ配信、関連コンテンツの提供、グッズ販売、ベッティング情報の連携などをシームレスに統合し、ファン体験全体を支配しようとしている 49。これにより、エコシステム内での影響力とデータ支配力を飛躍的に高めている。
- データ分析企業: Sportradarのような企業は、リーグやメディア、ベッティング事業者に対して、試合のリアルタイムデータ、統計情報、分析ツールを提供する、エコシステムの「神経系」とも言える役割を担っている 63。彼らは膨大なデータを収集・標準化し、エコシステム内の各プレイヤーが価値を創出するための基盤を提供することで、不可欠な存在となっている。彼らが提供するデータとインサイトは、メディアの放送品質向上、ベッティング市場の透明性確保、チームのスカウティング精度向上など、エコシステム全体の価値を高める上で中心的な役割を果たしている。
このエコシステムの構造変化は、従来のプレイヤーに新たな協力と競争の関係を強いている。リーグやチームは、巨大プラットフォーマーと提携してリーチを拡大する一方で、自社のD2F戦略を通じてファンとの直接的な関係を維持し、データ主権を確保するという難しい舵取りを迫られている。
第6章:顧客(ファン・スポンサー)需要の特性分析
6.1. ファンセグメント分析
スポーツビジネスの成功は、多様化するファンのニーズを深く理解し、セグメント毎に最適化された体験価値を提供できるかにかかっている。ファンはもはや一枚岩の集団ではなく、熱量、世代、観戦スタイルによって求めるものが大きく異なる。
熱量別・世代別セグメンテーション
- コアファン: チームやリーグへの帰属意識が非常に高く、試合結果や選手の動向に一喜一憂する層。MURCの調査によれば、日本のプロ野球ファンのうち13.7%、Jリーグファンのうち11.9%がこの層に該当する 11。彼らが求める価値(KBF: Key Buying Factor)は、試合のライブ観戦、詳細なデータ分析、チーム内部の情報、そして限定グッズなど、深く没入できる体験である。
- ライトファン: 特定のチームや選手への強い帰属意識は持たないが、話題性のある試合やイベントを楽しむ層。BリーグやVリーグでは、このライトファンの比率が高い傾向にある 11。彼らのKBFは、エンターテインメント性、手軽さ、そして友人や家族と共有できる「イベント感」である。
- Z世代・ミレニアル世代(18-34歳): この世代は、従来のスポーツ消費とは全く異なる行動様式を示す。PwCの調査によると、この世代のファンで試合全体を集中して視聴する者はわずか19%であり、そのほとんどが視聴中にSNSを利用(約70%)したり、ウェブサーフィン(47%)やビデオゲーム(24%)をしたりするマルチタスク状態にある 53。Nielsenのレポートも、Z世代はチームよりも選手個人への忠誠心が高く、試合時間が長く展開の遅いスポーツ(例:野球、ゴルフ)よりも、ペースの速いスポーツ(例:バスケットボール、サッカー)を好む傾向を指摘している 66。
Z世代がスポーツコンテンツに求めるもの
Z世代のエンゲージメントを獲得するためには、以下のKBFを理解することが不可欠である。
- スナッカブル・コンテンツ: フルマッチの視聴よりも、ハイライト動画や個々のスーパープレーなど、短時間で楽しめる「切り抜き」コンテンツを好む 66。
- アスリート個人への共感: チームの勝敗よりも、応援する選手(推し)の活躍や人間的なストーリーに強く惹かれる。選手のSNSコンテンツは、Z世代のエンゲージメントを促進する最大の要因の一つである 23。
- インタラクティブ性と参加: 一方的にコンテンツを受け取るのではなく、コメントや投票、ファンタジースポーツ、スポーツベッティングなどを通じて、自らが試合やコミュニティに「参加」している感覚を重視する。Nielsenの調査では、若年層は試合観戦中にゲームをプレイする傾向が50%以上高いことが示されている 68。
- ユニークな体験価値: ライブ観戦においては、単に試合を見るだけでなく、62%の若年層ファンが「ユニークで記憶に残る体験」を求めている 53。これは、限定グッズの購入意欲の高さにも繋がっている。
6.2. スポンサー(BtoB顧客)のニーズ分析
スポンサーシップの領域でも、価値の尺度は大きく変化している。伝統的な「ブランド露出」による認知度向上という目的から、より高度で測定可能なビジネス目標の達成へとニーズがシフトしている。
スポンサーが求める価値(KBF)の変化
- 伝統的なブランド露出からデータアクセスへ: スタジアムの看板やユニフォームのロゴによるブランド認知度向上は依然として重要だが、先進的なスポンサーはそれ以上の価値を求めている。彼らが最も渇望しているのは、スポーツ団体が保有するファンデータへのアクセスである。自社の顧客層と親和性の高いファンセグメントを特定し、パーソナライズされたマーケティング活動を展開するためのインサイトを得ることが、新たなKBFとなっている 33。
- ESG活動との連携: 企業の社会的責任に対する要請が高まる中、スポンサーは自社のESG(環境・社会・ガバナンス)戦略と連携できるパートナーシップを重視している。スポーツが持つ社会的なプラットフォームを活用し、環境保護活動や地域貢献、DE&I推進といったメッセージを発信することは、ブランドイメージを向上させる上で極めて有効である 44。
- 従業員エンゲージメント: スポンサーシップは、社外へのマーケティングツールであると同時に、社内の従業員エンゲージメントを高めるための強力なツールとしても活用されている。観戦チケットの提供や、選手との交流イベントなどを通じて、従業員のロイヤルティやモチベーションを向上させることが、新たな付加価値として認識されている。
スポンサーシップ効果の可視化(ROI測定)
スポンサーは、投じた資金が具体的にどのようなリターンを生んだのか、データに基づいた厳密なROI測定をますます強く要求している 33。これに応えるため、AIを活用した効果測定技術が進化している。AI搭載のコンピュータビジョンは、放送映像やSNS上の動画コンテンツに映ったロゴの露出時間、サイズ、明瞭度を自動で分析し、広告換算価値(Media Value)を正確に算出する 54。さらに、自然言語処理(NLP)を用いてSNS上のブランドに関する会話のセンチメント(ポジティブ/ネガティブ)を分析したり、マルチタッチアトリビューションモデルを用いてスポンサーシップが最終的な購買にどう貢献したかを追跡したりするなど、ROI測定は高度化・精緻化の一途をたどっている 54。
第7章:業界の内部環境分析
7.1. VRIO分析
スポーツ業界における持続的な競争優位性の源泉となる経営資源やケイパビリティを、VRIOフレームワーク(Value: 価値、Rarity: 希少性、Imitability: 模倣困難性、Organization: 組織)を用いて分析する 71。
| 経営資源/ケイパビリティ | 価値 (V) | 希少性 (R) | 模倣困難性 (I) | 組織 (O) | 競争優位性 | 戦略的意味合い |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 強力なリーグ・チームのブランド(IP) | Yes | Yes | Yes | Yes | 持続的競争優位 | NFLやプレミアリーグのようなブランドは、長年の歴史、感情的な繋がり、ネットワーク効果により構築されており、模倣はほぼ不可能。これが高額な放映権とスポンサーシップの基盤。 |
| スター選手の存在 | Yes | Yes | No | Yes | 一時的競争優位 | スター選手は絶大な価値と希少性を持つが、移籍や引退により永続しない。組織は選手の価値を最大化しつつ、依存しすぎない体制を構築する必要がある。 |
| 長年にわたるファンベースとの絆 | Yes | Yes | Yes | Yes/No | 持続的競争優位(潜在的) | 世代を超えて受け継がれるファンとの絆は模倣困難な資産。しかし、その価値をD2Fモデルで収益化できる組織体制(O)がなければ、潜在的な優位性に留まる。 |
| 歴史的なスタジアム | Yes | Yes | Yes | No | 活用されていない優位性 | 象徴的なスタジアムは希少で模倣困難だが、多くはコストセンターとなっている。スマートスタジアム化など、収益を生むプロフィットセンターに変革する組織能力がなければ価値を最大化できない。 |
| 高度なデータ分析能力 | Yes | No | No | Yes/No | 競争均衡 | データ分析ツールや人材は市場から調達可能であり、希少性や模倣困難性は低い。しかし、データを戦略的意思決定に組み込み、迅速に実行する組織能力(O)が差別化要因となる。 |
| グローバルな放映ネットワーク | Yes | Yes | No | Yes | 一時的競争優位 | 巨大IT企業の参入により、従来の放送局が築いてきたネットワークの希少性は低下。コンテンツ(IP)の強さがなければ、配信網だけでは持続的な優位性を保てない。 |
この分析から、スポーツ業界における真の持続的競争優位性は、単一の資源ではなく、「強力なIP」と「ファンとの絆」を、「データを活用して収益化する組織能力」と組み合わせることによってのみ生まれることがわかる。データ分析能力自体はもはや差別化要因ではないが、それを活用してファンとの関係性を深化させ、IPの価値を最大化する「組織(Organization)」の要素が、勝者と敗者を分ける決定的な要因となる。
7.2. 人材動向
業界のデジタルトランスフォーメーションは、求められる人材像を劇的に変化させている。
求められる人材像のシフト
従来のスポーツビジネスは、チケット販売やスポンサー営業、イベント運営といった職能が中心であった。しかし、価値の源泉がデータへと移行するに伴い、以下のような専門人材への需要が急増している 74。
- データサイエンティスト/アナリスト: 選手のパフォーマンスデータ、ファンの行動データ、チケットの価格データなどを分析し、戦略的な意思決定を支援する。
- デジタルマーケター: D2F戦略を推進し、SNS、アプリ、OTTプラットフォームを通じてファンとのエンゲージメントを構築・収益化する。
- コンテンツクリエイター: Z世代など若年層に響く、短尺動画やインタラクティブコンテンツを企画・制作する。
- スポーツ科学専門家: ウェアラブルデバイスから得られる生体データを分析し、選手のコンディショニングや傷害予防を科学的にサポートする。
人材獲得競争と賃金トレンド
これらの専門人材は、スポーツ業界だけでなく、IT、コンサルティング、金融といった高給与業界でも需要が高い。そのため、業界を越えた熾烈な人材獲得競争が発生している。ZipRecruiterのデータによると、米国のスポーツアナリストの平均年収は約79,000ドルだが、トップ層では10万ドルを超える 74。データサイエンティスト職では、平均年収が106,514ドルに達し、上位層では19万ドルを超えるケースもある 76。日本においても、同様の専門人材の給与水準は高く、従来のスポーツ業界の給与体系では優秀な人材の獲得が困難になりつつある。
アスリートのセカンドキャリア
引退したアスリートは、競技に関する深い知見と経験を持つ貴重な人材である。彼らをデータアナリストやコーチングスタッフ、あるいはビジネスサイドの専門職として育成・活用することは、業界全体の人材基盤を強化する上で重要な課題である。
7.3. 労働生産性
データとテクノロジーへの投資は、チーム運営(フロントオフィス)の労働生産性向上に大きく貢献する可能性がある。
- チーム運営の効率性: 従来、経験と勘に頼りがちだったスカウティングや選手契約、チケット価格設定といった業務は、データ分析の導入によって客観的かつ効率的に行うことが可能になる。AIを活用したダイナミックプライシングは、需要に応じてチケット価格を最適化し、収益を最大化する。
- 投資対効果(ROI): データ分析への投資が、チームの勝率や収益性にどの程度貢献しているかを測定することは、今後の重要な経営課題である。例えば、「データ分析投資額あたりの勝率向上」や「マーケティング分析によるチケット・グッズ売上増加額」といったKPIを設定し、投資対効果を可視化する必要がある。MLBやNFLでは、GoogleやAWSといったテクノロジーパートナーと連携し、膨大な試合データを分析することで、新たな統計指標を開発し、ファンエンゲージメントとチーム戦略の両面で価値を創出している 74。
第8章:主要トレンドと未来予測
8.1. eスポーツのメインストリーム化
eスポーツはもはやニッチなサブカルチャーではなく、スポーツエコシステムの重要な構成要素へと成長した。世界のeスポーツ市場は2024年の21.3億ドルから2030年には74.6億ドルへと、年率23.1%という驚異的なスピードで成長すると予測されている 27。このトレンドは、伝統的スポーツに以下の影響を与える。
- 伝統的スポーツとの融合: 多くのプロスポーツチーム(特に欧州サッカークラブ)が独自のeスポーツチームを保有し、新たなファン層、特にZ世代との接点を構築している。
- オリンピック種目化の可能性: 国際オリンピック委員会(IOC)は「オリンピックeスポーツゲームズ」の創設を決定し、初開催は2027年にサウジアラビアで行われる予定である 77。これにより、eスポーツの社会的地位はさらに向上するだろう。
- 新たなファン層の開拓: eスポーツは、伝統的スポーツに関心の薄い若年層をスポーツエコシステムに引き込む強力なゲートウェイとなる。
8.2. スポーツベッティング市場のグローバルな拡大
米国における2018年の合法化を皮切りに、スポーツベッティング市場は世界的に急速な拡大を続けている。世界の市場規模は2024年の約1,074億ドルから2034年には2,613億ドルに達すると予測されている 21。この拡大は、スポーツビジネスに光と影の両方をもたらす。
- 正の影響:
- リーグ収益の増加: リーグは、データ提供パートナーシップ(例:NBAとSportradar)や公式ベッティングパートナー契約を通じて、新たな収益源を確保できる 28。
- ファンエンゲージメントの向上: PwCの調査では、若年層ファンの約80%が「賭けをした試合は視聴する可能性が高い」と回答しており、ベッティングが視聴率や関与度を高める強力な動機付けとなることが示されている 53。
- 負の影響:
- 競技の公正性への脅威: 選手の賭博への関与や八百長のリスクが増大する。最近のNBAにおける大規模な違法賭博スキャンダルは、その危険性を浮き彫りにした 28。
- 依存症と社会的コスト: 過度な広告や手軽なモバイルベッティングは、ギャンブル依存症の増加という社会問題を引き起こす懸念がある 79。
8.3. ウェルネス・健康市場との融合
人々の健康志向の高まりは、「するスポーツ」市場を拡大させている。プロスポーツ団体は、このトレンドを活用し、自らが持つブランドや科学的トレーニングのノウハウを一般消費者向けのウェルネスサービスとして提供するビジネスチャンスを持つ。これには、公式トレーニングアプリの開発、フィットネスジムの運営、健康食品の監修などが含まれる。この融合は、プロスポーツの収益源を多様化させると同時に、社会全体の健康増進に貢献する道を開く 18。
8.4. Web3.0とファンエコノミー
ブロックチェーン技術を基盤とするWeb3.0は、ファンエンゲージメントのあり方を根本から変える可能性を秘めている。
- NFT (Non-Fungible Token): NBA Top Shotの成功事例に代表されるように、象徴的なプレーシーンをデジタルコレクティブルとして販売するモデルは、新たな収益源となっている 35。記念チケットやデジタル会員権など、所有権を証明できるNFTの活用範囲は広い。
- ファントークン: ファンがトークンを購入することで、ユニフォームのデザイン投票や、スタジアムで流す音楽の選定など、チームの特定の意思決定に参加する権利を得られるモデル。これにより、ファンは単なる消費者から、チームを共に創り上げる「共創者」へと変化する。
- DAO (Decentralized Autonomous Organization): ファンが共同でチームを所有・運営するという、より急進的なモデルも実験的に始まっている。これは、従来のトップダウン型のガバナンスを覆す可能性を秘めている。
8.5. サステナビリティとスポーツ
ESG経営の観点から、スポーツ団体やイベントが果たすべき社会的責任はますます重要になっている。環境負荷の低減は、もはや単なるコストではなく、ブランド価値を高めるための投資と見なされている 42。サステナビリティへの真摯な取り組みは、環境意識の高い若年層ファンや、ESGを重視するスポンサー企業を惹きつける重要な要素となる。例えば、2024年パリオリンピックは、再生可能エネルギーの全面利用や低炭素素材での施設建設など、持続可能性を前面に打ち出し、今後の大規模イベントの新たな基準を示した 43。
第9章:AIがもたらす破壊的インパクト(詳細分析)
人工知能(AI)は、スポーツ業界のあらゆる側面を再定義する、最も強力な破壊的技術である。そのインパクトは、フィールド上の競技パフォーマンスと、フィールド外のビジネス・経営の両面に及ぶ。
9.1. 競技・パフォーマンスへの影響(オンフィールド)
AIは、アスリートの能力を最大限に引き出し、チームの競争力を向上させるための不可欠なツールとなっている。
- 戦術・戦略の高度化: AIは、過去の膨大な試合データや選手のトラッキングデータをリアルタイムで分析し、相手チームの弱点やパターンを特定する。これにより、コーチはデータに基づいた最適な戦術を立案し、試合中の意思決定を迅速化できる 31。例えば、イングランドのサッカークラブ、リヴァプールFCは、コーナーキックの最適戦略を提案するAIモデル「TacticAI」を活用している 81。
- 選手評価・スカウティングの変革: 映像解析AIは、スカウトの主観やバイアスを排除し、選手の潜在能力を客観的に評価する。AIは、プレー映像から選手の動きの質、判断スピード、戦術理解度といった非構造化データを抽出し、将来のパフォーマンスや怪我のリスクを予測する 81。これにより、スカウティングの効率と精度が飛躍的に向上し、これまで見過ごされてきた「隠れた逸材」を発掘することが可能になる。
- コンディション管理の最適化: ウェアラブルデバイスから収集される心拍数、睡眠パターン、筋活動量といった生体データをAIが分析することで、選手の疲労度やコンディションを正確に把握できる。これにより、トレーニング負荷を個別に最適化し、オーバートレーニングによるパフォーマンス低下や怪我を未然に防ぐことが可能になる 31。
- 審判の高度化: VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)へのAI導入は、判定の精度とスピードを向上させる。サッカーのオフサイド自動判定システムや、野球におけるAIによるストライク・ボール判定(ロボットアンパイア)の実用化が進んでおり、人間の審判の判断を補助し、より公正な試合運営を実現する 31。
9.2. ビジネス・経営への影響(オフフィールド)
AIは、収益機会を最大化し、運営を効率化することで、スポーツビジネスの経営モデルそのものを変革する。
- ファン体験のパーソナライズ: AIは、個々のファンの購買履歴、視聴データ、アプリ利用状況などを分析し、一人ひとりに最適化された体験を提供する。
- ダイナミック・プライシング: 試合日程、対戦相手、天候、座席位置などの変数に基づき、AIがチケット価格をリアルタイムで変動させ、需要と供給を最適化することで収益を最大化する。
- パーソナライズド・コンテンツ: AIが個々のファンの好みに合わせて、応援する選手のハイライト動画や関連ニュースを自動で生成・配信する。クリーブランド・キャバリアーズは、WSC SportsのAIプラットフォームを導入し、ファンが自分だけのハイライトリールを作成できるアプリを提供した結果、アプリのダウンロード数が83%増加した 84。
- スポンサーシップの価値最大化: AIは、スポンサーシップのROIを正確に測定し、その価値を高める。AIによる画像・映像認識技術は、放送やSNS上でのロゴ露出を自動で検出し、その広告価値を定量化する 54。また、ファン層のデモグラフィックや興味関心データを分析し、最も親和性の高いスポンサー企業をマッチングすることで、ターゲティングの精度を高める。
- スタジアム運営のスマート化: AIカメラとセンサーは、スタジアム内の人の流れをリアルタイムで分析し、混雑を予測してファンを空いている売店やトイレへ誘導する。顔認証技術によるキャッシュレス決済やチケットレス入場は、ファン体験をよりシームレスにし、運営効率を向上させる 85。アトランタのメルセデス・ベンツ・スタジアムでは、AIコンシェルジュの導入により、売店の待ち時間が40%削減され、ファン一人当たりの消費額が35%増加したという事例もある 86。
- メディアコンテンツの自動生成: AIは、試合のハイライト動画や要約記事を自動で生成することができる。これにより、コンテンツ制作のコストと時間を大幅に削減し、より多くの試合やイベントをカバーすることが可能になる。また、リアルタイムでの多言語翻訳・配信も可能になり、グローバルなファンベースへのリーチを拡大できる 31。
第10章:主要プレイヤーの戦略分析
スポーツエコシステムを構成する主要プレイヤーは、デジタル化とグローバル化の波の中で、それぞれ独自の戦略を展開している。
10.1. グローバルリーグ
- NFL (アメリカンフットボール): 圧倒的な国内人気を基盤に、世界で最も収益性の高いスポーツリーグとしての地位を確立(年間収入約193億ユーロ) 24。Amazonとの10億ドル規模の独占配信契約 49 に見られるように、巨大ITプラットフォームを積極的に活用し、新たな視聴体験と収益源を開拓。Next Gen Statsを通じて、全選手の動きをデータ化し、ファンエンゲージメントと戦術分析の両面で活用している 74。
- NBA (バスケットボール): グローバル展開の最も成功したモデル。スター選手個人のブランド力を最大限に活用し、中国や欧州で絶大な人気を誇る。メディア戦略では、従来の放送局に加え、Amazonとの11年間にわたるグローバル配信契約を締結し、デジタルシフトを加速 87。デジタルコレクティブルの分野では、「NBA Top Shot」で大成功を収め、Web3.0時代のファンエンゲージメントをリードしている 35。
- プレミアリーグ (サッカー): 世界で最も視聴されているサッカーリーグ。収益の大部分をグローバルな放映権販売に依存しており、その価値は高騰を続けている。各クラブは独立性が高く、独自のデジタル戦略やグローバルファンベースの構築に注力している。
- F1 (モータースポーツ): Netflixのドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive』の成功により、特に米国市場で若年層のファンを爆発的に増加させた 33。スポーツとエンターテインメントの融合(Sportainment)の成功事例として、他のリーグに大きな影響を与えている。
10.2. 日系リーグ
- NPB (プロ野球): 日本国内で根強い人気を誇る。各球団が独自のファンサービスや地域密着戦略を展開。MURCの調査によれば、ファン人口は約2,218万人で、そのうちコアファンが13.7%を占める 11。デジタル化やグローバル展開においては、米国のメジャーリーグに比べて遅れが見られるが、各球団でデータ分析部門の設立が進んでいる。
- Jリーグ (サッカー): DAZNとの10年間にわたる大型放映権契約により、デジタル配信への移行を積極的に推進。ファン人口は約901万人 11。地域密着を理念に掲げ、各クラブが社会貢献活動(ホームタウン活動)に力を入れている点が特徴。
- Bリーグ (バスケットボール): 2016年に発足した新しいリーグであり、デジタルネイティブなファン層の獲得に注力。SNSや動画配信を積極的に活用し、若年層からの支持を集めている。
10.3. スポーツ用品・アパレル
- Nike: 「Consumer Direct Acceleration」戦略を掲げ、卸売からD2C(Direct-to-Consumer)への大胆なシフトを推進。自社アプリ(NIKE App, SNKRS)やEコマースを通じて顧客データを直接収集し、パーソナライズされた体験を提供 89。AIを活用した製品デザイン(A.I.R.プロジェクト)や需要予測にも多額の投資を行っている 91。2025年のオンライン売上は81.5億ドルに達すると予測されている 91。
- Adidas: Nikeと同様にデジタル変革を加速。自動化工場「Speedfactory」の試みや、AIを活用した製品カスタマイゼーション、データ分析に基づくパーソナライズドマーケティングに注力 92。2025年までにD2C事業の比率を50%に高めることを目標としている 94。
10.4. メディア・プラットフォーマー
- ESPN (Disney): 伝統的なスポーツメディアの巨人。ケーブルテレビ事業の縮小という逆風の中、ストリーミングサービス「ESPN+」への移行を急いでいる。豊富なライブコンテンツと長年のブランド力が強みだが、巨大IT企業の資金力との競争に直面している。
- DAZN: 「スポーツ界のNetflix」を目指すOTTプラットフォーム。世界各国の多様なスポーツ放映権を積極的に獲得し、グローバルに事業を展開。Jリーグやプロ野球など、日本市場にも深くコミットしている。
- Amazon: NFL、NBA、プレミアリーグなど、世界最高峰のスポーツコンテンツの権利を次々と獲得 49。スポーツをプライム会員獲得の強力な武器と位置づけ、AIを活用した革新的な視聴体験(例:ブリッツ予測)を提供し、単なる配信に留まらない付加価値を追求している 48。
- Apple: MLS(メジャーリーグサッカー)との10年間の全球団独占配信契約 49 に見られるように、特定のスポーツと深く連携し、自社エコシステムにファンを囲い込む戦略を採る。ブラックアウト(地域放送制限)のない視聴体験は、従来のモデルに対する破壊的な挑戦である 49。
10.5. eスポーツ
- Riot Games (League of Legends, VALORANT): ゲーム開発会社が自らeスポーツリーグを運営するモデルの先駆者。ゲーム体験の延長としてeスポーツを位置づけ、プレイヤーコミュニティの育成とファンエンゲージメントを最優先する戦略を採る 95。スポンサーシップにおいても、Louis VuittonやMastercardといったハイブランドと提携し、eスポーツのブランド価値向上に成功している 52。
10.6. その他(ベッティング、データ企業など)
- DraftKings: デイリーファンタジースポーツから始まり、現在はオンラインスポーツベッティングとiGamingを主力事業とする。ユーザーの参加料や、負けた賭け金が主な収益源 97。AIを積極的に活用し、顧客獲得コスト(CAC)の削減と顧客生涯価値(LTV)の最大化を図るデータ駆動型のビジネスモデルを構築している 98。
- Sportradar: スポーツデータとテクノロジーの分野で市場をリードするBtoB企業。リーグ、メディア、ベッティング事業者など、エコシステム内のあらゆるプレイヤーにリアルタイムデータ、オッズ、分析ツール、不正監視サービスなどを提供 63。スポーツエコシステム全体のデータインフラを支える、不可欠な存在となっている。
第11章:戦略的インプリケーションと推奨事項
これまでの包括的な分析を統合し、次世代のスポーツエコノミーで成功を収めるための戦略的な意味合いと具体的な行動計画を提言する。
11.1. 勝者と敗者を分ける決定的要因
今後5年から10年で、スポーツ業界の勝者と敗者を分ける決定的な要因は、以下の3つの能力に集約される。
- ファンとの直接的な関係構築とデータ主権の確立: 中間業者を介さず、自社のプラットフォームでファンと直接繋がり、リッチなファーストパーティデータを収集・活用できるか。これが、パーソナライズ、新規事業創出、スポンサーシップ価値向上の全ての基盤となる。データを外部プラットフォーマーに依存し続ける企業は、価値創造の主導権を失い、コモディティ化する。
- テクノロジー(特にAI)を事業の核に統合する能力: AIを単なる効率化ツールではなく、ファンエンゲージメントの深化、競技パフォーマンスの向上、新たな収益機会の創出といった、事業のあらゆる側面に組み込む戦略的思考と実行力。データサイエンティストやデジタル人材を惹きつけ、活用できる組織文化を構築できるかが問われる。
- 「エンターテインメント企業」への自己変革: 伝統的なスポーツの枠組みに固執せず、eスポーツ、ゲーミング、ベッティング、Web3.0といった隣接領域を積極的に取り込み、ファンに多様で没入感のある体験を提供できるか。「試合」を売るのではなく、「熱狂」と「コミュニティ」を核とした総合エンターテインメント体験を設計できる企業が勝利する。
11.2. 事業機会(Opportunity)と脅威(Threat)
直面する主要な機会と脅威は以下の通りである。
- 機会 (Opportunities):
- D2Fによる高収益事業の創出: プレミアムコンテンツのサブスクリプション、デジタルコレクティブル(NFT)、ファントークンなど、ファンとの直接的な関係を基盤とした新たなマネタイズ手法。
- スポーツベッティング市場との連携: 合法化が進むベッティング市場と連携し、データライセンス収入や公式パートナーシップを通じて新たな収益の柱を確立する。
- グローバルなニッチ市場の開拓: デジタル配信プラットフォームを活用し、これまでリーチできなかった海外のファン層や特定のニッチなファンセグメントを開拓する。
- AI活用による運営の抜本的効率化: AIによる需要予測、ダイナミックプライシング、コンテンツ自動生成などを通じて、運営コストを削減し、収益性を向上させる。
- 脅威 (Threats):
- 巨大IT企業による市場支配: AmazonやAppleがプレミアムコンテンツの権利を独占し、ファンとの関係性を自社エコシステムに囲い込むことで、リーグやチームがファンから切り離されるリスク。
- 若年層のスポーツ離れと関心の断片化: Z世代が伝統的なスポーツ観戦から離れ、eスポーツや他のエンターテインメントに時間を費やすことで、将来のファンベースが侵食される脅威。
- データプライバシー規制の強化: ファンや選手のデータ活用が、GDPRなどの厳格な規制によって制限され、コンプライアンスコストが増大するリスク。
- アスリートエコノミーによる権力シフト: 選手個人の影響力が増大し、リーグやチームのブランド価値やファンへの影響力が相対的に低下する脅威。
11.3. 戦略的オプションの評価
取りうる主要な戦略的オプションを、メリット、デメリット、成功確率の観点から評価する。
| 戦略的オプション | メリット | デメリット | 成功確率 |
|---|---|---|---|
| 1. 統合D2Fプラットフォームの自社開発 | ファンデータの完全な所有、高い収益性、ブランド体験の統一 | 莫大な初期投資と開発期間、高度な技術的人材の確保、巨大IT企業との競争 | 中 |
| 2. グローバルプラットフォーマーとの戦略的提携 | 迅速な市場投入、広範なリーチ、技術的負担の軽減 | データ主権の一部喪失、収益分配、プラットフォームへの依存 | 高 |
| 3. eスポーツへの本格参入(チーム買収/設立) | 若年層ファンへのリーチ、デジタルエンゲージメントのノウハウ獲得 | 高額な買収コスト、伝統的スポーツとのブランドシナジーの難しさ | 中 |
| 4. データ分析能力の強化と外部へのサービス提供 | 新たなBtoB収益源の創出、業界内での影響力向上 | 高度な専門人材の獲得競争、Sportradarなど既存企業との競争 | 低 |
| 5. Web3.0技術への実験的投資 | 先行者利益の獲得、新たなファンエコノミーの構築 | 技術・市場の不確実性、法規制リスク、短期的な収益貢献の低さ | 低 |
11.4. 最終提言:統合D2Fプラットフォームを核としたエコシステム戦略
これまでの分析に基づき、最も説得力のある事業戦略として「統合D2Fプラットフォームを核としたエコシステム戦略」を提言する。これは、オプション1(自社開発)とオプション2(提携)のハイブリッドアプローチであり、データ主権を確保しつつ、リスクを管理しながら実行するものである。
この戦略は、自社でコントロールする統合プラットフォーム(アプリ、ウェブサイト)を中核に据え、ファンIDを統合管理する。このプラットフォーム上で、試合のライブ配信(一部)、限定コンテンツ、Eコマース、ファンコミュニティ機能、Web3.0(NFT/ファントークン)イニシアチブなどを提供し、ファンエンゲージメントのハブとする。一方で、リーチ拡大のため、Amazon Prime Videoなどのグローバルプラットフォームとは、データ共有の権利を確保した上で、一部の試合コンテンツを配信する戦略的提携を結ぶ。
実行に向けたアクションプラン概要
- フェーズ1:基盤構築(Year 1-2)
- アクション:
- CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を導入し、散在するファンデータを統合。
- 中核となるモバイルアプリとウェブサイトをリニューアルし、統合ファンIDシステムを導入。
- データサイエンスチームを組成または増強。
- KPI: 統合ファンID登録数、アプリMAU(月間アクティブユーザー数)、データ収集・統合率。
- 必要リソース: CDP/CRMシステム投資、UI/UXデザインチーム、データエンジニア、データサイエンティスト。
- アクション:
- フェーズ2:エンゲージメント深化と収益化(Year 2-4)
- アクション:
- プラットフォーム上で、パーソナライズされたコンテンツ配信とEコマースを開始。
- NFTやファントークンを用いた小規模なパイロットプロジェクトを実施。
- データに基づいたスポンサーシップパッケージを開発し、既存・新規スポンサーに提案。
- グローバルプラットフォーマーとの提携交渉を開始。
- KPI: D2C売上高、ファン一人当たりの平均収益(ARPU)、パーソナライズ施策によるエンゲージメント率向上、データ活用によるスポンサーシップ契約額の増加。
- 必要リソース: コンテンツクリエイター、デジタルマーケター、ブロックチェーン専門家、BtoB営業チーム。
- アクション:
- フェーズ3:エコシステム拡大(Year 4-5)
- アクション:
- eスポーツチームとの連携や、自社リーグの設立を検討。
- スポーツベッティング事業者との公式データパートナーシップを締結。
- 収集したデータを活用した新たなBtoB/BtoCサービス(例:ウェルネスアプリ)を開発。
- KPI: 新規事業による売上高、エコシステム全体のユーザー数、グローバル市場でのプレゼンス。
- 必要リソース: M&A専門チーム、事業開発担当者、外部テクノロジーパートナー。
- アクション:
この戦略を実行することで、単なるスポーツ団体から、データを核としてファンと共創する次世代のエンターテインメント企業へと変貌を遂げ、持続的な成長を達成することが可能となる。
第12章:付録
参考文献、引用データ、参考ウェブサイトのリスト
本レポートの作成にあたり参照した主要な情報源は、各章の引用に記載の通りである。以下に主要な発行元及びウェブサイトを列挙する。
- PricewaterhouseCoopers (PwC)
- Deloitte Tohmatsu Consulting
- KPMG
- Kearney
- Nielsen
- Grand View Research
- Newzoo
- Research and Markets
- The Business Research Company
- Forbes
- SportsPro
- Sports Business Journal
- Front Office Sports
- Boardroom
- スポーツ庁 (Japan Sports Agency)
- 株式会社日本政策投資銀行 (Development Bank of Japan Inc.)
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 (Mitsubishi UFJ Research and Consulting Co., Ltd.)
- Wikipedia (List of professional sports leagues by revenue, Forbes list of the most valuable sports teams, etc.)
- 各リーグ、チーム、企業の公式発表、IR資料
引用文献
- Global sports market value to hit ‘US$602bn’ by 2030 – SportsPro, https://www.sportspro.com/news/sports-market-kearney-value-investment-growth-july-2025/
- From passion to profit: unlocking value in sports | Kearney, https://www.kearney.com/industry/media/article/from-passion-to-profit-unlocking-value-in-sports
- Value of global sports market forecast to exceed $600 billion by 2030, finds new Kearney report, https://www.kearney.com/about/kearney-in-the-media/press/article/value-of-global-sports-market-forecast-to-exceed-600-billion-by-2030-finds-new-kearney-report
- GCC sports tourism to surge as PwC highlights growth opportunities, https://www.sportstourismnews.com/gcc-sports-tourism-pwc-growth-opportunities/
- Sports Market Report 2025 – Research and Markets, https://www.researchandmarkets.com/reports/5939106/sports-market-report
- Global Sports Market Report 2025, Opportunities, Forecast To 2034 – The Business Research Company, https://www.thebusinessresearchcompany.com/report/sports-global-market-report
- スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画):スポーツ庁, https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/jsa_00006.html
- 第3期スポーツ基本計画の概要(詳細版)・データ集(スポーツの …, https://www.mext.go.jp/sports/content/000021332_20220324_02.pdf
- わが国スポーツ産業の経済規模推計 – 日本政策投資銀行(DBJ), https://www.dbj.jp/upload/investigate/docs/11f67b7325540768b88044e5978767b9.pdf
- 【速報】2025年スポーツマーケティング基礎調査 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のプレスリリース – PR TIMES, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000156.000020489.html
- 【速報】2025 年スポーツマーケティング基礎調査 – 三菱UFJリサーチ&コンサルティング, https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2025/10/news_release_251009_01.pdf
- 【速報】2024年スポーツマーケティング基礎調査 ~スタジアム観戦市場が昨年比57.0%増と大幅伸長。メジャーリーグ(MLB)のファン人口は昨年比23.8%増と大幅増、5年連続で増加~ | 株式会社マクロミル – Digital PR Platform, https://digitalpr.jp/r/97701
- Sports Industry Outlook 2025 – PwC, https://www.pwc.com/m1/en/publications/sports-industry-outlook-2025.html
- The Future of Sports in the Middle East – Deloitte, https://www.deloitte.com/middle-east/en/Industries/consumer-products/perspectives/the-future-of-sports.html
- Global Navigator from KPMG Economics, https://kpmg.com/us/en/articles/2024/july-2024-global-navigator.html
- India’s sports industry set to more than double in value by 2030: KPMG | Sportzpower, https://sportzpower.com/indias-sports-industry-set-to-more-than-double-in-value-by-2030-kpmg/
- Deloitte’s 2025 Sports Investment Outlook, https://www.deloitte.com/global/en/Industries/tmt/perspectives/deloitte-outlook-sports-investment.html
- The Future of Sport | Deloitte Belgium | Technology, Media and Telecommunications, https://www.deloitte.com/be/en/Industries/tmt/research/the-future-of-sport-march-2023.html
- The Future of Sport Forces of change that will shape … – Playbk Sports, https://playbksports.com/wp-content/uploads/2023/09/deloitte-uk-future-of-sport-report-updated-1.pdf
- The evolution of sponsorships: Data innovation helps drives value – PwC, https://www.pwc.com/us/en/industries/tmt/library/sports-sponsorships-playbook.html
- Sports Betting Market Trends and Growth Analysis Report 2025-2034 – GlobeNewswire, https://www.globenewswire.com/news-release/2025/09/02/3142371/28124/en/Sports-Betting-Market-Trends-and-Growth-Analysis-Report-2025-2034-Legalization-Wave-Sweeping-Across-Sports-Betting-Industry-Economic-Benefits-in-Focus.html
- Perspectives: Global E&M Outlook 2025–2029 – PwC, https://www.pwc.com/gx/en/issues/business-model-reinvention/outlook/insights-and-perspectives.html
- Gen Z Will Reshape The Economics Of Professional Sports – Oliver Wyman, https://www.oliverwyman.com/our-expertise/insights/2023/oct/gen-z-reshaping-professional-sports-economics.html
- List of professional sports leagues by revenue – Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_professional_sports_leagues_by_revenue
- The World’s 50 Most Valuable Sports Teams 2024 – Forbes Middle East, https://www.forbesmiddleeast.com/lifestyle/sports/the-worlds-50-most-valuable-sports-teams-2024
- Forbes list of the most valuable sports teams – Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/Forbes_list_of_the_most_valuable_sports_teams
- Esports Market Size, Share & Trends | Industry Report, 2030, https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/esports-market
- Sports gambling skyrockets as the FBI’s NBA probe raises questions, https://timesofindia.indiatimes.com/sports/nba/top-stories/sports-gambling-skyrockets-as-the-fbis-nba-probe-raises-questions/articleshow/124780287.cms
- 2024 Sports Industry Outlook | Deloitte US, https://www.deloitte.com/us/en/Industries/tmt/articles/sports-business-trends-disruption.html
- 【速報】2025年スポーツマーケティング基礎調査 – 三菱UFJリサーチ&コンサルティング, https://www.murc.jp/news/news_release/news_release_251009/
- AI in Sports: Use Cases, Trends, Examples, and Challenges – Itransition, https://www.itransition.com/ai/sports
- AI In Sports: Use Cases, Implementation, Applications and Examples – Prismetric, https://www.prismetric.com/ai-in-sports/
- Sports Outlook 2022, https://csri.co.in/wp-content/uploads/2022/08/pwc-tmt-sports-outlook.pdf
- 2022 Sports Industry Outlook – Deloitte Global, https://www.deloitte.com/global/en/Industries/tmt/perspectives/sports-business-trends-disruption.html
- Use Cases Of NFT, Web3 In The Sports Industry – Dappros, https://www.dappros.com/knowledge-base/sports-web3-use-cases-and-dlt-solutions/
- Sports Technology Market Report: Size, Share, Forecast 2030, https://www.knowledge-sourcing.com/report/sports-technology-market
- Sports Technology Market Size, Share | Industry Report, 2030 – Grand View Research, https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/sports-technology-market
- Privacy in sports: Stay ahead of the game – Sports Business Journal, https://www.sportsbusinessjournal.com/Articles/2025/02/20/privacy-in-sports-stay-ahead-of-the-game/
- Enabling digital transformation in sport — the legal pitfalls around data, security and regulation – Brabners, https://www.brabners.com/insights/sport/enabling-digital-transformation-in-sport-the-legal-pitfalls-around-data-security-and-regulation
- Data Privacy in Sports: Key Takeaways – Orrick, https://www.orrick.com/en/Insights/2025/04/Data-Privacy-in-Sports-Key-Takeaways
- Factors affecting the protection of data rights in sports events: a configurational analysis – PMC – NIH, https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10912312/
- Sustainable Sport Index – APTIM, https://www.aptim.com/services/environmental-and-sustainability-solutions/sustainability-solutions/sustainable-sport-index/
- Sustainability in Sport | Earthly Blog, https://earthly.org/blog/sustainability-in-sport
- The Role of ESG Participation in Sports Sponsorship: Enhancing Consumer Purchase Intention Through Electronic Word of Mouth (eWOM) – ResearchGate, https://www.researchgate.net/publication/386583128_The_Role_of_ESG_Participation_in_Sports_Sponsorship_Enhancing_Consumer_Purchase_Intention_Through_Electronic_Word_of_Mouth_eWOM
- The Role of ESG Participation in Sports Sponsorship: Enhancing Consumer Purchase Intention Through Electronic Word of Mouth (eWOM) – MDPI, https://www.mdpi.com/2071-1050/16/23/10744
- The Impact of ESG Performance on Corporate Value in Listed Sports Companies: The Mediating Role of Intangible Assets and Moderating Role of Policy Environment – MDPI, https://www.mdpi.com/2071-1050/17/6/2523
- The Essential Role of ESG Marketing in Sports Brands — Porter Wills, https://porterwills.co/thoughts/the-importance-of-esg-marketing-a-new-era-for-business
- Amazon Keeps Pouring Gasoline on Its Sports Strategy, https://frontofficesports.com/amazon-keeps-pouring-gasoline-on-its-sports-strategy/
- The Future of Sports Streaming: Who’s Winning the Rights Battle …, https://boardroom.tv/tech-talk-future-of-sports-streaming-apple-netflix-amazon-paramount-espn-youtube-peacock/
- SportsPro Says… Amazon’s NBA rights deal marks a change in strategy as Prime Video becomes a major rival to US legacy media, https://www.sportspro.com/insights/amazons-prime-video-streaming-members-nba-rights-tnt-warner-bros-discovery-nbc/
- After launching Apple Sports, is Apple set to shake up the sports business game? – OMR, https://omr.com/en/daily/apple-sports-tech-giant-sports-business
- Building the Future of Sport at Riot Games, https://www.riotgames.com/en/news/building-the-future-of-sport-at-riot-games
- Using data to better engage younger sports fans – PwC, https://www.pwc.com/us/en/industries/tmt/library/engaging-younger-sports-fans.html
- Top 10 metrics for Measuring Sponsorship ROI with AI | Playbook …, https://www.callplaybook.com/reports/top-10-metrics-for-measuring-sponsorship-roi-with-ai
- Searching for the “Holy Grail” of sponsorship-linked marketing: A generalizable sponsorship ROI model Jonathan A. Jensen, Ph – arXiv, https://arxiv.org/pdf/2305.09473
- Game Changer – Nielsen, https://www.nielsen.com/insights/2019/game-changer/
- Netflix’s sports rights strategy helping to position it as alternative to ESPN, https://www.sportsbusinessjournal.com/Articles/2025/01/22/netflix-sports-rights-strategy/
- How the Sports Industry Works | Umbrex, https://umbrex.com/resources/how-industries-work/media-entertainment/how-the-sports-industry-works/
- 96 New Business Models for the Value Analysis of Sports Organisations, https://www.easm.net/download/2004/5b5d85b7861f38b31f969751823dbf79.pdf
- Data Analytics in Sport Management: Applications, Careers & Impact, https://knsm.tamu.edu/role-of-data-in-sport-management/
- CX transformation accelerated by Direct to Fan (D2F …, https://www.abeam.com/kr/en/insights/095/
- The sport value framework – a new fundamental logic for analyses in sport management – dlm.uni-bayreuth., https://www.dlm.uni-bayreuth.de/pool/dokumente/Workshop_Value_Co_Creation_in_Sport_Management_ALL_ABSTRACTS.pdf
- Sportradar – The Sports Technology Company, https://sportradar.com/
- Sportradar Aims to Transform Sports Fan Experience Through Advanced Technology Solutions | Newsworthy.ai, https://www.newsworthy.ai/curated/sportradar-aims-to-transform-sports-fan-experience-through-advan/202512226
- Sportradar Harnesses AI to Revolutionize Sports Entertainment – Newswriter Business and Technology News, https://newswriter.ai/news/202503/86016-sportradar-harnesses-ai-to-revolutionize-sports-entertainment/
- Nielsen Sports – Rethinking Sports Experiences For Generation Z …, https://www.scribd.com/document/493896115/Nielsen-Sports-Rethinking-Sports-Experiences-for-Generation-z
- www.nielsen.com, https://www.nielsen.com/insights/2019/game-changer/#:~:text=Not%20only%20do%20their%20tastes,move%20around%20in%20their%20careers.
- Sports fandom is increasing, powered by new digital platforms, global report finds | Nielsen, https://www.nielsen.com/news-center/2022/sports-fandom-is-increasing-powered-by-new-digital-platforms-global-report-finds/
- Sports practice – PwC, https://www.pwc.com/us/en/industries/tmt/sports.html
- AI Sponsorship ROI Tracking: Measure Sports Partnerships Smartly, https://www.folio3.ai/blog/sports-sponsorship-roi/
- VRIO Analysis – Strategic Management – Oregon State University, https://open.oregonstate.education/strategicmanagement/chapter/4-vrio-analysis/
- VRIO Framework: Definition, Analysis, Examples | Appinio Blog, https://www.appinio.com/en/blog/market-research/vrio-framework
- 6 Real-World VRIO Analysis Examples + Free Guide and Template – OnStrategy, https://onstrategyhq.com/vrio/analysis-example/
- Sports Analytics Jobs: How to Start Your Career | KU Sport, https://onlinesportmanagement.ku.edu/community/sports-analytics-jobs-how-to-start-your-career
- Discover Lucrative Sports Data Scientist Jobs: A Comprehensive Overview – Yellowbrick, https://www.yellowbrick.co/blog/sports/discover-lucrative-sports-data-scientist-jobs-a-comprehensive-overview
- $48k-$190k Data Science Sports Jobs (NOW HIRING) Oct 2025 – ZipRecruiter, https://www.ziprecruiter.com/Jobs/Data-Science-Sports
- Olympic Esports Games – Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/Olympic_Esports_Games
- www.olympics.com, https://www.olympics.com/ioc/olympic-esports-games#:~:text=The%20first%20edition%20of%20the,create%20the%20Olympic%20Esports%20Games.
- NBA gambling scandal shines harsh light on US sports’ embrace of betting, https://www.theguardian.com/sport/2025/oct/24/nba-gambling-scandal-sports-betting
- Blockchain in Sports: A Comparative Analysis of Applications and Perceptions in Football and Basketball – MDPI, https://www.mdpi.com/2076-3417/15/12/6829
- AI in Sports: 6 Ways Artificial Intelligence is Changing the Game | Built In, https://builtin.com/artificial-intelligence/ai-in-sports
- AI-Powered Scouting: How College Teams Find the Next Big Talent – Collegeinsider, https://collegeinsider.com/ai-powered-scouting-how-college-teams-find-the-next-big-talent
- Top 10 Ways AI is Revolutionizing Player Scouting and Recruitment | Playbook Sports, https://www.callplaybook.com/reports/top-10-ai-scouting-and-recruitment
- How AI in Sports Revolutionizes the Fan Experience – Athelo Group, https://athelogroup.com/blog/ai-in-sports-revolutionizes-fan-experience/
- How AI Is Transforming the Sports Fan Experience | Ozum, https://www.o-zum.com/resources/how-ai-is-transforming-the-sports-fan-experience
- Top 10 Ways AI is Transforming the In-Stadium Fan Experience | Playbook Sports, https://www.callplaybook.com/reports/top-10-ways-ai-is-transforming-the-in-stadium-fan-experience
- A guide to Prime Video’s live sports expanding programming – Amazon Ads, https://advertising.amazon.com/library/news/upcoming-prime-video-sports-schedule
- Strategy Shift: Netflix’s Entry Into Live Sports – Athelo Group, https://athelogroup.com/blog/strategy-shift-netflixs-entry-into-live-sports/
- Nike Digital Transformation: Real Examples (2025) – Golden Owl Solutions, https://goldenowl.asia/blog/nikes-digital-transformation-real-examples
- Nike Digital Transformation: Strategy, Real-World Examples, And Lessons – TechTide, https://techtidesolutions.com/blog/nike-digital-transformation/
- Ecommerce Trends: How Nike is using AI, https://www.digitalcommerce360.com/2025/10/09/how-nike-is-using-ai/
- 5 Ways Adidas is Using AI – A Comprehensive Case Study [2025] – DigitalDefynd, https://digitaldefynd.com/IQ/adidas-using-ai-case-study/
- Adidas’ Digital Transformation: A Winning Strategy – VFM Technology Viet Nam, https://dev-landing.vfmtech.vn/adidas-digital-transformation-a-winning-strategy/
- Sprinting into the Digital Age: Adidas’ Multi-Year Digital Transformation – IT Revolution, https://itrevolution.com/articles/sprinting-into-the-digital-age-adidas-multi-year-digital-transformation/
- discovery.researcher.life, https://discovery.researcher.life/download/article/ce68c8bb2c8a3f6a91fb470e841ce88c/full-text#:~:text=The%20company’s%20current%20strategy%20is,helped%20increase%20its%20brand%20visibility.
- The Rise, Strategy, and Future of Riot Games – R Discovery, https://discovery.researcher.life/download/article/ce68c8bb2c8a3f6a91fb470e841ce88c/full-text
- DraftKings Business Model – How Does DraftKings Make Money?, https://businessmodelanalyst.com/draftkings-business-model/
- DraftKings’ Winning Strategy: How Innovation Fuels Customer Acquisition and Retention, https://www.hulkapps.com/blogs/ecommerce-hub/draftkings-winning-strategy-how-innovation-fuels-customer-acquisition-and-retention

